エレン「あ……み、ミカサ……! (ガクガク)」
ミカサ「わかってる。溜まってるんでしょ? もう半月もしてないから」
エレン「う、うるせぇよ! お前には関係ないだろ!」
ミカサ「エレンに関することで私に関係がないことなんて無い。エレンの体調管理も私の責務……(ジリジリ)」
エレン「も、もうほっといてくれよ! 俺はイヤなんだよ! お前に何回も何回もされるのが!」
ミカサ「大丈夫、すべて私に任せておけばいい。絶対に痛くしないから」
エレン「くっ……ああもう! わかったよ! それでお前が満足するならすりゃいいだろ!」
ミカサ「エレン……そう言ってくれると思ってた」
エレン「もう煮るなり焼くなりお前の好きにしろ!」
ミカサ「煮ないし焼かない。さぁエレン、耳掻きするから頭をここへ(ポンポン)」
エレン「痛くするなよ! あと奥行くときは言えよ! 絶対だからな!」
エレン「畜生、なんでこんな歳になってもお前に耳掃除してもらわなきゃならないんだっつうの……! 一人でできるわ!」
ミカサ「エレンは不器用だから子供の頃から一人ですると外耳炎になってたから」
エレン「るせー! あの時はまだ子供だったんだよ!」
ミカサ「そろそろ口閉じて。傷ついちゃうよ」
エレン「……っ!(ビクッ)」
ミカサ「じゃあ行くよ……(スッ)」
エレン「あっ……////(ビクッ)」
エレン「っく……! ……んんぅ!////」
ミカサ「思った通り……結構溜まってる……(コリコリ)」
エレン「……る……っせ……! っあ……!////(ビクビク)」
ミカサ「……ん(カリカリ)」
エレン「……うぅ……!////」
ミカサ「……出た。アベレージサイズ」
エレン「……っはぁ……! い、いちいち耳クソの評価なんかしなくても、いい……!」
ミカサ「まだ取り残しがある。次は少し奥行くから」
エレン「っつ……!」
エレン「は、はぁ!? 力なんて入れてねーよ!」
ミカサ「そんなに肩に力を入れられると耳が見えない」
エレン「……っ! さっさと済ませろよ!」
ミカサ「さっさと済まそうと急ぐのは危険。じっくりやるべき」
エレン「るせー! 俺は忙しいんだ! とにかく早くしろ!」
ミカサ「可能な限りやってみる。……エレン、行くよ(スッ)」
エレン「んんぅ……!////(ビクビク)」
ミカサ「……よし、これでエレンの両耳から巨人は駆逐できた」
エレン「ハァハァ……や、やっと終わりかよ……」
ミカサ「エレン、怖いのによく頑張ったね。偉い偉い(ヨシヨシ)」
エレン「わわっ! あ、頭を撫でるな!」
ミカサ「エレンのお母さんも耳掃除が終わったらよくこうしてた。私は真似してるだけ(ヨシヨシ)」
エレン「くっ……子供扱いしやがって……!」
ミカサ「……ん?」
エレン「ん?」
サシャ「……(ジーッ)」
エレン「えっ……あ、さ、サシャ!(ガバッ)」
サシャ「……エレン、それにミカサ……」
エレン「あ、こ、これは違うんだ! その、なんだ、これはただミカサが俺の鼓膜付近に徳川埋蔵金が埋まってるから
掘り起こすとかわけわからないことを言い出したせいで……!」
サシャ「一部始終見てたですけど、ミカサ……耳掃除上手いんですね」
ミカサ「上手いかどうかはわからない。人と比較したことがないから」
エレン「おいサシャ! 無視すんなよ! これはただ太古の歴史浪漫をだな……!」
サシャ「(ガバッ!)」
エレン「!?」
ミカサ「!」
サシャ「ミカサ、私の耳も掃除して下さい!」
エレン「お、おいサシャ! こいつの口車に乗るなよ! 人の鼓膜付近に埋蔵金なんか埋まってるはずが……!」
サシャ「……実を申しますとこの私、こう見えて重度の耳かきラーなんです」
ミカサ「耳かきラー……?」
サシャ「えぇ、一番は食べることなんですけど、それと同じくらいのレベルで
風呂上りに綿棒でゆっくりと湿った耳垢掃除するのに無上の喜びを感じるタチでして」
エレン「おいサシャ! 無視すんな!」
サシャ「でも今しがたお目にかけた通り、ミカサの耳かきストとしての手腕は常人十人分、いや百人分のご様子……」
サシャ「できることならその力を以って私の耳腔内を掃除してほしいと、こう考えたわけです」
エレン「!? お、おいサシャ! 本気で言ってんのかよ!?」
サシャ「嘘や冗談でこんなくだらない事言いませんよぉ……。純粋なお願いです」
アルミン「うるさいなぁ何?(ガチャ)」
エレン「あ、アルミン……!?」
サシャ「『また』……?」
エレン「あ、アルミン! 余計なことを言うなよ!」
ミカサ「……」
アルミン「……サシャがミカサに向かって土下座してる所を見ると……なるほど、サシャもミカサの耳かきテクを見てたんだね?」
サシャ「!? さ、サシャ『も』と言うと、アルミンもまさか……!?」
アルミン「うん。ミカサの耳かきストとしての実力は僕もお世話になったし。達人だったエレンのお母さん直伝だからね。
常人百人分、いや千人分の実力があると思うよ」
サシャ「そ、それは……ウェヒヒ!(ダラダラ)」
エレン「わぷっ!? サシャ! 人の顔によだれ垂らすんじゃねぇ!」
ミカサ「……」
ミカサ「あなたの役に立ちたいのは山々だけど……これはあくまでエレン専用の技術。
エレンの許可がなければおいそれと人に見せることは躊躇われる」
サシャ「!? ならば、え、エレン!(ガババッ)」
エレン「うわ!? なんだよサシャ! 急に抱きつくなよ!」
サシャ「お願いですよぉエレェェェン! ミカサにお願いしてくださいよぉ!」
エレン「し、知らねぇよ! お前の耳掃除のことなんか!」
アルミン「いやでもエレン、他ならぬサシャの頼みなら聞いてやってもいいと思うよ?」
エレン「アルミンまで何言い出すんだよ! うわ鼻水つく! 離れろよ!」
サシャ「エレン、エレェェェン! お願いですからぁ!(オイオイ)」
エレン「くっ……! な、泣くなよ、こんなくだらない事で……!」
エレン「……わ、わぁーったよもう! ……ミカサ、サシャの耳を掃除してやってくれ……」
ミカサ「アイアイサー(シャキン)」
サシャ「!」
サシャ「は、はい! ……なかなか緊張しますね……(膝頭ポンポン叩くミカサ可愛すぎやでホンマ)」
ミカサ「はい、じゃあ始めるから」
サシャ「はい、お願いします……(オゥフ! ミカサめっちゃいい匂いするねんなぁこの機会に嗅いどこかクンカクンカ……)」
ミカサ「ん……最初からちょっと深いところに行くから、そのつもりで」
サシャ「はい……(しかも太ももの弾力が異常に心地えぇ! 硬いのかなぁ思てたけど極楽やん!
この太もも独占してたなんてエレンはなんちゅー過福者なんや……!)」
ミカサ「力抜いてね、じゃあ行くよ……(スッ)」
サシャ「ンアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?(ビクビクビクンッ)」
アルミン「!」
エレン「!?」
ち、ちょっと待って下さい! ……アッアッアッアー!!(ガクガク)」
ミカサ「落ち着いて。まだ序の口(ホジホジ)」
サシャ「アアアアアアアアアアアアアアア! ファッ……アアアアア! いきなりらめぇそんな奥はらめぇ! ンァッー!!(ジタバタ)」
アルミン「み、ミカサ……ミカサ……! サシャが気が狂ったように暴れてるよ……!(ガスター……ガスタァァー!!)」
ミカサ「今は手が離せない。押さえて、エレンとアルミン(コリコリ)」
エレン「お、押さえろって……!」
サシャ「イキすぎィ! イグ、イグ、イグググ、イグググググググゥ!!(ドタンバタン)」
アルミン「と、とにかくエレン! サシャを押さえて! 早く!(ムコスタまだ残りあったかな……)」
エレン「おっ、おう!(ガシッ)」
サシャ「アヒャッアアアアアアアアァァァッァァァァァ!!! らめぇうちのウォールマリアが突破されちゃうらめぇぇぇぇぇ!!(ドカンバキャン)」
ンニャアアアアアアアアアア……
ミカサ「いい戦いだった(コキコキ)」
サシャ「……(ビクンビクン/////)」
アルミン「……長い戦いだったね……そしてやけに幸せそうな顔をして絶頂した犠牲者が一人……(ガスモチン飲まなきゃ……)」
エレン「 」
ミカサ「サシャ、起きて(ペシペシ)」
サシャ「……んがっ? ……はっ!? は? ……み、ミカサ……!? 私は一体……!」
ミカサ「大丈夫。ちゃんとあなたの耳の中のシガンシナから敵は駆逐された。ホラ(ゴッソリ)」
サシャ「……!? ま、毎日掃除している私のシガンシナ区の中にまだこんなにたくさんの巨人が……しかも15メートル級の巨人まで多数……!」
エレン「(俺は慣れちゃったけどミカサの耳掃除って普通の人間にはそんなに気持ちよかったのか……)」
アルミン「(……ウッ、アレコレ理由が思い当たる胃痛が僕を襲う……!)」
サシャ「こ、こんな逸材がすぐ近くにいたなんて……! ミカサ、その才能をぜひとも人々のために役立てるべきですよ!(ガッシ)」
ミカサ「そんな大それた力じゃない。私の能力は蟷螂の斧のように無力。……だけど、そう言われると正直悪い気はしない////」
アルミン「ねぇエレン……なんかミカサが変な方向に目覚めちゃったね(パリエットどこ行ったっけ……パリエット……)」
エレン「……俺はもう何も言えねぇよ……ん?」
アルミン「……あ」
クリスタ「……(ジーッ)」
クリスタ「んあー(棒)」
ミカサ「……はい、これで終わり」
コニー「ZZZ……ぉ、……はっ……!? ……おぉ悪いミカサ、気持よすぎて寝ちまってた」
ミカサ「気にしないで。それよりもホラ、あなたのシガンシナからは奇行種を捕獲した(ゴッソリ)」
コニー「ん、なんだこれ……って、あ! これ俺が子供の時に耳に詰めて取れなくなったBB弾じゃねぇか! やっと取れたのか!」
ワイワイガヤガヤ……
アルミン「流行っちゃったね」
エレン「あぁ……なんか今やミカサ個人自体が軍の保養所扱いだよな……」
サシャ「ムフー! ミカサの腕前なら当たり前ですよ! ミカサは人の耳から幸福をほじくりだす天使なんですから!」
アルミン「それにしても耳掃除してるミカサ楽しそうだなぁ……」
エレン「あぁ……なんか見たことがないぐらい穏やかな表情してるな……」
サシャ「しかしその手さばきたるや人を殺すレベルという……私もホジって貰ってる間
朧気にスーさんが三途の川で釣りしてるのが見えましたしね……」
ハンジ「ああああああああ! ソニィィィィィ! ビィィィィィン! 私の耳腔の巨樹の森の中で彼らは永遠に生き続けていりゅううううう!!(ジタバタ)」
アルミン「……そういえばこの前リヴァイ兵士長もミカサにホジってもらいに来てたね」
エレン「あぁ……あの人ってアレでも表情変わらないんだな、驚いたぜ」
サシャ「口では『あーそこだそこそこ、うわーそこなんだよそうだその通りアーイキソ』とか
情けないこと漏らしてるのに顔はあのままの無表情の三白眼でしたからね」
エレン「まばたきすらしなかったな……いちいち人類基準が適用できなくて怖ぇんだよあのガッチビ……」
アルミン「(あの顔思い出したら胃痛が……うぅ、オメプラール……)」
エレン「ま、ミカサの耳掻き好きが俺に向かなくて結果オーライだけどな……ん?」
アルミン「あ」
サシャ「あ」
ベルトルト「ミカサ……お願いがある」
ミカサ「どうしたの、ベルトルト?」
ライナー「おいベルトルト、どうしたぁ!! なんでここにミカサがいるんだ!(ビリビリ)」
ミカサ「……っ! ら、ライナー、声が大きい……!」
ライナー「ええっ!? なんだって?! ミカサよく聞こえないぞ!(ビリビリ)」
ミカサ「……! ……ベルトルト、これは……!?」
ベルトルト「あぁ、お察しのとおりさ。つんぼの大声って奴だ。俺が見たところ、ライナーのシガンシナにはかなり溜まってるみたいなんだ……」
アルミン「!」
エレン「!」
サシャ「!」
ベルトルト「ミカサ……お前に任せられるかどうかわからないけど、これじゃあ戦士としてあまりにも情けない、よろしく頼む」
ライナー「んん!? なんだベルトルト!? 何て言った!?(ビリビリ)」
ミカサ「……っ、任せて、ベルトルト」
ライナー「ん? ……お、おい! な、なんだよミカサ、お前が手に持ってるものはまさか……!」
ミカサ「……!(ティン) ここからでもわかる……ライナー、あなたはかなりの重症……」
サシャ「(今のミカサの反応……まさか絶対耳糞感知能力……?! アレはただの伝説じゃなかったんですか……!)」
アルミン「(なんだろう、見たことないぐらいライナーが怯えている……)」
エレン「(ミカサの目つきが野獣と化している……)」
ミカサ「……ライナー、すぐに始めよう。ここに寝て(ポンポン)」
ライナー「な!? お、おい冗談だろ! や、やめろ! 俺にその木でできた変なヘラを向けるんじゃない!(ガタガタ)」
ミカサ「怖くない。いいから寝て。早くしないと重症化する」
ライナー「おい馬鹿やめろ何するんだ! そ、それを俺の耳にいれるつもりか!? や、やめろ! 本気で怒るぞ!!」
ミカサ「うるさい(ミギョ)」
ライナー「アッ」
ベルトルト「(今回もそれなりに理由がある暴力がライナーを襲った……)」
ミカサ「よし、早速調査開始……(スッ)」
ミカサ「……ぉ」
ミカサ「……!? ……!?????」
ミカサ「……コイツは……!?」
サシャ「(……? ミカサの表情が険しく……)」
ミカサ「……アルミン、エレン、サシャ、すぐに外来を停止して」
アルミン「!」
エレン「!」
サシャ「!」
ベルトルト「!」
ミカサ「……」
アルミン「ミカサ、どうしたの? ライナーの耳には一体何が起きているの?」
ミカサ「……」
ベルトルト「……おいミカサ、どうなんだ!? ライナーのシガンシナはどうなってるんだよ!?」
サシャ「(っていうかこの耳のシガンシナとか巨人がどうとかって比喩流行ってるんですかねぇ……?)」
ミカサ「……アレを、もはや人の耳穴と言っていいものか……」
サシャ「!?」
エレン「!?」
アルミン「!?」
ベルトルト「!?」
ミカサ「……ライナーの耳にいるのは、今まで私が見たこともないような、超大型巨人」
ベルトルト「 」
アルミン「なっ……!?」
サシャ「ちょ、超大型巨人……!?」
エレン「見間違いじゃないのか……!?」
ミカサ「しかも長年放置していた結果なのか、カビと湿気で全身が有り得ない程硬化している。
まさに鎧の巨人……いや、超大型の鎧の巨人というべきか」
アルミン「なっ……!?」
エレン「超大型の……!?」
サシャ「鎧の巨人……!?」
ベルトルト「 」
エレン「ち、超大型の、しかも鎧の巨人なんて……!」
アルミン「か……勝てるわけない……そんなの勝てるわけがない!(タケプロンなら……タケプロンならこの痛みに効くはず……!)」
サシャ「む、無茶です! いくらミカサが逸材だとしても、超大型の鎧の巨人なんか敵うはずがありません!
ライナーを置いて逃げましょう! 今回ばかりは私たちの敗けです!」
ミカサ「……」
ミカサ「…………」
ミカサ「………………」
ミカサ「……戦わなければ生き残れない。世界は残酷で、美しいから」
アルミン「!?」
サシャ「!?」
ベルトルト「!?」
エレン「!?」
アルミン「ミカサ……ミカサ、無茶だよ! そんな怪物とやり合おうなんて……!」
サシャ「わ、私も言い出しっぺですけど賛成しません! 超大型の鎧の巨人なんて、正気の沙汰じゃない……!」
ベルトルト「(ライナー……勘弁してよマジで。どうすりゃいいんだよこの状況……)」
ミカサ「あなたたちが止めても私はやりぬく。私は兵士、だからプライドがある」
エレン「!」
アルミン「!」
サシャ「!」
ベルトルト「(マジで?)」
ミカサ「戦わなければ、この世界では生きられない。だから私は全力を注いで戦おう」
エレン「……み、ミカサが……!」
アルミン「エレンに関することでじゃなく……!」
サシャ「自分のプライドを理由に戦おうと……!?」
ベルトルト「(あーコレ後でライナーが巨人であることを暴露したら確実に耳糞巨人って呼ばれるよコレ)」
ライナー「……そうか、俺の耳に超大型の鎧の巨人が……」
ミカサ「……『気をしっかり』(カキカキ)」
ライナー「……施術したとして、成功確率は?」
ミカサ「……『やってみないとわからない』(カキカキ)」
ライナー「……。……そうか……」
ベルトルト「(うわぁ……なんか末期ガンの告知されたみたいな顔になってる……)」
アルミン「(よく考えればただ単に耳糞ホジろうって話なんだよね……)」
サシャ「(なんかシリアスっぽくなってる……)」
エレン「(ライナー……顔の筋ひとつ動かさないなんて……お前は本当に戦士なんだな……)」
ライナー「……恥ずかしい話、小さい頃から、な。耳とか鼻とか、とにかく顔の穴の中に異物を入れられるのが生理的に怖くてよ……」
ベルトルト「(耳糞で難聴だから筆談とかホント恥ずかしいよ……)」
ライナー「その、なんて言うか、ぶっちゃけ綿棒でされるぐらいでも失禁するほど嫌でな……」
アルミン「(うわぁ……)」
ライナー「まして耳掻きでなんて……あぁ、ダメだ、考えただけで……ホラ、この通りだ(プルプル)」
サシャ「(単純に汚い……)」
ライナー「俺が甘かった……耳垢なんて乳歯と同じで勝手になくなるもんだと無理やり納得してたんだが……」
エレン「(ライナー……何事にも迷いはないと思ってたお前にそんな苦悩が……)」
ライナー「くっ、耳かきなんぞされたら大暴れする自信がある自分が怖ぇ……!」
ライナー「………………」
ミカサ「……『怖いの?』(カキカキ)」
ライナー「……」
ライナー「……あぁ、怖い。情けねぇ、ブルっちまってるぜ」
ライナー「……だが、俺にはまだやるべきことがある……まだここで果てるわけには……」
ライナー「……お願いする、ミカサ。俺に明日をくれ」
ミカサ「……『全力は尽くそう』(カキカキ)」
ベルトルト「(カッコ悪い……)」
アルミン「(別に耳糞放置してもしなないよ……)」
サシャ「(耳鼻科行けって話ですよね……)」
エレン「(くっ、ライナー……! 代われるものなら代わってやりてぇよ!)」
アルミン「えっ」
サシャ「えっ」
ベルトルト「えっ」
エレン「おう、任せとけ」
アルミン「えっ」
サシャ「えっ」
ベルトルト「えっ」
エレン「えっ」
アルミン「……僕たちも?」
エレン「仲間なら当然だろ?」
ベルトルト「(帰りたい)」
アルミン「う、うん……」
エレン「ライナーが暴れ始めたら俺とベルトルトが全力で押さえつければいいんだな?」
ミカサ「ライナーは体格も膂力も常人を遥かに上回る。一歩間違えば私のブレードがライナーのウォール・マリアを突破して一巻の終わり」
ライナー「……!(ゾゾーッ)」
ミカサ「ライナー、そうはならないようにエレンたちがいる」
ライナー「……はっ!? そ、そうだったな……す、すまん皆、出来る限り我慢する努力はするから……」
ミカサ「じゃあ始めるよ……皆、ライナーを抑えて。ライナーは舌を噛まないように口にこの布を」
ライナー「わかった……ング」
サシャ「いよいよですか……でも正直、超大型鎧の巨人を見てみたい気も……」
アルミン「ミカサの技術がどこまで通用するか……」
エレン「ライナー……お前のウォール・マリアは俺が守ってやる!」
ベルトルト「(帰りたい……)」
ミカサ「何?」
ライナー「その……情けない話なんだが……
お前が俺をオトして、俺が気絶している間にササッと終わらせるとか……無理かな?」
ベルトルト「(うっわぁ……)」
ミカサ「それは無理。もし途中であなたが目覚めたらどうするの?」
ライナー「えっ?」
ミカサ「もし私があなたの巨人を始末している最中にあなたが目を覚まして」
ライナー「……」
ミカサ「状況が飲み込めずにあなたが暴れ出したりしたら」
ライナー「(ガクガク……。ガクガクガクガク……)」
ミカサ「あなたのウォール・マリアどころかウォール・ローゼ、いやウォール・シーナまでもが一撃で串刺しに……」
ライナー「(ガク……ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク……!)」
ライナー「いいいいいい、いらない。我慢する……(ブルルッ)」
アルミン「(ライナー……)」
ミカサ「準備は整った(スチャ)」
ベルトルト「(あ、そういえばライナーの鼓膜が破れたらどうなるんだろう)」
ミカサ「行くよ、ライナー。布を噛んで(スッ)」
ライナー「ぐ……(ブルブルブルブル……)」
ベルトルト「(もしかしてミカサをはねのけたい一心で鼓膜の傷からライナーの耳だけが巨人化したりして……)」
ミカサ「みんな、用意はいい?」
ベルトルト「(でっかくなっちゃった~とかでこうドカーンと笑いが……)」
ミカサ「コンバットオープン」
ベルトルト「(ぜぜぜぜぜ絶対に怪我させられん……! よく考えたら今後の展開的に責任重大じゃないかこれ……!)」
ズププ……
ライナー「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛―――――――――――――!!!!!(ビグビグビグビグ)」
ミカサ「……クッ、思った以上に巨大で頑丈……ブレードが通らないなんて……!(ガリガリガリガリ)」
アルミン「あわわ……予想以上だ……!(ネキシウム飲んでくるんだった……)」
サシャ「こ、コレが耳垢……!? まさに超大型の鎧の巨人……!」
ライナー「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!! ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛―――――!!!(ドタンバタン)」
ベルトルト「ぐっ……ライナー……! ライナー落ち着いてくれ!(ギギギギギ)」
エレン「ライナー暴れるな……すぐに終わる、すぐに終わるから落ち着け……!(グギギギギ)」
ミカサ「くっ、まさかここまで大きいなんて……各個撃破は無理、まとめて潰す!(ゴリゴリゴリゴリ)」
アルミン「うわわわわ……! そ、そんな奥にまで……!」
サシャ「エレン! アルベルト! もっと強くライナーを!」
ベルトルト「や、やってるよぉ……!(ギシギシギシギシ)」
エレン「暴れんなよ暴れんなよ! ミカサのブレードが耳を貫通して脳みそに突き刺さってもいいのか!?(ギシギシギシギシ)」
ライナー「ゾウ゛イ゛ウ゛ゴドイ゛ウ゛ナ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!(ジタバタ)」
ベルトルト「うっ、うわあああああああああああ!!(ギシギシギシギシギシギシ)」
エレン「暴れんなよくっそォォォォォォ!!!(ギシギシギシギシギシ)」
ミカサ「……! アルミン! 汗!(ホジホジホジホジ)」
アルミン「うっ、うん!(イタタタタタタタタタタ胃が痛い痛い助けてプロテカジン)」
ミカサ「……! サシャ! もっと光!(ゴリゴリゴリゴリ)」
サシャ「っ! こうですか!? (ライナーの顔中の穴という穴から液体が……きったねぇ!)」
ライナー「ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛―――――!! ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ゴア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!(ビグビグビグビグ)」
教官「(ガララ)……今現在進行形で大きな音がしてるんだが、誰か説明してもらおうか?」
ミカサ「サシャが放屁してる音です!(ガリガリガリガリガリガリ)」
サシャ「えっ」
教官「……う、うん。そういうことにしておく……(ガララ)」
サシャ「 」
エレン「お……おいミカサ……そろそろ限界だぞ……!(ギシギシギシ)」
ベルトルト「(もうやだ連れてくるじゃなかった死にたい)(ギシギシギシ)」
ミカサ「待って……あと少し……! ……よし、もう顔が見えた……!(ホジホジホジホジリング)」
アルミン「……! ミカサ……ミカサ頑張って……!」
サシャ「あと少し……あと少しです……! 集中して!」
ミカサ「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ……!(ホジホジゴリゴリゴリガリガリ……)」
ライナー「ア゛ア゛……ア゛ア゛ア゛、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!! ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛――――――!!!!(ドガンバガンメギャメギャ)」
ミカサ「……来い……来い……そうだ、そこだ……! よっしゃあああ来ったぁぁぁぁああぁぁあ跳べよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!(シュポーン)」
ライナー「アッ」
エレン「おわっ!?」
ベルトルト「うわぁ!!」
サシャ「あぁっ!?」
アルミン「はあっ!?」
~耳糞飛翔中……~
サシャ「あれが……超大型の鎧の巨人……!」
アルミン「あんな大きな物体が耳の中に……まるで耳腔内に蓋をしていたかのような……!」
エレン「すげぇ……大豆がまるごと一個詰まってたみてぇだ……!」
ベルトルト「(俺もうきな粉餅と干し芋食えない……!)」
ライナー「(ビクンビクン)」
ミカサ「……!(ヒュッ! サッ……ポトリ)」
エレン「あ、ああ……!」
アルミン「そしてミカサの手のひらに広げられたティッシュの上に……!」
サシャ「あ、あれほどの巨大な塊を一気に摘出するのと同時に、落下地点を計算し、
素早く移動して4つに折り畳んだティッシュの上に正確に落とすなんて……!」
ベルトルト「(あ……もうきびだんごも無理だ……)」
ミカサ「……」
ミカサ「……ミッション、コンプルィィィィト……!!」
エレン「やった……やったんだな!? 人類は勝ったんだ!」
サシャ「やった……ついにあの超大型鎧の巨人を駆逐したんですね……!」
ミカサ「……くっ(ゼハーゼハー……)」
アルミン「あ、ミカサ!」
エレン「お、おい、ミカサ……!?」
サシャ「どうしたんですかミカサ!? まさか力を使い果たして……!?」
ミカサ「……」
ミカサ「……っ、大丈夫、」
ミカサ「……ちょっと、勝利の陶酔に酔いしれていただけ……(ニッ)」
ウオオオオオオオオッ! ミカササァァァン……!
ベルトルト「ライナー……もう永久に寝ててよ」
ライナー「え? ……あ、聞こえる、聞こえるぞ! ホジって貰ってた左耳だけやたらクリアにお前の声が聞こえる!
やったんだな!? 俺はついに耳掻きの恐怖に耐え抜いたんだ! やったああああ!!」
ベルトルト「(凄くウザい……)」
ミカサ「ライナー、あなたの鎧の巨人は無事に駆逐した……ホラ」
ライナー「お……? おおおお……! こ、これが俺の超大型の鎧の巨人か! す、すげぇ……! こんなのが耳の中にあったなんて!」
ミカサ「ライナーも怖いのによく頑張ったね、偉い偉い(ヨシヨシ)」
ライナー「なっ、み、ミカサ……!」
エレン「みっ、ミカサ……!? お前何やって……!」
アルミン「(ミカサがエレン以外の人の頭をヨシヨシしている……?!)」
サシャ「(あ、あのミカサの表情……あれは慈母……まさに慈母の微笑み……! 人呼んで耳糞の慈母……!)」
ライナー「……う、うぅ……! お、恩に着る……み、ミカサ! お前は俺の命の恩人だ……!(ウルウル)」
エレン「(ライナー……よく恐怖に打ち勝ったな、お前は真の戦士だ……!(ウルウル))」
ベルトルト「あっ、あぁ……ありがとうミカサ……僕からも礼を言うよ(もう帰ろう……)」
ライナー「よし、さぁもう巨人も駆逐されたことだし、いっちょアニと対人格闘の訓練でもしてくるかな!
今ならアイツの特に意味のない暴力にも勝てそうな気がするぜ!」
サシャ「何を言ってるのライナー? さ、そろそろ次初めよっか」
ライナー「えっ」
エレン「えっ」
サシャ「えっ」
アルミン「えっ」
ベルトルト「えっ」
ミカサ「次は右耳でしょ?(ポンポン)」
ライナー「 」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛……!!!
クリスタ「くっ、はぁーんらめぇー、んあーいっくー(棒)」
サシャ「結局ミカサの耳かき好きは収まりませんでしたね」
アルミン「なんか最近ではすっかり毒気も抜けちゃってね、僕もやっと胃薬とおさらばできそうだよ……」
エレン「……ちぇ、ミカサのやつ。前は何も言わなくてもやろうやろうって煩かったくせに
最近は他のやつの耳掃除ばっかりかよ……」
サシャ「あー! エレン、今の焼きもちですよねぇ~?」
エレン「ばっ、馬鹿なこと言うなよサシャ! 誰があんな変態耳かき女に……!」
アルミン「あはは、エレンはミカサに耳かきされてる時お母さんにされてる時と同じ顔してたからねぇ」
エレン「なっ! なんだよアルミンまで! そんなわけないだろ!////」
アルミン「……でももしかしてミカサは、ああやって自分やエレンのお母さんのことを思い出してるのかもしれないね……」
サシャ「そう考えると、なんだか少し寂しくて、ミカサが健気に見えてきますね……」
エレン「……。母さん……」
ミカサ「♪(ホジホジ)」
エレン「あ」
ジャン「み、ミカサ! コニーから聞いたぞ、お前が耳掻きサービスしてるって……!」
ミカサ「ジャン……あなたもするの?(ホジホジ)」
クリスタ「んあーんあーもープロデューサーじょしゅっていうなー(棒)」
ジャン「!!!!!!! ハ……ハァハァ……ぜ、ぜひお願いしたい……ハァハァ////」
サシャ「ジャン……あれはもう完全にオチ担当の顔ですよ……」
アルミン「思えば初めて来たね……今まで何やってたんだろ」
エレン「なんだジャンの奴? 熱でもあんのか?」
ミカサ「遠慮することはない」
ジャン「……ハァハァ、じゃ、じゃあ遠慮無く……ハァハァ……ハァハァハァハァ!////」
アルミン「(結婚しよ)」
ミカサ「……よし、じゃあジャン、頭をここへ(ポンポン)」
ジャン「!!!! ……ウイヒ、お、フヒ、お邪魔、お邪魔しまフ……ハァハァハァハァ////」
ミカサ「じゃあ始めるね……(スッ……)」
ジャン「(……ッ! なんて! なんていい匂い……! なんという柔からさ……! 俺は今一番世界で幸せな男だ……!
……ウッ! ……あぁやべ……ズボンの中で出ちゃった……ウッ! と、止まらねぇ……!)」
ゴゴゴゴゴゴ……ガタガタガタガタガタ……
サシャ「ん?」
エレン「地鳴り……?」
アルミン「なんだろう……」
ジャン「み、ミカサ! そ、そんなことは気にしないで! 早く! 早くミカサ俺のシガンシナを……ウッ、ハァハァ!/////」
グラッ……ドカーン! ガタガタガタガタ!!
エレン「うわっ、地震だ! で、デカいぞ!!」
サシャ「あわわわわ!」
アルミン「たっ、大変だ!」
ミカサ「あ(ズボッ)」
ジャン「あ(ブスリ)」
ホンゲェェェェェェェェェェェェェ……!
おしまい
クリスタとMNGSは特に関係ないよ
お前天才だな、頭おかしいよ(褒め言葉)
ライナーが馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前って言うと思ったが上手く外されたわ