好きな女の子と童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
act.1 「素晴らしく楽しい日々の始まり」
act.2 「夏だねえ」
act.3 「秋の三連休」
act.4 「秋には色々あった」
act.5 「クリスマスパーチーをしませう!」
act.6 「嫌な予感」
act.7 「残り僅かな日々」
act.8 「生まれて初めての本気」
あれ?こっちで良いのかな?
お願いします??
いきなり埋められてワロタwww
あれ?俺いつ書き終わったんだって思ったよw
んじゃ、遅くなって申し訳ないけど続きを書いていきましょう
俺達はその日マリコを救う作戦を考える。
イモトがのっけから叫んだ。
「特殊マリコ奪回チーム、通称SMTの結成だね!!」
何、そのカッコいい特殊部隊。と、いつもは冷静に突っ込んでる俺もその時のテンションはMAXだった。
だが、マリコを奪回しようにもマリコの宿泊しているホテルすら俺達は知らなかった。
「だから、まず向こうからの動きがあるまで待つ、向こうはこの家の取り壊し時期、そしてその後事を話しに来るはずだ」
そうヒロさんが言う。
「一応ね、私は作戦を考えたよ」
イモトがそう言って紙に書いたガサツな字を俺達に見せる
「…これ、殆ど犯罪じゃね…?」
作戦はマリコの母親の秘書が来た時に拉致して、ホテルの場所を確認する。
そして母親を呼び出してその隙にマリコを奪取…
ガサツな字な上にガサツな作戦。
「なーに、いっての!この作戦が一番なんだよ!」
そう言うイモト。ヤバイだろこれ…俺がそう思っているとヒロさんが頷いた。
「いや、大筋はこれで行こう」
え?マジ?
「そうですね、細かい部分だけ訂正しましょう」
係長も頷く。俺はすぐに止める。
「いや、待て!これはまずいって」
「大丈夫だってw」
イモトが笑った。違う、そうじゃなくて…
「これは…俺一人でやる。だから、ほんの触りだけ手伝ってください」
俺がそう言うとヒロさんが舌を出した。
「嫌だ、俺達もやる」
全員も頷く。
「お前らが全員潰れちゃうだろうが!!!」
俺がそう叫ぶ。皆が俺を見た。
「イモト、大学行きたいんだろ??係長は就職決まったんでしょ??ヒロさんもケンジさんと住む事が決まったんでしょ??こんな事したら人生棒に振っちゃうだろ!!!」
俺がそう言うとイモトが笑った。
「んじゃ、また皆で何処かに住もうよ」
え?
「うん、そうだね、そうしようw…あ、でも俺、ケンジ呼んでも良い?」
は?
「私は後悔する位なら就職を諦めますけど?」
マジ?皆…マジでテンション上がり過ぎで分かって無いんじゃないの…?
マジで…?
コイツら馬鹿だ…と思いながら俺は涙ぐんでる。
もう良いや…もう知らん。
お前らの人生俺がもらう。
お前らが人生、棒に振ったら…俺が最後まで面倒みてやる。
俺の中にそんな思いがこみ上げたのだった…
だが…そのガサツな作戦は決行されなかった
何故かと言うと…
マリコの父親に全員、泊まるホテルに呼び出されたからであった…
「どうする?作戦パーだな…」
「そうだね、せっかくDVDと尿瓶を用意したのに…」
イモトが残念そうに言う。
秘書を拉致した際に暇つぶしにDVD、そしてトイレ用に尿瓶を購入していたのだが…結局フイになってしまった。
「まあ…とりあえず、拉致しなくてもよくなったんだ。後は直接対決するしかねーな」
ヒロさんがそう言う。
そうだな…直接父親に話をするしかない。
やる…俺は頑張る…!そう思い当日を待ったのだった…
ホテルに到着すると秘書の安田が俺達を部屋に通す。
俺達四人は緊張しながら部屋に入ると、そこにはマリコ、マリコの母親、そして父親らしき人間が座っていたのであった。
マリコが笑顔で俺達に手を振る。
一週間ちょっとしか会ってなかったのにマリコに会えた時、嬉しさで泣きそうになっていた。
イモトがマリコに抱きつく。イモトは泣いていた。
俺も抱きつきたかったが、その前に俺にはやる事があった。
父親との対決…それが俺の一番やるべき事…
「まあ、座ってください」
父親が冷静にそう言う。俺達はそう言われ座る。
俺の鼓動が高鳴る。何を言うかは考えてきている。
後はタイミングだけだ…
父親はメガネを掛けて几帳面そうな紳士って感じだった。そして凄く冷静だった。
「一応、あの家は来週までに出て行ってください。あなた方には住む家と…」
父親が挨拶もそこそこにいきなり話をし始める。
やばい、タイミング…俺の鼓動が早い。めちゃくちゃ緊張していた。
だからタイミングも糞も無く父親の話を止めた。
「待ってください…」
俺の言葉に父親はジロリと俺を見る。
怖い…緊張する…でも…
「俺の家は要りません…その代わりマリコを…マリコを自由にしてください」
そう少し震えた声でそう言う。
マリコが俺を見た。
父親は俺の言葉が通じなかったのかそのまま話を続け始めた。
この段階で俺の頭に血が上る。考えていたシチュエーションと全く違う。
「聞いてください…!マリコを…無理矢理結婚させるのは…やめてください!!」
俺は少し力強くそう言う
父親はやっと俺を見て「ふん」と笑ったのかどうなのか分からない言葉を言った後に言葉を続ける。
「…それは、マリコが君に言ったんですか?」
え?
「マリコが君にお願いして私にそう言って欲しいと言ったんですかね?」
う…俺は言葉に詰まる。
マリコは下を見ていた。
「違う!!だけど、マリコは嫌がってる!!」
俺が言葉に詰まっているとイモトが助け舟を出してくれた。
「…何故、君がマリコの気持ちを分かるんですか?」
父親は尚も冷静に言う。
「分かるに決まってるでしょ!!そんなん見てたら!!」
イモトが声を荒げる。マリコが焦ってイモトを見ていた。
「そうなのか…?マリコ」
父親がマリコを見るとマリコは下を見ていた。
「マリコ…答えなさい」
父親は尚も冷静にそう言うがマリコは下を向くだけだ。
分かる。マリコはそんなの答えられない。マリコは両親を裏切りたくないんだ。
かと言って俺達裏切れない。やばい、ただの板ばさみじゃないか。
「何も答えないという事は、マリコはそんな思いが無いって事じゃないかな?」
父親は俺達にそう言う。
「違う!!マリコはこの場で答えられないだけ…」
イモトの言葉が小さくなる。
「違わないですよ。それに君達には関係ないことだ」
父親はそう言って俺達を一刀両断にした。
「で、でも…マリコは男性恐怖症ですよ…それなのに…」
俺がそう言うと父親が俺をじろりと見た
「だから、何ですか?それじゃあマリコは一生結婚するなという事ですか?それじゃあマリコが可哀相すぎる…だから、私は信頼できる相手をマリコに選んだだけだ」
違う!!そいつが原因でマリコは男性恐怖症になったんじゃねーか!!!
…そう言いたいが、それはマリコ以外に言うべき事じゃない。
それだけは絶対に俺達から言っては駄目だ。
「大体ね…君達は今、一時の感情でマリコの人生に口を出しているだけでしょう?それはただの興味本位ですよ。ありがた迷惑」
父親がそう言う。
俺は少しイライラしてきた。
一時の感情?
「君達にマリコの人生を背負う気持ちもないくせに…!」
父親が最後にそう吐き捨てる様に言った瞬間だった。俺の中の何かが何故かこんな場面で爆発する…
「あるっつううの!!!!!」
その叫び声に父親が俺を見る。
マリコも俺を見た。
「俺は、マリコの人生を背負う気持ちでここに来たんだ!!この一週間、ずっと考えて…ずっと考えて…答えを出してきたんだよ!!!!」
俺は恥ずかしくも、ぶち切れていた。
「俺がマリコの人生を背負ってやるんだよ!!!!俺がマリコを幸せにするんだよ!!!!」
ああ…ちょー恥ずかしい。
その言葉にマリコがびっくりしていたのを覚えている。
父親はフッと笑うと俺に冷静に言った。
「君が…マリコを幸せに…?どうやって?」
「え?」
「どうやって?君は仕事してるの?」
「…いや」
「ふむ。君は今からどうやってマリコを幸せにするの?どうやって家に住むの?どうやってご飯を食べるの?」
冷静に並べられる。俺は焦る。焦って下を向く。
すると父親は初めて怒鳴った。
「何も持っていない者が大きな事を言うんじゃない!!それはただの無責任な発言だ!!」
う…俺は下を見た。
確かに何も俺は持っていない。
だから…駄目だ…
そう思った時にマリコをチラリと見た。
マリコは泣いていた…
俺を見ながら嬉しそうに泣いていた…
その瞬間に俺のテンションが再びあがる。
父親は尚も続ける。
「そんな無責任な発言でマリコを幸せに出来るはずがないだろ!」
「で…?」
「え?」
俺の強気な一言に父親が一瞬怯んだ。
「で?金を持ってたらマリコは幸せになる…と?」
「少なくとも、全く無いよりかはね」
「へえ…じゃあ、奥さん」
俺はマリコの母親を見た
「奥さんは金だけで旦那さんと結婚を…?」
マリコの母親は怒る。
「違うに決まってるでしょ!」
「ですよね♪」
俺は父親に向き直った。
「だから、金だけじゃないんですよ」
「そんな事は分かっている!だが、金も必要だと言っているんだ!」
父親の一言に俺は勝機を感じた。
「そんな事は分かってるんだよ!だけど、愛も必要だって言ってたんだよ!!!」
そう返すと父親は一瞬言葉につまる。
「アンタは奥さんを愛してないのか??」
「は?」
「奥さんを愛してんのかって、聞いてんだよ!!!」
すでに敬語を完全に忘れてる俺。
「愛してるに決まってるだろ…」
「だったらマリコにも同じ幸せをやれってつってんだよ!!!」
父親の動きを止めた。
俺は更に暴走。
「そんでなあ…俺はどうなるんだよ…」
「え?」
「俺はどうなるんだよ!!!マリコの事が好きで、マリコとずっと一緒に居たいと思ってる俺はどうなるんだよ!!!!」
はい、完全に暴走。
「何を言ってるんだ…?」
父親がポカーンとしていた。誰か俺を止めろ。
後でヒロさんに聞いたら「頭がおかしくなったかと思った」と言ってた。
「マリコ!!!」
俺はマリコを見た。マリコは俺を見ながら泣いてる。
「お前はどうなんだよ!!どうしたいんだ!!」
俺は完全に暴走モードでマリコに聞く。
マリコは下を向く。
「下を向くな!!逃げるな!!俺を見ろ!!」
マリコは顔をあげる。その時だったイモトも立ち上がる。
「マリコ!!決めな!!アンタはどうしたい!!」
マリコは泣きながら下を向く。
「俺は…俺達はお前を奪う作戦を考えてる…」
「え?」
マリコが顔をあげた。
「だけど、お前が動かないと何も出来ない!!覚悟を決めろ!!!」
「マリコ!!決めて!!!」
イモトも叫ぶ。ヒロさんもここに来て言う。
「今、ナオト君は少し暴走してるけど…気持ちは本物だ…決めろ!」
「マリコさん…決めてください」
係長も言う。
マリコは益々泣き出す。
「マリコ!!」
俺は再び叫んだ。
「俺達は絶対にお前を見捨てない!!!そして、俺は一生お前を守る!!!!だから決めろ!!!!」
もう興奮しすぎてたんだろうね。
そんな台詞を言うんだよ俺。
マリコは立ち上がり…そして言った。
「ありがとう…本当にありがとう…皆…大好き…私も皆と居たい…ずっと一緒に暮らしたい…!」
マリコ…俺はマリコに手を伸ばす。
「だけど…」
マリコは笑った。
「だけど…私は…お父さん、お母さんも…大好き…!」
そう言って両親を見る。
この一言に興奮して立ち上がっていた父親が座った
こいっ、マリコ!!!
「皆と一緒に暮らして…本当に楽しかった。そしてたくさん笑顔をもらった」
俺の手は虚空を切っていた。
「ナオトと…最初に会った時、ナオトとチョコを半分こしたよね…?あの時に手が触れた時に私は焦った…だって、ナオトに触れても…何とも無かったから…その瞬間にね…ナオトに特別な気持ちを抱いた…」
俺は下を向く。
「だからナオトと暮らしたかった…ナオトと一緒の時を過ごしたかった。でも…」
マリコが益々泣いてしまう。
「ごめんね…こんな事になるんなら…あの時に出会わなければ良かったね…あの時、ナオトと一緒に暮らさなければ良かったね…ごめんね…」
マリコの言葉に俺は下を向き、そして涙が滲んで来た
「そして…私と居てくれて…本当にありがとう…!そして、さっきは私に凄く…凄く嬉しい事を言ってくれて…本当にありがとう…!」
そう言っていつものキラキラした笑顔で俺を見たのだ。
俺は椅子に座り込む。マリコは父親を見た。
「お父さん…ごめんね私が我侭なばっかりに…でも、お父さんとお母さんの愛はちゃんと私には伝わってるよ…本当に…二人とも大好きだよ…!」
その瞬間に父親がメガネを外した。そして目頭を押さえる。母親は鼻をすすった。
「だから…この人達を責めないで欲しい。この人達も私の事を思ってくれているだけだから…」
そう言うと父親は頷く。母親も頷いていた。
マリコは再び俺を見る。
「本当に皆…ありがとう…私はちゃんと前を向く…だから…ごめんね…本当に…」
そう言ってマリコは俺達に頭を下げたのであった…
結局…俺達、いや、俺の思いは…
届かなかったんだ…
その晩全員で居間で寝そべっていた。
何もしたくなかった。全てを出し切った。
それで終わった…
だが、確かに係長の言う通り不思議と後悔は無かった。なぜかは分からないけど。
そして、俺の中にある思いが逆に強くなっていたんだ。
「飯…どうする?」
「どうでも良い」
「今日はいらない」
「イモト帰れよ」
俺達が口々に適当に喋っていると…玄関の戸がガラガラと開く音がした。
全員で顔を合わせる。そして…
「たっだいま?!!!」
その声で全員が飛び上がる
全員で玄関に走った。
そこには…マリコが立っていた…
「マリコ…」
誰かが呟く。
マリコは照れた様に頭をかいて「お父さんが…最後までこの家に居ても良いって…」そう言う。
え?
「で、取り壊しは四月…だからそれまでは住んで良いんだって♪」
皆が顔を見合わせる。
「なんか、お父さんが皆に…申し訳ないって言ってたよ」
「そうか…」
ヒロさんがそう言って笑う。
「よし、じゃあ晩飯!晩飯どうする!!??」
イモトが叫ぶ。
「さっきは要らないって言ってたじゃん」
「てか、お前は帰れよw」
そう口々にマリコの帰還を喜ぶ。
こうして俺達は残りの三週間をイモトも加え再び五人で暮らした。
だけど…これが本当に最後の三週間だった。
でも、最高に楽しい三週間だった…
最初に家を出たのはイモトだった。
「いやあ…本当に楽しかったよ」
そう言って俺達に言う。
「まあ、あんま湿っぽいのも好きじゃないからさ、さっと帰るわw」
イモトの言葉にマリコがイモトに抱きついた。
「また…会おうね…」
「もちろん、会って遊ぼう…!」
イモトが俺達に手を振る。俺達も手を振り替えしていた…
庭の木には桜が咲き始めていた…
「本当にお世話になりました…」
係長が俺達に正座をして手をつく。
「こちらこそ…係長に世話になったよ」
ヒロさんがそう言った。
「私は…この年で再び青春を味あわせて貰って…本当に幸せでした。本当に…ありがとうございました…」
「私も係長と会えて幸せだったよ…本当にありがとう…」
マリコの一言に係長はメガネを外して目頭を押さえる。
「皆さん、名古屋にお越しの際には必ずお立ち寄りください!!」
そう言って係長は旅立ったのであった…
ヒロさんの別れは特殊だった。
何故ならケンジが家まで迎えに来たから。お陰で男同士の …いや、まあ、あれだ…凄いわホントに。
最後にヒロさんが俺を呼ぶ。
「ナオト君」
「はい」
そう言ってヒロさんは俺の手に何かを渡した。
「何すか?これ」
「ゴム」
は???
確かに…ゴムだ…
「最後に…チャンスがあったら…使用しろ!」
はあああ????
そう言ってヒロさんは笑いながら手を振り、ケンジの車に乗りこんだのであった…
なんだよなぁ~
空は青く凄く天気の良い春の日だった。
俺とマリコは縁側に座る。そして二人で桜の木を見ていた。
「皆…行っちゃったね…」
「うん」
「ナオトも…明日…行っちゃうんだね…」
「うん…」
俺は頷く。
桜の木が風に揺れ七部咲きの桜の花びらを揺らしていた。
「最初の時に戻っちゃったみたい…」
「そうだな…」
「あのね…」
マリコが俺を見た。
「秋の三連休の時…覚えてる… ?」
「ああ…うん?」
「あの時さ…実家に帰って…私の許婚の人に会わされてたの…で、嫌で嫌で仕方なくて…それで帰ってきたの」
そうか…だから、少し様子が変だったんだ…
「なんとなく様子が変だったもんな…」
俺はそう呟く
「まあ、それと…ナオトのHなDVD見てってのもあったけど」
「うわああああ!!!!覚えてんのかよ!!!!」
俺の焦りにマリコが笑った。
そして、マリコが…ゆっくり俺の肩に頭を乗せてきた。
え…?
「あの時…ナオトの顔を見て…凄く安心して…だから…ナオトに抱きつきたくなったの…」
そう言ったマリコの髪を風が揺らして俺の頬をくすぐる。
「ナオト…」
「うん…?」
「勉強…頑張ってね…」
マリコの言葉に俺は「いや…」と呟いた。
「俺…学校辞めたんだよ…」
「え???」
マリコは起き上がる。
「だから、マリコのお父さんからの新しい家も…断った」
「え??なんで??」
俺は軽く笑う。
「…仕事をするんだよ」
「え?」
マリコは俺を見つめていた。
「…確かにさ…マリコのお父さんが言う様に…今の俺は何も持ってない。好きな人を幸せにするのは愛も必要だけど…金も必要だ」
マリコが黙って俺を見る。
「だから…俺は社会に出る。もう逃げの生活は辞める。ちゃんと仕事して…ちゃんと金を稼いで…そして…」
俺はマリコを見た。
「何年か経ったら…マリコを…マリコを迎えに行くよ…!」
マリコの目が大きく広がった。
「例え…マリコが結婚していても、例えどんなに遠い場所で暮らしていても必ずマリコを迎えに行く…!」
マリコの髪を風が揺らす。
「あ…いや…俺が勝手に行くだけだから…もしも、マリコが幸せだったら、その時は断ってくれw」
俺がそう言って笑うと…マリコは俺に抱きついて来た…
「マリコ…」
そして鼻をすする音が聞こえた。
俺はゆっくり…そして優しくマリコの肩に手を回す事が出来た…
俺達はしばらく、そのままの体勢でいた。
春の風が俺達を優しく撫でるように吹いていた…
「…ねえ」
マリコが俺のシャツに顔をつけたまま呟く。
「ん…?」
「…ちゅう…しよっか…」
「え?」
俺はマリコを見た。マリコは顔をあげる。
「ちゅう…して欲しい…」
マリコの恥ずかしそうな笑顔。
俺の心臓が高鳴る。
マリコも緊張しているのが分かった。
俺達はゆっくり顔を近づけ合う。
そしてマリコが目を閉じ俺達はキスをした…
マリコの口から俺の口を離すとマリコは笑う。
俺も笑った。
「…二回目…だね」
え?
「ちゅうしたの」
マリコが悪戯っぽく笑った。そして俺は思い出す。あの夏の停電の夜の事を。
俺は笑った。
「そうだな…でも、あの時はマリコが俺を襲っただけじゃんw」
「ああ、ひどーい!」
俺達は笑う…そして、再びキスをした…
俺達は何度も何度もキスをする…そして舌を絡ませた。
マリコを抱きしめてそして、舌を絡ませキスし続けた。
顔を離すとマリコは涙を溜めていた。そして俺を抱きしめて言ったんだ…
「好き…大好き…ナオト…本当に…大好き…」
俺もマリコを強く抱きしめる。
「好きだ…マリコ…ずっと…一緒に居たいよ…離したくない…!」
俺達は抱きしめあい続けたんだ…
そして、その日、俺達はずっと、ずっとキスをし続けた。
廊下でも、居間でも、洗面所でも、ご飯を食べる時も…
俺達はずっとキスをし続けた。
まるで明日、この世が終わるかのように…
そして、その夜。俺達はSEXをした。
どちらにとっても生まれて初めてのSEX。
どちらが言うともなしに俺達は自然とそうなったんだ。
もちろん、童貞と処女なもんで上手くいかない。
だけどちゃんと結ばれる事ができた。
マリコはずっと「好き」と言い続けていた…
朝に目が覚めるとマリコが横に眠っている。
その寝顔を見て泣いた。切なくて苦しくて離れ離れになるのが嫌で…泣いた。
そして抱きしめる。マリコも目が覚め俺を抱きしめてくれていた…
その日もとても天気の良い日だった。
素晴らしい旅立ちの朝だった。
俺達は縁側に立って桜を見ていた。
俺はマリコを後ろから抱きしめていた。
「…ねえ」
マリコが呟く。
「うん?」
「私も…がんばる」
「え?」
「すぐには…無理かもしれないけど…頑張ってみる」
「…何を」
「ナオトのことを…認めて貰う…」
…え?
「ちゃんと…相手方にも断れる様に…色々動いてみるから…頑張るから…」
「マリコ…」
「だから…会おう…?」
「え?」
マリコは桜の木を見た。
「この桜だけ…残して貰うから…だから…ここでもう一度会おう…?」
「マリコ…」
「何年かお互い頑張ってちゃんと頑張れたら…もしも、その時ナオトが私の事を思っていてくれてるなら…」
マリコは俺を見つめる。
「ここで…この場所で…会おう…!」
桜が揺れ花びらが飛び散る様な錯覚をした。花びらがマリコを包む。
まだ童貞みたいな事確か書いてたな。俺も覚えてる
だよなぁ
「うん…分かった…俺も頑張る…会おう!」
「何年後…が良いかな…?」
う?ん …五年は長いしかと言って三年で金が貯まるかどうか不安だ…
「今から…五回目の春…今日…この日…!」
て、事は四年後って事か…長いけど、それなら金も貯まってるだろうな…
「ワールドカップだな…」
俺の一言にマリコは一瞬キョトンとするが気がついた様に笑った。
「そうだね、ワールドカップ…目指せ代表召集!」
俺達は笑った。
「…じゃあ。約束…」
「ああ…約束…!」
「ああ、そうだ…」
俺の一言にマリコが俺を見つめた。
「一個だけ、お願い」
「なあに?」
「リンゴの皮を…」
「え?」
「リンゴの皮を剥いて食べるように…」
「ええ?」
俺達は笑い合ったのであった…
そしてマリコは俺を見送りに駅まで来てくれた。
駅のホームでマリコは俺を見つめる。田舎の駅で平日なので人は疎らだった。
俺達はこっそりキスをする。
そして…電車に乗り込む俺。ドアが閉まり電車はゆっくり走り出して行く。
マリコは俺に手を振り続ける。
俺も手を振り続けた…
最後に見たのは…
お互いの泣きながらの笑顔だったんだ…
地元に帰り俺が最初にしたことは両親への謝罪だった。
だって勝手に学校を辞めたんだから。
そして俺は仕事を見つけた。色々面接を受けたが最終的に決めたのは今の会社だ。
今、俺はベンダー…つまり自販機にジュースを詰める仕事をしている。
毎日毎日、自販機を30台位回ってジュースを詰め続ける仕事。
秋と春にはHOT、COLDの切り替えがあり大変だ。
始めた当初は大変で辞めたいと思った事もあった。
だが、その度にマリコの顔を思い出して頑張った。
基本、休みは日曜日だけ。祝日は手当てが付いて出勤をする。まあ、ブラックっちゃブラックな会社。
社員の人も様々で昔、会社をしていて潰してしまった人とか、元料理人とか、少年院に行っていた人とかね。
だけど皆、良い人だ。昔の俺なら絶対に馬鹿にする仕事だ。
だけど、今は自分の仕事に少しばかりの誇りを持っている。
だって俺達が居ないと夏場、熱中症で死んじゃう人も居るからね。
だから俺は頑張る。そしてちゃんと金を貯める。
実家に暮らす事で親に毎月7万円を納めた。
家賃、光熱費、食費を考えれば一人暮らしをするより明らかに安い。
そして毎月10万円の貯金をした。幸い飲み物だけは困らない仕事なもんで、後は毎朝弁当を自分で作っていたんで金を使うところがない。
皆は車を持っていて車で会社に来ていたんだが俺は始発電車で通ってる。
それより貯金にまわしたかったんだ
俺なりに頑張った。
そして四年間で400万を貯金する事が出来たんだよ。
そして、四年後の2013年4月1日…そう調度去年の今くらい…
俺はあの約束の場所に会いに行った…
俺の仕事はね休みを取るのが大変なんだ。会社的には休みなんかすぐ取らしてくれる。
だけどその日行く場所を別の日に割り振ったりしないといけない。
一日休むのにその週全てが辛くなるんだよ。
まあ、でも去年の月曜日、俺は仕事を休み約束の場所へと向かった。
前の日に美容院に行き、そして最高のお洒落をする。
正直前日は殆ど眠る事が出来ず始発で向かうのだった
あの町の駅に着いた時に懐かしさが込みあげてくる。
そして、駅前の広場…係長の演説やヒロさん達との飲み会を思い出す。
俺はバスに乗り込み俺達の…家へと向かったのだった。
バスの窓から流れる海が見える景色。
あの頃のままだった。
俺達が遊んだ浜辺を通りすぎ、いつも買い物をしていたスーパーもあの頃のままだ。
何もかもが昨日の事の様に思い出せる。
…そして、俺達の住んでいた家の近くのバス停で俺はバスを降りた。
一気に海の香りが鼻に広がる。
俺はあの丘への道をゆっくり上がって行った。
丘を上がると俺達のある筈の家は無い。
やはり取り壊されたんだな…
だが…その隣にある桜の木は…
あの頃のままだった…そして…綺麗に咲き誇っていたんだ…
到着した時間は午前九時過ぎ…
まだマリコは来ていない。当然だ。早すぎる。
俺は持ってきた荷物を桜の木の下に置いた。
持ってきたのは…大量のリンゴw
二人で食べようと思っていたんだよ。
石塀も無くなったせいか桜の木から海が見えた。
本当に懐かしい。そして俺は家があった場所を振り返る。今はただの更地だった。
俺は玄関があったであろう場所に行く。
ここから…入って…そして、ここを歩いて…居間。
俺は目を閉じた。
ここに皆がワイワイと騒いでいた。
ヒロさんが壁にもたれて、係長がご飯の支度をして、イモトが何かを叫んで、そして…マリコがリンゴを食べている…
目を閉じるとあの頃のままだった。
俺はしばらく目を閉じて昔を思い出した後、桜の木の下に行き座った。
そして海を見ながら一個リンゴを食べる。
マリコのお陰でリンゴの皮を剥かなくても平気で食べれる様になったんだ。
海からの風が来る。
マリコが来るのか不安じゃないのか?って言われれば不安ではあった。
だけど、それ以上に信じていたんだ。
四年間俺はこの日の為に生きてきた。
だから不安とかの問題じゃなかったんだよ。
昼になり、少しお腹がへり俺はコンビニでも行こうかと思うがマリコとすれ違いになったら困ると思いいく事が出来ない。
こんな事なら弁当を買って持って来たら良かったよ…
そう思うが遅い。
俺は仕方なしにリンゴを食べた…
少し日が陰って来た時に俺は焦りを感じ始めた。
マリコ…どうしたんだ…?
携帯を見ると時間は四時を過ぎていた。俺は益々焦る。
マリコ来てくれ!!
そして太陽がオレンジ色に輝き始めた時、俺は桜の下をウロウロと回り始めた。
心臓が変な感じに鼓動していた。
段々舌が乾く感じになっている。
その時何故か桜を見上げた。桜は変わらずに咲いている。
俺は少し心に落ち着きを取り戻し再び待ち続けた…
…そして、月明かりが照らされる頃、俺は重い腰をあげた。
タイムアップだった。
俺の最終バスと最終電車の時間が迫っていたんだ。
俺は最後に桜を見上げそして置き手紙を置こうかと思った。
だが辞めて…
その場を後にした。
頼む!!
最終バスで駅に向かう人間は居なかった。
バスに乗り込み窓の外の景色を眺める。
…きっと来なかったと言う事は…
マリコなりの幸せを手に入れたって事なんだ…
病気が治って今は幸せに暮らしているって事で…
だから来る事が出来なかったんだ…
そうだ、きっとそうに違いない。
良かったじゃないか…
マリコが幸せならそれで…良かった…
…なら俺は何で泣いてるんだろう…?
窓に映る俺は泣いていた。ボロボロと涙を流して泣いていた。
そうか…
来なかったんだな…マリコ…
その日からねえ、二ヶ月間位かな?何も手が付かなかったのは。
勿論仕事も行くんだけどね、まるで心ここに有らず。
もう抜け殻だったよ。それでも俺は元気を段々取り戻して行ったのは…
昔、係長に言われた言葉があったから。
何もせずに後悔する位なら駄目でもチャレンジした方が良いって…そ
う、俺は自分で言うのも何だが…結構頑張った。
だから、後悔は無かったよ。
そして、時間は過ぎて行った。
不純な気持ちで書き込んでごめんなさい
ナオト
今年の始めにニュース番組で俺達のあの町が映った。
その時、ふと思い出し、俺はマリコに手紙を書きたくなった。
届くかどうかは分からないけど、手紙を書きたくなったんだ。
そう、それがこの話なんですよ。
だから皆、俺の手紙を最後まで読んでくれてありがとう。ごめんね、本当にただのオナニーでw
あ、そう。一応後日談を書きます。
ヒロさんはあれからケンジとまだ暮らしている。今でもメールしたり電話をたまにする。
この前会って飲んだよ。
その時に「ヒロさん女役なんですか?男役?」ってもう一回聞いたらやっと教えてくれたが、秘密にしときますw
係長は去年名古屋に遊びに行き飲んだ。
「ゆっくりしてください!何でも頼んでください!」
そう言って俺を飲みに連れまわす。まさか係長に奢ってもらう日が来るとは…
イモトは現在大学三年だ。
この前会った時、眉毛をちゃんと整え髪もすっきりして綺麗になってて笑ったw
しかも彼氏が出来たらしいw
マジで良かったよw
皆、それぞれ幸せにやってます。
あ、さっき童貞云々の話しを誰か書いてたけど
当時の俺って意味ね。多分、あれイモトをやったのか?って聞かれて
いや、当時の俺は童貞でしたよって答えただけなんだどけ
まあ、良いか
一応ね俺の過去の話は以上なんですが…
実はこの前ヒロさんと飲んだ時に気になる事をいわれましてね
普通取るでしょ?
桜の木の下には行かねーのか?
悪あがきしねーのか?
いや、俺も馬鹿馬鹿しいと思ってるんですが、ヒロさんの言う事も最もだって思いまして
少し期待とドキドキをしている俺がいまして…w
何を言っているのか分からないっすねw
話を聞こう。
ワールドカップ今年だ!!!
ワールドカップは今年だ!
明後日行けよ!!!!
当時の春を1回目とカウントしないでしょ
行けば答えがわかる!
いや、ヒロさん曰く約束は今年なんではないかと
マリコは五年目って事じゃなくて五年後ってつもりで言ったんじゃないかと
ワールドカップの話は今年にワールドカップが開催するからじゃねーかって
そんな事をいってるんですけどね
うお!!すでに書かれてたレスが遅くて…
いや、そうなんですよ
そうなんですかね???
俺、今ちょっと興奮しちゃってきました
マジそうっすよね???
後悔するぞ!
間違いねぇ!!
勘違いでもなんでも行けよ!
後悔しないことにしたんだろ!
行ったれ!!
いや、これは明日仕事が忙しくなるわww
明後日の休みの為にちょっと明日の仕事がんばりますわ
いや、やっぱそうですよね???
書いてよかった!!
ここに書いてよかった
皆もそう思っちゃいます???
頑張れよ(≧∇≦)
暇潰しに書いてたワケわからんの載せちまったw
んでまた報告よろ(=゚ω゚)ノ
マリコを待たせて不安にさせちゃいかんよ
俺も仕事頑張れそう!!!
それだとしても興奮してるぜ!ww
みなさんありがとうございます!
いや、これを確認したかったんですよ
てか、これの為に今日まで寝る間を惜しんで書きました
いや、マジでありがとうございます
とりあえずあれだ、何か滅茶苦茶興奮してますww
どうしよう今日髪切りに行けばよかった
まあ、とにかく明日がんばります
明後日が待ち遠しいなっ。
当時より禿げてないよな?
体型は崩れてないよな?
エイプリルフールだけど嘘つくなよww
リンゴは外せねえなww
頑張ってきた数年間は顔に出てるから問題なし!
えっ…いやwwwまさかぁwww
あ…察し
後日談で語ってくれ
まぁいいけどさw
だめだ、何かめちゃくちゃ興奮しすぎて
今、入れたコーヒー流しに捨てちゃったw
すみません。俺は今から明日に備えて寝ます
そして明日頑張って仕事して明後日マリコに会いにいきますw
ちょっと本当にみなさんありがとうございます
勿論、みなさんには必ず報告させてもらいます
ちなみに明日は忙しくなるので、ちょっと書き込みが出来ないかもしれませんが、
えっと、本当にありがとうございます
ちょっとかなり行くのを迷ってたんですけど
みなさんの書き込みを見て勇気でました
ありがとうございます
そして、お休みなさい!!!!
ひさびさの盛り上がり乗らないと損だろ!
お仕事がんばって!
お休みゆっくりやすんで
おやすみ
良い夢が見れそうだ
明日がんばれ!!
釣りとか言ってる奴!
心が荒んでるぞw
おやすみ!
4/2の報告楽しみにしてるよ!
あ、エイプリルフールwwww
違います、違いますwww
それ、関係ないwww
いや、まあ、寝ます!!
おやすみなさい!!
今年は弁当も持っていけよ?
ちゃんと二人分な
まだ終わってないとかどんだけ焦らすんだよwwww