好きな女の子と童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
act.1 「素晴らしく楽しい日々の始まり」
act.2 「夏だねえ」
act.3 「秋の三連休」
act.4 「秋には色々あった」
マリコ…本田翼
イモト…イモト
係長…芋洗塚
ヒロ…斎藤工
マリコ…本田翼
イモト…イモト
係長…芋洗塚
ヒロ…斎藤工
ここは容姿のイメージは捨ててナオトは小出恵介にしよう
マリコ…本田翼
イモト…イモト
係長…芋洗塚
ヒロ…斎藤工
みんなエスパーだよ!やヒミズの主役の彼は?
我ながら
ほるど
すみません、お待たせしました!てか、眠いけど頑張って投下します!
「クリスマスパーチーをしませう!」
そうマリコが言ったのは12月も中頃を過ぎた辺りだった。
結局、ヒロさんのボーナスで遊びに行くかは焼肉で決まった。
それはヒロボーナス使い道会議に置いて焼肉派のイモトの熱弁が全員の心を揺さぶったのだ。
そして満場一致で焼肉食べ放題に決定したのであった。
次の、いつ食べに行くかと言う議題に置いてマリコのこの発言であったのだ。
クリスマスに焼肉パーティーって、どうなの?と思ったが、まあ良いんじゃね?って事になったんだ。
当日までの全員のテンションの上がり方は半端無かった。
普段面倒臭くてやらない事でも「来週は焼肉だからトイレ掃除をしよう」とか言っている始末。
まあ、俺なんだけどね。とにかく全員がテンションアゲアゲで、その日を迎えた
「ちょ、どの店??どの店??」
市内の繁華街でイモトがデカイ声で叫ぶ。
「ああ、あれあれ」
そう言って俺が一軒の食べ放題の店を指した。
「食い尽くす!」
何その宣言。
「食べ尽くそ♪食べ尽くそ♪」
マリコ楽しそう。係長が指を鳴らした。
「私の本気を見せる時が来ましたね」
もう、あんたら好きにしてくれい。
俺達はとにかく凄い勢いで食べた。
イモト、係長の食べっぷりは勿論だが、マリコ、ヒロさんも凄い。
痩せの大食いってマジなんだな。俺は何か見てるだけで胸が一杯になったよ…
「次は?次はどうする??」
店を出たイモトが叫ぶ。
「どうします?二軒目行きます?」
俺はヒロさんに聞く。
「まあ、滅多に有ることじゃないから行こうか」
ヒロさんは、そう言うが金をヒロさんに出さす訳にはいかない。
だが、イモトと係長は酔って二人で騒いでいる。なので俺はマリコに言う。
「次は俺も出すよ、ヒロさんばっかじゃ不味いよ」
それを聞きマリコも頷く。
「じゃあ、次は割り勘で行こう?」
賛成だ。いや、待て。
「ちょい待ち…あれだ、係長以外な」
俺の一言でマリコは頷いた。そんな俺らの気持ちも知らずに係長はイモトに腹を叩かれて笑っていた…
「じゃあ、次さあメドレー入れない?」
イモトがマイク越しにそう言った。二次会は結局カラオケだった。
まあ、飲み放題で安い所って言ったらここしか思い浮かばん。
「おお、良いな!じゃあメドレーを順番に回して歌えなかったら一気な!」
ヒロさんの一言に「やろう、やろう!」とマリコが騒いでいた。
「あ、フロントですか?梅酒ソーダ20杯お願いします」
係長、仕事ハエエ!何でアンタはリストラされたんだ!
年代別のメドレーをランダムで入れた。
だが、最近の年代ばかりで係長が一気する…と、思いきや係長、結構歌えるし!
係長のRIP SLYMEを聞く事になるとは思わんかったわ。
逆に歌えないのがマリコだった。マリコはマイクを持つよりグラスを持っていた回数の方が多かったよ。
カラオケが終わり全員かなり酔っぱらっていた。
俺がまとめて金を払って外に出た時に係長は既に演説を始めている。
イモトはまだ歌を歌っている。ヒロさんは夜空を見ながらタバコを吸っていた。つーか、誰か係長を止めろい。
「マリコ大丈夫?」
俺が目を軽く閉じているマリコに声を掛けた。
「ナオト?!」
マリコが笑いながら俺にもたれ掛かってくる。
うわ、何、これ。メチャメチャ嬉しいんだけど。とにかく全員酔っぱらいだった。
比較的にまともな俺が最初に気が付いた。
「ああ!!バス!!バスの時間!!ヒロさん、終バス無い!!」
その声を聞き目の回りを赤くしたヒロさんがくわえタバコで一言。
「バスが無ければ…バスを作れば良い…」
アンタ、何を言ってんだ。
俺はヒロさんを諦めてイモトに言う。
「イモト、バスが無いぞ」
「バス、バス、さっきからうるさいな!ナオトはそればっかりじゃない!」
何故かキレられる。そして、係長の所に走り出して、その横で「はい!!拍手!!」と叫んでいた。
「マリコ、大丈夫?バス無いよ」
俺がそうマリコに聞くとマリコは俺を見る。
「よし!じゃあ、歩こう!」
は!?マジで!?
その声を聞いてヒロさんも「歩く事を俺達は止めてはいけない」そう言う
マジか…まあ、歩けない事は無いんだろうけど…
まあ、良いかたまには…
歩く事が決まれば、何か諦めがついた。
まず、俺達がした事は…係長の演説の拝聴だった…
夜の幹線道路を全員で騒ぎながら歩く。何故か全員で『翼をください』を歌っていた。
途中で自販機で飲み物を買って海を見ながら海に何かを叫んでた。
とにかく、ハチャメチャだった。
ハチャメチャなんだけど…スンゲエ楽しいんだ。
腹の底から笑っていたよ…
誰かが言う。
「また飲みに行こう!そして、帰りにまた歩こう!」
「また、ヒロさんの驕りでな!」
「おう、行くぞ!俺の全財産、使ってやる!」
全員で笑っていた…楽しかった。
本当に楽しかった…
俺達全員の最初で最後の飲み会…
俺は海から流れてくる夜風に揺られるマリコを見た。
両手でミルクティを持って笑っている。
イモトは砂を係長に投げている。
係長は笑って腹を揺らしながら逃げていた。
ヒロさんはタバコの煙に目をしかめながら笑っていた…
この時間が永遠に続いて欲しかった…
だけど、物事に永遠は無い。
そしてこんな生活を一生送れない事も、その時の俺も十二分に理解していたんだ…
必ずいつか、別れが来る。
だけど…こんなに早くに来るとは夢にも思わなかったよ…
そして、その別れの口火を切ったのは…
以外にもイモトであったんだ…
年末年始は実家に帰る事にした俺。
何故かと言うと、皆が実家に帰ったり、誰かの家に行ったりと様々に家に居なくなるからであった。
俺はマリコと年越しジャンプとかしたかったんだが、家に居ないならば仕方がない。
もう二度と一人ぼっちの夜はゴメンだったんだ…
実家に居る間、凄く暇で普段の、あの騒がしい毎日が恋しくなる。
そして新年が始まり数日が過ぎた頃に俺は家に戻った。
いつもの騒がしい毎日が始まり、俺はその生活を楽しんでいた1月の中旬の頃だった…
最初にイモトの異変を感じたのは係長だった
「イモトさんの様子がおかしいですね」
そう言ったのはイモトが風呂に入っている時だった。
「え?何で?」
「いや、いつもはご飯をお代わりするのに、最近あんまり食べないんですよ」
「いつから?」
マリコがリンゴを食べながら訊ねた。
「正月明けから…かな?」
「あれじゃね…?」
タバコを換気扇の下で吸い終わったヒロさんが言う。
「ダイエット」
え?イモトが?全員で顔を見合せ、その後笑った。
「ねえなww」
「ナイナイww」
そう笑って済ませたが皆、少なからずイモトの異変を心配している様だった…
翌日、イモトと学校に行くがイモトはいつもと変わらない。
いつもの様に学校まで自転車競争をするし、学校では俺にまとわりつくし、昼飯の時も俺の唐揚げ君を一個パクるし…何らいつもと変わらない。
なので、俺は冗談っぽくイモトに聞いてみた。
「なんかさあ、係長がいってたんだけど…お前、ダイエットでもしてんの?」
「は?ダイエット?」
唐揚げ君を頬張りながらイモトがキョトンとする。
まあ、ダイエットする奴が唐揚げ君をパクらんわな。
「なんでよ?」
「いや、何かあんまりご飯を食べないって言ってたから」
「…ああ…」
イモトは微かに笑う。
「どうした?癌か?」
俺が笑いながら言うと「余命があと…150年なのよね…」
「長すぎww死ね、もうちょい早くに死ねww」
二人で笑った後にイモトはパンパンと手に付いた唐揚げのカスを落としながら呟く様に言った…
「家…出ようかな、って思って…」
は?
「まあ、次いでに言うなら…学校も辞める…」
え?
俺はイモトがいつもの冗談を言っていると思い笑おうとするが、いつにないイモトの真剣な横顔に上手く笑えない。
「…冗談だよな?」
俺の一言にイモトが笑う。
「…悪いけど…マジなんだよね…」
……俺はその日、ずっとイモトに理由を聞き続ける。
と、同時にいつイモトが「はい、ドッキリでした!」と言ってくれるのか期待していた。
だが、イモトは面倒臭そうに「まあ…良いじゃん」と言うだけだったんだ…
家に帰ると今度は他の全員がイモトを質問攻めにする。
マリコは半泣きに成りながら「何で?何でイモトちゃん…」と聞くばかりだ。
「何だよ、意味わかんねーよ…」と呟くヒロさん。
「何か体の具合でも悪いんですか?」
係長はイモトの体を心配する。
イモトは最初は少し笑いながら「まあ、良いじゃん…」と言っていたのだが段々何も喋らずに黙るだけになった。
マリコが鼻をすすりながら「どうしたの…?悩み事有るんなら言って…」とイモトの肩に手を置いた時だった。
イモトは下を向いたままマリコの手を払いのけた。
「もう…ほっといてよ!!」
イモトはそう叫ぶと立ち上がる。
「もう、皆しつこい!!どうしようが私の勝手でしょ!!もう、マジ良い、青春ごっこに飽きたっつーの!!!」
俺達は全員ビックリして動けない
「…イモト…本当の事を言ってくれよ…」
ヒロさんがそう言うがイモトは黙っているままだ。
マリコが更に鼻をすすり始めた。
「…イモトさん…」
係長がそう呟くと同時に「ああ、マジ、面倒臭え…寝る」イモトはそう言って部屋に行こうとする。
「おい、イモト!」
俺の叫びも虚しくイモトは部屋に消えて行った…
俺達はしばらく沈黙していたが係長が口を開く。
「まあ…人には色々有りますから…イモトさんも今はただ混乱しているだけかもしれません」
その言葉に俺達は黙って頷いたのだった…
翌朝、目が覚めたのはマリコの大声だった。
何事かと思い部屋を出るとマリコは泣いていた。
「どうした??!!」
マリコが泣いてるのはイモトの部屋の前だ。
「イモトちゃんが…イモトちゃんが…」
そう、うわ言の様に繰り返すマリコ。
ヒロさん、係長と目を合わす俺…まさか!!
俺達は全員、同じ事を思ったのか一斉にイモトの部屋に駆け出す!
…が、イモトの部屋は誰も居ないだけだった…
全員がホッとする。
まあ、冷静に考えたら、アイツが自殺する様なたまかよ。
「何だよ…焦らすなよ…」
俺がそう言うとマリコは首を振りながら手に持っている紙を見せた。
紙にはイモトのガサツな字で『じゃあね。バイバイ』とだけ書かれている。
そしてよく見ると部屋の中も片付けられていた。
「どうしよう!イモトちゃん…ひょっとして…病気で…それを苦しんで…」
マリコは最後の言葉を飲み込む。
「馬鹿、アイツが病気を苦にして死ぬか!」
まあ、一瞬疑った俺が居たが。
「うん、アイツが似合うのは壮絶な戦死だな」
ヒロさんも頷く。
「でも…でも…」
マリコは尚も泣いている。試しにイモトの携帯(流石にこの時はイモトに携帯を教えてました)を鳴らしてみる。
が、留守電になっていた。
「直留守電っすね」
「とにかく、心配な事は間違いない…ちょっと近場を探すか」
ヒロさんの一言で俺達は辺りを探す。
だが、イモトの自転車も消えていた。いつ頃出て行ったかは分からないが、この辺りには居ないのかも知れない。
同じ事をヒロさんも思ったのか一旦戻ろう、と提案された。
「スマンが俺はタイムアップだ、仕事の時間なんだ」
あ、そうか。
「俺、思うんすけど、アイツ実家に帰ったんじゃないっすかね?」
「うん、俺もそう思う」
「ちょっと、俺アイツの実家に行ってみます」
一応、イモトの実家は知っていた。一度荷物を取りに行くのに付き合わされたからだ。
「待て、俺も行くから俺の仕事が終わるまで待て」
「え?」
「一人で行っても多分冷静に話にならんし、かといって今のマリコを連れて行っても感情的になるだけだ…係長を連れて行ったらマリコを一人にするのが不安だ」
俺はマリコを見た。確かに心配で泣いているマリコを連れて行ってもダメだな。
「分かりました。じゃあ夕方に」
そう言って一旦ヒロさんは仕事に行く。
その日マリコはずっと縁側で外を見ていた。
そして俺に「大丈夫だよね?イモトちゃん大丈夫だよね?」と何度も聞いてくるのだった
夕方、俺はヒロさんと落ち合いイモトの家に行く。
到着してインターフォンを押すと中から小綺麗な女の人が出て来た。まさかのイモトの母親だった。
俺達は挨拶をしてイモトを呼んで貰う。やはりイモトは実家に帰っていたのだった。
イモトを待つ間にヒロさんが呟く。
「イモトって…拾われたのかな?」
その意見には激しく同意するが今は笑わせ無いで欲しい。
イモトは出て来て俺達を見るなり焦った表情を浮かべドアを閉めようとした。
「イモト!」
俺がそう言うかイモトは「帰れって!」と小さく叫ぶ。
「待て!サヨナラ位は言わせろ!!」
ヒロさんの声にイモトは動きを止めた。
そして、しばらく考えた後にユックリとドアを開けたのだった…
「皆…心配してるぞ」
俺達はイモトの家の近くのファミレスに来ていた。
「オーバーだな…」
イモトのその一言に俺はイラッとした。
が、ヒロさんが俺を制す様に話をする。
「イモト…お前が出て行くなら、もうそれで良い。お前の権利だ…けど、俺らにも有るだろ…?」
イモトはヒロさんを見た。
「お前を…心配する権利が…!」
そう言うとイモトは黙って下を向いた。
しばらく黙っていたイモトはポケットから携帯を出した。
そして、ポツリと呟く。
「…大学に…行こうと思って…」
え?
「私…本当は大学に行きたくて…でも、馬鹿だから受からなくて…でも、もう一度チャレンジしようかなって…それで勉強するのに実家の方が良いかと思って…」
俺とヒロさんは顔を見合せる。ヒロさんの顔に安堵があった。
恐らく俺にもあったんだろう。
俺達は大きく溜め息をついて椅子の背もたれにもたれかかった。
「…お前…言えよ!」
「だ、だって…恥ずかしかったんだもん…!今から大学とか…それに落ちたら恥ずかしいし…」
イモトはそう言って下を向いた。
お前にも恥ずかしいと言う感情があるんだな、とは言えずに俺達は笑った。
「何で急に…?何の心境の変化だよ?」
イモトは俺の一言に更に下を向く。
「どうした?」
イモトは少し頭をかいた。
「…皆に会って…一緒に暮らして…楽しくて…でも…不安で…どうして良いか分からなくて…正月に実家に居たらもっと不安になって…」
ちょっと待て、全く分からん。
イモトは軽く溜め息をついた。
そして…
「…私…高校時代まで…虐められてて…友達も居なかったの…」
え??!!イモトが??!!
イモトは携帯を開けて弄くると俺らに画面を見せた。
「いつも、気持ち悪いって皆に言われてた」
携帯には昔のイモトだろう写メがあった。
確かに気持ち悪いと言われるかも知れない…が…
「…あんまり今と変わらん」
ヒロさん今は空気読んでくれない?
俺はヒロさんの靴を踏む
「気持ち悪いって、まあ自覚あったからね!それは良いんだよ!」
イモトがむくれて携帯を取り返す。
「でさ、友達も居ない上に…馬鹿だから勉強も出来ない…で、私このまま何も無いままで人生終わっちゃうのかなって…思ったらさ…何かどうでも良くなった」
イモトが少し笑う。
「だから…大学に行けないって分かったら、取り敢えず近場の専門学校に行ってさ…全く知らない人達に囲まれて自分を変えようって思った。とにかく、自分を出して…自分の好きな様に生きて…それに失敗したら、もう死んでも良いかな?って思ったんだ」
俺達は黙ってイモトを見ていた。
「そんでね…」
イモトは軽く笑った。
「専門学校で…誰でも良いから好きな人を見つけようって…で、願書出しに行った時だった…私が願書出そうとしたら書類を落として散らばったの…誰も拾ってくれなかったんだけど…一人だけ拾ってくれた人が居たんだ…その人は何も言わずに私にまとめた書類を置いてくれて…そのまま行っちゃったの…」
イモトは俺を見る
「あ、この人を好きになろうって…この人を好きになったら…私は変われるかもって…入学式で声を掛けても全く気が付いて無かったけどね…」
ヒロさんが俺に軽く肘を入れる。
え?俺の事?
俺は自分を指差すとイモトは軽く笑って頷いた。
そう言えばイモトはのっけから「覚えてる??」って聞いて来た気がする。
でも、その前にイモトに会ってたのは全然覚えてない
「でさ、実際にナオトを好きになってからさ…色んな楽しい事が起きた…本当に、本当に楽しい一年だった…多分、人生で最高の一年だったと思う…だから…」
「…うん」
俺は頷いた。何となくイモトの言いたい事が微かではあるが分かった。
「だから、不安になった。皆と居て楽しければ楽しいほど、余計に不安になった。それで…このままじゃいけないって…この前、実家に帰って一人になった時に思ったの…」
ヒロさんは腕組みをして下を見ていた。
俺も黙ってイモトの話を聞いていた。
結局…イモトも心に何かを抱えて生きてきたんだ。
そして、それを解こうとしている。
俺達全員…何かしら心に傷を抱えてたんだな…
そして、イモトは翌日再び俺達の家に戻ってきた。
…勿論、住む為じゃない。最後のケジメに来ただけだったんだ
「早く、言ってくれれば良いのに?!もう本当に心配したんだからね!」
マリコがイモトに怒る。
「ゴメン…だって…マリコ絶対に必勝祈願とかしそうだもん…」
「するよ!絶対にする!受験場所まで皆で応援に行くよ!」
「来るなっつーの!」
イモトが苦笑いをする。
「でも、受験終わったら…また、一緒に住めますよね…?」
係長がそう言って笑う。
「うん…でも、今年は流石に無理だと思うけど…来年受かったら…また…一緒に住みたいな…」
イモトはそう言って少し照れた。
「おう、待ってる。絶対に受かれよ!」
ヒロさんが微笑んだ。
「落ちても住めば良いじゃんw」
俺がそう言う。
「ですね、どっちにしろ…自分が納得したら…また、住みましょう!」
係長はそう言って優しく笑った。
「ここは…」
マリコがイモトを見た。
「ここは…イモトちゃんの家だから…私達は待ってるよ」
「…うん」
「私達は家族だから…!」
そう言ってマリコは飛び切りの笑顔をイモトに見せた。
イモトは下を向き鼻をすすった。
俺も軽く上を向く…
俺までマリコの言葉に泣きそうになっていたんだよ…
イモトが家を出る時に俺一人だけを呼んだ。
「どうした…?」
「いや、最後にちゅーしようかと思って」
俺はすぐに離れる。
「冗談だよ!…それより、マリコの事…」
「え?」
「アンタはさ…かっこつけでさ…すぐに口からでまかせ言うしさ…変に真面目ぶったりするけどさ…」
偉い言われようだ。
イモトは俺の腹を軽く叩く。
「でも…結構優しいから…だから…自信持って…!」
「イモト…」
「だから、最後にちゅう!」
イモトが顔を近づけるので俺は払いのけた。
そして俺達は笑い合う
「じゃあ…!」
「ああ…!またな!」
俺はそう言って手を振る。イモトも手を振り返していた…
こうして、イモトはこの家から出て行った。
俺達はイモトが出て行った事に悲しさは無かったんだ。
だって前向きな旅立ちの別れだったから。
そして、再びこの家で皆で楽しく暮らしていけると信じていたからだった…
だけど、イモトがこの家で暮らす事は二度と無かった。
そして、これが俺達『家族』の別れの始まりだった。
今日は以上です。
長々とお付き合いしてもらってありがとうございます
あと、もう少しで終わりますので、もうしばらくお付き合いください
それでは、今日は寝ます
おやすみなさい
また明日待ってるよ!
お疲れさまです!!
明日も楽しみにしてます
楽しみにしてるよ!
良かった!また明日ね