加藤メカ「キモチイイノォ?ネェ?キモチイイノォ~?」ウィーン
愛音ゆう「あぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁあ!!!」
加藤メカ「あぁあぁああぁあぁあ~すごいぃ~」
吉村卓「スゲー!今日の鷹さんいつにもまして凄まじいスタミナだ!」
加藤メカ「フォルムチェンジ・千手観音!」
ワサワサワサワサワサワサワサ…!
愛音ゆう「!?」
吉村卓「スゲー!いろんなとこから腕が出てきた!鷹さんやっぱりスゲー!」
加藤メカ「あっあっあっ!ぁはあぁあぁあ゙~……」
ニュルニュル……
愛音ゆう「!?」
吉村卓「さらに手から触手が出てきた!凄すぎる!」
愛音ゆう「あ、ああ……いや……」ガタガタブルブル
愛音ゆう「あぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁあ!!!!」プシャアアアアアア!!
加藤メカ「生身のAV男優には出来ない技だよぉン」
スタッフA「鷹さん、お疲れ様っす!」
スタッフB「いやー、噂にゃ聞いてましたがあたし感動しました!これが鷹リズムなんですね!」ジーン
スタッフC「よっ!鷹さん神の子不思議な子!」
監督「……」
加藤メカ「あぁあぁあ~あっそぉン。じゃあ確かに仕事はしたからねぇ。次回の依頼もスイスの口座に振り込まれたのを確認次第、現場に行くからぁ」ガシャン ガシャン
ガチャ
加藤鷹「ごめん遅れちゃったぁ~ン」
吉村卓「た、鷹さん!?今さっき仕事して帰ったはずじゃ……!」
加藤鷹「えぇ~ン?今来たけど?ん?今来たけど?ぁすごいぃ~」
吉村卓「そんなまさか……」
監督「やはりな……」
愛音ゆう「ビクンビクン」
加藤鷹「これはぁン――」
監督「今日お前がマッチアップする予定だった女優だ。お前の偽者がやったんだよ。あるいは『偽物』がな」
加藤鷹「代々木監督ぅ!いらっしゃっていたのですね!!」
監督「あぁ、いたね。ずっといた。お前さんよぉ、相変わらず仕事内容やら聞かないで、とりあえず依頼受けて、とりあえず現場に来るのな」
吉村卓「そしてとりあえず脱ぐんですよね!」
加藤鷹「そしてとりあえずエッチしちゃう~あぁあぁあ~」
監督「何にせよ、これではっきりしたな。さっきのは偽の鷹……目的は分からんが、ろくなもんじゃなさそうだ。鷹よぉ、お前、何か敵に回したか?」
吉村卓「やっぱり……鷹さんほどの竿師ともなれば狙われることもあるんでしょうか?」
監督「なくはねぇだろうな。加藤鷹を倒して名を上げたい、カリスマ男優にとって代わりたい。んな輩がいねぇとは限らねぇさ」
吉村卓「そんな……」
監督「んで、どうすんだい鷹。しばらく身を潜めるか?え?」
加藤鷹「どうもこうも、自分はAV男優ですよ?監督」
加藤鷹「何があろうと、例え世界が終わるその日でも――」
ビン!!
加藤鷹「――勃起すべき時に勃起し、射精すべき時に射精する」
加藤鷹「ただそれだけですよ」
監督「……ふっ、愚問だったな」
ガチャ――
マグナム北斗「くぅぅぅぅぅぅォォおらぁァァァァアアアア!!!!加藤鷹ァァァァァァアア!!!!!!」
加藤鷹「あ、マグやん久しぶりぃン」
!
吉村卓「あれ、マグさん」
マグナム北斗「ぬわぁぁぁああにが久しぶりじゃ、こんアホんだらァァァァァァァァァアアアア!!!」
ボロン!!!!!!!!
加藤鷹「あぁあぁあ゛~どうしたのぉン?ねぇ?おこなの?ん?げきおこなのぉぉ?その物騒なマグナムしまわないのぉン?」
吉村卓「お、落ち着いてくださいよ、マグナムさん!何があったんですか!?」オロオロ
マグナム北斗「引っ掛けた女とヤるはずだったのに、シャワー浴びてる間にこいつが寝盗ったんや!!」
監督「相も変わらず喧しい男だな。鷹、お前の偽物の仕業だぞ」
加藤鷹「そのようですねぇぇぇン」
マグナム北斗「問答無用じゃァァァァァァァァァアアアアッッッ!!!!!!!!!!」
加藤鷹「代々木監督、卓、下がっててください」
――ガキィン!!!
加藤鷹「それを収めてくれないかなぁン。ねぇ?あっ……代々木監督の仕事場を戦場にしたくない」
マグナム北斗「きさんがくたばったらなァ!!」
加藤鷹「あっあっあぁあぁあ゙~すごい」
ギリギリ…!
スタッフA「鷹さんが後退してる……!?」
吉村卓「そ、そんな!鷹さんが押し負けているのか!」
監督「まだまだ世界を知らんな、お前達」
吉村卓「代々木監督……」
監督「確かに鷹は稀代のAV男優だ。総合力では最強だろう。だが、最強であって、決して『無敵』というわけではないのだ」
監督「この界隈は広く、そして深い。いかに鷹が優れた竿師と言えど、一分野に於いては鷹を上回る、という者は希少ながら存在する」
監督「あの男、マグナム北斗もその一人よ。奴は鷹より四年遅くに生まれたが、より早くにデビューした、謂わば先輩男優にあたる。早々に引退こそしたが、紛れもなくAV黎明期を戦い抜いた一流の男優だ。
さしもの、最大26センチを誇るというマグナム北斗の巨根に真っ向からのぶつかり合いをしては、鷹も分が悪いといったところだろうな」
ヴォン!ヴォン!ガチッ!ヴォン!ヴィン!ガキィン!ガキィン!!
加藤鷹「とっくに卒業したはずなのに、やるねぇン」
マグナム北斗「やかまし!引退してもオメコは出来るわ!」
吉村卓「そんなぁ……」
スタッフB「鷹さんが勝てないだなんて……」
監督「勘違いするな。『真っ向からのパワー勝負』に於いて、マグナムに一日の長があるというだけだ。鷹の本来の武器、それは――」
加藤鷹「大人しくしてくれないなら、ちょっと手荒な手段に出させてもらうねぇン」スッ……
監督「――そう、指。ゴールドフィンガーとまで謳われるあの指よ」
吉村卓「(胸の前でカーブした二本貫手をクロス――あの構え、鷹さんの本気だッ!!)」
キンキンキン!!
マグナム北斗「俺の巨根を指でいなしてるやとぉ!?それどころか……捌ききれん……!?」
キンキンキンガキィィィィィィィン!!
マグナム北斗「~~~~~~~ッッッ!!!」
ズザザザザー……!
吉村卓「まともに受けた!ガードの上からでもダメージは甚大だ!」
監督「並みの男優ならこれで戦闘不能だろう。だが、さすがは元自衛官。ずば抜けた耐久力だな」
加藤鷹「とどめいくよぉ?ん?いっちゃうよぉ?ねぇ?いいの?あ…イッちゃうよぉン?」
マグナム北斗「来るなら来いやァァァァァアアアアッッッ!!!!
マグナム砲、見舞ったらァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!!!!」シュッシュッシュシュシュ!
加藤鷹「んふぅ~ン」タタタッ
吉村卓「背中を向けて逃げ……否!」
加藤鷹「ちょっと君のおまんこ借りるねぇ~ン」
スタッフB「ええ///そ、そんな困りますっ。で、でも鷹さんがどうしてもと仰いますならアアアアアアアアいきなァァァアアァァアアァ!///スゥーオーイェス///」
ズズチュズチュ
スタッフB「ふわぁァァァァァァアアアア!!」
マグナム北斗「イクでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええッッッ!!!!」シュッシュッシュシュシュ!
加藤鷹「風よし。感度よし。方向よし。いくぅ?ねぇ?どうなの?いっちゃうのぉぉン」
スタッフB「イクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううッッッ!!!!」
加藤鷹「いってらっしゃいン」
プシャアアアアアア!!!!!!
ドピュルルル!!!!
カッ――
パラパラ……
吉村卓「どうなったんだ……ミルク色の霧で何も見えない……」
スタッフA「霧が晴れ……ひ、人影が!一人は立ってる!」
スタッフC「勝ったのはどっちだ!?」
加藤鷹「ビデオって結局撮ってるモノは『エロ』じゃなくて、男優にしろ女優にしろ『人間』なんだよ。
被写体に対して『この人はどういう人なんだろう』って知ろうとしない奴が撮ってもいいものは出来ないと思うよ」
吉村卓「鷹さん!」パァ
加藤鷹「ンあぁあぁあ~」
スタッフB「あへ~」ダブルピース!
マグナム北斗「ギギギ……」ピクピク
加藤鷹「フやりすぎちゃったぁン」
そして――
マグナム北斗「なんやて加藤!!お前の偽者が出たァ!?」
加藤鷹「んふぅぅぅううう……そうなんだよねぇぇン」
マグナム北斗「ま、まぁ正直すまんかったわ」
加藤鷹「許してあげるよぉン。許してあげていいのぉン」
マグナム北斗「せやけど加藤!!一体誰が何のために……」
監督「む……」
監督「……また客人が来たようだぞ」
パリーン!シュタ!
チョコボール向井「酷いじゃないか鷹さぁああぁあああぁあぁあんッッ!!!」
ガチャ!
ピエール剣「よくも私の亜璃沙を寝とりましたねええええええ!!!!」
加藤鷹「ン困っちゃうぅ~」
マグナム北斗「しゃあないのー、手伝ったるわ」ボロン!
吉村卓「僕も加勢しますよ!」ボロン!
監督「――喝ッ!!!」
男優s「!?」ビクン
監督「ここは戦場じゃない。濡れ場だ」
男優s「は、はい!代々木監督!!」ビシッ
チョコボール向井「ええ!ニセモノだって!!俄には信じがたい話ですが……」
ピエール剣「私は最初から信じてましたぞー!」
マグナム北斗「ともかく、他の竿師や女優、AVメーカーにも情報を早よ回すんや。
俺も俺で他の界隈から奴を追う。濡れ場のあるところに出没するなら、捕まえやすいわ。
…偽加藤鷹の尻尾、掴んだらなあかん」
チョコボール向井「了解ですよ、マグさん」
ピエール剣「御意に!」
マグナム北斗「頼むで」
吉村卓「マグナムさん、顔に似合わず優しいんですね」
加藤鷹「マグやんありがとうぅ~ンン」
マグナム北斗「ア、アホウ!ただの罪滅ぼしや!」
加藤鷹「でも、向こうから会いに来てくれる気がするんだよねぇン」
1カ月後――
加藤鷹「大丈夫ぅぅンン?」
吉村卓「鷹さん……僕は何とか軽い怪我で済みましたけど、しみけんが……!」
島袋浩「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!目を覚ませケェェェェエンッ!!」
しみけん「シュコー…シュコー…」ピッ…ピッ…
吉村卓「命に別状はないそうですが、しばらくAVには出られないそうです……クソ!」
マグナム北斗「今月に入ってから犠牲者はこれで五人目や。剣崎進……ゴロー……小田切ジュン……しみけん」
加藤鷹「?……あと一人はぁンン?」
マグナム北斗「……さっき連絡があってな。あの人がやられた……」
マグナム北斗「スカトロの申し子、山本竜二が……!」
加藤鷹「竜ちゃんが……!」
マグナム北斗「あぁ……」
加藤鷹「AV界からは足を洗ったはずじゃあン」
マグナム北斗「せやけど、あの人は未だに影響力がある。それが狙いやろ。
度重なるニセ加藤鷹の襲撃、そして精神的支柱ともいえる名竿会のレジェンド男優がやられたんや。
いまAV業界は揺れに揺れとる」
加藤鷹「……」
マグナム北斗「汁親の連中が嘆いててな、汁男優がどんどん辞めてるらしい。
そのうち、本業男優もしょうもない根性なしからとっとと廃業するやろな」
マグナム北斗「このままじゃまずいで、加藤。あの山本さんがやられたんや。
奴はどういうわけか知らんが、戦う度に力を増しているみたいや」
加藤鷹「ン分かってるよぉぉンン」
吉村卓「神出鬼没ですしね……目撃情報が上がってもすぐに消えてしまう……」
ガチャ!
山口まこと「はぁ……はぁ……」
吉村卓「君は確か、嫌がる表情に定評のあるまことくん……?」
島袋浩「病室では静かにしろ!」
山口まこと「す、すみません……で、で、でも大変なんです!ぼぼぼ僕の撮影中に例のニセモノ加藤鷹さんが現れて……必死に逃げる僕をチョコボール向井さんが助けてくれて……!」
吉村卓「チョコさんが!?」
マグナム北斗「おいおい引退した奴がやたら絡んでくるな!同窓会か何かかって冗談言うてる場合やあらへん!」
加藤鷹「んふぅぅううう~急いで救護に向かうよぉン。チョコならある程度は足止め出来るはずぅ」
吉村卓「で、でも今やニセモノはめちゃんこ強いですよ!急がないと……!」
加藤鷹「あぁーあぁあぁあ~確かにぃン」
??「HEY!お困りのようだな!」
男優s「!?」
加藤鷹「そ、その声はあぁっあっあっ!あぁ~」
??「天が呼ぶ!地が呼ぶ!竿師が呼ぶ!」
シュタッ!
ミッキー柳井「悪を倒せとオレを呼ぶ」
加藤鷹「やなぎぃん~!」
島袋浩「あ、あなたは柳井さん!?」
マグナム北斗「ミッキーさんか。また大物が来たな……!」
吉村卓「か、彼がアメリカへ渡ったポルノスターッ!」
ミッキー柳井「YEAH!何、祖国のAV業界がピンチと聞いてね。
ロスからファッキン飛んできたのさ!」
吉村卓「柳井さん、敵は鷹さんの姿を借りて悪行三昧ヤりたい放題!
でも、逃げ足が早くあと一歩のところで逃げられてしまうんです」
マグナム北斗「せやで!向こうでの殿堂入りが確実視されてるミッキーさんの力を疑う者は誰もおらへんし、助力はありがたいですけど、どないすんですか?」
ガチャ!
看護婦「ちょっと、ここは病院ですよ!静かにお願いします!」
ミッキー柳井「ちょうどいいところに」HAHAHA
シュン!
看護婦「!?(え!?消え……)」
ミッキー柳井「ちょっとおまんこ借りるぜ?」
ズボッ!!!!
看護婦「あぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁあ!!」
ミッキー柳井「そらっ!そらっ!」パンパン
吉村卓「い、いきなりバック……?」
島袋浩「こ、こいつ舐めとんのか……!」
マグナム北斗「!……いや、これは!」
ミッキー柳井「そろそろいくぜ!柳井流性技――」
グルングルングルングルン!
吉村卓「挿入したまま腕で床を蹴って、自身を回転させている……!?ど、どんどん加速していってる!」
加藤鷹「卓、よく見ておけぇン。これが、ミッキー柳井の開発した体位……!」
グルングルン――フワッ…
ミッキー柳井「――『ヘリコプター』ッ!」
島袋浩「浮いたァ!」
吉村卓「す、すごいッ!」
ミッキー柳井「ミスターファルコ!とっとと掴まりな!この世の果てまでヒトっ飛びさ!」
マグナム北斗「定員は一人か……俺が行きたいが……加藤、これはお前の出入りや!任したで!!」
山口まこと「お願いします鷹さん!!」
島袋浩「鷹さん、信じてますわ!」
吉村卓「鷹さん、一発かましてやってください!」
ミッキー柳井「行き先は地獄かもな、だが、お前なら切り開ける!ハッピーエンドへ駆け抜けろ!」
加藤鷹「あぁあぁあ~分かったよ?分かったよぉ?」
ピョン ガシッ
加藤鷹「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙~!!」オロロロロロロ!ビチャビチャ
ミッキー柳井「プロペラ部分のオレじゃなくて下のナースに掴まりな!」
チョコボール向井「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」
つぼみ「あんあんあん!」
気合い一閃。チョコボール向井は挿入しているつぼみを左へ薙いだ。
その技の切れ味たるや、引退した男優とは誰も思うまい。
黒髪が宙を流れ、女が香る。
だが、対峙する相手、加藤メカは難なくスウェーバックで躱してみせた。
マジキチ
加藤メカ「おっと、危ないねぇン」
チョコボール向井「くっ!」
外れた、と見るや、すぐさまつぼみを中段に構え直す。
駅弁――現役時代最も得意とした、彼の代名詞ともいえる体位。
その歴史は古く、かの四十八手にも櫓立ちという名で数えられている。
腰への甚大な負担と引き換えに、女性と肌を合わせながら戦えることで有名な体位である。
つぼみ「あんあんあん!」
加藤メカ「この程度の攻撃をかわせない男は挨拶出来ない男と一緒ですよ」
休ませるかとばかりに、向井は上段からの袈裟切りを仕掛ける。
だが、これも易々と避けられた。
向井は普段あまり見せない怒りの形相で、口汚く悪態を吐き、連撃を繰り出す。
つぼみ「あんあんあん!」
読者諸兄の中にはこう思う方もいるかもしれない。「つぼみ外せば?」と。
性交しながら戦うのは確かに、一見無茶で非効率なように思える行為だ。
だが、決してそうではない。
古来から、武芸者は刺客に備え、この体位を研究しており、伝書も多く残されている。
熟練者の駅弁ファックは『突けば槍、払えば薙刀、持たば太刀。嬢はかくにも外れざりけり』と謂われ、見識者によれば駅弁と武の腕は比例するという。
そのあまりの強さから駅弁ファックはセクロスから生まれた『体位』ではなく、闘争から生まれた歴とした『武術』だという学説もあるほどだが、はっきりとしたことは定かではない。
チョコボール向井「だオォッ!!!」
つぼみ「あんあんあん!」
再度、つぼみは大上段から降り下ろされた。
チョコボール向井の裏筋に冷たいカウパーが流れる――半身を切ってやり過ごした加藤メカの二本貫手が、彼の首元を襲ったのだ。
咄嗟につぼみで受け、そのまま静止するが、鍔迫り合いはそう長くは続かなかった。
チョコボール向井「ぐおお……!」
チョコボール向井が弾かれ、後退する。
その隙を逃す加藤メカではない。
加藤メカ「あぁあぁあ~……」
黄金の指が斜光を浴び、赤く輝いた。
唸る。その指は止まらない。
全てを置き去りに。チョコボール向井という存在を過去にするまで、タガが外れたように躍り続ける。
神速の指をいなし、受け流すチョコボール向井の技量も流石と云えたが、徐々に受け損ねた攻撃で傷を負っていく。
彼の表情には、隠しきれない疲労と焦燥の色が浮かんでいた。
それを察してか、加藤メカが口の端をつり上げた。
加藤メカ「ンンあぁあぁあ~逝くぅ?ねぇ?逝っちゃうぅ?逝っちゃうのぉン?」
十分に体重の乗った右フィンガーが放たれた。
空気との摩擦で燃え、炎を上げる。
それはつぼみの頬すれすれを通り過ぎ、チョコボール向井の顎を捉えた。
そのまま、彼の顔を掴み上げる。
チョコボール向井「ぐ……あ……」
加藤メカ「ヒートエンドぅ?ん?ヒートエンドするぅ?」
?「そこまでだよぉン」
その時である。湿り気を孕んだ、ねっとりとした男の声が空から降ってきた。
加藤メカの判断は一瞬だった。
見上げるいとまさえない、と言わんばかりの迷いのない回避。
その場から転がり、自身を襲ってきた肉棒から逃れる。
チョコボール向井「お、遅いっすよぉ」
チョコボール向井が安堵の声を漏らした。
空から降りてきた男は、肩越しから彼に微笑んだ。
それも須臾のことで、サッと視線を敵へと向けた。
打って変わって、猛禽類を思わせる鋭い目付き。
日焼けした肌や鳶色の髪も相まって、どうかすると鷹の化身にも見える。
夕陽を背景に彼は、鷹の名を背に飛び続ける男――加藤鷹は、カーブさせた人差し指と中指を、胸の前で交差させた。
加藤メカ「あぁあぁあ~……会いたかったよぉン。もう一人の俺ぇン」
加藤鷹「あっあっあっあっあぁあぁあ~……前戯(おあそび)はおしまいだよぉン」
最初に動いたのは鷹だった。
怒りの肉棒を振り上げ、メカへ突進する。
何合か打ち合い、同時に間合いをとった。
加藤鷹が顔をしかめた。
彼の左肩から、白いモノが混じった血が流れる。
いつの間にか、射精(う)たれていたのだ。
チョコボール向井「た、鷹さん!」
加藤鷹「あぁあぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~!!!!」
二足歩行の鷹が吼えた。
ゴールドフィンガーと公称17センチを惜しみ無く使った最高のコンビネーションを繰り出す。
だが、加藤メカは嵐のような攻撃を縫うように躱し、加藤鷹へ肉薄した。
がしりと足を掴み、鷹へ挿入する。
加藤鷹「アオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
野太い悲鳴が辺りを突き抜けた。
加藤メカの顔に、不敵な笑みが上る。
加藤メカ「弱い、弱いねぇン」
加藤鷹「あっあっ!あっあああっ!あおっアオッアオッアオンッ!!」
加藤鷹は喘ぎながら、胸中、酷く狼狽していた。
この偽者は、ただの自分のコピーではない。
アナルから脳髄まで響く熱さと苦痛と申し訳程度の快楽に溺れながら、ふと、そんな思いに襲われた。
加藤メカ「気付いたようだねぇンン」
加藤メカ「そう、俺は戦う度に戦闘データ……男優それぞれの『性技』『性趣向』『特性』といった優れた点を我が物とし」
加藤メカ「天井知らずにどんどん強くなっていくぅン。あっ……最初は君の劣化コピーに過ぎなかったかもしれないけど、今やオリジナルとの力の差は歴然」
加藤メカ「君の左肩を狙った最初の射精ン。あれは三浦屋助六との戦闘で手に入れた射精技術ぅン」
加藤鷹「なっ!なぁっ!なんだとぉン!あんっ!」ドピュ!
加藤鷹は驚きのあまり、ところてんした。
加藤メカ「男と絡めるのも、元ホモビ男優の野球してる人のデータだよぉン。
スタミナやテクニックや射精コントロール法は勿論、現代より30年は進んだ性医学知識、一瞬で美しく縛る緊縛術の絶技、驚くほどアクロバットな体位……SもMもこなせるし、スカトロプレイもいけるし、貧乳スレンダーから巨デブまで抱けるぅン。
時間停止や透明化や自分の顔にモザイクをかけたりウンコを食ったりだとかの特殊能力だって手に入れたんだぁ~あぁあぁあ~すごいぃ~」
加藤メカは言いながら、鷹を抱えあげた。
公称180センチ、70キロ近い鷹の身体が、軽々と持ち上がる。
鷹が驚き、射精した。
チョコボール向井は、目を見開いた。
チョコボール向井「あ、あれは……!」
加藤メカ「勿論、ただの駅弁じゃないよぉ~。さっき手に入れたデータぁ~チョコボール向井の完成された駅弁の技術体系、完全なる駅弁……カカオインパクト」
加藤メカは歪な笑みを広げた。
加藤メカ「そして、その禁じ手――」
チョコボール向井「ハッ!いかん!鷹さん逃げろォーッ!!!」
加藤メカ「黒い稲妻【ブラックサンダー】」
そのまま地を蹴り、一直線に駆け出した。
加藤鷹を突きながら、石垣や民家を破壊していく。
轟音の合間合間に、加藤鷹の悲鳴が鳴り響いた。
加藤メカ「トドメだよぉ~」
加藤メカは後ろへ倒れ込んだ。騎乗位の形となる。
加藤鷹「ま、まさかぁン」
加藤メカ「そのまさかだよぉン」
鷹の足首を掴み、股を広げた。
そして、腰を細かく突き上げる!
加藤メカ「君の愛弟子、吉村卓が考案した49番目の体位『ヨシムラ』これで決めたげるぅ~ン」
加藤鷹「アァン!オォン!アォン!アオッアオッアォォォォォォォォオオオオオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッ!」ドピュ……ドピュ……ドピュ……
加藤メカ「テクノしちゃうぅ?ねぇ?テクノしちゃうんだぁ?」
苦悶の表情のまま、加藤鷹はゴールドフィンガーを繰り出した。
だが、加藤メカのゴールドフィンガーに弾かれる。
加藤メカ「まだ動けるんだぁ?まだ動けるんだねぇン~あぁあぁあすごい~」
加藤鷹「……違うッ!」
加藤鷹が目を見開いた。
圧倒的劣勢にも拘わらず、その目は死んでいない。
加藤メカは眉を潜めた。
加藤メカ「何が違うのぉン?」
加藤鷹「お前の能力は確かにあんっ!俺のそれを遥かにやんっ!上回っていアォン!
各種性技や性趣向のバリエーションもアンッ!俺とは比にならなアンッ!」
彼は再度、ゴールドフィンガーを振り上げた。
加藤鷹「けどッ!最も大切なモノが欠けている!」
鷹は体位『ヨシムラ』によって窮地に陥ったが、そのヨシムラが功を奏した。
体重を十分に乗せた、真上からの一撃。
それはガードに入った腕ごと持っていき、加藤メカの脇腹を深く抉った。
加藤メカ「あぁあぁあ~痛いぃ~」
言葉と裏腹に、少しも痛みを感じていないように見えた。
抑揚のない語調で感想を漏らすと、加藤鷹を突き飛ばして、距離をとる。
鷹が体勢を整えてる間に、背中からスペアの腕を取り出し、千切れかかった左腕の代わりに装着した。
あちこちからバネや導線が飛び出した元の左腕を明後日の方へ放り投げる。
加藤鷹の目は、静かにその様子を捉えていた。
加藤鷹「やっぱり人間じゃないのぉ~ン」
加藤メカ「人間じゃないよぉ?ロボだよぉ?アンドロイドだよぉ?」
加藤鷹「ロボなんだぁあぁあぁあ~あっあっあっすごいぃ~」
加藤メカ「そもそも人間は、感情という極めて稀な精神病を抱えているよぉン。
あぁあぁあ……そんな生き物が、AV男優に向いてるはずがないんだよぉン」
加藤メカは淡々と続ける。
加藤メカ「オリジナルも分かるよねぇ?んぅ?何千何万と見てきたはずだよぉ。
過剰な交感神経の働き……いわゆる、緊張で起たない男優候補生。いっぱしの男優でも射精のタイミング、コントロールを誤る。
ゲイやババア、ニワトリといった自身の守備範囲外に興奮出来ないぃぃン。
そして、あろうことかぁ、AV女優に本気で恋をしてしまいぃ、その女に勃起できなかったAV男優ぅ~」
加藤鷹の眉がピクリと動いた。
彼の胸に、忘れられない女性――樹マリ子の顔が浮かぶ。
加藤メカ「お笑い草だよねぇン。カリスマ男優がそのザマぁ~あぁあぁあ~」
加藤鷹「確かにそんなこともあったねぇン」
加藤メカ「感情こそがAV男優の限界。AV男優の進化を止める枷。
……ならば、その枷を外せば、AV男優はどこまで進化するか?何に行き着くのか?」
酷薄な、だが、邪気のない笑みを広げた。
そして、機械仕掛けのAV男優は言葉を紡ぐ――“神”という存在まで上り詰めることが出来るのではないのだろうか?
それは、まるで目の前の加藤鷹、あるいは神が創りたもうた全てを否定するかのような、挑発的な響きを持って発せられた。
加藤メカ「……そういった所に着目して、俺が作られたのぉン。
さっきオリジナルは俺に欠けている、とか言ったけどぉ~ン。明らかに君たち生身の男優の方があぁあぁあ~欠けてるねぇン」
加藤メカ「この俺、対濡れ場汎用人形決戦性器(セクサロイド)、AV‐800ならありとあらゆるプレイに対応出来るよぉ」
加藤メカ「乳幼児だろうが老婆だろうがナイチチだろうが奇乳だろうがシーメールだろうがゲイだろうがスカトロだろうがリョナだろうが……全ての視聴者のニーズにお応え出来るんだねぇン」
加藤メカ「それだけじゃない。最高のスタミナ、最硬の勃起力、最凶のテク、寸分違わぬ射精……感情を持たず、セックスをデータとして吸収出来るロボットだからこその、この力ぁ~……あぁあぁあ~…すごいぃ…」
加藤鷹「あぁあぁあ~……」
加藤メカ「優秀な男優の長所やテクニックをプログラムして、最強の男優を創る」
加藤メカ「それが『恐るべきAV男優計画』……つまり俺だよぉお。
君を……史上最強のAV男優とまで謂われる君を倒せば、この計画は完遂される!
君さえ倒して電子世界の情報にしてしまえば、俺は神になれるぅ~」
加藤鷹「あっあっあっ!あぁあぁあ~……」
加藤鷹「ふざけるな」
かつてない低い声だ。
彼は静かに、凶暴なまでの情熱を吐露する。
加藤鷹「感情が必要ないだと?セックスがデータだと?……それで“AV男優”だと……?」
加藤鷹「お前はやっぱり欠けている。確かに能力としては既に俺を越えている。……だがッ!大切なモノが伴っていないッ!!!」
人類最強のAV男優が構えをとった。
いつになく真剣な表情を見せる。
射るような視線を受け、人の手で造られたAV男優は口を歪めた。
加藤メカ「あっそぉ~ン」
それ以上の会話はなかった。
互いに猛禽類の如く腕を広げ、凄まじい雄叫びを上げながら、意地とプライドとイチモツをぶつけ合う。
二つの影がボウッと動き、相手を逝かすゴールドフィンガーが火花を散らした。
加藤鷹「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおン~~~!!!!!!」
加藤鷹が片足を上げ、両フィンガーを高くかかげた。
手首から先は曲げ、それは獲物を仕止める鷹の爪を思わせた。
加藤メカの瞳が、僅かばかり揺れる。
金属の心に、一瞬、曇りが生じたかに見えた。
加藤メカ「その構え……データにないぃン」
加藤鷹「ンあぁあぁあ~ここぉン?ねぇン?ここなのぉン?」
オリジナルの凄まじいフィンガースピードに、加藤メカは防戦を強いられる。
だが、それも長くは続くまい――彼の顔には、そんな余裕が透けて見えた。
先程の構え、そして、そこから繰り出される技の軌道を解析し終えるまで、さほど時間はかからない。
あと数秒もすれば、また加藤メカが優勢になるだろう。
……そのはずだった。
初めて、加藤メカの表情に、分かりやすい驚きが浮かんだ。
加藤メカ「ンなん、なんでぇぇン!?なんでどんどん速くなってるのぉン!?」
加藤鷹「まだまだぁあぁあぁああぁあぁあ!」
ここにきて加藤鷹は、加藤メカのデータを上回っていたのだ。
現代科学の粋を凝らした分析システム、アルゴリズム、思考ルーチンやらは関係ない。
そんなもので加藤鷹の指は追えない。
加藤メカ「こ、こいつ……今まで実力を隠して……いや!?」
更に、上昇を続けていく。
間もなく、加藤メカは気付いた。
加藤メカ「戦いの中で成長しているというのぉン!?」
その事実は、高感度アイセンサーにも捉えられない無慈悲な指は、加藤メカの内面に確かな変革をもたらした。
それは恐怖かもしれない。畏怖かもしれない。あるいは、絶対とも言うべき何かに遭遇してしまった加藤メカは、その時求めたのかもしれない。救いを――。
だとすれば、皮肉なことと言えよう。人の手によって造られ、感情と神を否定した存在である彼は、人の手によって感情と神を肯定したのだ。
加藤メカ「こ、これが……この思考の激流が感情だというのぉン!?」
いや、加藤鷹の手はその時、人の手ではなかったと考えられなくもない。
全てをイかすゴールドフィンガーは、不感症な心まで感じさせてしまった。
それは人の領域を越えた神の御業――電子頭脳に魂までもたらしたその指は、もはや人のものと呼べるだろうか。
加藤鷹は遂に、人の身ながら神になりつつあった。ゴッドフィンガー爆誕である。
加藤鷹「AV‐800ぅ!お前は確かに強いよぉン!!だけどねぇン!その技には血が通ってないぃ!心が伴ってないぃぃぃぃぃぃぃいいいン!!」
加藤鷹のゴッドフィンガーが加藤メカの右腕を撥ね飛ばす。
加藤メカ「心だとぉぉぉぉぉぉおお~~~ッ!!」
次いで、腹を深く抉る。
加藤鷹「全ての『技』は『体』を通して『心』を伝えるものなんだァン!!」
左腕をガラクタに変える。加藤メカは、がくりと膝をついた。
加藤メカ「なんでぇ?ねぇ?なんでぇぇ?なんでなのぉン?オリジナルを越えて、絶対無二の……究極の男優になる……それが!それだけが俺のレゾンデートルぅン!!!
なのに、なのにぃぃぃぃぃぃいい…………ッ!!」
加藤鷹「あぁあぁあ……それが君の存在意義なのぉン」
その時、一台のマジックミラー号が猛スピードで走ってきた。
吉村卓「鷹さん!」
マグナム北斗「無事か加藤ォ!!」
山本竜二「寝込んでる場合じゃないよね。援護に来たよ」ウンコパクッ
チョコボール向井「鷹さん、ごめん遅れた!」パンパン
つぼみ「あんあんあん!」
加藤鷹は仲間たちをちらと見やると、加藤メカへ向き直った。
加藤鷹「俺の存在意義はねぇン。彼らと作ってきたAV業界にあるよぉン」
吉村卓「鷹さん……」
加藤鷹「確かに、全てが完璧なAV男優はいない。一人一人の力なんて、たかが知れてる。
でもねぇン……フそれでも、いやだからこそ、俺たちは補いあって、今日まで色んな作品を作ってこれたんだぁン」
加藤メカ「心……補い合う……データにないぃ~……」
加藤鷹「君は最強だよぉ~。ただ、変わらない最強、もとい、『変われない最強』なんだぁン。
いつだって、覚悟を決めれば変わることが出来る……それが人間の強さだからねぇン」
加藤メカ「データ通りにいかない……変われる強さ……それが人間なのか。
じゃあ俺は最初から…………」
俯いた加藤メカの肩を、加藤鷹はぽんと叩いた。
加藤鷹「君だって変われるよぉン」
加藤メカ「オリジナル……」
加藤鷹「現に今、君は変わった。借り物の力で強くなる虚しさに気付いたんだぁン」
加藤鷹「これから、本当の自分を見付けていけばいいのぉぉン」
吉村卓「そうですよ!何か状況よく分かんないけど!」
加藤メカ「……」
力作だな
加藤メカは顔を上げ、ギシギシと半壊した身体で立ち上がろうとした。
だが――
加藤メカ「あぁあぁあああ゛~~~……」
バランスを崩し、倒れた。
壊れかけのレディオのような呻き声が漏れる。
男優s「!?」
加藤鷹「加藤メカぁン!?」
加藤メカ「ン気にしないでぇン……オリジナルのせいじゃないン。実は遅かれ早かれ、こうなってたんだぁン」
加藤メカ「強さだけを求めて、相手に心を持って接しなかった男の末路だよぉン。
彼女たちの潮は……俺には綺麗すぎたみたいぃン」
彼の身体は、所々錆び付いていた。
加藤メカは半壊した左腕を、加藤鷹へ伸ばした。
加藤メカ「『加藤メカ』かぁ。いいなぁ。いい名だねぇン。
AV‐800よりずっといいや……最後に俺は、ロボットじゃなく、一人の男優として……」
加藤鷹「うん、うんン!そうだよぉ~君は立派な男優だよぉ!罪はこれから償えばいい!
これからなんだよぉ!今ここで死んだらコンドームをしないような男と一緒だよ!だから死んじゃダメだよぉン!」
加藤メカ「ありがとう……鷹……で………も……」
加藤メカ「……僕の記憶を空へ預けにいくよ――」
その腕が、がくりと落ちた。
加藤メカの目から、光が消える。
まるでふざけた人形劇のような、あまりにも馬鹿げた、あまりにも呆気ない最期だった。
加藤メカは動かなくなった。
後日――
吉村卓「……なんだか、哀れな奴だったですね」
ダイナマイト幸男「彼もまた、迷える子羊だったのですね」
マグナム北斗「……せやな。というか結局、あいつは何者だったんやろ?」
鈴木一徹「分からずじまいでしたね…」
森林原人「確かに」
加藤鷹「あぁあぁあ~あっあっ」
山本竜二「ウンコ揚げたけど食う?」レモンピュッピュッ
吉村卓「事件は解決したけど、何かモヤモヤする幕切れですね……」
山本竜二「モグモグ……ゴクンッ」
山本竜二「結局、奴もAV業界という深い闇が生んでしまった、被害者に過ぎなかったのかもしれない。
……僕達と同様、性欲が生み出した一人の人間だったのかもな。
ただ、肌を合わせるということ、愛というものを教えるものがいなかった……」
吉村卓「そうかもしれませんね……」
ガチャ
ミートボール吉野「こんちゃー!お届けものを届けに上がりましたー!」
吉村卓「あ、吉野くん」
ミートボール吉野「判子オナシャス」
加藤鷹「はい、ゴールドフィンガーペタッぁ」
ミートボール吉野「アザス」
ゴトッ……
加藤鷹「あぁあぁあ~やっと届いたぁン」
パカッ
加藤メカ「」
男優s「!?」
吉村卓「そ、そいつは加藤メカ!?」
山本竜二「密かに回収していたのかい?」
マグナム北斗「なんでここに加藤メカが……」
加藤鷹「とある方に修理を頼んどいたのぉン」
マグナム北斗「大丈夫なんか?」
加藤鷹「平気平気ぃぃぃン。えぇっとねぇン、ゼンマイを挿入してぇン……」
加藤メカ「《……ッ!!》」
加藤鷹「回すぅ~」
キリキリキリ……ウィーン
加藤メカ「《システム、起動》……まったく、人間のオスは想像以上に下劣だねぇン」
加藤鷹「ぁはあぁあぁあ~気が付いたぁ」
加藤メカ「あぁあぁあ~気が付いたよ?気が付いちゃったよぁ~ン?みんなには迷惑かけたねぇン」
加藤鷹・加藤メカ「あっあっあぁぁあ゛~……」
マグナム北斗「なんやねん」
加藤鷹「ところで起きて早々だけど、君暴れすぎたし、君を造った組織だか研究機関だかが放っておいてくれないだろうし、日本いられないよねぇぇ」
加藤メカ「そうかもぉ。どうしよぉぉ~ン」
加藤鷹「対潮吹き加工はもちろん、新しい機能も付けてくれたらしいから、それで高飛びしなよ~」
加藤メカ「……」
加藤鷹「悪いと思ってるなら、これからしっかりAV男優として働いて返していけばいいんだよぉ~」
マグナム北斗「せやで二号機!」
加藤メカ「あぁあぁあ~……分かったよぉ~ン」
加藤鷹「たまには遊びにきてねぇン」
吉村卓「待ってますよ!」
マグナム北斗「土産は酒な!」
山本竜二「新天地でもしっかりな」
南佳也「頑張れよ!」
上原亜衣「応援してますから!」
明日花キララ「私も!」
加藤メカ「うん、みんなに教えてもらった……AVの素晴らしさを広めちゃう~広めちゃうよぉ?広めちゃうよぉ?あっ……すごいぃぃ……ンあぁあぁああぁあぁああぁあぁあ゛~!」ゴオゥッ!!
吉村卓「ア、アナルから火が……!」
┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛ッッッ!!!
徳田重男「ふぉっふぉっふぉ。久々に電機メーカーに勤めていた頃を思い出したわい」ズズズ
監督「……良かったのか」
徳田重男「いいのいいの。若い力を無駄にするともったいないオバケが出るぞえ?代々木さん」
監督「……フッ」
徳田重男「窓開けるぞい。面白い機能を付けたからのう……そろそろ見える頃合いじゃて。おっ、飛んでる飛んでる」
監督「ロケットの打ち上げなんてあったか?」
徳田重男「ふぉっふぉっふぉ……亀市じいさんシリーズの新作早く作りたいのぉ」ムラムラ
しょう太くん「行っちゃったねー!」
時間よ止まれシリーズのあいつ「だな」
マグナム北斗「……行ったな」
ゴロー「そうだな」
セイファー「えぇ」
紗倉まな「慌ただしい人だったですね」
みひろ「彼ならきっと、いいAV男優になれますね」
村西とおる「ナイスですね~」
豊丸「イグ~」
吉村卓「そうですね!どこか遠くの星で、きっとステキなAVをつくりますよ!」
ミートボール吉野「えぇ、そして彼なら銀河系一のAV男優になってくれる。全宇宙に日本の心……AVの心を広めてくれるでしょう」
加藤鷹「俺達もウカウカしてらんないねぇン。彼に負けないよう、頑張らないとぉ~」
山本竜二「うん。AVを通して、伝えていかないとね。
僕達に出来ること、それは誰しもが出来ること……画面の前で息を荒らげている、君にだって。
でも、誰にでも出来るからこそ、考えなくちゃいけない身近で大切なものなんだってこと。
人を愛すということ――その大切さ……それを、みんなで考えていかないと」
そう、私達は今一度、性についてしっかりと考えてみるべきではないだろうか?
インターネット上には間違った性知識や、正しくない避妊法が氾濫している。
性モラルの低下や授かり婚を助長するマスメディアにも、危惧の念を抱かなくてはならない。
無論、おまんちんは悪ではない。
枕を交わすことは、男女間に於いて、重要な意味を持つコミュニケーションである。
だが、コンドームは付けよう。
そこにあるのは二人だけの未来ではない。
あるかもしれないもう一人の人生もまた、ベッドを軋ませているのだから。
今日もまた、この国は心が痛むニュースで溢れている。
今、私達は生命の尊さを軽視するような現代社会を、見直してみる時が来たのではないだろうか?
~FIN~
いやぁ酷かった