できてもほんの少し
期待しないでまた明日
無理せず自分のペースでな
風呂を出た彼女は紅潮していて女性らしさを際立たせている
拭き残された雫が髪の先からぽたりと落ちて、俺は彼女を見詰めていたことに気づいた
「……なにを着たらいいのでしょう」
今回はタオルを身体に巻きつけて、さっきよりは随分ましだ。ましなだけで、俺が興奮しているから大差ない
「これ着てください」
顔を背けてスウェットを手渡す
「ふふ、もこもこしてますね」
スウェットの着心地にご満悦のようで、彼女は袖を頬に軽く抑えた
小ぶりの二山が気になって仕方ない。なんてたって俺の寝巻きなわけだからな
無言でいると理性が吹っ切れてしまいそうだから質問してみた
「貴方は死にたくないとか、思わないんですか? その、後悔とかしないんですか?」
こんな重い質問をするつもりじゃなかったんだけどな
「ないといえば嘘になってしまいますね」
困ったように彼女は笑う。だったら生贄なんてやめればいいと言っても無駄だってことを知ってても、口に出そうになってしまう
「例えば、もっと外のことを知りたかったと考えたりします」
好奇心の旺盛な彼女らしい望みだよな
現に彼女はスウェット等に使われるフリーズの質感すら知らなかったわけだし
「今年の四月に村の外へ出ることを許されるようになったので、まだ知らないことだらけです。それも、一月に一度だけですから、時間が足りません」
「じゃあ夏に俺と会ったのってまだ四度目だったんですか?」
「ええ。私はナンパされたのですよね? 後で黒服に聞きました」
彼女はとても嬉しそうに目をきらきらとさせて言った
あの野郎、その通りだけど俺はそれをしないが為にと色々大変だったってのに
「あとは、そうですね。自分の子供を見られないことも、心残りと言えるのかもしれませんね」
あまりにもタイミングの良すぎる発言に鼻からうどんが出そうだった。別にうどんなんて食べてないけど、ほら、なんとなく解るだろ?
「時間がないからですか? というより、祭はいつなんですか?」
一番気になっていただろうことを聞く
彼女がいついなくなってしまうのか、もっと早く聞くべきだったが恐かった
好きな子が死ぬ日なんてできれば知りたくもない
でも、知らなくちゃ助けようもない
「祭は元旦ですよ。それに、時間がないからじゃありません」
元旦ということは、今が十一月の第二日曜日だから、残り一ヶ月半程度というわけか
たったのそれだけかよ
「じゃあどうして子供を見られないんですか?」
「生贄に捧げられるのは上等な血と定められているからです。
この"上等"に"屋敷の純血"であることと"清潔な血"であることが含まれています。
ですので、私は子作りをすることができないのです」
セックスしたからって血が混ざるってことはないだろう
だけど駄目。なんか駄目。そういう問題じゃないんだろう
だから黒服は子を作れだなんて言い出したわけだ
子作り――セックスをすれば彼女は生贄に成れなくなってしまうから
……ってあれ? なんであいつは俺に助言してるんだ?
本当に意味がわからん。なにがしたいんだあの黒服
「残念ですね」
こんな話を聞いたら益々手を出せなくなる
出す気もないけど、心から萎えたのでちょっと安心した
仮に俺が性交を望めば彼女は死に物狂いで拒むだろう
それを無理矢理組み敷いて突貫すれば俺はレイプ犯だが彼女は生き延びる
そんな未来を選べるわけがない
そもそも――彼女の理解がないままに生き延びても意味がない気がするんだ
俺がどうにか彼女の生贄を救うとする
だけど彼女は救って欲しくなかった
生贄として捧げられて村の皆を護ることが人生の全て
そんな子を勝手に救って意味があるのか?
救っても後悔の念から病んでいくんじゃないか?
俺には使命なんて立派なものがなくてよかった
そんなもん、歩く道を刺だらけにしてろくなもんじゃない
「……これだけは言わせてもらいます」
「なんですか?」
「俺は貴方に死んでほしくありません」
「そうですか……私も貴方に言っておきたいことがあります」
「はい」
「私は貴方に会いたくなかったです」
俺達はただ、自分の我侭を押し通したいだけだ
「貴方に会ったせいで毎月がいつも以上に楽しかった。
来月はなにをするんだろうと、考えることが楽しかった。
今だってそうです。明日になったらどうなるのだろうと、楽しみなんです。
でも、再来月に私は死にます」
「生贄になることに対して、今でも後悔はありません。
村を護るために死ぬことは産まれる前から決まっていたことです。
でも、貴方と一緒に過ごしたいと願う気持ちだって本当です」
「この気持ちの正体を貴方は知っていますか?
不思議な気持ちですね。嬉しくて、楽しくて、切なくて。
そんな感情が原因でありもしない夢を描いてしまいます。
貴方のせいですよ?」
つまり彼女の告白だ
恋愛って言葉を知らないまま、初恋の相手に俺を選んでくれたわけだ
好きな人にそう思われて、どれだけ嬉しかっただろう
反転、同量の悲しみが湧いた
それでも彼女は生きることを選ばないと知ってしまったから
だからなにも答えることができなかった
俺も同じ気持ちなんですと応えたかったはずなのに
布団を敷いて彼女を寝かせる
「>>1さんはどこで寝るんですか?」と聞いてきたから適当に寝ますよと濁しておいた
しかし彼女は頭が悪いわけではないので、隣の部屋もないから眠る場所が他にないと知ってしまったようだ
「風邪引きますよ、遠慮なさないでください」
と同じ布団に誘った
彼女に男の理性と野性を一晩かけて説明したかったが、言及されてなにも言えなくなる俺が目に見えているからやめた
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
「いい夢見てくださいね」と彼女が自然に言う
「なんですかそれ?」
「あれ? >>1さんの家ではありませんでした? おやすみなさいの後に」
「うちだけじゃなくて、友達の家でも聞いたことないですよ」
「私の家だけなのですかねえ?」
「どうでしょう」
生贄になるしかない彼女にいい夢見てね、だなんて
皮肉にしては笑えないよな
シングルの布団で二人が眠る
もう肌寒いから掛け布団からはみでないよう
自然と窮屈になって体が近づく
触れないようにと体を反らす
彼女の寝息が耳に届く
橙の淡い光の下で静かに眠る彼女がいる
その隣に俺がいる
なんの遠慮もなく彼女が近づく
眠った彼女が体を寄せる
仰向けで寝転んでいる俺の腕に重みがかかる
やけに柔らかいなにかが当たる
理解不能な柔らかい存在が腕を包んでいる気がする
意外なことに一気に目は――閉じた
鼻腔をくすぐる女性特有の優しい匂いが
腕を掴む小さく細い彼女の手が
覚えのない母親と同じ胸の感触が
俺を底から安心させていった
不思議なことに、感じたこともない母性とやらを
俺は初めて求めたような気がする
そういえば鳥つけてなかったんだな
長くなっちまったしつけとくわなwww
また明日かな?
うんすまん! また明日!
おやすみー
>>1の選択が楽しみだ
続き楽しみにしてるよー
て、3日で終わんねーじゃんw
明日も待ってるぞ!
続き待ってる
ナンパ男でいくか
連続投下記録が終わってしまった
すまん、また明日
おれの1日の楽しみを奪いやがったな!許さん!
明日こそ絶対投下しやがれ!
待ってるからな!!
俺の妄想がお前の楽しみに!? それはお前、ある意味高度な変態www
すまんな、明日は投下するうぇい!
俺はあまりレス返しないようにわざとしている
そうした方がいいんだろ? こういうスレでは。よくわからんけど
だから、読んだとか④とか映画化()とかなんでもそうだけどレスしてくれてありがとなって思ってるからな?
言わないけどちゃんと解っとけよ?
ってなわけで今日はおやすみwww
お前が立てたスレだ
妄想とはいえ整理が大事な気がするからな
登場人物
不良物件な>>1、箱入り彼女、よくわからん黒服、王様臭い婆、関西人な友、天然の○○、女好きな××、出番のない親方
ここまで
ナンパしたくないのにナンパしたら変な女が釣れて遊んでたら惚れたんだけど金持ちで生贄とかブッ飛んでてどうすんべ
こんなとこだな!
明日はよろしく!