こんばんは。
今日も書いてく
そこから一ヶ月くらい、ゆきさんによる報告書という名のメールがはるの携帯に届くようになった。
週に2回。
バイトの次の日だった。
ゆきさんは、律儀に、どんな様子だったか、どんな仕事をしていたかまで報告していた。
はるは、ゆきさんからのメールを楽しみにするようになっていた。
普通ならそんだけ恋人が見られてるのって、それこそヤキモチ妬きそうだけど、はるは違った。
ある日はるが、ゆきさんと遊びに行くと言いだした。
何を考えてるか、分からなくて怖かったけど、
「一緒に行こうか?」と言うと「あかんよー」と流された。
そしてそのまま出て行った。
ゆきさんとはるが、私抜きで会うなんて。
何をしてるのか。
このときゆきさんを信じていた筈なのに、二人で私を貶めようとしてるんじゃないかって考えてた。
私も病んでたんだなって、今になって思う。
はるはすぐに帰ってきた。
はる「ゆきさん帰っちゃった。」
はるがまた何かやらかしたんだ、そう思った。
バイトでのゆきさんの態度は変わらなかったけど、なんとなく何があったのか聞けずにいた。
ゆきさんもはるの話をしなかった。
怒っているんだろうと思った。
そのまま私たちは三年生になって、ゆきさんはバイトを卒業することになった。
就職が決まったみたいだった。
ゆきさんは賢い高校に行っていたし、進学するものだと思っていて、バイトもこんなに急に辞めるなんて、思ってもいなかった。
こうなったら、ちゃんと聞かないといけない。
ゆきさんと上がりが一緒になった日。
私「ゆきさん。ちょっといいですか」
ゆきさん「おー。いいよ。」
私「あの日何があったんですか。」
ゆきさん「……聞いてまうんか。」
とうとうか。みたいなニュアンスだった。
ゆきさんは、シェイク買って来ると言ったけど、珍しく私が奢った。
ゆきさん「私なあ、はるちゃんに自分の彼氏を紹介したんよ。ほんまにおるんやってこと、わかってほしくて。」
>>88
読みたい
レズ物でハラハラドキドキだから
多分江戸川乱歩だと思う
>>93
聞いたことある!
レズ物なのか…
ゆきさんは、彼氏を連れてはるに会いに行ったらしい。
ゆきさんの彼氏が、今日近くまで迎えに来ると行ったから、一緒に話を聞くことにした。
ゆきさんの彼氏は勇輝さんと言って、10歳年上の社会人だった。
同年代とばかり思っていたので、急に緊張した。大人の男性と付き合ってるひとなんて周りにいなかった。
勇輝さんは、ひょろ長くて、色白のイケメンだった。
小さいゆきさんと並ぶと更に大きく見えた。
勇輝さんは私に「聞いてるよー、香奈ちゃんやんな」と言って、車でファミレスに連れてってくれた。
もちろんこの間も、メールが来っぱなし。
私は、家に帰っている途中だと嘘を吐いた。
勇輝さん「あの子なあ、俺もはよ離れた方がいいと思うわ。」
ゆきさん「私も思う。」
私「何があったんですか。」
勇輝さん「こいつ(ゆきさん)の首絞めてん。」
私「は!?」
驚くと共に、はるなら「やりかねない」と思った。
勇輝さん「俺を見てまず、
「ほんまにゆきさんと付き合ってるんですか?」って言ってなあ。
付き合ってるよって言ったら、あなたみたいなおじさんが?みたいな顔で見られたわ。傷ついた…」
ゆきさん「まあ、三十路前やしなあ。」
勇輝さん「うるさいわ。んでな、いきなり、
「目の前でキスしろ」て言われてんな。」
ゆきさんは頷いている。
勇輝「それがもうすごい形相でなあ。めっちゃ怖かったから、最終的にはしてん。人前でちゅーする意味わからんかったわ!」
ゆきさんは苦笑している。
勇輝「まあ、でもそんなん可愛い方やった。
あの子は、「2人はセックスしてるんですか」って言うてきた。俺紅茶吹きそうなったもん。」
ゆきさん「私も吹きそうなったわ「
イケメンの口から出るセックスという単語にやたらとドキドキした。
勇輝「いやー、まあ、ね?みたいに適当答えたら、もうすごい食い付いてくるねん。週何回やとか、どんなことしてるとか。そんでそれを見せろ言われてな。」
見せろ?
勇輝さん「目の前でヤれ言うから、無理やって言ってた。そしたらまあ怒り出してな。」
ゆきさん「で、私がもうええやろって言ったら首元掴まれてなあ。」
勇輝さん「無理やり引き剥がしたけど、すっごい力やったわ。」
勇輝さんがゆきさんの頭を撫でた。
ちょっときゅんきゅんした。
けど、それを聞いて、気持ちは随分冷めていた。
はるへの情はもうなかった。
恥ずかしかったし、申し訳なかった。
「ごめんなさい。」
深々と頭を下げて、2人は笑って「香奈のせいちゃうやろ」と言ってくれてたけど、自分のせいだと思った。
私は、はると別れることを決意した。
付き合いはじめて、2年が経ってた。
いつも通りの朝。
朝早く家を出て、朝からヤりたがるはるをかわした。
「こういうの、もうやめたい。」
はるは、私を見てた。
私もはるの肩あたりを見てた。
はる「何で?」
私「もう、ついていけん。はるのやることが怖い。」
はる「別れたいってこと?わかった。」
すんなり受け入れられた。
私は拍子抜けした。
その日、はるはいたって普通だった。
一緒にお昼を食べた。
いつも通りだった。
ただ、放課後になると私を置いてさっさと帰ってしまった。
あれだけ来続けていたメールは止まった。
気味が悪いほど静かな夜。
忘れ去っていた感覚で、1日経つのがめちゃくちゃ遅かった。
携帯ばかり見てた。
はるとのメールをしない夜に、何をして過ごせばいいのか全く分からなくなっていた。
都合悪く、次の日は土曜日。
私はモヤモヤしたまま休みを過ごした。
はるからの連絡はない。
日曜日。
連絡は、ない。
別れてしまったら、こういうものなのか。
安堵感や開放感より、何かに焦っていた。
私はなぜか、はるからの連絡を待ち続けていた。
ずっとメール画面の、今はあんまり覚えてないけどセンター問い合わせ?みたいなのを押し続けてた。
連絡が全くないまま、月曜日になった。
こんなのは出会ってから、はじめてのことだった。
もう行かなくていいのに、めちゃくちゃ早く教室に行った。
はるはこなかった。
その日、はるは学校に来なかった。
担任が休みを告げる。
私の視界が真っ暗になった気がした。
いつの間にか依存してたのか、今となってはわからないけど、この時とにかく焦っていた。
お昼休憩。
お弁当を一人でたべる私。
携帯を開いて、はるからのメールを見返してた。
「愛してる」
「香奈は私の」
「もしも別れることがあったら、私は生きていけん」
「香奈に殺してほしい」
「香奈以外は必要ない」
愛情の羅列しかなくて、雑談みたいなのはほとんどなかった。
ただひたすら愛情表現。
はるのメールは短かったけど、だいたいがこういうものだった。
とうとう私からメールした。
「大丈夫?体調悪いん?」みたいなメールを送った。
結果から言えば次の土曜日まで返ってこなかった、し、
はるは学校にも来なかった。
毎日宙ぶらりんな感情で過ごし、やたらと吐いて、ちょっと痩せた。
というかやつれた。
このままはるに一生会えないのかと思っていた。
土曜日の朝。
はるからメールが来た。
「今から来て。」
完全にバカだと思われること、理解してる。
私は、メールが来た瞬間はるの家に向かった。
バカだと思う、自分でも。
でも駄目だった。頭の中ははるでいっぱいだった。
会いたかった。
自転車飛ばして、はるの家に着いたら息つく間もなくチャイムを押す。
すぐにはるが出て来た。
何も変わらない。
はるを見た瞬間涙が出そうになったけど、堪えた。
久しぶりにはるの部屋に上がった。
実際は一週間ぶりくらい?大して経ってないんだけどね。
部屋もいつも通り。
乱れた様子も全くない。
はる「…会いたかった?」
私は答えなかった。
動揺していて答えられなかった。
自分から振ったのだ。別れを申し出たのは自分だ。
そんな都合のいいことは言えなかった。
依存って怖いな
>>108
本当だよね。
今思えばもっといろいろやりたいこともあったけど、
私にははるだけだった。
はる「会いたくなかったん?」
私「いや……は、はるは…?」
なぜだか問い返してた。
それこそ聞いちゃいけない気がする。
はる「どうかな…」
はるの返事に、物凄いショックだった。
もうはるの愛情は冷めてしまったのだと。
私が終わらせてしまったのだと思った。
私「ごめんな、はる…」
はる「何が?」
私「いや、傷付けて」
突然突き放すって洗脳によく使う手だよね
>>113
そうなの??
ほんと、一番効くと思う。精神的にやられる。
はる「何言うてるかわからんけど、自覚あるんや」
私「ごめん」
はる「いいよ。」
私「怒ってるん?」
はるはそこから黙った。
その日は、たったそれだけで帰った。
はるは見送ってもくれなかった。
寂しくて仕方なかった。
どうしたら許してくれるのかばかり考えてた。
そうして結局、私からヨリを戻したいと申し出た。
こっから卒業するまで、私は前の生活に戻った。
ちょっと違ったのは、はるからだけじゃなく、私からも電話をするようになったり、デートに誘うようになった。
私の世界は、私とはるの二人だけだった。
バイトも辞めた。
受験生だったけど、二人とも同じ大学に行くためセンター試験待ちだったから、特に変わったこともなかった。
そんな難しい大学じゃなかったしね。
この時が一番幸せだったかもしれない。
卒業して、大学に行き始めてもはるとは相変わらずだった。
親には、ルームシェアをすると言い、相手ははるだと言ってあったから
難なく同棲を始めた。
はるとの生活を始めてすぐ、私の持ち物から手紙が見つかった。
ゆきさんが書いたメモみたいなもので、「今日もはるちゃんには誰とも喋ってないって報告しとくなあ!」みたいなものだった。
この時は、はるの化粧品台が丸ごと飛んで来た。
はるは料理ができて、だいたい作ってくれてた。
何が入ってたかなんて聞きたくないけど、たまに記憶が飛んだ。
大学に行ってたといっても単位落とさない程度で、バイトもしてなかったし、毎日私の時間ははるのものだったし、それで良かった。
そんなまま。
毎日が過ぎて。
21歳のときだった。
ゆきさんと再会した。
>>121
そうだよなあ…
大学の帰り道だったと思う。
突然後ろから声をかけられた。
ゆきさんだった。
相変わらず可愛かったけど、髪がばっさり、ベリーショートになってた。
ゆきさん「香奈!」
私「ゆきさん?うわ、久しぶりですね!!」
ぶわわって、懐かし気持ちになって、思いきり抱きしめ合った。
もちろん、はるはいないからできること。
ゆきさん「うわー香奈ーなんしてんのもー!全然連絡も返さんし!!」
ゆきさんと会ったら、どんどん麻痺した感覚が戻って行くような感じがした。
ゆきさんは私のことを根掘り葉堀り聞いてくる。
今何してるのかとかどこに住んでるのかとか。
あんな、迷惑かけたのに、優しい人だなと思った。
ゆきさんは相変わらず勇輝さんと付き合ってて、なんだかすごく眩しく見えた。
ゆきさん「勇輝君も、心配してたで。香奈あの後大丈夫やったん?」
せっかく別れたのに、またヨリを戻しましたなんて、私からは言えなかった。
ゆきさんは私の表情を見て、固まった。
ゆきさん「………あの後どうなったん?」
私は、全部話した。
今も付き合ってることも。
途中から堰き止めてたものが壊れたみたいに、めちゃくちゃ泣いた。
ゆきさんは真面目に聞いてくれたし、終始真顔だった。
ゆきさんのまっすぐな目を今も忘れられない。
全部話し終えて、ゆきさんはただ一言、
「あほやなあ。」
と言った。
そして誰かに電話していた。
ゆきさん「すぐ来てー。◯◯のファミマのとこ。」
電話を切って、「ちょっと待っときや。」と言って、ファミマに入っていった。
コーヒーを買って来てくれた。
ゆきさん「コーヒーシェイクはなかったわ♡」
最高にキュートだった。
>>130
釣りじゃないんだ…
ほどなくして、勇輝さんが来た。
ゆきさん「おー。これな、香奈やねん。」
勇輝さん「うっわ久しぶりやん!連絡もせんと!!何してたん!」
だいたいゆきさんと同じような反応だった。
ゆきさん「でな、まだ終わってないらしいねん。」
勇輝「なにが?」
ゆきさん「あいつやん!」
勇輝「えっ」
ゆきさん「まだ付き合ってるて」
勇輝「はあ?え、なんで?」
みたいなやりとりをしてた。
この二人のやり取りを見てて、やっぱり私がおかしいんだなってのは感じてた。
でも、今更どうしていいかもわからなかった。
そして、“普通”に恋愛している二人を、心底羨ましく思い、再び自分を恥ずかしいと思った。
勇輝さんが、どうにかしてやらなきゃ!みたいなこと言ってる間に私の気持ちはスーッと冷めて、「大丈夫。もう決めた。はると別れます。」と言い切った。
二人とも「何があった?」みたいなかんじ。でも、私はすっきりしてた。
帰るとはるが晩御飯を作ってた。
なんでLINEの返事を返さなかったかしつこく聞かれたけど、「忙しかった」と答えたら、この世の終わりみたいな顔をしてた。
はるの言葉に何も答えず、荷物をまとめた。
途中、殴られたけど、無視した。
はる「どこ行くん!?」
私「実家帰る。もう別れよ。ごめんな。」
それだけ言って家を出た。
正直持てない大きさのものもあったけど、まあ捨てるくらいの気持ちで。
お母さんに、「はるとケンカして帰って来た!」と言った。
お母さんは爆笑していた。
あんたがなんかしたんやろーて。
ゆきさんにも連絡した。
冷めてしまうと、なんてことなかった。
今までのが嘘みたいに。
何にも気にならなかった。
1回目別れたときみたいな、焦燥感はなかった。
私は、そのままの勢いで大学をやめた。
メールも電話もめちゃくちゃ来てた。
良くある、死ぬ死ぬ詐欺みたいなものはなかったけど、
その分、離れているうちに私が耐えられなくなる自信があるようだった。
まあ、1回目のことがあるしね。
こっからまだなんかあれば面白いんだろうけど、残念ながら何もないんだ。
さて。
大学やめて、やることもない。
私には友達も彼氏も、何もない。
不思議と寂しくなかった。
ああやっと終わったんだなってかんじ。
そのうち、はるのことも忘れていく
それだけで、やり遂げた感みたいなものがあった。
そして今。
私は、真面目に仕事してる。
誰の下についても、メンタル強いねって言われるwww
あれから、はるには会ってない。
どうなったかも知らない。
着拒だしブロックだし、連絡も取りようないと思うけど、うちにおしかけてきたりはしてない。
ただ、
男性に対しても女性に対しても、恋愛する気になれない。
好きになれない。
友達や、同僚にさえ、心が開けない。
仲良くなるのが怖い。
ゆきさん以外に、プライベートで会う人はいない。
何をしていてもはるがちらつく。
携帯を何度も確認する癖が治らない。
これが治るまでは、はるから逃げられたと言えなくてスレタイ。
タイトルだけ見たらまだ繋がってるみたいな書き方だね、ごめんなさい。
とりあえず私の話はこれで終わりです。
長くなってしまいましたが、聞いてくれた人ありがとう。
質問とかあれば答える。
かなり強く殴られてるの?
>>140
かなり強かった。
痣になったし、毎日たんこぶできてた…
>>142
そんなかんじ、もう、スーッと冷静になるかんじでした。
>>144
ありがとうございます!
思ってたよりいっぱい見てくれた。゚(゚´ω`゚)゚。
oh…
あんま意味ないのかな
>>146
一回買い換えたよ!
よかったわ~^^
>>148
ありがとう…話的にはつまらなくてごめんね…
>>150
うーん、やっぱそういうものだよね。
私としてはちゃんと男の人と付き合ってて欲しい
恐ろしい復讐劇が始まるのかとドキドキしてたけど、そういうのはなくて良かった
時間が解決してくれると思うから、趣味とかあったらそっちに没頭するといいかもね
人って暇だから悩むって言うしw
>>154
ありがとう!
とりあえず今は仕事に打ち込むことにする!
>>155
ほんとだよね。
あの日がなかったら、ずっと続いてたと思う。
おまけ的なかんじだけど、
勇輝さんは警察官だった。
ついでにゆきさんも警察になった。
ゆきさんがいきなりショートにしたのは警察学校?だったからだって
その二人の結婚式が、今年8月にある。
途中戻ってきたのは眠れなかったからか?
暴力や束縛が激しい相手のようだから物理的に距離を置くことができてひとまずよかった
あとはゆっくりゆっくり傷を癒していくんだよ
俺も一回捕まったけど、ひたすら自傷に走るばかりだった
たくさん見てくれてありがとう!
これで失礼する。
保守してくれたひともありがとうね。
またどこかで。
みんなヤンデレには気をつけてね!
辛い(楽しいところもあったでしょうけど)過去は忘れて
楽しい未来を生きてくださいね~^^
ゆきさんの婦警姿が見たい(笑)
はると通ずるとこあって気を付けねば…ってなってる
すごく良かった