妻として、母として 第1章

人妻熟女体験小説スレより

1: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/13 13:36:12

私は友人の母親をオナペットにしています。
しかも、その人が犯されるのを妄想すると異常に興奮します。
いけない事とは分かりつつもどうしても止める事ができません。
いつかは止めなければいけないのですが。
その人をオナペットにしたのは小学生の時からです。
それから今まで十年以上経ち何度も止めようとトライしましたが結局今でも止めれません。
実際に犯したいという願望は無く妄想でも自分が犯すという設定ではありません。
ただその人が他人の男に犯されるのを妄想するのが興奮します。
他人の男に犯されるのを妄想し、オナニーした時の射精は他では味わえない程の快感です。
それが止めれない原因の一つだと思います。
そんな事情なので今まで周りの人間には言えませんでした。
言えないけど誰かに打ち明けたい。
そんな時、ここを見つけました。
これから自分の考えたレイプストーリーを載せたいと思います。
その友人の母親が主人公になってます。
ですが、文才の才能もないので自分の思う描写がなかなか書けません。
あくまで自己満足です。なのでスルーしてもらって構いません。
今でも打ち明けられなかった分、ここで吐き出したい。
ただそれだけです。


2: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/13 22:37:51

『1』
暑さも本格的になってきた六月中旬、一軒の建築現場から作業音が聞こえてくる。
ここは首都圏から遠く離れた田舎町。
「なかなか立派じゃない」
そう言って女は建物の中へ入っていく。
普通の一軒家とは違うその建物は下が駐車場になっていて四、五台は停められそうだ。
女は二階へ繋がる階段を上がった。
二階に着くとすぐドアがあり女はドアを開けて中へ入った。
「お疲れさまです」
中で作業している男達に声をかけた。
「あっどうも」
そう言って近付いてきたのはこの現場の責任者だ。
「これよかったら」
女はコーヒーなどが入ったビニール袋を手渡した。
「いや~ありがとうございます。気をつかわせちゃってすいませんねぇ」
男は鼻の下を伸ばしながら話している。
そんな男の態度は気にも留めず女は早速部屋を見始めた。
ほぼ完成間近の建物内を現場責任者の男は説明しながら女に付いていく。
熱心に聞く女を男は鼻息を荒くし眺めていた。
「デスクはどこですか?」
女の言葉に男はハッと我に返った。
「えっ!あぁこっちです」
男に付いていくと部屋の隅にデスクは置いてあった。
「本棚はここでいいですか?」
「そうねぇ。ここがいいわ」
男の問いに女はそう答えた。
本棚を確かめているその女を、やはり男は興奮し眺めていた。
(いい女だ)
そんな心の声が漏れそうな程、男は興奮していた。
こんな女は何度見ても飽きる事はないだろう。
髪は薄茶系、肩まで伸びボリューム感がある。
顔は芸能人でいえば飯島直子似という所で気の強そうな表情が特徴的だろうか。
そして、何といってもそれ以上に目を見張るのが極上の肉体だ。
黒のTシャツ、濃いめのジーンズ、ヒールが高いエナメル素材の黒いサンダル。
普通の着こなしだが豊満な肉付きは隠しようがなかった。
胸の膨らみはTシャツでは無防備な程、盛り上がっている。
下半身も同様、尻から太股にかけての肉付きは見てるだけでムッチリ感が伝わってくる。
身長は百六十前後、どちらかといえばぽっちゃり体系。
普通なら興味が湧かずむさ苦しく感じるはずだが、この女は違っていた。
目の前にある極上の肉体は世の男達の性欲を存分に掻き立てるものだった。
「いやぁ~しかし、信じられないなぁ。こんな綺麗な人が弁護士さんなんてねぇ」
そう言いながら女を見る男の視線は卑猥そのものだった。

3: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/13 22:44:12

『2』
牧元幸子(まきもとさちこ)、三十七才、既婚者で子供が一人、職業は弁護士。
それがこの女の正体だった。
そして、ここは幸子の個人法律事務所になる予定の場所だ。
男の卑猥な視線を感じつつも幸子は相手にしなかった。
その後、幸子は建物内の全てを見終わった。
(これなら大丈夫そうね)
幸子は満足し帰る事にした。
「それじゃあ最後までよろしくお願いします」
幸子はそう言うと出口に向かった。
男は名残惜しそうに幸子を見た。
もう少し独占したかったが相手は何といっても弁護士だ。
ヘタに手を出せば痛い目に遭う。
何より気の強そうな女だ。
セクハラ行為でもしようものなら黙っているわけがない。
男は後ろから視姦する事しか出来なかった。
尻のボリューム感は歩く度に確認できた。
どんな感触なのだろう、きっと柔らかく揉み応え充分に違いない。
そんな妄想に酔い男の股間は熱くなった。
当分の間、幸子をネタに扱くに違いない。
男は幸子の美貌を目に焼き付けた。
そんな事を考えているとも知らない幸子は建物を出た。
階段を降りると一階の駐車場に停めてある自分の紺色の軽自動車に乗り込み車を走らせた。
田舎町という事で大きなビルなどは無く車や人の通りも疎らだ。
だが、それでも町の中心部であるこの辺りは通勤時や帰宅時にはそれなりに車の通りも多くなる。
建物も多くあり幸子の事務所も道路沿いに立ち並んでいる建物の一軒だ。
田舎ながらも栄えている方だろう。
午後三時、この時間帯は車も少なく幸子はスムーズに車を走らせた。
数分後、幸子はある所で車を停めた。
この町で一番大きなスーパーだ。
事務所を見に来たついでに夕飯の買い出しに寄ったのだった。
スーパーに入ると早速買い物カゴを持ち妻であり母でもある幸子は慣れたように夕飯の材料を選んでいく。
そんな中で幸子が入ってきた瞬間、スーパーの中の空気が変わった。
特に男達は幸子の存在に気付くと目の色を変えた。
(この見慣れない女は一体誰なんだ)
(たまらない女だ)
妻の買い物に付き合わされた旦那や男の従業員達はそんな卑猥な事を思いながら幸子に熱い視線を送っていた。

4: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/13 23:01:14

『3』
何とか幸子の美貌を堪能したい、男達の頭にはそれしかなかった。
すれ違いざまに視姦する者、後ろをつけて視姦する者、向かいの棚から視姦する者、
男達は色々な方法で幸子に淫らな視線を浴びせていた。
Tシャツでは隠しきれない程の豊満な胸の膨らみはたまらない。
下半身の肉付きも最高だ。ムチムチした尻や太ももを包む濃いめのジーンズが苦しそうだ。
それでいて気の強そうな表情がまた男達の興奮を誘っている。
そんな男達が獣のような眼差しを送っている事に実は、幸子は気付いていた。
だが、相手にはしなかった。
買い物を終えた幸子は男達の卑猥な視線を無視して足早にスーパーを出た。
既に時刻は四時になり夕飯に間に合わなくなるからだ。
幸子は急いで車を走らせた。
約一時間程経っただろうか、車は隣町まで来ていて周りの景色は先程よりも田舎になったようだ。
田んぼや畑も多く更に田舎の印象が強くなる。
しかし、住宅はあちこちにあり人口は少なくなかった。
幸子はある場所に車を停めた。
どうやら庭のようだ。
その奥には一階建ての一軒家がある。
周りには二メートル程の高さのコンクリート塀が敷地を囲っており外から家の中を探る事は出来そうにない。
車から降りた幸子は家の中へ入って行った。
もちろん、ここが幸子の家だ。
着くなりすぐに夕飯の支度をはじめ慣れた手捌きで料理を作っていく。
しばらくして一台の車が庭に停まったのを確認した。
そして、玄関の扉が開いた。
「ただいま~」
男のその声に幸子も返した。
「おかえりなさい」
男はそのまま幸子のいる台所へ入っていく。
「いや~今日は暑かったなぁ」
牧元由英(まきもとよしひで)、四十五才、土木作業員で幸子の旦那だ。
「お疲れさま、お風呂沸いてるわよ」
「そうか、じゃあ入ってくるかな」
夫婦の会話を交わし由英は風呂場へ向かった。
外見はそこそこだが優しくて人当たりが良く職場でも信頼が厚い、そんな由英を幸子は愛していた。
もちろん、由英も同じだ。
由英と会話を交わすだけで幸子は心が弾んでいた。
幸子は急いで料理を作った。
そうしているうちに由英は風呂から上がってきた。
そして料理も出来上がった頃、また玄関の扉が開いた。
「ただいま~!」
由英よりも大きな声が家中に響いた。
「おかえり」
幸子が愛すべきもう一人の人物が帰ってきた。

5: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 01:25:49

『4』
その人物も真っ先に幸子のいる台所へ向かった。
「あぁ~疲れた」
「おかえり、お風呂とご飯どっちにする?」
「お腹空いたから先にご飯にするよ」
牧元晶(まきもとあきら)、十六才、高校一年生で由英と幸子との間に生まれた一人息子だ。
現在まで反抗期もなく両親を尊敬している。
晶は部活でいつも六時過ぎに帰ってくるようだ。
台所にあるテーブルで食事をするのが牧元家の決まりで三人共、椅子に座るとようやく
家族団欒の時間が始まった。
幸子にとってこの一時が何よりの楽しみなのだ。
会話の中心はほぼ晶が独占している。
学校であった出来事を楽しそうに話し幸子達も楽しそうに聞いている。
この空間だけは誰にも邪魔されたくない、幸子は常にそう思っていた。
食事を終えると晶は風呂に入り、由英はお茶を飲み、幸子は後片付けをはじめた。
皿洗いが終わると由英は幸子にもお茶を入れた。
「ありがとう」
家事も一段落し幸子は椅子に座ると今度は由英との夫婦の会話が始まった。
「お疲れさま、でも今度から忙しくなるぞ。今までの一人分の家事が三人分に増えるんだからなぁ。
それでなくても弁護士は大変なのに」
「大丈夫よ。一人も三人も変わらないわ。それより私には家族が一緒にいれる事の方が大事なの」
「そうか、それならいいが。明日の荷物は準備したのか?」
「えぇ。心配ないわ」
実は現在、幸子は一人暮らしをしていたのだった。
ここから数百キロ離れた首都圏にある大手弁護士事務所に約十年勤めている。
今回は連休を使い事務所を確認する為に帰省し、明日戻る予定だった。
約十年、多くの裁判を経験し法的知識を身につけ自信がついた今、幸子は個人事務所を設立する事に
踏み切ったわけだ。
いきなり思い立ったわけではない。
始めからゆくゆくは家から通える距離で個人事務所を始めようとしていたのだ。
今まで十年もの間、迷惑をかけてきた家族への懺悔の気持ちだった。
だからこそ、これからは今までの分を家族に精一杯尽くすつもりだった。
では何故、幸子がそこまでして弁護士にこだわったのか、そこが問題だった。

6: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 01:34:11

『5』
幸子は由英と結婚し、晶を産み何の不満も無い生活を送っていた。
そんな幸子に唯一、不安な事があった。
それは淫獣ともいうべき男達の存在だった。
幸子が男達の淫らな視線を感じているのは今に始まった事ではない。
恵まれたというべきなのか生まれ持ったこの美貌のせいで気付いた時には男達の淫らな視線は
幸子を苦しめていた。
それは幸子が結婚して既婚者だと分かっていても変わる事はなかった。
男達には幸子が人の女だという事など関係なかったのだ。
視姦だけならまだよかった。
その中には実際に幸子を狙おうとする男達までいた。
だが、そこは持ち前の気丈さでそんな事をさせなかった。
普通の女なら恐怖で抵抗もできないのだろうが幸子は違った。
視姦する者には睨み返し手を出そうとする者にも決して負けなかった。
その生まれ持った気の強さで今まで男達に対抗してきたのだ。
しかし、そんな幸子にも限界が来ていた。
いくら男を撃退してもすぐに新しい男が幸子に迫ってくるのだ。
これでは切りがない。
幸子自身、自惚れているわけではないが自分の美貌を呪ったほどだ。
このままでは家族まで巻き込んでしまうかもしれない、家族が一番大切な幸子にとって
それだけは避けたかった。
そんな時だ、幸子にある一つの目標が生まれた。
それが弁護士になる事だった。
弁護士になれば卑劣な男達にも対抗できる。
自分の為だけではない、世の中には自分と同じように苦しみ泣き寝入りするしかない
女性もたくさんいる。
そんな女性達を救う為でもあった。
気丈で女としてのプライドが高い幸子は弁護士になる事を決意した。

7: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 01:44:10

『6』
だが、由英には本当の理由は言えなかった。
自分の妻が他の男達に狙われていたと知れば不安に思うだろう。
由英にそんな思いをさせるわけにはいかなかった。
昔からの夢だった、由英にはそう伝えた。
しかし、普通ならそれで納得できるわけがない。
子供が産まれて間もない時期にいきなり何を言うのか。
きっと一蹴されるに決まっている。
だが、由英の返答は違った。
幸子の気持ちを尊重したのだ。
「お前がやりたいなら応援するよ」
それ以上は言わなかった。
幸子は由英と一緒になり本当に良かったと思った。
由英も幸子を愛しているからこそ幸子の言葉を信じたのだ。
幸子は弁護士になる事を決心した。
とはいえ、簡単に弁護士になどなれるわけがなかった。
幸子はとりあえず大学を卒業してはいたが特別優秀だったわけではない。
そんなレベルで弁護士を目指すなど馬鹿げていると言われても仕方ない。
しかし、そこは人一倍負けん気の強い幸子だ。
卑劣な男達をこのまま好き勝手させるわけにはいかない。
その強い思いで司法試験を数年で合格する事が出来た。
もちろん、これには由英の協力が不可欠だった。
子育てや家事も積極的にやってくれた。

幸子は由英に頭が上がらないほど感謝した。
だが、本当に大変なのはここからだった。
その後、研修期間がありようやく晴れて『弁護士、牧元幸子』の誕生となるのだ。
その為には都市部へ行くしかなかった。
また家族に迷惑をかける事になるが由英は全てを理解して幸子を見送った。
幸子も寂しかったがいずれは事務所を設立して家族とまた一緒に暮らすという未来を願い家を出た。
それから約十年、連休の時には家に帰り家族に尽くした。
晶が不満を洩らさず立派に育ったのも由英のおかげに違いない。
これまで家族を犠牲にした分、幸子はこれからどんな辛い事があっても家族の笑顔だけは
絶やさないようにと誓った。

8: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 01:50:06

『7』
これまで幸子にはこのような経緯があった。
だからこそ仕事と家事を両立させてみせると強く決心したのだ。
「あまり無理はするなよ。俺も協力するから」
「うん、ありがとう」
その優しさに幸子は改めて由英の愛を感じた。
「でも今までいた事務所の人達とは離ればなれになるな。寂しいんじゃないか?」
その言葉に幸子がわずかに表情を曇らせた事に由英は気づかなかった。
「えぇそうね」
幸子は話をそらした。
「仕事も少し残ってるしね。今月中に終わらせないと」
幸子は今月の六月中で今の事務所を辞める事になっていた。
「よぉーし、じゃあ俺も頑張らないとな」
由英もこれから幸子と暮らせる事が待ち遠しくて仕方なかった。
そんな反応に幸子も嬉しく笑みがこぼれた。
晶が風呂から上がってくると再び家族の会話がはじまった。
こんな光景が毎日訪れる事を期待し幸子は翌日、家族と別れ家を出た。
数時間、新幹線に乗り幸子が今、一人暮らしをしている場所は勤めている大手弁護士事務所から
程近い郊外にあった。
首都圏内ではあるがこの辺りは落ち着いた雰囲気がある。
コンクリート塀に囲まれたアパート、そこが幸子の住居だ。
普通の弁護士なら高級マンションにでも住む事を考えるのだろうが幸子は違った。
個人事務所を設立する為の貯金、そして自分の贅沢より家族の事を優先して仕送りに回していたのだった。
そんな場所に約十年も住むとさすがに名残惜しくもあった。
(あと数日でこの部屋ともお別れね)
幸子は感慨深げにこの部屋での出来事を振り返り、いつの間にか眠りについていた。

9: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 02:01:26

『8』
翌朝、幸子はいつも通り起床した。
1LDKの小さな部屋に朝食のいい香りが立ち籠んでいる。
朝食を済ませると幸子は着替えはじめた。
パジャマを脱ぎ下着姿の幸子、何とも刺激的な光景だ。
光沢のあるシルク素材の茶系のブラジャー、パンティーが豊満な肉体のそれぞれの秘部を隠している。
カップの面積は普通だが中央の谷間は大きな割れ目を作っている。
手の平でも覆いきれないほどの豊かな胸は極上の柔らかさに違いない。
パンティーから延びる太腿もムチムチ感を存分に堪能できる。
尻のボリューム感も同じだ。
パンティーから程よく脂の乗った尻肉がはみ出しそうだ。
それで不快感を感じないのは幸子にしか無い魅力なのだろう。
股の部分からはパンティー越しに熟した女の香りが匂いそうなほどの色気を発している。
こんな姿を悶々とした男が覗いていれば迷わず襲いかかるだろう。
幸子はクローゼットを開けた。
クローゼットの中には数着のレディーススーツなどが掛けてあり女弁護士のキャリアウーマンらしい
服装が並んでいる。
その中から選んだのは黒のスーツ、それとセットの黒のパンツだ。
中には白いシャツ、ベージュのストッキングも忘れない。
その扇情的な豊満ボディを包み隠すように幸子は着替えていく。
まずはストッキングを穿く。
ムチムチの太腿がストッキングに包まれ更に窮屈そうだ。
ストッキングの縁にわずかに下腹が乗るのも豊満な年増女の特有のものだろう。
それからシャツ、パンツ、スーツと着込んでいく。
次に鏡の前に行くと自前の化粧ポーチを取り出した。
化粧は毎朝の日課で慣れたものだ。
素顔も美貌は健在だが、やはり化粧後の姿は更に色気を増幅させている。
どんどんキャリアウーマンらしい知的な印象が増し、気の強そうな表情は化粧後の方が確認できる。
最後に口紅だ。
弁護士という事で色はいつも控え目にしていた。
程よい量感の唇に薄いピンク系の口紅を塗っていく。
これで女弁護士、牧元幸子の完成だ。

12: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 11:25:28

『9』
やはり仕事モードの姿になると顔が引き締まる。
気の強そうな表情が更に隙を与えない鉄壁のものになった。
準備が整うと黒のバッグを持ち玄関へ向かい黒のハイヒールを履き部屋を出た。
その時、幸子はある人物に声をかけられた。
「おはよう」
「あぁおはようございます」
このアパートの管理人だった。
女性で幸子よりわずかに年上だろうか。
容姿は幸子に比べるとかなり劣る。
結婚もせず男とは縁が無さそうだが人当たりの良い人物だ。
「もうじきここを出ていくのよね?寂しいわ」
「本当に色々お世話になりました」
いつもの日常風景、幸子は会話が終わると駅へ向かった。
十分ほど歩けば人通りも多くなり市街地へ出る。
その先に駅があり事務所へは電車に乗らなければいけなかった。
そして駅のホーム、ここでも電車の到着を待つ幸子にいつもの獣達の卑猥な視線が襲っていた。
朝の通勤ラッシュ、大勢のサラリーマンがいるホームに果たしてどれだけの男が幸子に淫らな視線を
送っているのだろう。
今日の服装は黒が基調で身体のラインを確認するのは難しいはずだ。
だが、それでも男達を誘惑する幸子の豊満な身体は淫らな想像をさせてしまうのだった。
(今日もいやらしい身体しやがって!一体何者だ、この女は?)
(胸も最高だが尻も揉み応えがありそうだな)
(ぶち込みてぇ!)
毎日、こんな事を思いながら幸子を視姦している男達だった。
もちろん、幸子も感づいてはいた。
しかし、こんな事が日常茶飯事な幸子には慣れたものだった。
相手にするだけ無駄という事なのだろう。
そうしているうちに電車がやってきた。
男達は毎回、幸子との満員電車を楽しみにしているのだがそうはいかなかった。
こんな淫獣達と狭い場所にいるなんて馬鹿な事はできない。
幸子はいつものように女性専用車両に乗り込んだ。
電車は約三十分程で降りた。
郊外から三十分も移動すれば既に中枢都市だった。
駅を出ればひっきりなしに人や車が走っている。
この時ばかりは幸子に夢中な男達も会社へ向かう為に急いでいた。
数分歩くと十数階のビルに辿り着いた。
そこが幸子の勤めている弁護士事務所だ。

13: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 11:31:00

『10』
幸子が中に入ると数人が声を掛けてきた。
「牧元さん、おはようございます」
幸子の後輩達だ。
「どうでした?久しぶりの旦那さんとの再会は?」
「その様子じゃラブラブだったみたいですね」
冷やかしの言葉に幸子も返した。
「こら、先輩をからかうな」
こんな会話はいつもの事だが皆、幸子を尊敬していた。
幸子も可愛がってきただけにこの者達と離れるのは寂しかった。
「でも牧元さんと一緒に働けるのも後ちょっとかぁ・・・」
「こんな話も出来なくなるんですね」
その言葉に皆、しんみりとなった。だが、
「何言ってるの。これからしっかり頼むわよ」
幸子がその場を盛り上げると再び楽しい会話がはじまった。
そんな楽しげな幸子達に一人の男が声を掛けてきた。
「やぁ牧元くん、おはよう」
その声がした瞬間、幸子は思わず身構え、男を見た。
スーツをしっかり着込みエリートの風格がある。
外見は高身長でスタイルも良く紳士的な雰囲気もある。
「あっ小倉さん、おはようございます」
他の後輩が声を掛けた。
「おはようございます・・・」
仕方なく幸子もそれに続いた。
「楽しそうに何の話をしてるのかな?」
男は幸子に聞いた。
「いえ、別に・・・」
幸子は素っ気なく返した。
すると、後輩が代わりに答えた。
「聞いてくださいよ!牧元さん連休中に旦那さんとイチャイチャしてたんですって」
「ちょっと!そんな事言わなくていいから!」
幸子は思わず口調を荒げてしまった。
だが、男は幸子の態度を気にした素振りを見せずに話した。
「そうか、道理でここ数日見ないと思ったら休んでたのか。しかし、そんなに仲がいいなんて
旦那さんが羨ましいなぁ」
男は笑いながら言った。
皆、社交辞令だと思った。
男は続けて幸子に聞いた。
「今月で辞めるんだって?もう仕事は終わったのかな?」
「いえ、まだ少し・・・」
それ以上は言わなかった。
また男が質問しようとしたが幸子はそれを振り切った。
「すいません、お先に失礼します」
そう言うと幸子はスタスタとその者達から離れた。

14: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 11:35:02

『11』
(全く、一体何なのかしら)
幸子は苛立っていた。
小倉弘(おぐらひろし)、五十才、独身。
幸子の上司にあたる男だ。
といってもこの事務所は業務分野によって分けられているので専門分野が違う小倉は直属の
上司ではなかった。
幸子はやはりセクハラや強姦が含まれる刑事法を専門としていた。
小倉はほぼ全てを専門にしていたが民事法を担当していた。
そんな男を幸子は何故避けているのか、理由は簡単だった。
この男にも幸子だけに感じる淫獣の香りがしていたからだ。
それも今までの男達よりはるかに不気味で危険な匂いを幸子は感じていた。
そんな様子を幸子に見せた事は今まで無かったがどうにも警戒心を解く事は出来なかった。
危険を察知する事に関しては自信があり、これまでもその勘で女としての危機を回避してきた
幸子にとって自分を疑う事は出来なかった。
その勘が当たったのか食事には何度も誘われていた。
もちろん、その度に断っていた。
それを他の者に相談した事もあったが、周りはそんな幸子の話を一蹴したのだった。
しかし、それも仕方のない事だった。
小倉は皆からの全幅の信頼があったからだ。
幸子が来るずいぶん前からこの事務所に勤め貢献していた為に事務所内では地位も上だった。
それに外見の紳士的な雰囲気も手伝って周りの評価は幸子とは真逆だった。
そんな男を疑う者などいるわけがなかった。
それに幸子以外にも他の者に食事の誘いをしていたのだという。
その者達から話を聞けば単に仕事のアドバイスをするだけでやましい事など一切無い、
小倉はそんな男ではないと逆に幸子が責められた。
仕舞いには皆、幸子は自惚れているのではないかなどと言われる始末だった。
そんな事を言われてから周りに言う事は無くなった。
だが、やはり幸子には小倉という男から発する危険な香りを消す事が出来なかった。
(どうせ辞めるから別にいいけど)
幸子はモヤモヤした気持ちを捨てて自分の持ち場へ急いだ。

15: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 11:39:25

『12』
正午過ぎ、仕事の目処がついた所で幸子は気分転換に外の空気を吸いにオフィスを出ようとした。
その時、廊下を歩いていた幸子は後ろから声を掛けられた。
「お疲れさま、牧元くん」
幸子にとって危険な存在、小倉だった。
幸子と小倉の持ち場は別々の階で全く違っていた。
しかし、こんな事は一度や二度ではなかった。
(また・・・)
「偶然だなぁ。どうしたの?」
本当に偶然だとは思えなかった。
「ちょっと気分転換に外へ・・・」
幸子は足早に小倉から立ち去ろうとした。
「あっ牧元くん、今夜時間空いてるかな?一緒に食事でもどう?」
予想通りだった。
こんな時は決まって小倉に誘われていた。
幸子の心を知ってか知らずか何度断ってもこうして誘ってくるのだった。
「いえ、せっかくですが予定がありますので」
幸子は決まり文句のように断った。
だが、これで諦めるようならここまで警戒する存在にもならなかった。
「じゃあいつなら空いてるかな?空いてる日でいいんだ」
「小倉さん、申し訳ありませんけどあなたと二人で食事は出来ません」
小倉のしつこい誘いに幸子は思わずキツイ言葉を発してしまった。
(ちょっと言い過ぎたかしら・・・)
「そうか。君の気持ちを考えなくて済まなかった。それじゃあ皆と一緒ならいいかな?
ただ君の送別会をやりたいだけなんだよ。君は今まで本当に頑張ってくれたからね。駄目かな?」
その言葉に幸子は迷った挙句、ここまで言われて断るのはさすがに野暮だと承諾する事にした。
「分かりました。そうゆう事ならお言葉に甘えさせてもらいます」
「そうかぁ、良かった。じゃあ詳しい事はまた後で知らせるよ」
幸子の言葉に小倉はホッとした表情を見せ喜んだ。
もしかしたら本当に考えすぎで自惚れていただけなのかもしれないと少し恥じた。
(皆もいるなら一度位いいわよね)
約束を交わし二人は別れた。

16: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/14 23:54:24

『13』
数日後、幸子は帰宅ラッシュの電車に乗っていた。
夏のこの時間帯はまだ夕陽が沈みきる前だ。
残っていた仕事もほぼ終わり幸子が勤務するのも明日だけとなっていた。
小倉から送別会の予定はまだ知らされていない。
むしろ、あれから小倉とは一度も顔を会わせておらず今日も噂では休んでいるようだった。
(やらないならそれでもいいんだけど)
最寄り駅に着き幸子は寮へ向かい歩いた。
郊外にもなるとネオン街も少なく街灯だけの道もあり周りには薄暗さが目立っている。
今日の幸子の服装は身体のラインが確認出来そうな色合いだ。
そのせいか、この日の男達の卑猥な視線は一際激しく感じた。
グレーのスーツ、セットのグレーのパンツ。中には白のシャツ、パンツの下にはベージュの
ストッキングを身につけている。
盛り上がった胸、豊満な下半身、特に尻のムチムチ感はラインが良く見え存分に堪能できる。
更に黒いハイヒールを履き歩く度にカツカツと静かな周辺を響かせている。
そして、もう少しで寮に着こうかという時だった。
幸子は異変に気付いた。
背後に何者かの気配を感じたのだ。
(尾行られてる・・・)
幸子はすぐに察知すると急に走り出した。
こんな事にも慣れていた幸子には対処法があったからだ。
職業柄、色々な相手に恨まれる事もある。
法廷で闘った相手の中には堅気ではない者達もいて嫌がらせを受けた事もあった。
幸子が担当になり弁護をした者の中にも好意を持たれストーキングされた事もある。
それだけでは無い。
以前、メディアに出させられた時の事だ。
噂の美人弁護士などという理由でオファーがあったが、もちろん幸子は断った。
そんな理由など弁護士としての理念に反していると最初は頑なに拒んでいた。
幸子が弁護士を目指したのはテレビに出たいだのチヤホヤされたいだのという理由ではなかった
のだから当然だ。
だが、事務所の方針には逆らえなかった。
事務所からすれば更に経営を拡大させる為に所属弁護士をメディアに出させるのは当然だった。
その甲斐あって幸子目当てに来る相談者が増し事務所も利益が数倍に増えた。
しかし、その代償に幸子はストーカーに悩まされる羽目になったのだ。

17: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 00:01:56

『14』
寮の近くにまで尾行てくる者もいて当時は大変だった。
それでも世間の関心が変わるのは早く、新しい素人美人が出てくる度にどんどん切り替わっていき
幸子の存在も忘れられていった。
そんな事があってからは事務所も重く受け止め幸子にはメディアに出す事を止めたのだったが、
未だにストーカー被害に遭い幸子を悩ませていた。
だが、今まで数々の身の危険を感じてきた幸子だからこそ自分なりの対処法を身につけていた。
普通の女と違い気の強さは折り紙付きだ、ひ弱そうな男には威圧だけで遠ざけていた。
もし襲われたとしても健康的な豊満体の幸子なら多少の男が相手でも抵抗できる自信があった。
何より男達に屈したくない強い思いが幸子を支えていた。
今回も恐らくそんな男の仕業だろうと思った幸子は走って角を曲がると待ち伏せた。
大概の男はこれで警察に突き出してきた。
もちろん、無茶な事はせず弁護士として適切な対処を心掛けていた。
しかし、男は一向に現れなかった。
(おかしいわね)
幸子は来た道を確かめた。
すると人影はなく男の気配も無くなっていた。
単なる勘違いだったかと幸子は気を取り直しまた歩き出した。
だが、しばらく歩いていると再び何者かの気配を感じたのだった。

18: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 00:07:47

『15』
幸子は、また角で待ち伏せる事にしたが同じ事だった。
それまで感じていた気配は全く無くなっていた。
幸子は察知した。
この男は只者ではなく今までの男達のように一筋縄ではいかないと。
かといって得体の知れない相手に意地になって捕まえようという馬鹿な考えはなかった。
どうせ残りわずかでこの場所を離れるのだ。
無理に相手のペースに乗る必要はないと幸子は判断した。
それならばと、また歩き出し男が尾行てくるのを待った。
予想通り再び男は幸子を尾行てきた。
それを確認すると幸子は走り出した。
しかし、今回は待ち伏せる等せず全力で走った。
幸子は走って男を撒こうと考えたのだ。この辺りは道が迷路のように複雑に入り組んでいた。
土地勘のない者なら迷ってしまうはず。
幸子は何年もこの辺りに住んでいて道を把握していた為にそれを利用したのだった。
ハイヒールで走りづらいのを我慢し幸子は逃げた。
そして案の定、幸子の作戦は嵌まりストーカーを撒く事に成功したようだ。
幸子はホッと一安心した。
いくら気丈な幸子でも普通の女だ、こうして狙われる事が平気であるわけがない。
(もう少しの辛抱よ)
幸子は自分に言い聞かせ、ようやく寮に着いた。
自分の部屋に入ると念の為、すぐに鍵とチェーンロックをかけた。
そんな不安な気持ちは玄関に置いてある家族の写真が落ち着かせてくれた。
一緒に暮らせばこんな不安など忘れてしまう。
幸子はもうじき実現するであろう家族団欒の日々を思い描き笑顔で部屋へ入った。
だが、その笑顔をあっという間に消し去る光景が目に飛び込んできたのだった。

19: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 00:25:29

『16』
「えっ!・・・」
幸子は一体何が起きたのか分からなかった。
何と、部屋が荒らされていたのだ。
(・・・空き巣)
幸子は一瞬動揺したが我に返るとすぐに印鑑や通帳の被害を確かめた。
無くなっていれば今までの努力が水の泡になってしまうからだ。
個人事務所設立の資金や将来の為の貯金など今後に必要不可欠な物なのだ。
幸子は急いで部屋の角にあるタンスの引き出しを開けた。
その中には仕事に必要な書類がぎっしりと入っていた。
全ての引き出しに書類が入っているのだが開けたのは丁度真ん中だった。
その引き出しを開けると幸子は中に手を突っ込んだ。
すると、ホッとした表情を見せ幸子はある物を取り出した。
それは印鑑と通帳に間違いなかった。
万が一の事を考え、その上の引き出しの裏に隠していたのだった。
とりあえずこれだけでも無事で良かったと幸子は胸を撫で下ろした。
が、ようやく冷静になると一つの疑問がでてきた。
空き巣目的なら何故このタンスは荒らされていないのか。
多少書類がずれているのを見れば恐らく開けはしたのだろう。
しかし、空き巣目的であればタンスを探った方が金目の物があると普通は考えるはずだ。
それが全く手をつけていない。
という事は目的は他にあった、金銭目的ではない他の理由とは・・・。
「・・・あっ!」
幸子は部屋を見渡し、すぐにこの状況を理解する事になった。
それと同時に大きなショックを受けた。
それも当然だった。
空き巣よりもっと醜悪な行為だ。
部屋中に無造作に散らばっている物、それは幸子の衣類だった。
下着はもちろん、私服やスーツなどクローゼットに仕舞っていた衣類が強引に取り出されていた。
クローゼットの中にある小さなタンス、そこに収納していた下着は全て床に放り出されていた。
タンスの引き出しは乱暴に開いたままで、その時の侵入者の心情が表れ不気味さを感じる。
何が目的かは一目瞭然だ。
今まで、これほどまでの被害が無かっただけに今回はさすがに幸子も恐怖を感じずにはいられなかった。
一体、誰がこんな酷い事をしたのか。
(まさか、さっきのストーカー!?)
だが、あのストーカーは上手く撒いたはず。
幸子は混乱していた。
そんな静まり返った部屋にある音が鳴り響いた。

20: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 00:39:56

『17』
「プルルルップルルルッ!」
幸子の携帯電話だった。
(・・・犯人!?)
今、電話が鳴るにはタイミングが良すぎる。
それに部屋に侵入までした者だ、電話番号を知っていてもおかしくはない。
幸子は恐る恐る携帯電話を開いた。
しかし、この電話は幸子の不安を消し去るものだった。
その理由は電話の主が幸子が唯一愛する男、夫の由英だったからだ。
幸子は急いで電話に出た。
「もしもし?」
「もしもし幸子?今、大丈夫か?」
「う、うん。どうしたの?」
「いや、明日で事務所辞めて明後日にはアパート出るんだろ?引越しの準備出来てるのかと思ってさ」
「だ、大丈夫よ。荷物も少ないし、後は段ボールに詰めれば終わりだから」
「そうか。でもどうした?何か様子がおかしいぞ」
「な、何でもないわよ」
空き巣の被害に遭った事を由英に知られるわけにはいかない。
それも犯人は金銭目的ではなく明らかに幸子に性的な興味を示した淫獣なのだ。
これまでもこんな事は隠してきたのだからこれからも知られるわけにはいかない。
これ以上家族に迷惑はかけたくなかった。
「そんな事よりもう少しで一緒に暮らせるわね。待ちきれないわ。あなたは?」
「何言ってるんだよ。俺だって同じに決まってるじゃないか。早く会いたいよ」
上手く話を逸らしたがこれは幸子の本音で、この事態を乗り切る為に自分に言い聞かせた言葉だった。
その後、しばらく他愛もない話が続いた。
「そろそろ晩飯にするか。晶も待ちくたびれたみたいだ」
「そうね。早く食べさせないと怒られるわよ」
「あぁ。じゃあ切るよ。愛してるよ、幸子」
「私もよ。あなた」
その言葉を合図に二人は電話を切った。
いつの間にか心の乱れも消え、折れそうだった心を繋ぎ止めてくれた由英に感謝した幸子は
さっさと部屋を片付けて忘れてしまう事にした。
そして、気を取り直そうと幸子が携帯電話を閉じようとした時だった。
「プルルルッ!プルルルッ!」
再び電話が鳴った。
(何か言い忘れたのかしら。・・・えっ!)
幸子は電話番号を見て驚いた。
何故ならこの番号は由英ではなく見知らぬ番号だったからだ。

21: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 00:52:40

『18』
(まさか・・・)
由英のおかげで持ち直した心は一瞬で乱れてしまった。
出ない方がいいのかもしれない、明後日にはここを出て家族の元へ戻れる、幸子はそう思った。
だが、やはり持ち前の負けん気と弁護士としての正義感が幸子を引き止めたのだった。
不安な気持ちよりこのまま悪質な淫獣に好き勝手やられるのが許せなかった。
幸子は意を決して電話に出た。
電話を耳に当て、ひとまず様子を伺う事にした。
しかし、相手からの反応は何もなかった。
何かを話しかけるでも無く無言の空気が続いた。
普通の電話ならあり得ない事だ。
幸子はこれで電話の相手が犯人だと確信した。
そうと決まればと静寂を切り裂くように幸子が先に口を開いた。
「もしもし?」
動揺が伝わればそこを付け込まれる、幸子は動揺を隠して言った。
だが、また相手からの返答はなく、しばらく待ったが相変わらず無言を通していた。
冷静にと思っていた幸子だったが、これにはさすがに業を煮やした。
「もしもし、聞こえてるの!?」
思わず語気が強くなってしまった。
しかし、これが効いたのかようやく電話の相手が口を開いた。
が、幸子はこれから苦痛な時間を過ごす事になろうとは思いもしなかった。
一言目から不快なものだった。
「・・・ハァハァハァ!」
荒い息遣いが受話器に響いた。
「もしもし!?私の部屋をこんなにしたのはあなたよね!?」
「・・・ハァハァハァ幸子!怒った声も最高だよ!」
まさかの返答に幸子は度肝を抜かれた。
しかも機械で加工しているのか、いかにも犯人らしい分厚くて低めの声に変えていた。
だが、幸子は動揺を隠し、続けた。
「それは犯人だと認めたという事かしら?」
「・・・あぁそうだよ」
「何故こんな事をしたの?」
「何故?決まってるだろ。幸子、お前を愛しているからだよ。お前も大人なら分かるだろう?」
何という理不尽な言葉なのだろう。
身勝手すぎる発言に幸子は再び怒りが込み上げてくるのを何とか抑えた。
すると、男は立て続けに幸子に喋りかけた。
「それにしても幸子。お前の身体はいつ見てもいやらしいなぁ。
今日なんか尻の肉付きがはっきり分かったぞ。走ったお前の後ろ姿は興奮したよ」
その発言に幸子はすぐ反応した。
走った後ろ姿を見ていた、今日走った時といえば一度しかなかった。

22: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 01:03:52

『19』
それは、先程ストーカーから逃げた時の一度だけだ。
「あなた、やっぱりさっきのストーカーね!?」
「さすが優秀な弁護士さんだ。気付くのが早いな」
幸子はその言葉にも引っ掛かった。
「何故弁護士だと知ってるの!?」
「そんな事、当たり前じゃないか。さっきも言った通りお前を愛しているんだから知ってて当然だろ。
例えば結婚していて子供もいるとか」
そこまで調べ尽くされていた事に幸子は驚いた。
普通の人物がそんな情報を持っているとは考えにくい。
もしかしたら自分に近い関係者の仕業ではと幸子は思った。
そして、そこですぐに幸子の頭に浮かんだ人物は一人しかいなかった。
幸子が最も警戒する男、小倉だ。
他にも幸子に好意を寄せ注意すべき者は周りにもいたが小倉ほど危険を感じる男はまずいない。
その小倉ならこんな事までするのではないかと疑った。
しかし、その考えはすぐに消えた。
いくら小倉が危険で自分を狙っている男だとしても大の大人がここまでするだろうか。
部屋に侵入し、下着を漁り興奮するなんて流石に幼稚な発想だ。
四十を過ぎる男がする行為とは常識的に考えられない。
それに幸子は一度だけ家族の事を他人に話した事があったのを思い出した。
以前、事務所の意向でマスコミに出されていた時の事だ。
当初、雑誌のインタビューで家族構成を聞かれ、その時に夫と子供がいる事を話したのだった。
だが、それ以降はプライベートの質問は拒否していた。
やはり色眼鏡で見られている事が気に入らなかったからだ。
幸子はその事を思い出し、小倉への疑いをやめた。
恐らく、その雑誌を見ていた人物、そして以前に悩まされたストーカーの可能性が高いのでは
というのが幸子の推理だった。
今までに何人ものストーカーを警察に突き出してきたが逃げ延びた者もいた。
そんな男が再び熱が入りストーカーしはじめた、そんな所だろう。
では、この男は何者なのだろう。
弁護士と知りつつもこんな行為を行なった男が幸子は許せなかった。
何としても捕まえなければと、この男の素性を調べる事にした。

23: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 01:08:06

『20』
「ねぇ、そんなに私を知ってるって事はあなたとは会った事があるのかしら?」
「あぁもちろんだよ。俺は毎日お前のいやらしい身体を見てるからね」
素性を探ろうにも交わされ、やはり簡単に話が通じる相手ではなさそうだ。
幸子は回りくどい作戦を止めた。
「話を変えるわ。あなた、自分がした行為がどうゆう事か分かってるの?住居侵入罪、それだけじゃない。
つまり犯罪なのよ?今ならまだ許してあげるから自首しなさい」
今度は犯人に罪の深さを伝えようと説いた。
弁護士として出来れば自首してほしいという思いもあった。
しかし、またしてもこの男は幸子の想像を超えた。
「住居侵入罪?刑法130条、正当な理由が~に処する。だったかな?」
何と一語一句間違えずに言い放ったのだ。
これにはさすがに幸子も言葉が出てこなかった。
「お前を手に入れる為だ。それ位知ってて当然だろ?」
これまでの男との会話でとてもじゃないが普通の常識で太刀打ちできる相手ではない事が分かった。
「仕方ないわね。自首すれば許してあげようと思っていたけど、どうやらその気は無さそうね。
警察に通報するわ」
警察の名前を出せばさすがに動揺するかもしれないと思った。
だが、その考えも甘かった。
「そんな事しても証拠は残してないから無駄だよ。弁護士を相手にそんなヘマするわけないだろう。
それに警察に通報していいのか?捜査になれば周りの人間にも知られるんだろ?
そうなれば家族にもこの事がバレるぞ。ショックだろうなぁ。
自分の妻がこんな目に遭っていたなんて旦那が知ると。本当に警察に言えるのかな?」
下品に笑う男の言葉に幸子は何も言い返せなかった。
確かに男の言う通りで警察に通報するのは脅しで本気ではなかった。
大事になれば家族に知られてしまう。
その時の家族の落胆する表情が浮かんでくるようだ。
家族に被害が及ぶのを一番嫌う幸子に警察に言うなど出来るはずがない。
そんな幸子の心情まで読み取る男だった。

24: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 01:22:32

『21』
ここまで手強いとは思いもしなかった。
初めは単なる幼稚な異常性欲者の仕業だろうと甘く見ていた。
確かに異常性欲者に違いないが幼稚とは程遠い緻密な頭脳の持ち主だった。
幸子にとって一番厄介な相手といってもいい。
幾度となく幸子の頭脳を上回り優位に立つ男に正直、これ以上手の打ちようがなかった。
幸子はこの男には歯が立たないと認めざるをえなかった。
どうやって合鍵を入手したのかなど、まだ疑問はあった。
だが、この男の事だ。
素直に答えるわけがない。
またはぐらかされて終わるのが目に見えている。
完全に手詰まり状態になってしまい幸子は悩んだ。
そんな幸子を楽しむかのように男は更に続けた。
「どうだ幸子。もうお前には俺の女になる選択しか残ってないんだ。家族には内緒にしてあげるよ。
だから早くお前のいやらしい身体を俺に味わわせてくれ」
「そうね、自首するなら考えてもいいわ」
幸子は何を言っても通用しない相手に開き直ったのか、自分でも何故そんな事を言ったのか分からなかった。
しかし、思わず口走ってしまったその言葉に男は過剰に反応してしまったのだった。
「本当か!?本当に自首すればその身体が俺の物に!?・・・あぁ想像しただけで興奮してきたぞ幸子!」
興奮のせいで声が震え上擦っている。
その後もこの調子で幸子に構わず卑猥な言動は止まらなかった。
幸子は呆れて溜め息を吐いた。
明後日にはここを離れてこんな男ともおさらばだ。
だが、幸子は何故こんな男に目を付けられてしまったのだろうと改めて自分の美貌を恨んだ。
幸子は周りを見渡し散らばっている下着を見た。
こんな男に自分の下着を玩具にされていたのかと思うとゾッとする気分だった。
(・・・あれ?)
下着を見ていた幸子は何か異変に気付いた。
先程は動揺していたせいではっきりと見ていなかったが今は違った。
もっと近くで見ないと確認できそうにない。
幸子は落ちている一枚のパンティを拾い上げた。
すると、中から何かが零れ落ちた。
「きゃっ!」
幸子が驚くのも当然だった。
パンティから零れ落ちた白い液体、それは紛れもなく精液に間違いなかった。

25: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 01:29:02

『22』
驚いた拍子に放り投げたパンティをもう一度確認すると濃厚な大量の精液がまとわりついていた。
よく見てみると他の下着全てにも精液が浴びせられていた。
「おや、まさか今頃気付いたのかな?」
「あなた、どうかしてるんじゃない!?異常よ!」
「気持ち良かったよ幸子。早くその下着を着けておくれ。俺の精液がお前のマンコに絡み付くかと思うと。
・・・あぁまた興奮してきたぞ幸子~!」
幸子は改めてこの男の異常さを思い知らされ再び恐怖心が芽生えてきてしまった。
(この男、本当に危険だわ!)
「ここまですればもう私に用は無いでしょ!?」
「何を言ってるんだ?本物のお前を手に入れるまで終わる訳ないだろ。まぁでも今日はこれ位にしておくよ。
幸子に嫌われたくないからね」
身勝手な発言ばかり続ける男に幸子の精神状態は限界に来ていた。
「あぁそうだった。せっかく初めて幸子の部屋にお邪魔したんだ。お土産を貰ったからね」
(お土産?)
何を言ってるのか幸子には分からなかった。
「分からないか。じゃあヒントをあげるよ。洗濯機・・・と言えば分かるかな?」
ハッと幸子はすぐに男のヒントに気付いた。
急いで向かった先は廊下にある洗濯機だった。
幸子は着くなり洗濯機のフタを開けた。
幸子の予想は的中していた。
その洗濯機の中にあったはずのある物が無くなっていたのだ。
もちろん、幸子の下着だった。
受話器からクンクンと何かを嗅いでいる様子が聞き取れる。
「ん~、少し臭うなぁ。仕事にかまけて風呂にも入ってないんじゃないか?
いくらお前を愛してるからって臭い女は勘弁してほしいなぁ」
男の下品な笑いが響いている。
確かに洗濯機の中にある衣類は昨日、洗濯し忘れてしまっていた。
昨日は仕事の最後の追い込みで部屋に残りの仕事を持ち帰っていたのだ。
しかし、いくら夏のこの時期で1日洗濯し忘れたといってもそこまで臭うはずがない。
幸子に恥辱を味わわせて楽しもうとしているのだ。
「まぁそんな汚い身体は俺がきれいにしてやるからいいか。
しかし、茶色の下着とはお前にピッタリでいやらしい色だなぁ。
シルクの生地も最高だぞ」
昨日穿いていた下着だ、やはり盗んだのは本当らしい。
男は幸子に入る隙も与えず喋りかけた。

26: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 01:35:33

『23』
「でも一番驚いたのは幸子、お前のそのスケベな乳だよ。まさかEカップで九十もあったとはなぁ。
予想異常だ。早く本物のお前の乳を揉みしだきたいなぁ」
「・・・いい加減にして!人を苦しめてそんなに楽しいの!?」
聞くに耐えない言葉を連発させられ遂に幸子はキレた。
恐怖心はあるが持ち前の気の強さが幸子を支えていた。
だが、男はそれすら楽しんでいた。
「そんなに怒るなよ。だからマンコも臭いんだぞ」
クンクンとパンティを嗅いでいるのが分かった。
幸子の怒りは頂点に達し、ここまで侮辱を味わわせる相手に我慢できずにいた。
家族の事も構わず本当に警察に通報して徹底的に捜査させようとも思った。
しかし、幸子の様子に気付いたのか男は、
「どうやら本気で怒らせちゃったみたいだなぁ。まぁ本当に今日はこれで終わるよ。
弁護士先生を怒らせると怖いからね。でも幸子、間違っても他言はしない事だ。
怒りに任せると大事なもの全てを失う事になるんだからな。・・・じゃあ切るよ。愛してるよ幸子」
ようやく解放され受話器からはプープーという音だけが聴こえている。
幸子はその場に立ち尽くしていた。
今までの男達のようにはいかず手も足も出なかった。
どうしようもないジレンマに陥り何も出来なかった自分が情けなかった。
それと同時に精神的にもかなり疲れていた。
どんなに難しい裁判よりも感じた事のない疲労感だ。
その日、幸子はあまり眠れなかった。
疲れていても、またあの男が何か仕出かしてくるのではと安心して寝る事が出来なかったからだ。
気付けば外は朝日が昇っていた。

28: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 15:46:32

『24』
今の事務所での仕事も今日が最終日。
爽快な朝日とは反して幸子の表情は曇っていた。
一日経ったからといって忘れられる訳がない。
部屋を見渡せば昨日の出来事が嘘のようだ。
電話が切れた後、幸子はあれから部屋を片付けた。
片付けたというより捨てたといった方が正しいだろう。
下着や衣類は全て捨てる事にした。
あんな男の精液が染み付いたものを当然身に付ける気は無かった。
それ故、下着は替えていなかった。
あの後、外に買いに行く気にもなれず仕方なく穿き続ける事にした。
シャワーはとりあえず浴びたが常に警戒した状態でチェーンロックを掛けてはいたがやはり不安だった。
由英にもう一度電話して声を聞こうとも考えたが弱音を吐きそうだったので我慢した。
そんな一夜を過ごした幸子の表情は疲労感でいっぱいだった。
だが、やはり幸子は普通の女とは違った。
いつまでも落ち込んでいる訳にはいかないと気丈な幸子はポジティブに考えた。
明日にはここを引き払い家族の元へ帰れる。
これからはずっと一緒なんだと幸子は言い聞かせ自分を奮い立たせた。
「よしっ!」
その一言で幸子は出勤の準備をはじめた。
クローゼットを開けると中はガラガラだった。
ある一着のスーツ、スカートだけを除いて。
他の衣類は全て部屋に放り出されていたのにこのスーツだけは手付かずの状態だった。
ビニールに包まれてクリーニング屋から戻ってきた状態のままだったので出してはいないだろう。
見落としたのか興味が無かったのか、どちらにせよ幸子にとってこのスーツだけが無事だったのは
不幸中の幸いだった。
何故なら幸子には一つだけゲンを担ぐ事があったからだ。
以前、幸子が弁護士に成り立ての頃だ。
夫の由英が弁護士になった御褒美に濃紺のスーツをプレゼントしたのだった。
何故、紺色なのかは分からなかったが由英の話では偶然目に止まり幸子に似合うと思ったからだという。
それから幸子にとって何かの区切りの日、例えば記念日などにはこの紺のスーツを着ていく事が
当たり前になっていた。
それに勝負服と言っていいほどの効果があった。
これを着て法廷で戦った時の勝率はかなりのものだった。
もちろん幸子の技量だが幸子にとっては由英のパワーも貰っているようで心強かった。

29: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 15:53:21

『25』
それから何度かスーツが傷む度に由英が新しい濃紺のスーツを幸子にプレゼントしていた。
今回は四代目といった所だろうか。
(今日も記念日といえば記念日よね)
幸子は着替えはじめた。
紺のスーツに中は白いシャツ、下もセットの紺のスカートにベージュのストッキング。
スカートの裾は膝下数センチほどだ。
これを着ただけで由英に守られているようだった。
出勤時間が迫ってきたので素早く化粧も終えると黒のハイヒールを履き部屋を出た。
またストーカーが部屋に侵入する可能性も考えたが、ストーカー目当ての物は全て捨てたし
侵入してもすぐに退散するだろうと幸子は踏んだ。
いつものように駅のホームでは幸子を視姦する獣達で溢れていた。
まさか、今日でこの極上のオナペットが見納めになるとは誰一人思っていないだろう。
胸の膨らみは絶品、尻のボリュームはそれほどタイトなスカートではないのにしっかりと主張している。
オスの本能なのか男達の股間はいつも以上に熱くなっていた。
幸子はそんな男達から解放される事に正直、ホッとした。
それからいつものように電車に乗り込み最寄り駅で降りると事務所のあるビルへ入っていった。
普段と変わらずに社員達と挨拶を交わすとエレベーターに乗り込んだ。
偶然にもこのエレベーターには誰も乗っておらず幸子はエレベーターの扉を閉めようとボタンを押した。
すると、閉じる寸前である人物が乗り込んできた。
まさかの小倉だった。
「ギリギリセーフ!危なかった~。あれ?牧元くんだったのか。おはよう」
本当に偶然だったのかは疑問だがとりあえず挨拶はした。
「おはようございます。何階ですか?」
「じゃあ十五階を頼むよ」
その会話以降、小倉は言葉を交わしてこなかった。
普段なら有難い事だが、このエレベーターという狭い密室の空間で何も喋りかけてこないのは
逆に不気味だった。
幸子はボタンの前に立ち小倉は後ろに立っている。
その為に小倉を確認する事が出来ず、後ろから視姦されているような気がして不安だったが
ようやく幸子の降りる階に近付いてきた。
しかし、幸子が安心した所で遂に小倉の口が開いた。

30: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 16:06:16

『26』
「あぁそうだ。牧元くん今日が最後だったよね?前に話した送別会、今日どうかな?」
誘いから数日経っても小倉から何の予定も聞いてなかったので無いものだと思っていた。
「えっ今日ですか?」
「最近忙しくてなかなか言うタイミングがなくてね。やっぱり急だったかな?」
小倉は恐縮そうに幸子を見た。
本当は断りたいが最後ぐらいはいいだろうと幸子は了解した。
「えぇいいですよ」
「本当に!?よし、じゃあまた後で連絡するよ」
その言葉に返事をし、扉が開くと幸子はエレベーターを出た。
ほぼ仕事を終わらせている幸子はデスクの残りの片付けをした。
帰宅時間にはデスクはきれいさっぱり何も無い状態になり、何度も同僚がねぎらいの言葉をかけてきた。
もうここに来る事もないのだと思い感慨深く今までの事を思い出していた。
そんな事がありながら幸子は今、送別会の場にいた。
ここは事務所から程近い場所にある高級ホテルだ。
そろそろ帰宅時間が迫ってきた頃、小倉から伝言を頼まれたらしく後輩が幸子に送別会の場所を
知らせたのだった。
「えっ!そこってかなり高級な所じゃない?」
「小倉さん、そこのオーナーと知り合いらしいですよ。凄い人脈ですよね」
まさかの場所に少し戸惑った。
後になって恩着せがましく何か要求してこなければいいのだが。
送別会の行われる場所はホテルの十数階ほどにある大きなホールでその辺一帯を貸し切ったそうだ。
送別会には五十人ほど参加し幸子を慕っている者もいれば幸子目当てで来た不届き者もいた。
テーブルの上にはたくさんの料理や酒が並び雰囲気を盛り上げている。
幸子が後輩達と会話を楽しんでいるとマイクを持った小倉が現れ、幸子の隣に来た。
「えー皆さん、今日は牧元幸子さんの送別会にお集まり頂きありがとうございます。
優秀な人材を欠いてしまう事は非常に残念ですが今日は笑顔で牧元くんを送り出しましょう。
それでは今日の主役、牧元幸子さん。一言お願いします」
こんな事は予定に無く幸子は困惑したが、そこは弁護士だった。
「まずは小倉さんの御厚意でこんな素晴らしい送別会をしていただきありがとうございます。
そして皆さん、今まで本当にお世話になりました。
ここで培った全ての事を新しい事務所でも活かして頑張ります」
幸子の見事なスピーチに拍手が送られた。

31: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/15 16:11:31

『27』
その後、小倉の乾杯の一言で送別会が始まった。
幸子の周りには人だかりができていた。
淫らな視線を送る輩もいたが幸子は無視して他の仲間達と会話を楽しんだ。
「やっぱり牧元さんが居なくなると寂しいなぁ。絶対遊びに来て下さいね」
「えぇ約束するわ」
幸子を惜しむ声は絶えなかった。
「今度は〇〇県に行くんですよね?」
「えっ?・・・えぇそうよ」
幸子は動揺した。
その場所は幸子の家とは真逆だったからだ。
何故そんな嘘をつかなければいけないのか、その理由はある人物を警戒しての事だった。
その人物とはもちろん、小倉だ。
ようやく小倉という危険人物から解放され、待ちに待った家族との生活が始まるというのに
小倉に行き先が知れたらどんな行動に出るのか幸子は不安だった。
その為には小倉だけでなく全ての人間に嘘の場所を教えなくてはいけなかった。
信頼する仲間まで騙すのは心苦しかったが全ては家族との時間を取り戻す為。
恐らく、小倉の力を持ってすれば幸子の場所が知れるのは時間の問題かもしれない。
それでも家族の事だけを想う時間が幸子は欲しかったのだ。
それから数時間経ち、周りは宴会騒ぎになっていた。
幸子はあまり呑める口ではない為、たしなむ程度で抑えていた。
そんな中、幸子は一つ気になる事があった。
幸子の警戒する男、小倉の姿が全く見えないのだ。
乾杯の音頭をとってから、小倉は幸子の目の前に現れず拍子抜けといえばおかしいが
今回は何か仕掛けてくるのではと警戒していた割りに何も起こっていない。
やはり気にし過ぎただけなのだろうか。
そんな事を考えている間に時刻はもう終電が迫る時間帯となっていた。
(そろそろ帰らないと間に合わないわ)
幸子は帰り支度をはじめた。
しかし、さすがに今日は呑みすぎたのだろう。
幸子はその前にトイレへ行く事にした。

33: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 13:11:42

『28』
ホールを出て廊下を少し進んだ先の突き当たり、そこを曲がるとギリギリ二人通れる位の通路があり
トイレはその先にあった。
気になったのはこの周辺を貸し切っているからなのか高級ホテルの割に人はおらず従業員の姿もなかった。
照明も心なしか薄暗く感じ、ホールの騒音がわずかに聴こえてくるだけで静けさが目立っていた。
何か不気味な雰囲気を感じ胸騒ぎがする。
幸子は早く済ませ、そそくさとトイレを出た。
すると、狭い通路に何者かが立っている事に幸子は気付いた。
幸子の嫌な予感は的中してしまったようだ。
立ちはだかったのはやはり小倉だった。
片手にまだ飲み干していないワイングラスを持ち壁に寄りかかっている。
その様子からどうやら小倉は酔っていると推測した。
何を考えているか分からないが幸子は構わず小倉の横を通り過ぎようとした。
だが、通り過ぎる寸前だった。
「君がいないと寂しくなるなぁ。考え直してくれないかな?」
「すいません。もう決めた事なので」
幸子は未練がましい言葉にも相手にしなかったが小倉は諦めきれないようだ。
「本当に惜しいよ。君みたいな女性は何処にもいない」
幸子の身体を舐めるように視ている。
「それは弁護士としてですか?」
小倉の無遠慮な視線に幸子は苛立った。
「もちろん弁護士としてさ。君は優秀で何度も難しい裁判を勝訴にしたんだ。
何といっても法廷で戦う君の姿は美しく見事だった。
傍観者はもちろん、検察官や裁判官、法廷中の全ての人間を虜にしたんだからね」
まるで裁判に勝てたのは色気を使っていたからだという言葉に聴こえた。
「何が言いたいんですか!?」
幸子自身、そんな色眼鏡で視られる事を嫌い必死で努力した。
だからこそ、そんな事を言われるのが許せなかった。
「いやいや怒らせてしまったね。僕が言いたかったのは君の魅力はそれ程、素晴らしいという事だよ」
(何なの、この男!?)
いくら酔っているとはいえ小倉の言動はセクハラに値するものだ。
幸子の怒りは収まらなかった。
しかし、酔っているせいか小倉の様子はいつも以上におかしく、いつまでもこんな場所に
小倉と二人きりでいる訳にはいかなかった。

34: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 20:52:09

『29』
幸子は小倉の淫らな視線は相手にせず先へ行こうとした。
だが、幸子が小倉の横を通ろうとした瞬間、小倉は幸子の目の前で片腕を伸ばすと壁に手を着け
幸子の進行を防いだのだった。
「何をするの!?」
小倉の行動が大胆になっている。
助けを呼ぼうにも周りには誰もいない。
幸子はこのままでは本当に危険だと身構えた。
この行為が自分の勘は間違っていなかった、初めから予想していた通り、やはりこの男は危険な
淫獣なのだと幸子は確信した。
そんな幸子の様子を楽しんでいるのか小倉は不気味な笑みを浮かべた。
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか。また汗をかいてマンコが臭くなってもいいのか?」
(・・・えっ?)
完全にセクハラの域を越えた発言だ。
しかし、それよりも驚いたのは今のセリフはどこかで聴いた事があった。
(・・・あっ!)
幸子は昨日の電話での会話を思い出した。
「やっぱりあなただったのね!」
「・・・駄目だなぁ。酔ってるとはいえ墓穴を掘るなんて俺も甘い」
遂に小倉の本性が現れた。
言葉も今までの紳士的な雰囲気は感じられない。
「何故あんな事!・・・あなた自分が何をしたか分かってるの!?」
「仕方ないだろ。君がいけないんだぞ?そんな生意気な身体で誘惑してくるから」
普段からは想像がつかない程のニヤけ顔だ。
「幸子、初めて君を見た時の興奮は今でも覚えてるよ。
あの頃はまだ二十代、十分いやらしかったが今は更に大人の色気が増して俺に相応しい女になったなぁ」
小倉の身勝手な発言は続いたが、幸子には残る疑問があった。
「・・・部屋のカギはどこで手に入れたの?」
「あぁ、カギか。管理人の彼女、何て言ったかな?ちょっと相手をしてあげたんだ。
すぐに合鍵を渡してくれたよ」
まさかと思った。
男に興味無さげなあの管理人が色仕掛けにハマるとは。
だが、同時に納得も出来た。
外見はそれなりに良い紳士的な男、それが周りの小倉の評価。
大抵の女はこの男の誘惑に負けるのかもしれない。
「でも難関だったよ。最初は君の上司で調べたい事があるからカギを貸してくれって言ったんだが
貸してくれなくてね。だから最後の手段を使ったんだ。あんな女の相手をする事になるとはねぇ。
全く、君の為とはいえエライ目に遭ったよ」
そこまでして部屋に侵入し、行った行為があんな下劣な事だったとは。

35: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:01:35

『30』
「それにしても幸子、そのスーツ似合ってるじゃないか。俺は一番好きだなぁ。
さすが旦那の選んでくれたスーツだ」
「何故その事を知ってるの!?」
もちろん、由英から貰ったスーツだと小倉に話した事などない。
しかし、記憶を辿っていくと心当たりが一つだけあった。
数年前、忘年会でこの紺のスーツを着ていった時、同僚との会話でつい由英からのプレゼントだ
と話した事があったのだ。
その時、小倉も近くにいた事を思い出した。
つまり、このスーツは小倉が見忘れた訳ではなく敢えて残しておいたという事だったのだ。
由英から貰ったスーツを着させ、反応を楽しむつもりなのだろうと幸子は察した。
だが、そんな事は最早どうでもよかった。
目の前に犯人がいるのだ。
しかもそれは上司であり法に携わる弁護士なのだ。
絶対に許せるわけがなかった。
「弁護士が罪を犯すなんて最低な事よ。おとなしく自首しなさい。でなければ警察を呼ぶわ」
「警察ねぇ。幸子、忘れたか?そんな事をすればお前の家族が犠牲になるんだぞ。
お前は家族を巻き込みたくない、違うか?」
その言葉に幸子の勢いもしりすぼみになってしまった。
長年、幸子を付け狙ってきた小倉には幸子の想いを見破るなど造作もなかった。
幸子の苦しむ様子に興奮する小倉は更に幸子の怒りを煽った。
「自分の妻が他の男に弄ばれたなんて知ったら旦那はどれだけ傷付くんだろうなぁ。
情けない顔で取り乱した姿が目に浮かぶよ」
「パンッ!」
小倉が言い終わる瞬間、狭い通路に乾いた高音が響いた。
幸子は思わず小倉の頬を叩いてしまったのだった。
自分だけではなく家族の事まで侮辱されるのを許すわけにはいかなかった。
「最低っ!もう顔も見たくないわ!」
幸子は小倉を鋭く睨み付け、その場を立ち去ろうとした。
しかし、進路を塞ぐ小倉の腕が邪魔だった。
幸子は退かそうと小倉の腕を掴んだ。
「退きなさい!」
力づくで小倉の腕を壁から外すと、ようやく道が開いた。
この男から早く離れなければと幸子は急いで走り去ろうとした。
だが、その腕を離し小倉を通り過ぎようとした瞬間だった。

37: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:13:13

『31』
「パリンッ!」
ガラスの割れたような音がした。
幸子は思わず身体がビクッと驚いた。
振り返ると、小倉の手にあったワイングラスが無くなっている事に気付き、下を見た。
下には割れたワイングラスの破片が飛び散っていた。
小倉のその行動に驚き幸子は一瞬、動きが止まってしまった。
その瞬間だった、幸子はグイッと何かに引き寄せられる力を感じた。
その力に抵抗したが遅かった。
気付くと幸子は小倉の目の前に立っていた。
状況を理解するのに時間はかからなかった。
幸子が割れたグラスに気を取られた瞬間、小倉はその腕を幸子の腰に廻し自分へ引き寄せたのだった。
「ちょっ、離して!」
だが、幸子の怒鳴り声に逆らうように小倉は更に幸子の身体を引き寄せた。
抵抗するが、体格差があり思うようにいかない。
いつの間にか二人の身体はぴったりと密着していた。
「いい加減にして!こんな事して只で済むと思ってるの!?」
幸子は密着した身体を離そうと必死にもがいた。
しかし、やはり男女の差は大きく、その辺にいる男なら何とか抵抗できる自信があったが
小倉は意外にもがっしりとした体格で幸子の負けん気だけではどうにもならなかった。
「目の前で見ると本当にいい女だ」
小倉は目と鼻の先にある幸子の顔をまじまじと眺めた。
興奮しているからか幸子の腰に廻している腕に一層力が入り身体が押し付けられた。
幸子の身長は百六十前後で小倉は百八十前後、幸子は下から小倉を睨み付けて抵抗している。
小倉の視線は幸子から離れなかった。
顔を隅々まで視姦し鼻息が幸子の顔にかかっている。
淫らな視線は下へ移った。
丁度、小倉の鳩尾の辺りに幸子の胸があり、グイッと押し付けると柔らかくボリュームのある感触が
服の上からでも堪能できた。
スーツの中に着ている白いシャツは一番上のボタンが開いている。
中を覗こうにもさすがに谷間までは見えなかった。
だが、首筋から胸元にかけての艶のある白い肌は更に下にある豊満な乳房までそうであろうと
妄想を激しく掻き立てた。
幸子は下腹部の辺りに違和感を感じた。

38: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:20:00

『32』
とても人間の体の一部にあるものとは思えない、それは紛れもなく小倉の剛棒に間違いなかった。
異常な固さで下腹部に突き刺さる感触はまるで凶器だった。
押し付けられているだけでも犯されていると感じる程の恐怖があった。
衣服の上からでも幸子の肉付きを堪能するそれは更に膨張し幸子の下腹部に襲いかかった。
このままでは本当に犯される、幸子は何とかしなければと拘束された身体で何度も抵抗を試みた。
「フッフッフッ。無駄な抵抗はやめろ。ほら幸子、汗ばんできたぞ。またマンコが蒸れてるんじゃないか?」
幸子の抵抗を楽しむ小倉は卑猥な事を言うともう片方の手をポケットに突っ込んだ。
取り出した物に幸子は驚いた。
「それはっ!」
それは小倉が昨日、洗濯機の中から盗み出した幸子の下着だった。
「お前の下着だからな。肌身離さず持ってるんだよ」
そう言うと小倉はその下着を自分の顔へ押し付けた。
茶色のシルク生地のブラジャー、パンティが小倉の顔に押し付けられている。
目の前で自分の下着が小倉の顔に密着しているのを目撃した幸子は思わず目を背けてしまった。
「どうした幸子?お前の下着だぞ。恥ずかしがる事ないだろ。それよりも幸子、やっぱり臭うなぁ。
今日のマンコとどっちが臭いのかなぁ。ヘヘへッ」
下品な笑いを浮かべ、本当はかぐわしい下着だという素振りを見せず幸子の恥辱にまみれた表情を
小倉は堪能していた。
「まぁこんな下着はもう必要ないか。これから本物を味わうんだからな」
小倉は下着を顔から離すと再びポケットへしまい込んだ。
「お願いだからもうやめて!」
「幸子、お前が素直に受け入れればすぐに済む事なんだよ」
説得を試みたがやはり応じる訳がなかった。
鋭く睨み付けてはいるがさすがに幸子も疲労を隠せず呼吸が乱れてきた。
その表情は小倉の残虐性を更に高ぶらせた。
小倉は空いている方の手で幸子の髪を鷲掴みすると、また自分の顔へ押し付けた。
「きゃっ!」
鼻息を荒くし、髪を嗅ぐ強引な小倉の行為は幸子に抵抗する間も与えなかった。
髪をグシャグシャに掴まれたせいで綺麗に整えられていた幸子の髪型は崩れてしまった。
「幸子~、いい匂いだぁ。・・・もう駄目だ!我慢できんぞ!」
小倉は思いの丈を叫ぶと鷲掴みしていた髪を解放した。

39: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:30:24

『33』
引っ張られていた髪はようやく解放されたがホッとしたのも束の間だった。
髪を離すと、すぐさま小倉の手は次を狙っていた。
片方の腕は腰に廻して拘束している。
小倉はもう一方の腕も幸子の身体の後部へ廻した。
そして、その手は極上の肉付きであろう尻へ狙いを定めた。
幸子は次々に襲ってくる小倉の行為に対応できなかった。
気付いた時には遅かった。
一瞬、臀部に激痛が走り幸子はそれを確認した。
小倉の手は確実に尻肉を鷲掴みにしていたのだ。
スカートの上からではあるが親指は幸子の尻穴へギュッと食い込まれ片尻が鷲掴みにされていた。
「いやっ!」
身体を揺さぶり振りほどこうとするが小倉はがっしりと掴み、離さなかった。
スカートの上でもどんどん指が食い込んでいき尻肉のボリューム感を堪能できる。
小倉はゆっくりと力を抜くと再び指に力を入れ、揉みしだきはじめた。
小倉のその手はおぞましく完全に幸子を人としては見ずに自分の玩具として扱うような感触だった。
「幸子、少し脂肪が付きすぎじゃないか?!まるでメス豚だな!」
異常なまでに興奮しているにも関わらず幸子への恥辱を続けた。
幸子は必死の抵抗も虚しく、ただただ体力だけが奪われていき、幸子の片腕は小倉が拘束しているせいで
自由が利かなかった。
だが、もう一方の腕は小倉が尻を揉みしだくのに夢中になっている為、どうにか動かす事が出来た。
幸子は残った力で強烈な一発をおみまいしようと振りかぶり、小倉の頬を目掛けて打ち込んだ。
しかし、狙いすました一撃は頬に当たる寸前で手首を掴まれてしまい、届く事はなかった。
「やはりじゃじゃ馬はこうでなきゃな。お前の考える事はお見通しなんだよ」
力を振り絞った一撃も通用せず万策尽きた幸子は途端に身体の力が抜けてしまった。
これ以上の抵抗は無駄だという絶望感が襲っていたからだ。
小倉も幸子の変化に気付いたようだ。
「ようやく観念したか。全く、手こずらせやがって」
そんな事を言いながらも小倉の心中は今まで以上に落ち着きがなかった。
(まさかここまでとはな・・・)
小倉は改めて幸子の身体を見回した。
抑制力も限界に達したか、いよいよ本気で犯そうとした。

40: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:40:17

『34』
小倉は幸子へ強引に身体を押し付けた。
余力の残っていない幸子は踏ん張る事ができず、その勢いでドンッと壁に押し付けられてしまった。
前には小倉、後ろには壁があり幸子に逃げ場は無かった。
小倉は腰に廻していた腕を解放すると大きな手を利用し片手で幸子の両手首を掴んだ。
身体の前で両手首を拘束されグイグイと身体を押し付けられる幸子、もはや万事休すだった。
「さて、どうしようか。・・・そうだ。まずはその生意気な口にお仕置きしないとなぁ」
小倉が始めに目を付けたのは唇だった。
張りがあり量感も十分で程よく厚めな唇は極上の感触に違いない。
小倉はその唇に自分のいきり立った剛棒をくわえ込ませればどんな快感が待っているのだろうという
興奮に酔いしれた。
耐える事をやめた小倉はもう一方の手で幸子の両頬を掴んだ。
指が頬に食い込み幸子の唇は突き出す形になっている。
小倉はゆっくりと顔を近付けた。
気持ちではまだ抵抗しているが、やはりどうにもならなかった。
このまま小倉に犯されてしまう。
(あなた、ごめんなさい)
そんな幸子の中に、ある人物が現れた。
もちろん、幸子の最愛の人である由英だった。
由英の笑顔、家族との団欒の日々、その光景が浮かび出してきた。
その瞬間、幸子はまだ諦めてはいけないと再び気力を持ち直したのだった。
火事場の馬鹿力なのだろうか、体力は残っていないが気力だけは失っていなかった。
(あなた、晶・・・)
そんな幸子の心情どころではない小倉は標的の唇に夢中だった。
どんどん唇に近付き、お互いの鼻が当たる距離まで来た。
強烈な女臭が小倉を襲い、もう我慢出来なくなり小倉は強引に唇に吸い付こうとした。
だがその瞬間、小倉の体に激痛が走った。
「ぎゃあ!」
あまりの痛みに思わず幸子から離れた。
突然の事で驚いたが激痛の箇所はすぐに確認した。
それは予想だにしない箇所、足の甲だった。
何と、幸子は気力だけで足を振り上げると小倉の足の甲へ踏みつけたのだった。
いくら革靴を履いていても尖ったヒールに踏みつけられたら無事で済むはずはない。
家族への想いが乗った幸子の起死回生の一撃で状況は一変した。
二人とも息遣いは荒いが睨み合っていた。
幸子はここからどう逃げ出すか、小倉はどう拘束するか、二人は次の一手に悩んだ。
すると、その緊迫した空気にある人物が入り込んできた。

41: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:45:21

『35』
「あれ、牧元さん小倉さんどうしたんですか?」
その声のする方向は廊下からだった。
狭い通路を覗き込むように声をかけたのは幸子の後輩だった。
どうやら今来たばかりで一部始終の様子は見られていなかったようだ。
とにもかくにも幸子はその後輩の存在で救われた。
いくら小倉でも手出しは出来ない。
ホッと溜め息をつくと再び小倉を睨んだ。
そして、小倉にだけ聞こえる声で忠告した。
「今までの事は全て忘れてあげるわ。でも、これ以上またこんな事したら今度は絶対許さないわよ!」
幸子はその捨て台詞を最後に小倉から立ち去った。
「何かあったんですか牧元さん?」
「別に何も無いわ。行くわよ」
後輩を連れて足早に歩く幸子は小倉から受けた凌辱をただ見逃す事しか出来なかった。
まだ小倉に尻を揉まれた感触、あの醜悪に満ちた顔が残っている。
・・・気付くと幸子はアパートに戻ってきていた。
どうやって戻ってきたのかは覚えていない。
只、何も出来なかった悔しさに涙が溢れそうだった。
しかし、小倉の言う通り今回の出来事を家族に知られる訳にはいかず、公にする事は出来なかった。
とはいえ、ここまで身体を弄ばれたのは初めてだった。
今までどんな男にも対抗してきた幸子にとってはショックが大きかった。
だが、幸子はこの先に幸せな生活が待っているであろうと落ち込んだ気持ちを奮い立たせた。
その為に小倉という凶悪な淫獣を見逃す事までしたのだ。
誰にも知らせていないのだからしばらくは居場所も気付かれないだろう。
万が一また目の前に現れた時には容赦はしない、そう心に誓い幸子は眠りについた。
翌日、幸子の住むアパートには引越し業者が来ていた。

42: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:54:31

『36』
昨日のうちに、ほぼ全ての私物を捨てたおかげで荷物は少なかった。
衣類はもちろん、家具なども全て処分してもらう事にした。
必要最低限な物、例えば仕事に大切な書類などだけを持っていき後は必要無かった。
また必要な物があれば向こうで買えば済む話だ。
しかし、幸子には一つだけ捨てれない物があった。
それは紺のスーツ、スカートだった。
昨日あれだけ小倉に凌辱された嫌な思い出のあるものだが、それよりも由英からのプレゼントだと
いう事の方が幸子には大きかった。
敢えて着る事で忌々しい記憶を由英の愛で消し去ってしまおうという事だ。
衣類は全て処分したのでそのスーツは今も着ていた。
業者の男達はもちろん、幸子の美貌に見惚れていた。
(そそる身体だぜ)
(やらしいケツ突き出しやがって!)
幸子がタンスの後ろに何か落としたらしく四つん這いになって探していた。
スカートは短くはないが後ろにスリットがあり太ももが見えそうだ。
このままスカートを脱がせばどんな光景が飛び込んでくるのだろう。
男達は股間の膨みを抑える事ができなかった。
「取りましょうか?」
「え、えぇお願いします」
口実を見つけては近付き間近で幸子を視姦する男達だった。
そんな業者の卑猥な視線を感じてはいたが今の幸子には関係無かった。
ようやく家族の元へ戻れる、それだけだった。
全て片付け終わると部屋の中はきれいさっぱり何も無くなり、幸子はいい思い出も悪い思い出もあった
アパートを後にした。
もしかしたら小倉がやってくるのではと心配していたが、昨日の忠告が効いたのか姿は見えなかった。
幸子は、約十年間住んだ都会に別れを告げ新幹線に乗り込んだ。

43: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/04/16 21:56:57

『37』
数時間、新幹線を乗り継ぎ幸子は遂に我が家へ戻ってきた。
「ただいま~!」
幸子のその声を聞き二人は玄関に出迎えにきた。
「おかえりなさい。あれ、何でスーツ姿なんだ?」
「えっ?・・・まぁいいじゃないそんな事!」
「そうだな。やっとお前が帰ってきたんだからそんな事どうでもいいか」
その言葉で幸子は忌々しい記憶を全て忘れた。
家に入ると早速家族の時間を楽しんだ。
幸子はこれから幸せな日々が始まるのだと胸を踊らせた。
だが、これから待ち受ける生活が本当の地獄の始まりなのだと幸子はまだ知らなかった。
第1章 完

45: 投稿者:鳳雛 投稿日:2012/04/22 06:54:28

続きを是非お願いします。
更新を楽しみにしています。

48: 投稿者:(無名) 投稿日:2012/05/14 21:51:30

第二章の始まりはまだでしょうか?

49: 投稿者:マイペース ◆e5QcYAlxuU 投稿日:2012/05/15 14:04:54

すいません、遅くなってます。
現在、鋭意制作中ですが今月は忙しいので今月中に載せられるかは微妙です。
話の全体としては4章位になる予定です。
既にオナニーで話は完結しています。しかし、書くとなると自分の興奮度がしっくりこないと
中々進みません。
それと本来、第1章は序章にする予定でしたが意外に多くなったので1章としました。
第2章からは更に多めの内容になると思います。
なので全体としては4章位に分けられますが、章内でも細かく話は分けられます。
自分としては、そこまで書けたら載せようと思っているので載せるまで時間がかかるかもしれません。
そこを考慮していただければ幸いです。
ちなみに独り言として幸子という名前以外は仮名、架空の人物です。

引用元サイト:
官能小説の館|ナンネット
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