好きな女の子と同棲した時の話なんだが、色々カオス過ぎて逆に楽しかったんだ。
少し長い話なんだけど暇な人がいたら聞いてほしい。
あと正確には同棲と言うかは疑わしい。
何故なら二人で住んだんではなく五人で住んでいたからだ。
内訳は俺、俺の好きな女の子、その好きな女の子の好きだった男、
俺の事を好きな女の子、そして見知らぬオッサン…
この五人だったんだよ。
俺が好きな女の子は少し変わった子だった。
天真爛漫と言うか、物事を深く考えないと言うか…まあ、でも凄く良い子で可愛かった。
背が高くてショートカットが似合う子。雰囲気が篠田まりこに似てたんで便宜上『マリコ』って事で。
ちなみに俺は歌が歌えないそして雰囲気も残念なナオトインティライミかな?
便宜上『ナオト』としてくれ。
マリコから「一緒に住もう」と言われた時は俺は紅しょうがを自分の牛丼に入れるかマリコの牛丼から先に入れるかを紅しょうがを一掴みしたまま迷っていた時だった。
その言葉を聞いて紅しょうがの事を忘れてマリコを見つめた。
「ナオトさえ良ければ一緒に住みたいの」
そうマリコが繰り返す。
俺は「えっ?えっ?えっ?」みたいな事を繰り返すだけだったと思う。
なんでいきなり、そんな話なんだ?って言うのと、牛丼食いながら話す事じゃねーだろ、って言うのと、掴んだ紅しょうがの着地点どうしよう?って言うのと…
あと、俺達付き合ってもねーじゃん…と言う思いが混濁していたんだよ
>>3
見てくれる人がいて嬉しいよ
続き
そう俺達は付き合っても無かった。でも俺はマリコが好きだった。
だけどマリコは俺の事を友達の一人としか思って無かったと思う。所謂俺の片想い状態だった。
そして、俺はマリコと出会ってまだ3週間もたってなかったんだ…
だから俺は返答に困る、って言うか何でいきなりそんな事を切り出したんだ?と思って紅しょうがを空中浮揚させていた。
いつも突拍子も無い行動をする女、って言うのは3週間過ごして充分に理解していたが俺の理解力がどうやら足りなかった様だ。
「え…?どうしたの?急に」
俺の中では努めて冷静に尋ねたつもりだった。
だが恐らくは「で、デヘヘヘwwな、ど、ど、どうした、急にデヘ、デヘヘヘww」とエロくてイヤらしい感じで尋ねた形になったと思う。
「だって、家が古くて広すぎてさ…一人で住むのが怖いんだもん」
「へ、へー」
マリコの答えに俺は平静を装うも内心バクバクだった。
マジで???何、その理由???何、これ滅茶苦茶チャンスなの???
九回の裏、ツーアウト満塁でバッター俺のチャンスに豪腕投手のマリコが投げた球はまさかの下手投げ??!!
だが、このチャンスに俺は…
「そっか…じゃあ、一緒に住んじゃおっか」
と言えば良かったんだ。
だが、プライドだけは高いと定評の俺は「いやあ…まずいっしょ…」と、カッコをつける始末。
マリコの下手投げに対して見送りを選択した俺。
あああああもう何で俺はそんな事を言うんだよ!!この訳の分からないプライドが憎い!!!!
マリコは俺の答えにキョトンとした表情だった。
そりゃそうだろ…マリコみたいな可愛い女の子が俺ごときに振りまいたチャンスを俺は見送ったんだ。
てか、二度とマリコは下手投げをしない…そう思った矢先だった
「ん?でも、部屋たくさん有るから平気だよぉ」
まさか二球目も下手投げ!!!!
俺はね…さすがにバットを振りましたよ。ええ、もう振りました。
「そう…?じゃ、じゃあ…お、俺も家賃もったいないしな…それも、ありかな…」
そう告げる俺。実際には「え?エヘヘヘじゃあ、や、家賃…も、もったいないっすもんね…えへ、えへへへへ」と言ったと思う。
だが、スタジアムは俺のバッティングに大歓声を挙げて喜んでいたのであった…
マリコと出会ったのはバイト先だった。
俺はその頃大学受験に失敗して地方の情報処理系の専門学校に入学したのであった。
別にそれに興味が有った訳じゃない。ただ単に俺は地元から逃げたかっただけだった。
プライドだけはスカイツリーばりの俺は大学受験に失敗した事が恥ずかしく逃げたんだ。
なので親への口実の為にその専門学校に入ったのだった。
ちなみにバイト先はコンビニで確か二日目か三日目のバイトの日に同じシフトだった。
最初からマリコはフレンドリーに話し掛けて来た
>>9
レスが遅くてスマン、当時は専門学生だった
続き
「ナオトは年、いくつ?」そうキラキラした笑顔で言う。
てか、初っぱなから下の名前呼び捨て。
「え?あ、俺は…」
俺はモゴモゴしながら答えようとするとマリコが「ちょい待ち!」と言って俺の顔の前に人差し指を立ててイタズラっぽく笑う。
「私が当ててしんぜよぉ」
そう言って少し笑いながら笑顔で目を閉じ上を向いた。
そして、手を合わせるとむにゃむにゃと呟く。なんかスゲエ可愛いんだけど。
再び目を開けるとハニカミながら「当てたらチョコ奢ってね?」と言った。
「え、あ、チョコ…?」
「うん!あの板チョコ」
「ああ、いや、別に良いけど」
俺の返事にマリコは再度、手を合わせてお祈り的な事をした後に俺に人差し指を立てた
「はい!今は18歳で今年19歳!」
「あ、当たった。なんで、分かったの?!」
「やったぁ!ニヒ、板チョコゲットだぜぃ!」
そうキラキラした笑顔で言われた時、物凄くドキドキした俺がいたんだよ。
まあ、少し考えれば俺の年齢なんかすぐわかるわなw
俺もマリコがタメだと思ったし。約束通りにマリコに板チョコを買って渡す。
その時少し手が触れた。女慣れしていない俺はちょい赤面したと思う。
それを見たマリコはニヒッと笑い「ああ?わざと手を触れましたねw」そう言う。
「ち、違う!ち、ち、違う!」
もう恥ずかしさでシドロモドロ。
そんな焦る俺を見てマリコはクスクス笑って板チョコを半分に割った
そして一つは自分で頬張り、もう一つを俺に渡す。
「はい、半分こね」
「え?」
「ナオトより私がイッコお姉さんだからあげる」
そう笑いながら板チョコを美味しそうに食べるマリコ。
「え?あ、イッこ上なんだ…っすか」
「急に敬語になるなぁ!」
マリコはケタケタ笑いながら俺に軽くチョップする。
「ナオトおもしろーい♪」
そんな事を女の子から言われた事は俺の前世を含めても記憶にない。
そして、女の子からチョコを貰った事も無かった
何、この人…ちょー可愛い事するんですけど…
全く女慣れしていない俺はね、マリコのこの天真爛漫さにさ…一瞬で恋に落ちたんだよねw
俺が働いていたコンビニは地方の小さな海沿いの田舎にあるマイナーコンビニだった。
だから昼間は余り客が来ない。夜も22時で閉まるコンビニね。
バイトは俺とマリコとおばさんのバイトが二人位。だからマリコはいつも朝から夕方までのシフトだった。
俺もそれに合わせて入る様にしたんだ。
マリコは一々俺の心を虜にする行動を取る。まず、よくボディタッチをしてくる。
俺が作業をしていると後ろから「ツン」と言って俺の脇腹をつついてくる。
「うひゃ!」と叫ぶ俺をクスクス笑って見ていたんだ。
また暇な時にレジのバーコードを俺に向けて笑顔で「ばん!」と言って拳銃を撃つ仕草をしたり、俺の袖を軽く引っ張って「ひまー、しりとりしよ」と言ったりする
俺は一々その度に「何?こいつ…俺に気があるの???どうなの???俺どうしたら良いの???」と心の思う。
全く女に慣れていない俺はそれだけでKO寸前だったんだ。
いつもは女の子の前ではカッコ付けて中々自然に話せない俺だったが、何故か俺はマリコには自然に話す事が出来た。
そしてマリコは突拍子が無かった。
突然「ナオトって、男の人が好きだったりする?」といつものキラキラ笑顔で聞いて来たりする。
それに対して「はっ!俺が好きなのは、お前だっつーの!」と言える訳も無くゴニョゴニョと「へへっ、俺はノンケでもかまわず…」と答えるのが精一杯な俺。
また、ある時はいきなり雲を見つめて「ねえねえ、あれハンクスに似てない?」と言ってくる。
ハンクス?何それ?
「さ…さあ?どうなんだろう…?」
俺は曖昧に答える。
「ええー?!似てるよ?絶対?」
いや、だからハンクスって何?ひょっとして俺が知らない間にハンクスなるものが世に蔓延していたのだろうか?と思う。
へぼい癖にプライドだけは高い俺は『ハンクス』なるものを知らないと思われるのが恥ずかしかった。なので知ったかぶる。
「あ?…そう言えば…あの雲と…空の合間が…ハ、ハンクスの横顔…っぽいね…」
ハンクスが人間かどうかは分からないが思い切ってそう言う。
ちょっとドキドキ
「だよね?!!ハンクスっぽい横顔だよね?!!」
ホッ…どうやら俺の賭けは勝利したらしい。
「あ、じゃあ、あの雲を尻尾だね!!」
は??尻尾???
「でぇ…あれが前足!」
前足…確か人間には前足が無いはず…
「は、ハンクスって…前足…あったっけ…?」
俺は恐る恐る聞いてみる。するとマリコはびっくりした様に答えた。
「あるよ?だって、犬だもん!」
え?犬?
「結構前に死んじゃったんだよね?ハンクス…」
は?死んだ?お亡くなりになった???
「あれ?ってか何でナオトはハンクス知ってるの??」
マリコが今更聞いてくる。
もしかして…
「ひょ…ひょっとして…マリコが…買ってたの…?その…犬…?」
「うんw可愛かったよ?ハンクス!」
しらねええええよ!!!!!
は??何で俺が知ってる前提で聞いたんだよ!!!!
「トム・ハンクスに似てたからハンクスだったんだ」
マリコはキラキラした笑顔で俺をみる。
トム・ハンクスに似てる犬ってなんだよ!!!どんな犬なんだよ!!!!てか、トム・ハンクスに失礼だろ!!!そして、何でファミリーネームの方を付けるんだよ!!!!!!
…っと俺は心の中で散々突っ込んだんだが…嬉しそうにハンクスの思い出話を語るマリコに面と向かって言える訳もなく、そしてそんな訳の分からないエピソードすらその時の俺はマリコに虜になる、ピースの一部だったんだよ…
そんな毎日が続いたある日、少し事件が起きた。
いや、事件て程でも無いんだけど。レジでマリコがオッサンの客にいきなり怒鳴られていたんだ。
バックヤードでジュースの検品をしていた俺は、その声に慌てて店に行く。
見るとちょっと強面のオッサンがマリコにキレている。
マリコも俯きながら小声で謝っている様だった
怖い…そう思うが考えるより先に俺はレジに走る。
「お客様、申し訳ありません…どうされましたか?」
実際には少し震え声だったし途中で噛んだ。
オッサンは怒りながら俺に言った内容は、マリコがお釣りをしっかり渡さなかったので釣銭が散らばったらしい。
急いでマリコが拾い集め渡そうとした時に再び散らばったらしい。
「この女が、俺の手を触れずに渡そうとするからだ!」
それは確かに良くないが、お前みたいなキモいオッサンの手は俺も触れたくない、と思うが言えない。
俺もマリコも精一杯、謝罪するがオッサンはキレていた。
最終的にはマリコが、オッサンの手をしっかり握り再びお釣りを渡せ、と主張してきた。
お前それただのセクハラじゃねーか!と思い俺がムッとした表情を浮かべるとマリコは俺を庇う様に前に出てオッサンの手をしっかり握り釣銭を渡した。
オッサンは「最初からそうすれば良いんだよ!」と言いながらマリコの手を握りしめる。
このオヤジ!!俺は思わず詰め寄りそうになったが、笑顔で耐えているマリコを見て思い留まった
オッサンが満足気に帰った後にマリコを見る。
「マリコ…大丈夫…?」
そう言った時に言葉を止めた。マリコが真っ青だったからだ。
「マリコ、大丈夫か!?」
今度はマリコの体を心配し言葉を発した俺。
「うん…ちょっと…ヤバい…」
そう言いながら顔色を悪くして笑いかけてくる。
「ちょっと休んだ方が良いぞ…」
俺がそう言うとマリコはしゃがみこむ。
うわっ、こりゃヤバい。
「ハハッ…私、怒られ慣れてないから…」
そう言って力無く笑う。
「マリコ…マジで休めって」
「でも、ナオトが大変になっちゃう…」
「もうすぐオーナーが来るから平気だって…なんなら、オーナーに送ってもらえよ」
「えー…」
マリコは無理しようとしているが俺はヤバいと思い、すぐにオーナーに連絡して送ってもらう事にした。
最後までマリコは拒否していたが俺とオーナーで無理に車に乗せたのであった…
その日仕事中ずっとマリコが心配だった。
そして、ふとお見舞いに行こうかと考える。
勿論、マリコの家を見たいと言う下心が無いと言えば嘘になるが、それ以上にマリコが心配と言うのが本心だった。
だが、よく考えるとマリコの家の住所はおろかメアドすら知らない。
俺は教えてくれるか不安では有ったがオーナーにマリコの連絡先を聞いてみた。
気の良い年寄のオーナーはあっさりと教えてくれた。個人情報だだ漏れだな、おい。
ビックリしたのがマリコは携帯を持っていなかった。固定電話しか無いらしい。
今時、つーか、なんか色々変わった奴である
教えて貰った住所は近かったので自転車を走らせ向かった。
夕日が海をオレンジ色に染めて春風が柔らかく気持ちが良かった。
近くまで到着した時にふと思う。一人暮らしの女の子の家に直接行くのは…不味くね?
そう思い、やはり一度連絡した方が良いと思い電話をかけてみた。
正直、女の子に電話をする機会が余り無かった俺はドキドキしていた。
出たら何と言おうか?いきなり電話を掛けたら気持ち悪がれないだろうか?
そんな事を思いながら電話をしていたが結局留守番電話に落ちてしまった。
寝てるのかな…?そう思い帰ろうかと思うが嫌、やっぱりここまで来たんだから…と思い向かおうとするが、嫌、やっぱり、いきなりキモくね?嫌々でも……と迷いまくり。
結局、全俺議会は『とりあえず、表からでもどんな家かを見て帰る』と言う消極的且つストーカー的な修正法案が決議決定された。
俺はマリコはワンルームマンションか何かに住んでいると思い辺りを探すが、そこにはワンルームマンションはおろか、鉄筋の建物すら見当たらない。
あれ?オーナー住所間違えてねーか?
そう思い地図が指す小高い丘に向かう細い道を上がった。
振り替えると海が見え、キラキラと夕日に照らされ綺麗だった。
目の前に石塀に囲まれた一軒家があった。
え?ここ?
それは古くてでかい日本家屋であった。まさか、と思い塀の切れ目の入口から覗いてみる。
そこは縁側に面した広い庭だった。
マジでお祖母ちゃんの家じゃん…俺がそう思った瞬間だった…
ピンクの花びらが目の前を舞った。
ん…?
顔を上げるとひらひらと舞い落ちる花びらが何枚もあり、そしてその向こうにピンクの風景が広がる。
そして俺は目を奪われていた…
目の前に大きな満開の桜の木があり、その桜の木の下にマリコが立っていたんだ…
マリコは桜の花びらの下に立ち、桜の木を見上げていた。
その姿が今でも目に浮かべる事が出来る。
それは本当に綺麗で中二臭い言い方をすれば…それはまるで桜の妖精そのものだったんだ。
しばらく俺は何も言えずに佇んでいた。ただ、じっとマリコを見つめるだけ。
そしてその沈黙はマリコによって破られた。
「…ナオト」
その声に我に返った俺はマリコを見る
ああ…やっぱり妖精ではマリコだったか…と馬鹿な思いを感じながら俺は更に我に返る。
うわ、俺ストーカーそのものじゃね?
そのまま逃げようかと思ったがマリコが「ナオト?今日はごめんねぇ!わざわざ来てくれたんだぁ!」と笑顔で言ってくれて事なきを得たよ。
どうやらマリコの体調は戻った様だった。顔色が良い。
「ああ…オーナーから住所聞いて…ちょっとお見舞いをって…」
って俺、見舞いの品なんも持ってきてねえ。
「ありがとう、すっかり元気になったよ!いやあ、色々体調が悪くてさ」とニコニコ笑う。
「…て、言うか凄いねこの桜の木。滅茶苦茶大きいじゃん」
「あ、そうでしょ?何か昔からあってね、私も大好きなんだよ。あ、でも毛虫が凄いよ」
そう最後の一言でマリコが苦笑いをする。
「あ、そうだ。ナオト、ちょっと待ってて」
そう言ってマリコは縁側から家の中に入っていく。俺はその間に家を見た。
中々の趣がある日本家屋で本当に広い。縁側に面して居間が有るのが見えた。
家の中は綺麗に片付けられている、と言うよりも殆ど物が無かった状態。
マリコは本当に一人でここで暮らしているんだろうか?そんな事を考えているとマリコが戻ってきて後ろに両手を隠している。
「は?い、じゃあ、右と左どっちが良いですか?」
そうキラキラした笑顔で俺を見る。いつものマリコだ。
「ん?…じゃあ、右で」
俺がそう答える。
「おおおお、素晴らしい!」
そう大げさに言ったマリコは右手を出す。その手の上にはリンゴがあった。
「はい、正解で?す。どうぞ?」
俺にリンゴを渡した。
「え?ちなみに左手は?」
俺が尋ねると「左手はぁ…」と言ってマリコは上目遣いに俺を見て左手を出した。
「リンゴで?す!」
その手にはリンゴがあった。
「え …?何?手品の類?これ」
俺の普通の返しにマリコはケタケタと可愛く笑う。意味が分からん。
「リンゴ好きなりー」
マリコは両手でリンゴを持ってシャリッと頬張った。
え?まさかの皮も剥かずの昔の漫画食い!
「…皮…剥かないんだ…」
俺の一言にマリコはリンゴを含み膨らんだ頬で俺を見た。なんか可愛いし。
「剥かないよ」
手で口を押さえてマリコが言う。剥いた方が良いよ
「そっか…」
俺はそう言って同じ様にリンゴを齧る
久しぶりにリンゴそのまま齧ったわ。
だけどマリコが嬉しそうにリンゴを食べるのを見るとこれも良いかな?って思えていた。
俺達は縁側に座り桜を見ながらリンゴを食べて色んな話をした。
どうやらこの家はマリコのお祖母ちゃんの家らしく亡くなってから空き家だったらしいが空き家にしとくのも何なんだからマリコが住む事になったらしい。
元々一人暮らしがしたかったらしく家賃も要らないので都合が良かったらしい。
後、携帯を持たないのは色々縛られるのが面倒くさいから、との事。
特にビジネスマンじゃないから滅多に緊急の用事は無いから、と言う最もな意見だった。
確かにマリコらしい、と言うのか?
後はマリコがリンゴの美味しさと犬のハンクスの可愛さを語ってくれたよ…
マリコが楽しそうに話す横顔を見つめて俺はドキドキする。
春の夕暮れに桜が舞い散る中で好きな女の子と楽しく語り合う…
俺が今まで経験した事がない世界。
笑う度に揺れるイヤリングが綺麗で、そしてすべすべした頬が可愛くて…
俺は完全にマリコに恋をしていたんだ…
その一件から俺達は更に仲が良くなったと思う。だが、ふと思う。
マリコには彼氏は居ないよな…?
携帯も持ってないし、彼氏が居る素振りも見えない…だが、彼氏が居るのかさえ聞けない俺。
そんな悶々とした日々があり、そしてある日マリコが「私、牛丼食べたこと無いんだ」と言ってきた。
確か俺が毎日の食事をどうしてるかって話で俺が牛丼とかをよく食べるって話からだと思う。
「珍しいね、牛丼くらい食べるっしょ」
「ん?、なんかチャンスが無かったの…ねえねえ!」
マリコは急にキラキラした目で俺の袖をつかむ。一々ドキドキする俺。
「牛丼屋さん、連れてってよ!」
「え…?俺と…?」
うわあああマジか!!!マジでデートじゃん!!!それ!!!
と思う俺だがプライドが高くて定評(ry…そんな嬉しそうな表情を見せる訳もなく、
「ああ…じゃ、今日でもバイト上がりにいく?」と軽く言ったのであった。
だが、本当は「うえへへh・・(ry…まあ、そんな感じで牛丼を食べに行きマリコから衝撃的な同棲の提案をされたのであった…
終わり?
あんまり面白い話じゃなくてゴメンね
まだまだ続きがあるけど、続けても良いんかな?
まあ、こんなもんオナニーみたいなもんか…続けて投下しますね
>>32
まだまだなんすよ、すんません続けます
おk
>>35、36
ありがとう。頑張って続けます
マリコの家に暮らす事になってから実際に暮らすまでワクワクしっぱなしだった。
色んな事を考え過ぎて鼻血を出した事もあった。マリコは一体俺に対してどう思っているのだろうか?
だが、一緒に住もうと言ったり普段の俺に対する態度からみても悪い風には思ってないんだろうか?
いや、でも俺が意識し過ぎで普通の女の子はあんな態度や一緒に住む事に抵抗を感じたりしないのか?
んー…俺は色んな事を堂々巡りで考えては悶々とする日々だった。
マリコの家に移り住んだのは桜に少し緑の葉がつき始めた晴れた日だった。
「この部屋を使ってね」
そう言ってマリコが通してくれたのはマリコの部屋の真向かいの部屋だった。
まあね、まさか一緒の部屋では無いと思っていたけど、まあ、真向かいの部屋なら嬉しいかな?
この家は五部屋有り、後はトイレと風呂と台所、そして居間。
居間は縁側と隣接していてその縁側から広い庭が一望出来た。
確かに古い家だが、トイレは和式だけど水洗だし風呂も綺麗だ。
部屋も光りが入るからか、綺麗で気持ちが良い。
後、匂いってあるじゃない?他人の家に行ったら馴染めない匂いって無い?
臭いとかじゃなくて、うわ、ここは俺住めないわ、みたいな感じ。
あれがね、良い匂いなんだよ。
いや、実際に良い匂いな訳では無くて心地が良い匂い。それを感じた。
「いや、なんか良い家だね」
俺は縁側から庭を見ながら言った。
「でしょ?私も小さい頃からこの家好きだったんだ、あ、そうだ」
マリコが台所に行く。そして、戻って来たら又もや両手を後ろに隠してる。
「どーっちだ?」
マリコがいつものキラキラした笑顔で言う。
「んー…じゃあ右」
「おー…流石はナオト♪はい!」
又もやマリコの右手にはリンゴが乗っている。また、リンゴ…
「え?ちなみに左は?」
俺の言葉にマリコがフフフと笑い「リンゴでーす!」何故かドヤ顔。
「え?何…?これはテレポーテーション的な奴…?」
又もや俺の普通の返しにマリコがケタケタと笑いながら俺の肩を叩く。
>>40
ありがとう
続き
そして皮を剥かずに食べるマリコ。
「リンゴ好きだね」
「うん、一日四個か五個は食べてるもん♪」
マリコはその言葉通りリンゴが好きみたいで台所にはリンゴの密輸業者ばりに置いてあるのを見つけた。
いつか、リンゴが高騰した際にはこれで一財産儲ける事が出来る筈。
俺は嬉しそうに両手でリンゴを頬張るマリコを見た。
今日からマリコと二人きりの生活…
マリコと同じ家で寝起きして、マリコと同じ家で寛ぐ。
そしてマリコと同じ風呂に入り、マリコと同じトイレ…うひゃあww
天真爛漫なマリコの事だ、きっと風呂上がりもバスタオル一枚で部屋をうろついたり、トイレもひょっとしてドアを開けっ放しにするかもしれない。
そして、部屋着も面倒臭いからって、下着一枚で…
あひゃあwwwこりゃ、目の毒ですたい!!!
「何、ニヤニヤしてるの?」
下半身に血をたぎらせニヤニヤしている俺にマリコが訊ねる。
「…サザエさんの早川さんのポジションがちょっと理解出来なくて…少し考えてた…」
俺の訳の分からない言い訳。それにマリコが笑う。
「ナオトって、ホントおもしろーい♪」
笑うマリコを見るとエロい気持ちが吹っ飛ぶよな…
ホントエロい気持ちを持ったらダメだ、ダメなんだぞー!
…そう思いながら、その夜風呂に入るマリコを興奮しながら見ていたんだけどね。
まあ、あれだ。
マリコはちゃんと風呂上がりにスウェット姿で出て来るし、トイレもちゃんと鍵まで閉めてするし、最高のラフな格好もTシャツにキュロットだったよ…
なんて、躾がされている娘さんなんだ…
一緒に暮らして分かった事があった。
マリコは凡そ料理と言う物をしなかった。
目玉焼きを失敗した時は何かの冗談かと思った。
まあ、リンゴをそのまま食べてる事から少しは想像出来た事ではあるが…
なので、俺も得意では無いが料理は俺の担当になり掃除がマリコ担当だった。
ちなみに洗濯に関しては物議を醸す
俺が「洗濯は交代でする?」と聞くとマリコは少しニヤニヤして「私のパンツもナオトが干すの?」と言われ「それは俺の懐で温める」とは言えずに各々でする事になった。
それとマリコは世情に驚く程に疎い。
別に頭が悪い訳では無いんだが、流行りの物とかを余り知らなかった。
ファッション関係はその類いの雑誌を見ている様だったが恐らく興味が無い上に携帯も持っていないし、ましてやパソコンも持っていないのでそれが原因なのかな?と思えた。
まあ、そんな事より俺は毎日が楽しくて仕方が無かったよ。
いつもマリコが側にいる。
朝に「おはよう♪」と挨拶して二人で洗面台に立ち一緒に歯を磨いたり、
二人で一緒に御飯を食べたり、
二人で同じテレビを見て笑ったり、
二人で帰りに食材を買ったり…
そして夜中まで二人で縁側に座り星空を見ながら喋り続けたり…
女の子と一緒に暮らす事がこんなに素敵な事とは思わなかった。
しかもそれが好きな女の子だったら尚更だったんだよ…
ただ一つだけ困った事があった。
それはオナニーが出来ない、と言う事だった。
最近落ち着いたような気がするけど
あの頃はまだ自分の家じゃない感が有り、また部屋が襖だから鍵も掛ける事が出来ないので中々やる度胸が無かった。
だが十代の体にオナ禁生活二週間が過ぎた時、限界を感じた。
もうマリコのカットソーから見えるブラチラに俺のムスコは覇気を発する程になる。
こりゃ不味いと思い、マリコが風呂に行っている時を見計らい庭で一分で済ませたよ。
何故、庭かと言うと万が一ティッシュの場合、見つかる可能性を考えて庭に穴を掘りそこにした。
何かの儀式かよホント。
後、もう一つの理由は物干し竿に干しているマリコの下g…まあ、その色々あったわ、ホント
>>47
冷静な早川評論w
>>49
ありがとう
続き
勿論、毎日マリコと一緒と言う訳では無い。俺は一応学校があった。
マリコの家に引っ越してから少し学校が遠くなった。そして結構サボったりしてたわな。
バイトにも行ってたし。だから久しぶりに学校に行ったら既にグループが出来ているらしく全く馴染めない。
そして既に授業に付いていけてない俺。
「俺さあ、今、女と一緒に住んでるんだよね」と自慢をしたいんだが、誰一人話す事が出来ない。
チキショー誰か俺に構え。そして、俺とマリコの話を聞け。
しかし、こういう事態にしたのは俺自身だったから、まあ仕方がない。
仕方なしに俺はマリコとのラブラブ(?)な日々を思い返しながらニヤニヤする行為をしていると急に声を掛けられた。
「ナオト、久しぶりじゃない」
俺の脳内反芻を邪魔をした奴は俺の前にある椅子に座る。
「もう…いくら、ウチの学校が出席率、うるさく無くても学校来なさ過ぎ」
そう言って笑うのは一人の女子だった。
こいつは入学してすぐに俺に声を掛けて来て、それからよく喋る様になった…
まあ、唯一の友達と呼べるんだろうか…?
その女子は机に置いてある俺の手を自分の指でツンツンしながら「…もう、結構寂しかったんだからね…?」そう言って軽くすねる。
俺はそっと自分の手を机から下げた
分かってるコイツは俺に気があるって言う事位は童貞の俺でも気が付く。
やったのか
やったに決まってるだろ
「ナオト…なんか最近良い事あった?なんかニヤニヤしてるし」
そう言ってソイツは俺の机に両手で頬杖をつきながら俺を見つめる。
つーか、近い。俺は少し引き気味に机から離れた。
何でコイツはこんなグイグイ来るんだろう?そう思うと少し羨ましい。
あ、ちなみにコイツは全く俺の好みじゃなかった。
イッテQのイモトに似てた。
>>52
タイトルに記載してますが、私はどうt・・・
続き
顔はまあ俺も人に言えた義理じゃないので置いといても全く女を感じさせない勢いと、デカくて掠れた声、何その酒焼けした様な声は。あと、よく分からないファッション。
何で全身紫で統一すんだよ、欲求不満かよ、お前の目覚ましテレビの占いは常にラッキーカラーは常に紫か。
あと、悪い事は言わない眉毛整えろ。繋がってるぞ。両津か、両津を意識してんのか。
締まりの無い顔は何なの?前歯に隙間が空いてんだよ、テトリスの最後の棒でも入れる気かよ。
ああごめん、やっぱ顔も無理だったわ。
だけど悪い奴じゃないんだよ、今更かもしれないが。
ちょっと勢いが有りすぎてグイグイ来すぎるだけ。
「まあ…良いことはあったわな」
そう言って俺はムフ♪と笑う。それを見てイモトはちょっと照れた様に笑う。
「なーに???私???私の事??私が関係してる???」
何でそう言う結論になるんだ、コイツ。どこまでポジティブシンキングなんだよ。
「いや、お前は全く関与してない、ピクリとも触れてない。スリランカで温泉が涌き出ましたと言うニュース位、お前には関係ない」
「スリランカってどこだっけ?アフリカ?」
いや、そこは食い付くなよ。
イモトに言おうかどうか一瞬悩んだが、とにかく同棲している事を自慢したい俺はイモトに、その事を言ったのであった。
…まあ、これが今となったら良かった事なんだろうけど当時の俺にしたらカオスの前兆だったんだろう
「何??!!何??!!何??!!何??!何それー!!!!」
イモトが急に顔を真っ赤にして叫びだした。声デケえ。
「誰??!!どこで??!!いつから??!!てか、何で??!!」
質問一個にまとめろい。
イモトは叫びながら机をバンバンと叩く。
「いや、だからバイトで知り合って…」
「ナオト、おかしいよ!!!それ、絶対に騙されてる!!」
何がだよ。俺はイモトのいつも以上にグイグイ来る勢いが怖くなり腰を浮かした。
「ナオト、もっと詳しく話して!!!」
イモト、いつも以上にギラギラしてるわ…
この勢いに耐えきれなくなった俺は急いでカバンを持って…逃亡した…!
「待てー!!!ナオトー!!!」
後ろからイモトが叫んでいたが俺はとにかく捕まったら殺られる、そう思い逃げ切ったのであった…
イモトにアドレスを教えて無くて良かった。
奴はいつも聞いて来ていたが俺は「もうすぐ携帯変えるから」と言って教えて無かったのだ。
ちなみに携帯を変える予定は全く無い。
家に帰るとマリコが「お帰りー♪」と言ってくれる。
もう、奴とは生物の種類が異なっているんだ。マリコ可愛すぎ。
もう、学校に行きたくない気がした。
俺のリアルはこの場所で今日の学校が悪夢か何かじゃないかと思う。
神様…願わくば、この細やかな幸せがずっと続きます様に…
あ、でも、もうちょっと欲を言うなら…マリコとの距離が縮まります様に…そう願った俺。
だが、欲をかいたのがいけないのか、はたまた、神様が居ないのかは分からないが…俺のカオスは始まったばかりだった…
「今日、街で高校の時の先輩に会ったの」
そうマリコが言ったのは風呂上がりのリンゴの時間であった。
「へー…あ、マリコ一回リンゴの皮…剥いてみない?」
「剥いてみない」
俺の案はアッサリ却下。
「…皮はあんまり良くないと思うが…って、あれ?マリコこの辺の出身じゃないよな?何で高校の先輩?」
マリコは都会出身。ここには独り暮らしが目的で住んでいるだけだった。
「そう、だからビックリしたのー…へーリンゴ剥けるんだナオト」
俺がリンゴを剥いているのを見て少しビックリするマリコ。
いや、俺も得意では無いが剥けない事は無い。
「先輩、隣町で同棲してたんだって」
「へー…よくまあ、こんな辺鄙な地域に…ん?してた?」
「うん、別れたんだって…それで家を追い出されたらしいんだ」
「うわ、きっつー」
そうか別の地域から来た人が別れたらそうなるわな。
ちなみに俺達はどうなるんだろう?まあ、俺達の場合は別れるも糞もまだ付き合ってもねーか。
「だからね、ここに住んで貰おうと思って」
「へー」
俺は向き終えたリンゴを食べた。
………何?
「先輩、仕事もこっちでしてたから大変みたい、今ホテルで寝泊まりしてるんだって」
………絶対にイヤだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
俺はそう叫びたいのを我慢した。
「え、あ、で、でも…ほら、俺…居るけど…」
極力、極力抑えめに主張する俺。
「あ、部屋沢山あるし、賑やかで良くない?」
エエエエエエ!!!!!良くなあああああい!!!
「え、あ、いや、む、向こうも気を使わない…かな?」
「大丈夫、ナオトの事、言ったらナオトが良ければ、って言ってたし♪」
ソイツは俺に気を使え!!!!
マジかよ?…何だよ?それ…せっかくのマリコとのラブラブ生活が邪魔されんのかよ?
…しかし、ここはマリコの家だし、マリコが了承するなら仕方がない。俺に決定権は無いんだ…
それに、マリコは親切心から言ってる訳なんだから俺が我が儘を言う訳にはいかない。
「大丈夫!先輩、凄く良い人だからナオトも仲良くなれるよ!」
そう慰め何なのかよく分からない事を言っているマリコに苦笑いをした。
先輩って可愛いのかな?そんな横縞な期待をしていない、と言ったら嘘になる気持ちを少しは抱いていたんだ。
…だから、こんな事態になったんだろうな。
翌日、その先輩を見た瞬間にそう思えた。
その先輩は可愛くは無かった。どちらかと言うと…
イケメンだったのだ…
そう、彼はパーマとアゴヒゲが似合うイケメンだったよ…
ヒロさんは例えるなら水嶋ヒロを少しガッチリさせた感じの人だった。
「ごめんね…なんか邪魔しちゃって…」
ヒロさんは少し暗く影がある感じで俺に謝った。
まあ、彼女と別れたばかりの人は暗いだろう。
「あ…いえ…」
同じく暗く曖昧に答える俺。余りのショックで何も言えなかったんだ。
「さあ、じゃ、皆で暮らすお祝いにリンゴを食べよ♪」
マリコだけは明るい。
「マリコは昔からリンゴ…好きだな」
ヒロさんが力なく笑う。その昔からって表現がメッチャ嫌なんだけど。
リンゴを目の前に出されて冷静になると同時に怒りと不安とが入り乱れ始める
え?何、この人。てか、マリコとどういう関係?
先輩って言ってたけど普通、男を家に住まわせる?
ありえんだろ!!ってか、どういう関係だよ、何でマリコの事をよく知ってるんだよ!
てか、お前もお前で普通別の男が先に住んでたら遠慮するだろうが!!
何で普通に家に来るの?イケメンはそんなに図々しいの?イケメン以外の男から色んな物を搾取するのは止めろ!!!
…そんな思いが交錯しながら悶々とする俺だった…
ヒロさんの部屋は俺の隣の部屋があてがわれる。
当初の彼は余り部屋から出なかった。俺とマリコが居間でテレビを見ていても一人で部屋にいた。
そこだけは、嬉しい自分がいる。
だが、マリコは心配してかワザワザ彼を「一緒にテレビをみよう」と誘う。
誘うんじゃねーよ!!ほっとけよ!!そう叫びたい気持ちで一杯になりテレビに集中出来ない俺。
凄くイライラしていたんだが、何も言えない。
だが、この時はイライラだけで良かった。この後にショックな事を更に知らされる。
「高校時代、好きだったんだよね♪」
そう照れた笑顔で言うマリコを見た時にポキンと心が折れる音が聞こえたかと思った。
何故、そんな話になったのか前後を覚えていない。
ショック過ぎたんだろうか。俺は何も考えられずに茫然としていたかもしれない。
ただ、その茫然時間が過ぎると今度は色んな思いが込み上げる
え?好きだったって、どういう事?じゃあ今は好きじゃないの?何も思ってないの?それとも嫌いなの?どうなの?て、言うか何?俺は何なの?俺の事は好きじゃないの?て、事は好きじゃない男と暮らしてたの?それとも今は俺が好きで、奴の事は好きじゃないの?好きじゃない男と暮らすの?え?何?どうなの?意味が全く分からないんだけど…
俺の脳内にグルグルとそんな思いばかりが込み上げる。だが、プライドが高い俺はそんな事を言えないのだった…
そもそも、マリコはどういう気持ちで俺と一緒に住んだのか?
俺の中では俺に対して特別な感情を抱いていたと思っていた。
それが恋愛感情までは無いまでも、それに準じた何かしらの感情。
そして俺からの感情も薄々は分かっていると感じでた。だから一緒に住んで楽しく出来ていたと思う。
所が、だ。マリコは過去にかも知れないが恋愛感情を抱いていた男を更に一緒に住まわせる、と言う事をして来た。
何だよそれ…
確かにマリコは突拍子の無いことをする。だけどここまでとは思わなかった。
ひょっとして…俺はとんでもない女を好きになってしまったんだろうか?
童貞の俺でも分かる。
危険だ…俺には手に負えないのかもしれない
…だが、それでも俺はマリコが好きだったんだろう。
夜になると眠れずに少しの音で目を覚ます。
ひょっとしてマリコとヒロさんが二人で密かに…そう、疑心暗鬼になり眠れないのだった。
苦しい…そう思う。嫉妬が疑心暗鬼がこんなに苦しいとは思わなかった。
ほんの少し前まで俺は最高に楽しい生活を送っていた筈だった。
所が今はこんなに辛い。いっそのことマリコに振って欲しい、そうも思った。
つーか、何で俺は未だにこの家に住み続けてるんだろうか?
本当はマリコも出て行って欲しいと思ってるんじゃないか?
そんな結論が出ぬまま明けない夜が続いたのであった…
「ナオト、寝すぎ」
イモトにそう言われたのは学校の昼休みだった。
俺は夜に眠れないのでどうやら学校で寝ていたらしい。
「…寝かせてくれ」
そう言って俺は再び寝ようとする。
昼間はヒロさんも仕事に行っているしマリコもバイトに行っている。
その時だけが俺は安心出来た。
「て、言うかさあ!あんた、まだ女と住んでんの?!」
イモトにそう言われ俺はビクッとして起き上がった。
「…え、何…?」
イモトも俺の異様さを感じたのか少しびびっていた。
「ハァァァァァ…」
俺は盛大に溜め息をついて再び机に突っ伏した。
「え?ナオト?何、どうしたの?」
イモトがビビりながらシャーペンで俺をツツク。俺は危険物かよ
「…お前は…グイグイ行けて羨ましいわ…」
俺の一言にイモトは「何?何なの?」と聞いてくる。
いっそ、イモトに相談しようかと思ったが、こいつが俺に好意が有るのに、それを相談するのは少し違うと思ったのと、コイツを巻き込んだら余計に話が拗れそうだと思い止めた。
だが、イモトはしつこく聞いてくる。俺も負けじと無視をし続けたのだった…
その日の帰り道、俺はダッシュで帰る。
万が一ヒロさんが先に帰っていてマリコと二人きりにさせるのが嫌だからだった。
玄関横にはヒロさんの原付は無かったのでホッとして玄関を開けた。
「お帰りー♪」
いつも通りの笑顔でマリコが迎えてくれた。
マリコがいつもと変わらなければ変わらない程、俺は辛かった。
「…友達?」
マリコが怪訝な顔をして俺に訊ねた。
は?何が?
すると後ろから掠れた声が聞こえた。
「ふーん、ホントに女と住んでんだ…」
え?俺は慌てて振り返る。
そこには…イモトがいた…「
「うわああああああああ!!!!!!!!!」
あの時の俺の表情を是非、楳図かずおに描いて貰いたい。
「声、でかいよ」
イモトが迷惑そうに言う。
「なんだ!!!!お前、いつから!!!どこから!!!なんだ!!!」
もう、テンパりまくりの俺。
「ナオト、自転車漕ぐの速すぎ」
「お前、ホラー過ぎるだろうが!!!!」
どうやらイモトは学校から俺を付けて来たらしい。
俺はマリコ達の事が頭にあって全く、気が付かなかった。
つーか、マジで怖かった…余りの怖さにマリコに促され家に入るイモトを止める事が出来なかったんだよ…
「どうぞ♪」
マリコはそう言って居間に通したイモトにリンゴを渡す。
「リンゴ?」
イモトが少し不思議そうに出てた来たリンゴを見ていた。
「帰れよ」
俺は座り込んでるイモトに言う。
「ねえねえ、ナオトって学校でどんな感じ?」
マリコは目をキラキラ輝かせイモトに尋ねる。
「ふん…顔は私と同じ位のレベルの高さか…」
どこがだよ!お前と生物の種別が違い過ぎるだろ!
そんな突っ込みを入れるのが面倒臭い俺は「つーか、帰れよ」と再びイモトに言う。
「ナオト、ちゃんと勉強してるのかな?」
かーちゃんか、マリコ俺のかーちゃんか!
「私もショートカットが似合うかな?」
お前は髪型よりも、その前に眉毛なんとかしろ!
「良いから帰れよ」
「ナオトが勉強してる姿がなんか想像出来ない」
「スタイルも私と変わらない…?」
会話、噛み合わなさ過ぎだろうが。
俺はイモトを連れて来た事でマリコが怒ったら?と心配をしていたのだが、マリコは至って普通…
と、言うかイモトを歓迎ムードだった。
それは俺に対して恋愛感情が無いからか、それともイモトごときでは自分の敵ではない、と思っているから。
もしくは、自分には新たにヒロさんが出来たから俺の事はイモトに任せようと思ったのか…
俺はモヤモヤする気持ちで頭の中がグチャグチャだった。
そして、連日の寝不足の疲れなのか、かなりボーッとしていたと思う。
「何??じゃあ、ナオト以外にも、もう一人男が住んでる訳??」
気が付くとマリコとイモトの会話が進んでいた。
てか、ややこしい奴にややこしい話をしないでくれ。
「ふ?ん…」
イモトが少しニヤニヤしながら俺を見ていた。
見ろ、少しややこしくなり始めてるじゃないか。
「だって、人数多い方が楽しいし♪」
マリコが嬉しそうにそう言う。
ホントにその理由か?違うだろ…そんな疑心暗鬼な思いを感じる。
イモトはマリコの言葉に少しニヤリとした
「ふーん…人数多い方が楽しいなら私も住まわせてくれるの?」
ハアアアアア!!!!!?????
お前、何言ってんの?!どんだけ図々しいんだ、コイツ?!
俺の開いた口が塞がらない内にマリコは更に俺の口をこじ開けた。
「あ、良いね!え?住む、一緒に住んじゃおうか??」
ハアアアアア?????
俺はマリコを見つめる。
この対応にはイモトも一瞬たじろいたが、流石はイモト、すぐに立て直すと「じゃあ、住む!私も住む!」そう叫びやがった。
マリコはニコニコ顔で了承している。
いや、ちょっと待て。何これ?何ですんなり住む事になってんの?
いや、その前にマリコとイモト初対面じゃん。
住むとかの前に先ずはアドレス交換から始めてさ…
あ、でもマリコは携帯持って無いのか…いや、違う。
そうじゃなくて…
俺は何か頭がゴチャゴチャしまくっていた。何かの悪夢を見ている様だった
寝不足で俺は今、本当は寝ていて、これは夢で…なんて事を思うが間違いなく現実だった。
俺の抱える問題は更にややこしくなるばかりだった…
「いや、俺は口出せないし…」
マリコが一応の了承を得るためにヒロさんに聞いた答えはそれだった。
てか、彼に聞く前に何故に俺に確認しないんだよ。
まあ、マリコからしたらイモトは俺の知り合いだから、って思っているのか?
まあ、結局は俺も無言と言う事は暗に了承の意味を為していたのかも。
それは俺にイモトが住む事で2つメリットがあったからだ
イモトが一緒に居る事により、マリコとヒロさんが密かに…と言う危険性が減る。
そして、もう一つはイモトがイケメンのヒロさんに好意を持ってくれないか、と言う事だった。
ヒロさんがイモトからの攻撃で弱ったり、又は出て行ってくれたらラッキーだったからだ。
フフフ…俺は中々の策士だ。
そう思って台所で食器洗いをするヒロさんを見た。
彼が住む事により彼が食器洗いの係りとなっていたのだ。ヒロさんは丁寧に皿を洗っていた。
…ククク…呑気に皿を洗っている場合では無いぞ。
貴様はイモトの攻撃を見くびっている。
俺自身も敵とはいえ戦略的核兵器を使う事に若干の躊躇を覚える…
しかし、自衛の為、これは仕方がない事なのだ!
フフフ…フハハハハ!その身に奴の恐ろしさをしかと刻み込むが良い!フハハハハ!!!
「…コーヒーでも、どうかな?ナオト君」
ヒロさんが手を拭きながら俺に言った。
「…え?」
俺が悪役ごっこをしている間に食器を洗い終えたらしい。
「…あ、ああ…は、はあ」
彼がコーヒーを勧めて来たのはその時初めてだった。
マリコは食事を終えてサッサと風呂に入ってたのだった。
ちなみにマリコの風呂は超長い。
俺の曖昧な返事にも関わらずヒロさんはフッ、と笑いコーヒーを淹れてくれた。
ちきしょー何てイケメンなんだよ。そりゃ、マリコも惚れるわ。
「砂糖とミルクは、どうする?」
そう言ってスティックシュガーを振った。
「あ、はい…すみません」
ヒロさんは黙って頷いて砂糖とミルクを持って来て俺の前にコーヒーと一緒に置いてくれる。
「あ、じゃあ…頂きます」
ペコッと頭を下げる俺。二人でコーヒーをすすった。
つーか沈黙。テレビの音しか聞こえない。
俺は無理にテレビの内容に笑うがちっとも面白くねえ。
ヒロさんは元々寡黙な人なのか何も喋らずに平気そう。俺は無理。そんなにハートが強くないっす。限界っす。
「…こ、コイツって今、結構人気有りますよね…」
仕方なしにテレビの話題を振る。
「あ、俺…あんまりテレビ見ないから分かんないんだ…」
「あ、そ、そーすっか…ハハ…」
いや、例えそうでも話題合わせてよ。
俺がそう思いヒロさんとの会話を諦めようと携帯を開いた
「…所でさ」
今度はヒロさんが口を開く。タイミング悪いなあ。
「…悪いとは…思ってるんだよ…邪魔して」
え?何?携帯見ようとした事?
「君とマリコとの生活…」
ああ…
「好き…なんだよね…マリコの事…?」
ギクッ。
「いや、あの、そ、それは…」
俺は多分赤面しながらシドロモドロになっていた筈。
それを見てヒロさんはフッと笑い「…羨ましい…な」そう呟く。
羨ましい?何が?
俺はコーヒーをすするヒロさんを見る。
見てるぜ
はあ?俺からしたらアンタの方が羨ましいっつーの!
まかりなりにもマリコはアンタの事が好きだったんだぞ!
俺は好意を持たれているかどうかも分からない!
そして、アンタがここに住んだ事で疑心暗鬼に駆られている俺は毎晩ろくに眠る事すらできない!
なのに、それを羨ましい…?ふざけんな!!!
何かが俺の中で爆発した。
いや、それは寝不足でのイライラが溜まっていたからだろうか?
俺はコーヒーを少し強めのテーブルに置くとヒロさんを見た。
「…そんなに羨ましいなら…なんで…なんで…マリコと付き合わなかったんですか…」
いくら怒っているとは言え基本的にチキンハートの俺は声を抑えて言うだけで精一杯だった
それを見てヒロさんはキョトンとする。
「そんなに羨ましいなら…マリコと付き合えば…良いじゃないっすか…」
わかっている自分がかなり無茶な事を言っている事も。だけどそれを自制出来ない俺が居たんだ。
俺はこれ以上何を彼に言って良いのかわからず黙ったままヒロさんを見つめていた。
ヒロさんは少し困った顔を浮かべていたが何かに気がついた様に「…あれ?」と呟いた。
何だよ…そしてコーヒーをゆっくり降ろすと少し照れた様に笑う。
「…ひょっとして…マリコから…聞いてないのかな…?」
は?何を?
…え?ま、まさか…ひょ、ひょっとして…
もう…既に…付き合っている…???
「え…?ま、まさか…」
俺は声に出して呟いた。
ヒロさんは俺の呟きに頷く様に照れて笑う。
「…そうなんだ…」
そう言われた瞬間目の前がチカチカして来た。
マジか…え…そんな…全て…俺の勘違いで…もう…付き合ってるのか…
俺…ただのピエロじゃん…
ヒロさんは俯きながら哀しそうに言う。
「俺…ゲイなんだよ…」
そうか…ゲイか…そうか
…………は?????
俺は顔を上げてヒロさんを見た。
「…ゲイ…?」
ヒロさんは哀しく笑い俺に頷く。
「わかり難いかな…まあ…いわゆる、同性愛なんだよ…」
はああああああああああああ???????????????俺は本当に茫然自失となった
「マリコから…聞いてたと思ってたけど…聞いてなかったのかな…?」
「え????あれ????で、でも…彼女が居たんじゃ…同棲してたって…」
「ああ…同棲はしてたけど…彼氏と…ね…」
う…ううわああああああああああ!!!!!!
ホモ???ホモなの????
うわあああああリアルでホモ初めて見た!!!!!
って、そうじゃねえええええ!!!!!!
もう俺はテンパり過ぎて何を言って良いのか分からなかった。
てか、何??????
その時丁度マリコが風呂から上がってきた。
俺はマリコにすかさず聞く。
「マリコ!!マジか???マジで、ヒロさんって…その…」
言葉を選ぶ俺。ヒロさんはクスクス笑う。
「…別にホモでもゲイでもお好きな様に」
そう言う。マリコは大きな目をぱちくりとした後に笑った。
「ええーナオト、今更何を言ってんの?最初に言ったじゃんw」
…聞いてねええええええええ!!!!!!!!
え?ちょっと何これ…マジか…じゃ…今までの俺の寝不足って何?
無駄に何を心配してたの…?
その時、ハッ!と思い出す
しまった!!!そうすると…イモトは…
「なあ…もちろん…イモトは…知らないよな…?」
知らないなら、そっちの方が好都合だ。
だが…
「え?この前イモトちゃんが来た時に話したよ。ナオトも一緒に居たじゃん♪」
俺聞いてねええええええええ!!!!!
うわ…俺、寝不足で全く話…聞いてなかった…
すると…イモトの攻撃は…全て…俺に集中砲火??!!
とめろおおおおお!!!!奴をとめろおおお!!!!
そう思った瞬間に玄関が開きデカい掠れ声が響いた。
「こんばんわあ!!来たよ!!!ナオト、私来たよ!!!」
マジか!!!!玄関にイモトがデカいキャリーバックを持って現れていた
「お前!何で夜に来るんだよ!!!」
「いらっしゃーい♪」
マリコは嬉しそうにイモトを迎える。
「ナオト?!!私…来たよお?」
うるせええええええ!!!!!!
俺は頭を抱えた。何か色々有りすぎて頭がパンクしそうだったんだ。
…こうして、四人目がこの家に迎えられたのだ…
そして、俺のカオスはまだ終わりはしなかった。
四人で暮らし始めて数日が過ぎた時だった。
ちなみに俺はイモトからの攻撃をかわす為に夜は納屋から持ってきた鉈を常備していたのだが、不思議とイモトは何もして来なかった。
勿論昼間とかは俺にまとわりつくのだが、それ以上の行為をしない。
その辺は拍子抜けではあったがホッとはした。
ある日の夕方俺とイモト、ヒロさんが居間でテレビを見ているとマリコが帰って来た。
で、普通に帰って来たのではなくて…
お土産を持って帰って来たのだった。
…それはおっさんだった。
「なんかね、毎日公園に居て帰る所がなくて可哀相だったから…ウチに居てもらおうと思って…」
子犬かよ…つーか、おっさんは子犬と程遠い存在だった
芋洗坂係長に似て、デブでいかにも出来なさそうなおっさん。
俺達はおっさんの事を何故か「係長」と呼んでたよ。
ちなみに係長と呼ばれ「今までで一番の出世です…」と喜んでた。てか、笑えねえ。
係長はいつも俺達に敬語を使ってたよ。とにかく腰が低い人だったねえ。
彼は会社をリストラされて家族にも捨てられ一人この地でブラブラしていたらしい…
俺は一応やんわりと抵抗をしたのだが、何故かイモトは賛成でヒロさんも沈黙と言う名の肯定をしていた。
何か自分の常識に自信が持てなくなってきてしまうんだが…
一応俺は釘刺しでマリコにはこれ以上何かを拾うな、とは伝えた。
マリコも「これ以上、部屋が無いから無理だよ」と言っていたのだが。
まあ実際にこれ以上人が増えることは無かったよ…
こうして俺達はこの古い一軒家に五人で住む事になったんだ。
これが俺達のカオスという名の素晴らしく楽しい日々の始まりだったんだ…
長々すみません…ですが、この話はここからが本番なんですよ。
ですが、書き溜めが終わってしまって…
一応続きはすぐに書こうと思うんですが
ちなみにおーぷんの方に来たのは初めてなんすけど、これってやっぱり保守がいるんすかね?
>>100
頑張って書こうと思うんですけど、タイプが滅茶苦茶遅くてですねw
期待
>>101
そう言って頂けて嬉しいっす。
すみません、では頑張って続きを書き溜めようと思います。一応自分自身で保守してみます
あと、酉付けときます
>>102
そう言って頂けて嬉しいっす。
すみません、では頑張って続きを書き溜めようと思います。一応自分自身で保守してみます
あと、酉付けときます
酉失敗wwww
良かったばれても良い酉でwwww
あれ酉つけられないんかな?まあ、良いかwww
では、いったん落ちますねw
よっと
これでどうだ!
よっしゃあ!!酉つけれたwww
あ、今度こそ落ちますw
すみませんでしたww
ガンガル