キャンプへ行った妻 vol.2

ノンジャンル体験小説スレより
8: 投稿者:不甲斐ない夫 投稿日:2011/08/24 00:04:57

「ただいまぁ。」と、控えめながらも玄関で明るい声がしたときには、すでに夜中の12時を過ぎていた。
ああ、疲れたぁ、と言いながら居間に入ってきた妻の表情は、またもや、実に晴れ晴れとしている。
「あら?まだ起きてなのね。」
いつもなら、彼女を待つこともなく、とっくに寝てしまうだが、今夜は、そんな気にはなれるはずがない。
「ちょっと、ここへ座れ。」
私を一瞥しただけで、そのまま浴室に向かおうとした妻を呼び止めた。
「なに?」
妻は、居間に入ってくると、私の目の前に座った。

私の固い表情を見て、わずかに怪訝そうな目を向けたが、あどけなさの残った顔の中には、
相変わらず、罪の意識など微塵も見られなかった。
「今まで、どこに行っていた?」
カマなどかけるつもりはなかった。
早く答えを聞かなければ、気がおかしくなりそうだった。
「どこへ・・って、いつもの焼き肉屋さんだよ。出掛けるときに、そう言ったじゃない?」
「嘘をつけ。仕事になど行っていないだろう?正直に言うんだ。」
震えそうになる声を、何とか抑えた。
化粧は直してきたのか、これといって崩れた感じは見られなかった。
妻は、くりっとした大きな瞳で私を見つめていた。
綺麗な瞳に、まっすぐ見つめられ、すぐに自分の中に迷いが生じた。
やはり、私が間違っているのではないか?
人とは、これほど平然と嘘がつけるものだろうか?
それができるのならば、目の前のこいつは悪魔だ。

「嘘・・って、どうしたのいったい?なんか、おかしいよ。」
わずかだが、声が震えていた。
「電話したぞ・・。」
「え?」
「焼き肉屋に電話をして確かめたと言ってるんだ。
お前は、今日は来ていないと言っていた。
もう、わかってるんだ。隠さずに全部答えろ。
あの若造どもがいるマンションに行ってたんだな?」
待ち合わさせ場所に立っていた3人の姿が脳裏に浮かんだ。
思い出したくもなかった。
あの3人は、妻を玩具にしている。
そして、今夜も、玩具にした。
それは、間違いのない事実だ。
マンションと聞いて、途端に妻の顔が歪んだ。
みるみる顔を青ざめさせて、ゆっくりと俯いていく。
細い肩が震えだした。
「正直に言うんだ。どうしてそんなことになったのか言ってみろ。
答え次第では、俺も考えなくはない。だから、正直に話すんだ。」
それが、精一杯の譲歩だった。
まだ、子供たちは小さい。
私だって、この妻を少なからず愛している。
考えなくないと言ったのは、まんざら嘘でもなく、答え次第では、許してもいいと思っていた。
今まで同様に愛せるかは、疑問だが・・・。

「・・・・くっ・・・・。」
観念したのか、妻は、顔を俯かせて泣き始めた。
観念するしかない。
なにもかも知られたのだ。
膝の上に重ねた両手が震えていた。
身を縮こませるようにしていた細い肩の震えが大きくなっていく。
「・・・くくくっ・・・。」
え?
「くっ、くくっ・・・あはははははははっ!」
なにっ!?
突然、大きな笑い声が、居間の中に響いた。
「なんだ、やっぱりばれてたんだ。」
不意に顔を上げた妻は、私を見て笑っていた。
不敵な笑みさえ浮かべて、品定めでもするように眺めていたのだ。
正面から見据える円らな瞳には、涙の滲んだ痕さえなかった。
「なんで言っちゃうんだろうなぁ、あの人。
パパに言っちゃった、なんて言ってたから、やばいかなとは、思ってたんだよね。
ほんとにむかつく。もっと、虐めてやればよかった。
あ~あ、やっぱり、こうなっちゃったかぁ。」
両手を挙げて、大きく伸びをした。
眠たさを堪えるように、小さく開けた口は、欠伸を我慢しているようだった。
全然、悪びれた様子などなかった。
罪の意識など、まるで感じてもいない。

「で、どうするの?」
「なに?」
「離婚するの?って訊いてるの。
私は別に構わないけど、あの子たちがね・・・。
やっぱり、可哀想よね。」
下から覗き込むように見上げてきた。
ちょっとイタズラをした子供が、許してもらいたそうにしている顔だ。
反省の色など、全然ない。
「お、お前、自分のやっていることが、わかってるのか?」
「わかってるよ。セックスでしょ?それがなぜ悪いの?」
「なぜ悪い・・って、当たり前だろう!お前は、俺の女房なんだぞ!」
「パパ、子供たちが起きちゃうから、大きな声出さないでよ。」
眉をしかめて睨んだ妻は、自分が責められているという意識など、まったくないかのようだった。
至極平然としていた。
まったく動揺などしていなかった。

「確かに私はパパの奥さんだけどね、最近は、旦那さんらしいこと、全然してくれてなかったじゃない。
形だけ夫だって言われてもねぇ。やっぱり旦那さんは、奥さんを気持ちよくして、なんぼだと思うのよ。」
「そ、それは仕方ないだろう!俺だって、できるものなら、していたさ!だがな・・・。」
「わかってるってば。だから、パパにしてなんて言わなかったでしょ?
でも、やっぱり我慢できなくて、ちょっと浮気しちゃった。
へへ・・怒ってる?」
「お、お前・・・。」
な、なんだこいつは?
いったい、なんなんだ?
「私は全然気にしてないけど、パパが許せないなら、離婚も仕方ないかも・・。
でも、子供たち、どうしよう?パパが、面倒見る?
私が面倒見てもいいけど、月々の養育費は、やっぱりもらわなきゃならないと思うのね。」
「な、なんで俺が、養育費なんか払わなきゃならないんだ!?浮気したのは、お前なんだぞ!」
「ほら、大きな声出さないでってば。
確かに浮気したのは、私かもしれないけど、パパにだって責任はあるんだよぉ。
私ばっかり責めないでよぉ。」

こいつは、いったい何なんだ?
本当に俺の妻だった女なのか?
いったいこいつは、どうしちまったんだ?
「あいつらから慰謝料をぶんどって、それを養育費にしてやるよ。
俺の女房を玩具にしたんだ。その代償を払わせてやる。」
そうだ、あいつらから金を取ってやる。
養育費にするかどうかは、また後の話だ。
取りあえず、あいつらに制裁を加えないと気が治まらない。
「あいつらって、○○君たちのこと?それは、無理だと思うよ。」
まるで他人事のようにうそぶいた。
「なにぃ?」
「慰謝料って、あの子たち学生だよ。それにさぁ・・。」
「それに、なんだ?」
「うん・・。言いづらいけど、私たくさんビデオに撮られてるのよね。
慰謝料なんて騒いだら、それ、ご近所にばらまかれちゃうかもしれないけど、それでもいい?」
「なんだとぉ!」
「ほらぁ、大きな声出さないの。
だって仕方ないじゃない。ビデオを撮らせないなら、してくれないって言うんだもの。
せっかく遊びに行って、してもらわないともったいないじゃない。
ちゃんと子供たちの面倒見て、お仕事だった頑張ってるのに、してもらえなかったら、
頑張ってる意味ないよ。だから、しょうがないから許しちゃった。
結構たくさん撮られちゃったから、いっぱいあると思うよ。
おしっことかうんちとか、してるのもあるから、あんなのばらまかれちゃったら、
ここに住めなくなっちゃうよ。
子供たちだって学校へ行けなくなるだろうし・・・。」

他人事だ。
自分で原因を作ったくせに、まったくの他人事のようだ。
怒りを通り越して、開いた口が塞がらなかった。
「それよりもねぇ、パパ・・・。」
不意に、妻の瞳に妖しい光が浮いた。
こいつは、恐ろしい悪魔だ。
あどけない顔をしたモンスターだ。
「今度、あの子たちと一緒にしてみない?すっごく興奮するから、パパの病気も治るかもしれないよ♪」
玩具を与えられた子供のように笑っていた。
背筋を冷たいものが走り抜け、震えた足は、私に立つことさえ許さなかった。




引用元サイト:
官能小説の館|ナンネット
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