男の娘「えっ」ビクッ
男「その続きを言うなお前は女の子だろ?」
男の娘「いやっその」
男「女の子だろ?」
男の娘「僕は……」
男「女の子だろ?」
男の娘「だから僕は実は――」
男「女の子だろ!?」ガタッ
男の娘「ひっ」ビクッ
男「なぁ答えてくれお前はなんだ?」
男の娘「お、女の子、です……」
男「だよな。良かった」
パンツ脱いだ
かわいい
男「ウッセオラ!!!!!!たまってんだよ!!!!!!」パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン
男の娘 ヒックヒック
男「なぁ、出かけようぜ」
男の娘「え?」
男「遊びに行こうぜって言ってんだけど?」
男の娘「でも男どう――」
男「男と女でデートだろ? あぁそうそう友達も来るから」
男の娘「は、はい……」シュン
友達A「へーお前の彼女可愛いな」
男「だよな」ナデナデ
男の娘「……」
男「なぁ俺の友達に挨拶しろよ」
男の娘「は、はじめっ、まし、て……」
友達A「へーハスキーボイスじゃん余計可愛いわwww」
男「自慢の彼女だよ」
男の娘「……」
友達A「うわーマジかー俺もこんな彼女欲しいわー」
男「やらないよ」
友達A「うっせーなwww」スススッ
男の娘「?」
友達A「こいつの事嫌いになったら俺の所来いよww」ヒソヒソ
男の娘「へ?」
男「……」ジー
友達A「じゃあな俺用事あるから」
男「ん? そか。じゃーな」
男の娘「……」
男「なぁ、あいつに何言われたの?」
男の娘「え? いや、何も……」
男「何言われたんだ?」
男の娘「だから何も――」
男「何、言われたんだ……?」ガタッ
男の娘「ひっ」バッ
男「頼むよ、教えてくれないか?」ナデナデ
男の娘「あっ、あっ」
男「大丈夫だ何もしないから」ナデナデ
男(今はな)
男の娘「ほ、ほんとうに? 何もしない?」
男「あぁもちろんだ」
男の娘「……その、もしも男の事嫌いになったら、俺の所に来いって」
男「俺を裏切るのか」バチコーン
男の娘「いたっ、な、何もしないって」スリスリ
男「時と場合によるんだ」
男「だが今のは俺も悪かったな。すまない」ナデナデ
男の娘(……急に優しく……わ、悪いヤツじゃ、無いんだよ……ね? 本当はさ)
男「今度からはぶたない。約束しよう」
男の娘「う、うん」
男「だから俺を裏切らないでくれよ?」ズイッ
男の娘「ひっ」
男「な?」ナデナデ
男の娘「う、うん……」
男の娘(少し怖いけど、でも本当は優しいヤツなんだ)
男の娘(きっと彼女が出来ないから、苛立ってるのかも知れない)
男の娘(女の子の彼女が出来たら多分僕から離れるだろし)
男の娘(そしたらまた友達に戻れる……はず)
男「良かったわ」
男の娘「その、早く出来ると良いね。彼女」
男「は? 居るじゃん」
男の娘「え?」
男「お前」
男「友達Aの前で彼女って言ったの、俺本気だよ?」
男の娘「え? それ冗談だったんじゃ――」
男「友達Aを騙して俺に何のメリットがあんの?」
男の娘「それは……」
男「結婚まで行くつもりだよ?」
男の娘「いやいやいや」
男「なんで驚く?」
男の娘「それは無い。出来ないでしょ」
男の娘「仮に結婚出来たとして大体にして子どもとか出来ないけどどうすんのさ」
男「出来るよ?」
男の娘「え?」
男「子ども出来るでしょ?」
男の娘「できな――」
男「出来るよお前女の子だもん」
男の娘「えぇええええ!?」
男の娘(現実を直視していない……?)
男の娘(僕を女の子だと信じきろうとしている……?)
男の娘(……これは男に彼女が出来る前になんとかしないと)
男の娘(あっ、そうだ。住民票を見せれば性別もあっただろうし)
男「どうした?」
男の娘「うん。実はちょっと役所に行きたいなって」
男「おっもう結婚してくれるのか?」
男の娘「違うよ。ちょっと住民票取ろうと思って」
男「へぇ」ニヤッ
男の娘(ん? 今笑った……?)
男の娘(なんでだろう。まっいっか)
……
…
役所の人「はいではこちらでーす」
男の娘「あっどうも。……ねぇ、ほら僕の住民票見てみてよ」
男「おう?」ニヤリ
男の娘「ほら、ここらへんとか」トントン
男「ふむ。お前の性別が書いてあるが?」ニタニタ
男の娘「なんて?」
男「女ってなってるが?」ニヤッ
男の娘「え? うそ?」バッ
男の娘「ええええ!? なんでぇええええ!?」
男「なんでってお前が女の子だからだろ?」ニチャリ
男「それだけか?」
男の娘「へ?」
男「ならもう行こうぜ」
男の娘「へ? あっ、う、うん……」フラフラ
男の娘(ええええ、な、なんで? どーなってるの!?)フラフラリ
男 チラッ
役所の人「……」コク
男 ニタッ
男の娘「なんでぇどーなってるのぉ」ブツブツ
男「さて、次はどこに行く?」
男の娘「……どこでもいいよ」
男「そうか。それじゃあどこにしようかなぁ」
男「そうだな……ちょっと病院に付き合ってくれ」
男の娘「病院?」
男「実は歯が痛くてな。今日は我慢するつもりだったが少し痛む」
男「なぁ、すぐ済む」
男の娘「あっ、そっ」フラフラ
……
…
男「ここだな」
男の娘「……ん? 歯医者にしてはなんか大きすぎない?」
男「そうか? いまどきの歯医者なんてこんなもんだろ」
男の娘「いやいやいやいや、どう見てもこれ総合病院的な大きさなんだけど!?」
男「まぁ気にするなよ」
男の娘「そんな事言われてもってか何十階まであるのこの病院……」
男「こまけぇ事は良いんだよ」
男「ほら行くぞ」グイッ
男の娘「い、いたいっって」
男「すまんな」パッ
男の娘「はぁ……」
男「まぁ良い行こうぜ」
男の娘「まぁいいけどさ……ん?」
男の娘(……なんだろう。確か男が歯が痛くて病院に来たんだよね?)
男の娘(でも違うような。何と言うか、僕を病院に入れたがってる? 気のせいかな)
ウィーン
男「……」キョロキョロ
男 チラッ ジー
病院の受付「……」コク
男「さぁこっちだ」グイッ
男の娘「だから痛いって」
男「すまんな」テクテク
男の娘「……はぁ、もう」
……
…
カツーンコツーン
男の娘「ね、ねぇ」
男「どした」
男の娘「歯医者、に行くんだよね?」
男「そうだが?」
男の娘「なんで地下に向かってるの?」
男の娘「人気も無いし、お医者さんとかが居る気配も無いんだけど……」
男「そうか?」
男の娘「そうだよ!!」
男の娘「薄暗いし、寒いし、怖いんだけど……」ビクビク
男「そうか。取りあえずこれでも飲めよ。体が温まるぞ」スッ
男の娘「え?」
男「安心しろ」
男の娘「なんか怖いんだけど……」
男「いいから」
男の娘「ちょっとご遠慮――むぐっ」
男「飲めよ」グイッ
男の娘「~~~!?」ゴクゴク
男「な? 美味いしいだろ?」
男の娘「な、何すんのさっ!?」ゲホゲホ
男「だから、安心しろって」
男の娘「いきなり――あれ?」フラフラ
男「少し寝るだけだ」
男の娘「ちょっ、何を……」ガクッ
男の娘「う、うぅ……」バタリ
男 ニヤリ
……
…
男「えぇ」
???「この子を?」
男「ですね」
???「しかし君も人が悪いな。こんな子を」
男「気に入ったんで」
???「そうなのか」
男「絶対に逃しません」
…
……
男の娘「……う、うぅ、ここは?」ハッ
男の娘「……どこだろ。っつぅ」ガシャリ チラッ
男の娘「え? ……鎖? え? なんで? ど、どうなってるの!?」ガシャンガシャン
男の娘「く、暗くて周りも良く見えないし……」ガシャンガシャン
男の娘「……ここは」
ガチャリンコ
男「よぉ、元気か」
男の娘「男!? あの、これは……」
男「なぁ、お前って女だよな?」
男の娘「そんな事より――」
男「なぁ、お前って女だよな?」バチコーン
男の娘「いつぅ……」
男「また明日くるわ」
男の娘「……は? え?」
男の娘「ま、待って……」
男「待たない」
ガチャン
男の娘「な、なんなんだよぉこれぇ」ヒックヒック
……
…
???「で、どうだい」
男「まだまだこれからっすね」
男「心の芯にまで刻み付けないと」
???「はっー面倒な事するねぇ」
男「気に入ったヤツなんで」
???「理解出来んが、まぁ一つだけ言わせて貰うが病院に迷惑まではかけんでくれよ?」
男「まぁ大丈夫でしょ」
男「地下10階ですし、誰もこんな所まで来ないっすよ。そもそも普通の人じゃここまで来れないですし」
???「君ってやつは」
男「お褒め頂いて」
???「褒めてはいないが、しかし君も人が本当に悪い」ガチャ
ウゥ ウゥウウ タスケテェ
???「数えるのも面倒になってきたよ」
男「こうもとりどりだと壮観ですな」
???「う~ん。人の趣味趣向には難癖はつけるつもりはないが」
男「まぁまぁ。今回のあいつで俺は満たされるかも知れないんで」
男「そしたらこれも終わりですよ」
???「君には逆らえないからまぁこうしているが」
???「あの子で終わってくれると良いんだがねぇ私としても」
……
…
男の娘(何日経っただろう)
男の娘(この部屋で……自分がわからなくなる)
男の娘(何かを考えるのも疲れるようになった)
男の娘「……」
ガチャリ
男「元気にしていたか」
男の娘「……」
男「あーあこんなに糞尿垂れ流しにして、綺麗にしないとな」フキフキ
男の娘「……」
男「まぁ繋がれてるんじゃ仕方ないか」
男「そうだ。お前は女だよな?」
男の娘 ビクッ
男「まだ答えられないか。まぁ良いさ」
男の娘「……」
男「そうそう、今日は少し部屋変えるぞ?」
男の娘「……え?」
男「こっちだ」グイッ
男の娘「っつ」グラッ
ガチャ
テクテク
ガチャーン
男「ここだ」
男の娘「まぶしっ……こ、ここは、女の子の部屋?」
男「そうだ。ここでお前にはこれを着て貰う。それから写真を撮るからな」
男の娘「はえ?」
男「まぁ良い。これに着替えさせるからな」スッ
男「可愛い服だろ? お前の為に用意したんだ」
男の娘「僕の、為に?」
男「そうだ」ススッ
男「さぁお着替えの時間だぞ」スススッ
男の娘「……」
男「さぁ終わりだ。写真取るぞ」グイッ
男「俺とツーショットだ。笑え」
男の娘(こ、断ったら何をされるか……)へ、へらっ
男「あー表情硬い。駄目だな発情したメスブタのような顔をしろ」
男の娘「こ、こう、ですか?」ニヘラッ
男「違う。次間違ったらおしおきな?」
男の娘 ビクッ
男「さぁ、笑って笑って」
男の娘「……」ニ、ニヤァッ
男「あーそうそう、出来ればもう少し熱っぽくな」
男の娘「……」ニ、ニマァ
男「はいそのままそのままー」パシャ
男「良く出来ましたー」ナデナデ
男の娘「……」
男「良く出来たから、今日からこの部屋に住む事を許可しよう」
男の娘「……え?」
男「今まで劣悪な環境で悪かったな。ここならトイレもバスもある。手錠も外そう」
男の娘「い、いいの?」
男「もちろんだ。部屋には鍵をかけるがな」
男の娘(こ、こんな良い待遇に……。やっぱり、根は悪いヤツなんかじゃ……)
男「あと服は全部女ものだが」
男の娘「着、着るよ。それぐらい着るよ」
男「そうか、喜んで貰えて何よりだ」ニタタァ
……
…
友達A「そういやさーお前最近あの彼女と上手く行ってんの?」
男「ん? まぁこんな感じだ」スッ
友達A「うわーツーショットかよ! しかもすっげー色っぽい女の顔してるなぁ」
男「まぁ彼氏彼女だからな。そういう表情にあいつもなるだろう」
友達A「いいないいなー」
男「お前も早く彼女作れよ」
テレビ『えー、ここ数年連続で起きている少年少女行方不明事件ですがー』
友達A「ん?」
テレビ『以前として犯人の足取りは掴めず、海外逃亡を果たした可能性もあり――』
テレビ『一説によると三桁にもなるという少年少女の安否も――ここで被害者の親族へインタビューを』
テレビ『両親『ううっ、良い子なんです。本当に、どうしてこんな事に……』』
友達A「うわーすげー事件だな。犯人って今頃何してんだろうなこれ」
男「さぁ? キチガイの気持ちなんか分かるかってんだ」
友達A「そりゃそうだが、そこらへん歩いてるすれ違ったヤツが犯人かも知れないじゃん?」
男「まぁ、案外近くにいたりする事もあるらしいしな」
友達A「マジこえぇwww俺とか狙われたらどうしよwww」
男「さすがにお前は狙わないだろ。少年少女って年齢でもないし、お前ぶっさいくじゃんそもそも」
友達A「確かにブサイクだけどもwww……ん?」
男「どうした」
友達A(…なんだ、今の男の受け答え、少し違和感が……)
友達A(気のせい、か? だよな)
友達A「いやなんでもねーよwwwそれより他の連中も呼んでカラオケにでも行こーぜww」
男「だな」
友達A「友達BとCも呼ぶぜ呼ぶぜ~」スマホ スッスッスッ
トゥルリンコ トゥルリンコ ガチャ
友達A「あ~俺俺」
友達B「え? 俺俺詐欺?」
友達A「違うわwww!」
友達B「知ってた」
友達A「おう今から来れる?」
友達B「OKOK」
友達A「っしゃ、後Cも呼ぶつもりなんだけど」
友達B「あー今俺といるわ。一緒に向かう」
友達A「そうか、んじゃあはよこいな」
友達B「OKOK」
ガチャリンコ
男「どうだって?」
友達A「どっちも来れるってさ」
男「そうか。何を歌おうかね」
友達A「なんだって良いだろwww適当適当wwww」
男「そうだな」
……
…
友達C「~~~」
男「いぇいいぇい」タンバリン シャンシャン
友達A「いいぞ! やっぱお前はアニソンが似合ってるわwww」
友達C「るせー」
友達B「次は俺か~何入れっかな~」
友達A「早くしろよwwあーほら迷ってるからCM始まっちゃった~ん?」
画面『連続行方不明事件の少年少女の一覧です。ぴんと来た方は、ご連絡を~』
友達A「まーたこれか。ってか、カラオケのCMに入るってこれ相当な事件なんだなーやっぱ」
友達C「まぁ実際騒ぎだよな。うちでも騒いでるし」
男「そういやお前記者だっけ?」
友達C「そうそう。これのスクープとって来たら出世間違い無しとか報道関係の賞取れるぞって言われてるわ」
男「お前もこの事件追ってんの?」
友達C「うん? うんにゃ俺は違うよ」
友達C「俺は経済部だから」
男「そっか」
友達B「まー俺らには関係ねーわ」
友達A「そうそう、少年少女って年齢でもねーし、ブサイクだしなwwwってかお前早く入れろよ」
友達B「おうwww」
友達C「……ん? ブサイク?」
友達A「どうかしたか?」
友達C「いや……別に」
男「……」
友達C「……」
友達C「なぁ」
男「おう?」
友達C「友達Aって今何やってるんだっけ」
男「確かフリーランスで何かやってたハズだが」
友達C「着てるものからしてそこそこ羽振り良いよな?」
男「最近儲かってるんじゃねーの?」
友達C「時間の自由が効いて、その気になれば場所の確保も出来る、か」ボソッ
男「……」
男(ふむ)
友達A「おいおい決めたか?」
友達B「よっしゃこれで行くかwww」
友達C ジー
男(……消すか?)
友達C「友達はあまり疑いたくないんだけどなぁ」ボソボソ
……
…
友達A「あー楽しかった」
男「そうだな」チラッ
友達A「やっぱ皆で集まるのは良いな」
男「まぁな」チラッ
友達A「さっきから何か気にしてるけど、どうかしたのか?」
男「いや、別に」
友達C コソコソ
男「俺は帰って寝るよ」
友達A「そうか?」
男「おうよ」
男(さて、ここで別れたフリするか)
男(友達Cは友達Aを追いかける。俺はその友達Cをつければいいわけだ)コソコソ
友達C(……別れたか。もう少し近づいても良いか)コソコソ
友達C「本当は俺の管轄じゃねぇんだけどなぁ」ボソッ
友達C「まっ、違うならそれでいいんだ。あくまで一応、な」
友達C(でも狙われた子にブサイクがいないって俺でも知らなかった事なんだよなぁ)
友達C(社会部あたりの連中なら知ってそうだが、ただでさえ記者でもない友達Aがそれを知る機会なんてあるわけない)
友達C「適当に口にしただけなら良いんだが……」スススッ
男「……」ズン、ズン…
男(友達Cは友達Aを疑っている)
男(ブサイクと言う言葉を言ったせいだろうな)
男(探られれば、俺まで辿り着く可能性がある)
男(友達Aがああ言ったのは、その前に俺が口を滑らしちまったせいだろう)
男(調べればそこまで行く可能性がある。消すしかないか?)ズンズン
男(しかし友達を消すのは心が痛むな)
友達C「ふぃ~夜中はさみぃな」
友達C「はぁ、普通の仕事もあるってのに」
男「……」
友達C「聞かなかった事にしときゃよかったかなぁ……ん? 男じゃねーかなんだ」
友達C「なんでお前こんな所にいるんだ?」
男「……そういうお前はなんでこんな所に?」
友達C「あ~ちょっと野暮用でさ」
男「そうか」パチン
友達C「おいおい、だからお前こそなんで……ってなんだその白手袋は」
男「寒いからさ」
友達C「そりゃそうだが、お前そんなのしてなかっただろ」
友達C「そんな寒がりだっけ?」
男「まぁ、寒がりなんだ。寒いよな」
友達C「もう冬間近ではあるけどさ」
男「寒くて寒くて、心まで冷えてくるよな」
友達C「……おい? 何言ってんだ?」
男「満たされたいよな」
友達C「酔ってる?」
男「邪魔、されたくないよな」
友達C「……」
男「なぁ、俺の仕事って知ってるか?」
友達C「……そういや、お前何の仕事してたっけな」
友達C「大学卒業してから、何やってっか分からんかったな」
男「でもさ、何もしてないと、何かしてないと、そもそも生きていけないよな?」
友達C「……」
男「あぁ、それよりも、そうだ、そうそう、よくよく思い返してみろよ。友達Aって馬鹿だよな? 基本さ」
男「なのに、なんであいつからあの言葉が出たんだろうな」
友達C「はぁ? あの、言葉?」
男「お前が友達Aをつけた理由だろう『ブサイク』って言葉さ」
男「あいつは馬鹿。なら、普通に考えるなら、どっかで聞いたから出たんだろうよ」
友達C「……お前」ゴクリ
男「まぁそれも良いか。んな事より話戻すか。俺の仕事な?」
友達C ズリズリ
男「俺の仕事ってさーあぁ別に仕事ってワケでもないんだけど」
男「ちょっと反社会的な事だからさ」
男「時間の自由も効くし、顔も効くし、場所の用意も簡単に出来るんだわ」
……
…
男「なぁ、この記事見てみようぜ」
男の娘「い、いいの?」
男「何が?」
男の娘「新聞……」
男「俺が持って来たヤツだし、一緒に見るくらいならいい。お前も少しはこういうの見たいだろ?」
男の娘「あ、ありがと///」
男「よしよし」ナデナデ
男「しっかし物騒だなー。成人男性がめった刺しにされた後で海に沈められてたとか」
男の娘「怖いね……」
男「本当、こんな事するヤツが野に放たれてるとかな」
男「でもお前は大丈夫だ。ここに居る限り、俺としか会わないだろ?」
男の娘 コクコク
男「なら、安心だ。外に出ない限りこんな危ないサイコパス野郎に出くわす事も無い」
男「俺が守ってやれる」
男の娘「守って……///」
男「そうだな。そういや、お前女ものの服着るの抵抗無くなってきたよな」
男の娘「あーうん。最初はちょっと嫌だったけど、慣れてきたら……」
男「慣れてきたら?」
男の娘「か、可愛い格好も悪くないなって///」
男「それは良かった」ハハハッ
ブブブンコ
男「おっ、電話だな」
男「ちょっと出てくる」
男の娘「うん。早く帰ってきてね」
男「おう」
ガチャバタン
男「どうした」
友達A「男! 友達Cが、友達Cが!!」
男「落ち着け落ち着け、友達Cが連呼されても良くわからん」
男「何かあったのか?」
友達A「ニュースでやってただろ!? めった刺しにされて海に沈んでた男のヤツ!」
男「あぁそんなのあったな。新聞で見たが」
友達A「それが友達Cなんだよ!!」
男「……マジか。なんて事だ」
友達A「葬式は今日だし、そのさ、お前も、来いよ……?」
男「あぁ、行く。友達だしな」
ブツッ
……
…
友達Cの母「なんで、なんでウチの子が……」ズビズビ
友達Cの父「だから、だから記者なんてやるなと、どこで恨みを買うかも分からんと言うのにっ」グスグス
男「……」
友達A「……」
友達B「……」
友達Cの母「あら、あなた達は……そう、来てくれたのね」ズビズビ
男「とても良いヤツだったのに……頭も良くて、勘も良いヤツで……。でも、もしかしたらそれが仇となったのかも知れないですね」
友達A「おい、その言い方は……」
男「あぁ、悪い。でも俺だって憤ってるんだ」
男「友達がこんな目にあってさ」
男「なんでこんな事になったんだろう。友達Cが死ななくて良かった事態もありえたんじゃないかって思うとさ」
友達B「それはそうだが」
友達Cの母「いいのよ。なんて言えばいいかなんて、親の私達でもわからないんですもの」ズビズビ
友達Cの父「あぁ、頭が良いだなんて、息子の事を褒めようとしてくれたんだろう。その気持ちは有難い」グスグス
男「……」
友達A「帰る、か」
友達B「だな」
男「そうするか」テクテク
???「あーちょっと君達良い?」
男「はい?」
ケーサツ「私らね、こういうものなんだけど」
友達A「ケーサツ?」
男「はぁ、何の用でしょうか」
ケーサツ「いや、友達C君の事聞きたくてね」
友達B「友達Cの事を?」
ケーサツ「そうそっ。確か、君らが最後に彼と会ってるんだよね?」
男「さぁ……」
ケーサツ「さぁって」
男「カラオケには一緒に行ったのが最後でしたけど、その後はどうしたのかは分かりませんし」
友達B「だよなぁ」
友達A「うん」
ケーサツ「ふぅん。最後、ね」
男「あぁ俺らが会ったのがって意味ですよ。ってかそっちが最後って最初に使ったんですし、変に勘ぐらないで下さいよ」
ケーサツ「ごめんごめん」
男「何か引っ掛けみたいで不愉快ですね」
友達A「まぁ、友達の葬式に来たのにこんな事聞かれたらな」
友達B「そりゃな」
友達A「なんか疑われてる見たいだよな」
ケーサツ「いや、少しお話聞きたかっただけだからさ」
ケーサツ「ご協力感謝します、と」
男「ふんっ」
友達B「なんか機嫌悪いなお前」
友達A「まぁでも俺も気分良くねぇし」
ケーサツ「……」ポリポリ
ケーサツ後輩「先輩、どうしたんすか」
ケーサツ「う~ん。怪しいなぁあの男」
ケーサツ後輩「そーですか? 友達が死んだのに疑われて怒るってなんか普通な気がしますけど」
ケーサツ「俺の勘がピコリンコって来てんだよなぁ」
ケーサツ「なーんかもっと大きなヤマが絡んでそうな気がするなぁ」
ケーサツ後輩「そんな事言って、今までも壮大な勘違いばっかな癖に」
ケーサツ「なんだとぉ!? 俺ぁこう見えても昔なぁ」グリグリ
ケーサツ後輩「いだいだいだいっすよ! はいはい昔にでっかい事件解決したって武勇伝でしょ」
ケーサツ後輩「耳タコっすよ」
……
…
男 イライラ ウロウロ
男の娘「機嫌、悪いね? どうかしたの?」
男「いや、なんでもない」
男(あのケーサツ、なんか俺を疑ってる臭かったな)
男(どうする、手を打つか?)
男の娘「何か僕に手伝える事って、ある?」
男「いや、お前は良い。俺のそばにいればそれでいい」グイッ
男の娘「あっ///」
男「あぁ良い臭いだ落ち着く」スンスン
男「それに柔らかいな」ムニムニ
男の娘「ちょっ///それは、運動不足だからで///」
男の娘「あっ、体重は変わってないよ!?」
男「大丈夫だ分かってる。ちょうど良い柔らかさだ」スリスリ
男の娘「もう、しょうがないなぁ」ナデナデ
男「ありがとうな。元気出たわ」
男の娘「どういたしまして」
男「……よし、色々やる気出た」スッ
男(手を、打つべきだな。俺はこいつのお陰で満たされ始めている。こいつがそうだったんだな。これは守らねばな)
男「……次は大人の階段昇るつもりだから、準備しておけよ」
男の娘「えっ/// う、うん……///」
男「……」
ガチャバタン
カツカツコツコツ
男「……」ヌッ
???「おっ、おおう? どうしたんだ」
男「理事長、実は大変な事になりそうだ」
理事長「急になんだ」
男「俺はもしかすると警察にマークされたかも知れない」
理事長「何?」
男「この病院にも迷惑が掛かるかも知れない」
理事長「なんだと? 病院には迷惑をかけない約束――」
男「掛かりそうになる事になった。もう過ぎた事だどうしようもない」
理事長「……」
男「だが、助かる道はある。理事長の協力が不可欠なんだ」
理事長「……なんだ。言ってみてくれ」
男「理事長の交友関係に議員や官僚が居たよな?」
理事長「居る事は居るが……」
男「そいつらをまず引き込もう」
理事長「はぁああ!?」
男「うるさいな」ダンッ
理事長「っ」
男「俺が連れてきてた少年少女が居るだろ?」
男「そいつらをあてがって楽しんで貰う。逃げられないように共犯に仕立て上げる」
男「そして圧力をかけるように促せばケーサツも動けんハズだ」
理事長「……ほ、本気で言っているのか?」
男「俺は本気だ」
理事長「頭がクラクラしてきた……」
男「仕方ないだろ」
男「このままじゃ俺達は終わりになるぞ?」
理事長「しかし、バレたら……」
男「なぁ、理事長」
理事長「なんだ」
男「俺達はもう戻れない所まで来てしまったんだ」
理事長「そうさせたのはお前だろう」
理事長「元々、私の弱みに付け込み、こんな地下室まで造らせおって……」
男「そんな事はどうでも良い」
理事長「……」
男「それより、事を行うに当たって不安な点を言ってくれ。前に進む話をしよう」
理事長「……そうだな。中には、告発をする輩も出てくるかも知れない」
理事長「引き込むとなったら、芋づる式に数を増やさねばならない」
理事長「人数が少なければ場合によってはトカゲの尻尾切りで終わる可能性がある」
理事長「だから全員を巻き込む勢いでないとな。しかしそうすると……」
男「なるほど」
男「……そっちは俺がなんとかしよう」
理事長「なんとか、とは?」
男「俺は裏に顔が効く。不穏な輩は……」シャッ
理事長「……それも、本気か?」
男「そうする他に無いんだ」
男「やって手に入りそうなんだ」
男「やっと満たされそうなんだ」
男「突き進むしか無い」
理事長「ええいくそっ」
男「宜しく頼むよ」
理事長「……他でもない私自身の為だ」
男「あぁ、それで良い」
男「俺は俺の為に動いて、あんたはあんたの為に動く」
理事長「鬼畜生が」ボソッ
……
…
ケーサツ「で、話をまた聞きたいんだが」
ケーサツ後輩「どもっす」
友達A「はぁ……何ですか?」
ケーサツ「あの男くん、だっけ? 彼ってどんな人なの?」
友達A「え? なんでアイツの事?」
ケーサツ「別に他意はないよ。ただ、ほら、色々と必要だから」
友達A「え?」
ケーサツ「友達C君の事件でね、色々と必要だからさ」
友達A「あいつを疑ってるんですか? 無いですよ無い。カラオケの帰りも俺と途中まで一緒でしたし」
ケーサツ「途中まで?」ピクッ
友達A「そう、ですけど……」
ケーサツ「なーんで別れたの?」
友達A「それは、家の方向とかも違いますし、ってか、そもそもカラオケ出た時に友達Cとは俺ら別れてますし」
友達A「……なんなんですか?」
ケーサツ「いやいや、ほら、こういう仕事だからさ、ご協力ご協力」
友達A「すっげー気分悪いんすけど」
ケーサツ後輩「だよなぁ」ボソッ
ケーサツ「そっか、そうだよね。ごめんね。じゃあ少し話し戻そうか。で、彼ってどんな人なの?」
友達A「だーかーらー」
ケーサツ「どんな人なの?」ギラッ
友達A ビクッ
ケーサツ「ねっ、教えてくれると、助かるんだなぁ」ニコッ
友達A「それは……普通に、良いヤツ、ですけど」
ケーサツ「もっと具体的にさ、色々他にもあるでしょ」
ケーサツ「何が好きとか、何が嫌いとか、良く通う場所があるとか」
友達A「それ、答えないと駄目なんですか? 任意ですよね?」
ケーサツ「礼状もって来てもいいけど?」
ケーサツ後輩「脅しじゃん……バレたら懲戒免職モノだよ」ボソッ
ケーサツ「お前は黙ってろ」ガンッ
ケーサツ後輩「ぐえっ」
友達A「……れ、礼状っすか」
ケーサツ「だからさ、教えてよ。君良い人っぽいから、そういう荒い方法取りたくないんだよね」
友達A ゴクリ
ケーサツ「別に友達を売れって言ってんじゃないよ? 別に言っても構わない部分でしょ?」
ケーサツ「『お前の友達って何してんのー』って会話とかあったら言うでしょ? その感覚でいいんだ」
友達A「そ、それなら……」
ケーサツ「うんうん」
友達A「~~~」
ケーサツ「?」
友達A「~~~」
ケーサツ「ふむ」
友達A「これぐらい、ですかね」
ケーサツ「そう、ありがとね。じゃっ」クルッ
ケーサツ後輩「……ご協力感謝です」ペコリ
ケーサツ「……ふん。で、どう思う?」
ケーサツ後輩「何がですか?」
ケーサツ「この男ってヤツだよ」トントン
ケーサツ後輩「いつのまに書類作ったんですか……まぁでも、別に怪しい点とか無くないですか?」
ケーサツ「馬鹿言え怪しさ満天だろが」
ケーサツ「まず、こいつそもそも出身地が分からん」
ケーサツ後輩「へ?」
ケーサツ「だからよ、どこ出身かさっき聞いただろ俺」
ケーサツ後輩「あー」
ケーサツ「大学で友達になったらしいが、どこ出身かは知らないと来たもんだ」
ケーサツ後輩「まぁでもどっから来たかなんて話にのぼらなきゃ言わなくないですか」
ケーサツ「普通話に上るだろ。それにこいつ、住民票すら持ってねぇ可能性が実は出てきてる」
ケーサツ後輩「うぇい?」
ケーサツ「こいつ、運転免許は持ってるようだが」
ケーサツ後輩「はぁ」
ケーサツ「大学に問い合わせた時に出てきた生年月日と氏名と一致しねぇ」
ケーサツ後輩「仕事速ぇ……って、は!?」
ケーサツ「こいつがどこの誰なのか、まったく見当がつかん」
ケーサツ「少し調べただけでこれだ」
ケーサツ「俺が考えてたより、やばいヤマが潜んでるのかも知れねぇなコイツはぁ」
ケーサツ後輩「えぇ……まさか先輩の勘が当たったんですか? そんなまさか」ハハッ
ケーサツ「杞憂だと良いんだがな……」
ケーサツ後輩「それより昼飯食いに行きましょうよ。俺腹減ったんすけど」
ケーサツ「お前なぁ」
ケーサツ後輩「仮に勘が当たったとしたら、そんな大きそうな事件明らか俺らの管轄違いますよ」
ケーサツ後輩「もう止めましょうよ」
ケーサツ「誇りとか意地ってもんが無ぇのか」
ケーサツ後輩「ゆとり世代なんでwww」
ご協力感謝!って礼状くれるわけじゃないぞ
ケーサツ後輩「考えるにしてもまずは食ってからにしましょうよ」
ケーサツ「……はぁ、ったく」
ケーサツ(しかし、出身地すら分からんとなると大変だな)
ケーサツ(こいつ自身のが無いと仮定すると、住民票漁っても偽者の可能性が高いうえに複数出てくる可能性がある)
ケーサツ(足で稼ぐに稼げねぇぞこいつは)
ケーサツ(確実にここにいたって確証が無いとな……)ハァ
ケーサツ後輩「うひぉおおおここの定職や今日カツ丼大盛りでも並盛り料金だそうっすよ!」
ケーサツ「そうか」
ケーサツ(もっと真面目でマトモな後輩が欲しかった……)
ケーサツ(ひとまず次は、友達Aが言っていた彼女とか言う存在か)
ケーサツ「この女が男の彼女ねぇ、良い女つれてんなぁ」ピッピッ
……
…
理事長「一応、連絡を取ったぞ」
男「返事は?」
理事長「秘密クラブへの招待と言う名目にしたら」
理事長「全員が快諾したぞ」
男「よし」
男「少しずつ、確実に抱き込んで巻き込んでいく」
男「一度こっち側に引きずりこめば後はどうとでもなる」
理事長「私には、君が人間には見えないよ……」
理事長「人間の皮を被った化け物にしか見えない」
男「それで結構」
理事長「……」
コンコン
理事長「なんだ」
秘書「お客様です」ガチャ
ゾロゾロゾロ
ギイン「理事長くん、久しぶりだね、秘密クラブと言うのはなんだい?」
ギイン「ワクワクしてしまってね、少し時間には早いが来てしまったよワハハハッ」
理事長「これはこれは皆様」
ギイン2「ええ? 色々楽しませてくれるんだろうね?」
理事長「それはもう」
お偉いさん「期待外れはやめてくれよ? ……ん? そっちの若造は?」
男「……どうも」
理事長「彼は……」
男「秘密クラブの管理者です。えぇ、理事長さんとは縁がありまして、ね」
お偉いさん「ふむ」
男「私はただ言われた通りに、理事長さんの望まれたように秘密クラブを作りました」
理事長「おま――」
男 ギラッ
理事長「……くそっ」ボソッ
お偉いさん「なるほど、使い勝手の良い駒か」
お偉いさん「理事長どのが羨ましい限りだ。私もこんな駒が欲しいもんだ」
理事長「……そう、ですか」
ギイン「ワハハハッ」
男「……では、こちらです」
ギイン2「年甲斐も無くハッスル出来そうな感じだと良いんだがなぁ」
男「恐らく満足されるかと思いますがね」
男「場所は地下10階になりますので、道中は足元にはお気をつけ下さい」
お偉いさん2「うむ」
テクテク
テクリンコ
ガチャ
バタリンコォオオ
男「ここになります」
お偉いさん「ははっ、なるほど」
ギイン「ワハハハッ、これは良い!」
ギイン2「これは楽しめそうだ!」
お偉いさん2「巷の事件はこういう事だったのか。なんとも趣味が合う」ニンマリ
少女「うぅ……」
少年「あぁ……」
男「もうしばらくしたらショーも始めますので、お楽しみ頂ければと」
ギイン2「ショー!? なんだねそれは!!」
男「他の皆様方がお集まり次第にもなりますので、今しばらく」
男「先に内容を教えてしまっては、楽しみも半減しましょう」
お偉いさん「それもそうだ」
男「ではでは、後ほど……」
お偉いさん2「ところで一つ、良いかね」
男「はい?」
お偉いさん2「……どうでも良い事だが、君は仮面を被っているようだが。それを剥がそうとは思わんのかね」
男「仮面、ですか。特にそのような事は無いですが」
お偉いさん2「まぁ良いだろう。君より今はショーの方に興味があるのだしな」
ザワザワ
男「はい、それでは。……おっと、他の方々も来たようですね。では、ショーを始めますか」拡声器スチャ
男『えー、本日は秘密クラブの初会合にお集まり頂きまして、まことに有難うございます』
男『今より、ショーを始めたいと思います。ぜひ皆々様方は、お席につかれまして――』
前口上なんぞ良いからはよせんかー!!
そうだそうだー!!
男『えー、なにやら野次がとんでまいりましたので、それでは早速』ガシャーン
ゴゴゴッ
少年「うぅ……」
少女「ひっくひっく」
男『はい、出てきましたは鎖に繋がれた一組の少年少女』
男『彼と彼女は、双子のようです』
男『さて、初めてのショーですので、皆様も参加型のものとしたいと思います』
男『ここに焼印ゴテがございます』ジュウジュウ
男『片方だけでも悲鳴を上げなければ両者開放と言うショーです』
男『様々な種類の焼印がありますので、どうぞ我こそは必ず悲鳴をあげさせてやると思う方は挙手お願いします』
ワーワー
男『あら、全員ですか』
男『う~ん、ちょっと困りましたねぇ』
少年「や、やるなら俺から……妹は」
男『ん? なんと言う妹思いの兄でしょうか』
男『これは良い。よし、では皆さま順番にお並び下さい』
男『どうせですので、まずはこのお兄ちゃんに全員で焼印押しちゃいましょう』
男『全員から焼印受けても悲鳴一つ漏らさなければ解放と言う事で』
ワーワー
お偉いさん「うむ、では私から」スッ
少年「くっ……」
お偉いさん「んあ~」グリグリ
少年「ッッッ!?」ジュジュウ
お偉いさん「ううん? 悲鳴を上げないなぁ」グリグリ
男『ハイ次の方~』
お偉いさん「ううむ、上手く行かないもんだなぁ」
次の人「ハハハッ、まぁそう気を落とさず」
男『自信のある発言ですね』
次の人「鳴かぬなら、鳴かせて見せようホトトギスってヤツだ」
男『それ使い所が絶対違うと思いますが』
ガハハハッ ワハハハッ
次の人「ふんっ、まぁ良い。それより、私は絶対悲鳴を出させて見せるぞ」
次の人「前のヤツは背中にやるから耐えられたのだ」
男『と言いますと?』
次の人「ここならば喚く他にあるまい」ジュジュウ
少年「――ァァァッ、アガガガッ! アアアアッ!?」
男『……これは、少々男性の場合背筋が凍るような……エグい』
次の人「ワハハハッ、どうだ! 悲鳴が上がったぞ!」
男『えっと、はい、ですね』
男『悲鳴が上がりましたので、では、どうしましょうかね』
少年 ビクッビクッ
少女「お、おにいちゃ……」ジワッ
男『耐えられませんのでしたので、解放は無し、ついでに罰も必要でしょう』
男「さてここで、少女の方』
少女 ビクッ
男『どうやらまだ男を知らぬ模様。どうでしょう、誰か我こそはと思う方はいませんでしょうか』
男『さぁさぁ』
男『少子高齢化の解決に一役買おうと言う方おられませんかー』
ワーワー
男『おおっとさっきより元気良く手があがりますねー』
少女「……え? え?」ゾワッ
男『う~ん、ロリコンばかり』
男『いさかかこの国の将来が心配にもなりますが、まぁ良いでしょう』
男『では私と皆様で一斉にジャンケンして、最後に残った人にしましょうか』
男『この場でシテ貰いますので、見られても平気だという方だけどうぞー』
男『はい、ではジャーンケーン』
……
…
ガチャ
男の娘「お、お帰り」ソワソワ
男「帰ったぞ」ドサッ
男の娘「う、うん///」ソワソワ
男「なんだ落ち着き無いな」
男の娘「だ、だって、言ってたじゃん。次戻ってきたらって……忘れた?」ソワソワ
男「いや、覚えてるぞ」スッ
エロゲでも可
男の娘「あっ///」
男「うーん、やっぱり良い臭いだ」スンスン
男の娘「ちゃんとお風呂入ったし、それに、あそこの机の中に香水あったからつけたし」
男「どんな匂いだ」
男の娘「今かいでるじゃん///」
男「お前がどう思ったかだ」
男の娘「えっと、良い匂いだなって……どうして?」
男「良かった。俺が用意したものだからな」
男「同じだ。同じ匂いを良いって思ってるんだな」
男の娘「同じ……///」
男「あぁ、今日は好きにするがいいよな?」
男の娘「……うん。なんか、今日機嫌良いね」
男「お前とこういう関係になれるからだっ」ドサリ
男の娘「うわっ///」
男「はははっ」
男(上手く行ってる)
男(今の所は綻びも無い)
男(このまま上手くずっと行く)
男の娘「優しく、してね?」
男「あぁ、すっごい優しくする」
男の娘「へへっ///」
男(満たされる)
男(今まで何かが違うような気がしてた)
男(だが、こいつだけは本物だ)
男(俺を満たしてくれる存在だ。俺は手に入れた)
男(守ろう。そして、これはずっと続く)
男(これからもずっと上手く行く)
男「さぁ、お楽しみだ」
ギシリ……
ギッギッ
男の娘「あっ、んんっ」
男 ハァハァ
……
…
ケーサツ「ううん?」
ケーサツ後輩「どうしたんすか」ズルズル
ケーサツ「ラーメン食ってんじゃねぇよボケ!」ドカッ
ケーサツ後輩「ああっ、俺のラーメンが」ビチャ
ケーサツ「んなもん後でも食えるだろ」
ケーサツ後輩「何なんですか。パワハラっすよこれ」
ケーサツ「ったく、最近の若いのは。……あの男の彼女だよ」
ケーサツ後輩「はぁ? あの写真の可愛い子?」
ケーサツ「そうだ」
ケーサツ後輩「それがどうかしたんですか」
ケーサツ「おかしい。戸籍上が女になってる」
ケーサツ後輩「いや、どっからどう見ても女の顔でしょあれは」
ケーサツ後輩「最近先輩疲れてるんじゃないですか?」
ケーサツ「……あん?」
ケーサツ後輩「い、いえっ、疲れてるから何か思考が変になってんじゃないですかね」
ケーサツ「馬鹿か。俺だって面だけ見たら女だと思ったよ」
ケーサツ後輩「で、戸籍も女なら女じゃないですか」
ケーサツ「それがおかしいんだ」
ケーサツ後輩「はぁ、どこがです?」
ケーサツ「いや、この女を少し探って見たらよ、こいつを知ってる連中は皆こいつの事を『男だ』と言うんだ」
ケーサツ「こいつは学生のようだが、学籍も調べたら確かに男だった」
ケーサツ後輩「……それは、妙っすね」
ケーサツ「だろう」
ケーサツ後輩「あーでも、今ってなんでしたっけ、性同一なんちゃらってのもあるじゃないですか」
ケーサツ後輩「そういう可能性もあるんじゃないですかね。最近になって変えたとか?」
ケーサツ「こいつの親からも直接聞いた。少し女っぽい所もあったようだが、そんな素振りは無かった、と」
ケーサツ「その上この女っつーか男っつーか、まぁこいつな、今行方不明になってる事も判明した」
ケーサツ後輩「マジッすか……」
ケーサツ「最近上も躍起になってる連続少年少女の行方不明者リストにそのうち載るだろうな」
ケーサツ後輩「うわやだ先輩の勘が当たった臭い」
ケーサツ「これは、でかいヤマになる」
ケーサツ後輩「敏腕デカとかに任せましょう。後ケンサツとかコウアンとか上の人とかに」
ケーサツ「だーかーら、お前は自分も動こうって気持ちがねぇのかよ!?」
ケーサツ後輩「えっ、だって、なんかヤバそうじゃないですか」
ケーサツ「かなり危険な目にあうかも知れねぇな」
ケーサツ後輩「でしょ? 俺そんな目にあいたくないですもん」
ケーサツ「は?」
ケーサツ後輩「一時停止無視した運転手に切符切るような仕事だけで定年迎えたいです」
ケーサツ「はあああ!? お前さぁ、自分の部署把握してるか?」
ケーサツ後輩「出来れば異動したいっす」
ケーサツ「はぁぁ……」フシュウウ
ケーサツ後輩「あぁ先輩から空気と言うか覇気と言うかやる気が抜けていく」
ケーサツ後輩「……冗談ですよ冗談。……まぁ、先輩が追うってんなら、仕事ですし追いますよ」
ケーサツ「そこはさ、仕事だからじゃなくて、正義感とかさ、そういうの理由にしようよ」
ケーサツ後輩「はぁ」
ケーサツ「本当最近の若いのは……」
ケーサツ後輩「まぁまぁ」
ケーサツ後輩「それより問題はこの男を追うなら、それなりの覚悟が必要って事でしょうね」
ケーサツ「そんなものあって当然だろ」
ケーサツ後輩「んーと、そうじゃないっす」
ケーサツ「あん?」
ケーサツ後輩「あの彼女とか言う子の性別が書類上変わってたんすよね?」
ケーサツ「だな」
ケーサツ後輩「って事は、少なくともその立場の人間とのパイプを持ってるって事でしょ」
ケーサツ後輩「誰がアクセスしていじったか記録されてるからその気になれば分かるでしょうけど」
ケーサツ後輩「そいつの上にまで根を張ってるかも知れない可能性もあるわけで、そうだった場合、かなり面倒くさいヤツって事になりますよ」
ケーサツ後輩「猫追ってたと思ったら虎とか豹だったーなんてパターンかも知れないっすよ」
ケーサツ「……」
ケーサツ後輩「あれ?どうしました?」
ケーサツ「まともな事言ったなお前。初めてだよお前からそんな意見聞いたのよ」
ケーサツ後輩「まともって言うか、普通そう思うじゃないですか」
ケーサツ後輩「なんか行方不明事件にも関係してそうですし」
ケーサツ後輩「自分自身の経歴や生い立ちも追えないようにしていて、その上でこれ」
ケーサツ後輩「もう面倒くさい匂いプンプンしてますでしょ」
ケーサツ「だからこそ、俺らが追わないとずっと迷宮入りしちまうかも知れん」
ケーサツ後輩「かも知れないっすね」
ケーサツ「まだまだ被害が出るかも知れない」
ケーサツ後輩「そもそも前から迷宮入りした事件だってあるじゃないですか」
ケーサツ「……簡単に解決出来る事件だけ追おうってか」
ケーサツ後輩「俺らだって人数に限りありますし、事件はこれだけじゃないっすから」
ケーサツ後輩「次から次に事件は起きるんすよ?」
ケーサツ「だからってそのままにはしておけねぇだろうよ」
ケーサツ後輩「まあ、さっきも言いましたけど、先輩が追うって言うなら俺も追いますけども」
ケーサツ「けっ、嫌ならそう言え。俺は一人でもやる」
ケーサツ後輩「別に嫌だとは言ってないですよ」
ケーサツ後輩「ただ面倒なのが嫌だってだけで」
ケーサツ「だーからそれを嫌っつーんだろうが」
ケーサツ後輩「嫌と面倒は違いますよ」チッチッチッ
ケーサツ「はぁ?」
ケーサツ後輩「例えば腹減っても面倒臭くて食事取らなかった人が居たとします」
ケーサツ後輩「じゃあその人は食事が嫌いなのか? と言うと、皆それは違うって言うと思いますよ」
ケーサツ後輩「そーいう事です」
ケーサツ「なんで食事に例える……」
ケーサツ後輩「食べるのが俺好きなんでつい」
ケーサツ「まーいい。お前の言い分は分かった。よっしゃ、じゃあ嫌じゃねぇんだな?」
ケーサツ後輩「えぇ、まぁ」
ケーサツ「じゃあついてこいや!」
……
…
男「……」ナデナデ
男の娘 スゥスゥ
男(落ち着く寝顔だ)
男(そういや、なぜだろうな)
男(思えば無理をしてでも俺はこいつを手に入れようとした)
男(書類をいじったり、女だと言う風に植えつけたり)
男(俺はこいつを手に入れるには、女にしなきゃならないと思っていた)
男(だが、抱いてみれば別に男のままでも良かった)
男(別に同性愛者では無い。だが、こいつに対してはだけはどっちでも良いんだと今なら思える)
男(そう思える相手だからこそ、満たされるんだろうか)
男の娘「……んっ、あれ……まだ寝ないの?」
男「お前を見てると、なんだか寝るのが勿体ない」
男の娘「えぇ///」
男「二回戦、するか?」
男の娘「ううん……」モジモジ
男「嫌か?」
男の娘「したい、なら///」
男「じゃあする」
男の娘「うん///」
男(あぁ、満たされている。……だが、なんだ?)ゾワッ
男(胸が少し、ざわつく)
男(どこかで誰かが、俺にたて突こうとしているような感じがする)ザワリ
男(あのケーサツか? いや、上の人間の抱きこみも順調だ。根回しも後少しで出来るようになる)
男(不安な要素は、無いハズだ)
男(大丈夫だ。俺はこの生活を守れる。こいつを守ってやれる)
男(何も心配は、無い)
ギシギシッ
ギッギッ
男(……常に先手先手)
男(先手を打ち続けて、尻尾をつかませないようにはせねばな)
男(俺は攻められる側ではない。攻める側だ)
男(攻撃こそ最大の防御とも言う)ハァハァ
男の娘「んっ///」
……
…
男「よう、久しぶりだな」
友達A「うん? おっ、久しぶり」
男「最近どうよ」
友達A「最近?」
男(ケーサツがこいつに接触をはかった可能性もある。その場合消さねば)
男(書類をいじらせたヤツは既に消しては居るが、思えばそっちだけでじゃなく、こいつらも危険性はあった)
男「おう。なんかあったりしなかったか?」
友達A「なんかってなんだよ」
男「なんかはなんかだよ」
男「例えばケーサツが来た、とか」
友達A ビクッ
男(ん? この反応)
友達A「き、急になんだよ」
男「いや、実は俺の所にも来てさ、お前ん所にも来てたかなって」
友達A「あっ、そうか」
友達A「って事は、お前もしかして俺の事とか聞かれた?」
男「あー聞かれた聞かれた。適当に答えておいた」
友達A「そっかー。俺ん所にも実は来てさーお前の事聞かれた」
男「……へぇ」
友達A「あーでもお前は良いヤツだよって言っといたw」
男「……ふーん」
男「……そっか、来たか」
友達A「本当いきなりだもんなー」
男「残念、だなぁ」
友達A「え?」
男「いや、ケーサツが来たってさ、なんていうかさ」
友達A「???」
男「お前良いヤツだと思ってたよ、俺は」
友達A「ん? どしたよw」
男「なんていうかさ、泣けてくるよな」
友達A「おいおい大丈夫か?」
男「あーあ」
男「はぁ、こりゃ友達Bもかな。もしかしたら」
男「まぁ辿り着くような情報は無いだろうけど、念のためにな」
友達A[何言ってんだ?」
男「いや、なんでもないよ。ただ、悲しいなぁってだけだ」
友達A「おーい戻ってこーい」
男「じゃあな」
友達A「ん? なんかお前今日変だぞ。まぁ、ちゃんと休めよ。じゃあな」クルッ
男「あぁ、さよなら」スッ
ドツッ……
友達A「カハッ――??? あ、あがっ???」バタッ
友達A「な、何を」
男「ごめんな。友達Cをやっちまったの、俺なんだ」
友達A「????」
男「ごめんな」ガスガスガス
友達A ピクピクッ
男「本当、ごめんな」ズルズル
……
…
ケーサツ「さて、友達Bとやらの所に行ってみるか。地道だがまずは分かる範囲で情報収集を……」
トゥルリンコ
ケーサツ後輩「おっ、電話だもしもし」ガチャ
ケーサツ「おいおい出鼻を挫くなよ」ハァ
ケーサツ後輩「はぁ、はぁ……え?」ガタッ
ケーサツ「ん?」
ケーサツ後輩「はい、はい……」チラッ
ケーサツ「どうした」
ケーサツ後輩「いえ、はい、では」ガチャリンコ
ケーサツ後輩「友達Aが、めった刺しで森の中で発見されました。見つけたのは近くを通りかかった近隣の人らしいですが……」
ケーサツ「何?」
ケーサツ後輩「こりゃ、もうアレかも知んないですね」
ケーサツ「少なくとも友達Cの犯人としちゃあ、ほぼ黒だな。証拠はまだだが……」
ケーサツ後輩「どうします?」
ケーサツ「友達Aは鑑識やらがなんとかするだろ。俺らはまず友達Bの所へ向かうぞ」
ケーサツ「そっちも狙うかも知れねぇ」
ケーサツ後輩「でしょうねぇ」
ガチャ ダダダッ
ケーサツ「ったく、忙しくなってきそうだぜ」
ケーサツ後輩「先輩早いですってば」
ヒソヒソ
ケーサツ「ん?」
上の人「最近、秘密クラブにはまってましてな」
上の人2「噂の……本当にあるんですかな?」
上の人「あるぞ、私は行った」
ケーサツ「上はこんな時にキャバクラか何かの話か? 弛んでるぜ全く」
ケーサツ後輩「まぁまぁ」
ケーサツ「まぁ良いさ。急ぐぞ」
ケーサツ後輩「車まわして来ますんで」
ケーサツ「急げよ」
ケーサツ後輩「はいはい」
神奈川県警だなこりゃ
上の人「おっと、言っては駄目だったんだ」
上の人2「なんと」
上の人「これはご内密に」
上の人2「いえいえ、しかし一人で楽しむとはズルい」
上の人「少々過激ですぞ」
上の人2「ぜひ私も行きたいものですな。現場から離れるとどうにも刺激が足りないもので」
上の人2「金と時間だけはありあまってましてな」
上の人「ううん、本当は教えては駄目なんですがなぁ」
上の人2「そう堅い事は言わず」
上の人「まぁ、秘密厳守、と言う事でしたら」
上の人2「おおっ、守りますとも」
ケーサツ「はっ、ああいうのが上に居座るんだよな。世の中狂ってるな」ダダッ
ケーサツ後輩「先輩こっちでーす」ブロロロ
ケーサツ「おうよ」
……
男「……さて、次は友達Bだな」
男「あぁしかし、大学生活の時の事は、良い思いでばかりだな」
男「気の良い連中だったな。どこで間違ったのか」
男「だが、それはもう過去だ」
男「俺には過去なんて元から必要は無いし、無かったものだった」
男「今大事なのは、あいつとの未来ただ一つだけだ……」テクテク
男「……ん?」
キキッ
バッ
ケーサツ&ケーサツ後輩
男「……あいつら」チッ
男「先にきやがったか」
男「……くそっ。友達Bも消さないといけないってのに」
男「裏の連中にやらせるか? いや、友達だけは自分の手でやりたい所だ」
男「俺がこの手でつけるべきケジメであり、背負うべき罪だ」
男「……ひとまず、様子見するか」
……
…
ピンポンピンポン
ポンポンポーン
友達B「インターホン連打とか誰だよ……ガキの悪戯?」ガチャ
ケーサツ「はいはいごめんね生きてる?」
友達B「は?」
ケーサツ後輩「どもっす」
ケーサツ「覚えてる? 俺の顔」
友達B「いや……」
ケーサツ「ほら、友達Cくんの時にさ」
友達B「あっ、ケーサツ!?」
ケーサツ「そうそう」
友達B「い、一体なんすか」
ケーサツ「あー、そのさ、君危ないから、一緒に来てくれる?」
友達B「は!?」
ケーサツ「だから、ちょっと署まで来ようか」
ケーサツ後輩「まぁ、ご協力頂ければと」
友達B「いや、話が全然見えないんですが」
友達B「え? 俺、何か悪い事でもしましたっけ!?」
ケーサツ「いや君はしてないよ」
ケーサツ「君はね」
友達B「???」
ケーサツ後輩「まぁなんと言うか、要保護者と言いますかね」
友達B「だから意味が」
ケーサツ「安心していいよ。別に君自身をどうこうしようってわけじゃないから」
ケーサツ「ただ、君の身が危ないかも知れないから、ちょっと避難しようやって事なんだ」
友達B「え? 俺の身が? わけわからん……」
ケーサツ「うるせーな死にたくなきゃこいっつってんだよ!!」
友達B「ひっ」
ケーサツ後輩「ま、まぁまぁ落ち着いて先輩」
ケーサツ後輩「完全に刺青入ってる人みたいな口調になってますから」
友達B ビクビク
ケーサツ「アァ!?」
ケーサツ後輩「ここはしょうがないんで俺が説明しますわ」
友達B ビクビクンコ
ケーサツ後輩「えーとですね、端的に言うと、危ない人があなたを狙っている」
友達B「え?」
ケーサツ後輩「かも知れないので、少し保護させて頂きたいな、と」
友達B「俺が? でもそんな恨みとか買った覚えは……」
ケーサツ後輩「どういった動機があるのか、詳しくは本人ではないんで私らも分かりませんが」
ケーサツ後輩「とにかく、捜査をしていく中で、あなたは狙われている可能性が高い、かも知れないとなったわけです」
ケーサツ後輩「で、まあ保護もかねて少しお話もしたいなと、こういうわけです」
友達B「……」
ケーサツ後輩「本当に何かしようと言う気はないです。騙してしょっぴくとかも無いです。安心してください。なんならその事だけに関してですが、音声録音して貰っても結構です」
つーか先輩これ普段の業務に支障出て署内でもこんなんだから絶対干されてるやつですやん
友達B「な、なるほど……」
ケーサツ後輩「はい」
友達B「つまり、俺が狙われてるかも知れないから、署に居れば安全だと?」
ケーサツ後輩「まぁずっと居て貰うわけではないです。お仕事とかもあるでしょうし」
ケーサツ後輩「私らの勘違いって事もあるかも知れないので」
ケーサツ後輩「そういった事も含めて、お話もしたいし、つまりはご協力頂きたいと」
友達B「なるほど……」
ケーサツ後輩「では一旦ご同行頂けますか?」
友達B「まぁ、そういう事なら」
ケーサツ イライライライラ
ケーサツ後輩「なんでそんな切れてんですか。威圧的過ぎですよ」ヒソヒソ
ケーサツ「まわりくどいんだよ」
ケーサツ後輩「そうは言っても、普通の人からしたらいきなり来い言われたらビビるじゃないすか」
ケーサツ後輩(う~ん、進んでるように見えて実質捜査進んでないからなぁ)
ケーサツ後輩(結局男の素性はわからないし)
ケーサツ後輩(イライラするのも分かると言えば分かるが)
ケーサツ後輩(地味にムラッ気あるよなぁこの人)
ケーサツ後輩「まぁまぁ何か食べましょうよ。お腹いっぱいになればイライラも収まりますって」
ケーサツ「そんな気分じゃねぇ」
ケーサツ後輩「そうっすか。あっ、じゃあ後ろ乗ってください」
友達B「はい……」
ケーサツ後輩「あっ、ハンバーガー食べます? 買い置きしてるんで一ついいですよ」
友達B「い、いやいいです」
バタム ブロロロロッ
男「……乗せた? あいつを狙ってる事がバレた、のか?」
男「……」
男(どうする?)
男(友達Bから俺に繋がる情報は無いだろう)
男(だが、可能性は0じゃない。何かから俺の素性にも及ぶかも知れない)
男(あと少しではあるが、まだ完全に圧力をかけられる程には秘密クラブも進んでいない)
男(……どうする?)
男「襲撃でもしかけるか?」
男「いや、どう考えてもリスキーだな。どうせいつまでも友達Bを囲ってはおけないだろ。あいつが帰ってきてから、消せばいい」
男「それが最善だ」スッ
テクテクテク
男 チッ
……
…
ケーサツ「まぁ、でだ、聞きたい話って言うのはねぇ」ニコッ
友達B ガクブル
ケーサツ後輩「今更そんな顔しても手遅れですってば……」ボソッ
友達B「そっちの人のが、良いです」
ケーサツ後輩「ん? 私?」
友達B「歳も近そうだし、怖くないんで」エヘッ
ケーサツ「俺が怖いってか?」ズアッ
友達B「そ、そういう所が」
ケーサツ「うるせぇこの」ガンッ
ケーサツ後輩「ぐぇ、なぜ俺が」
ケーサツ「まぁ良いさ。しようがない。お前が話し聞け」
ケーサツ後輩「はぁまぁ良いっすけど」
ケーサツ後輩「まーその、聞きたい事って言っても、男くんって人の事なんだけどね」
友達B「男、ですか?」
ケーサツ後輩「うん、まぁ」
このペースってことは書き溜めでもないだろ
糖分摂れよ
友達B「まぁ、良いヤツっすよ基本は」
友達B「最後に会ったのは、カラオケですけど」
友達B「タンバリンをシャンシャンならしてたし」
ケーサツ後輩「~~~」
ケーサツ「~~?」
友達B「~~~」
ケーサツ後輩「~~~」
友達B「あー出身ですか? わかんないですね。そういや聞いたこと無かったなぁ」
友達B「ただ……あーこれ良く分かんないですけど」
ケーサツ「ただ?」
友達B「確か、海行った時かな?」
友達B「あいつずっと海の向こう見てて、なんか哀愁漂ってましたけど」
ケーサツ後輩「どこの海かわかります?」
友達B「えっと、○○海岸かな」
ケーサツ「太平洋側か」
友達B「俺にわかるのは、これぐらい、かなと」
ケーサツ後輩「どう思います?」ヒソ
ケーサツ「嘘言ってるようには見えねぇが」ヒソ
ケーサツ後輩「でも太平洋側ですか、広すぎる」ヒソ
ケーサツ「……いや、なるほど」
ケーサツ後輩「え?」
ケーサツ「それで生年月日やら氏名がバラバラなのか。合点が行くな」
ケーサツ後輩「は?」
ケーサツ「こいつは経験が無いとわからんだろうよ」
ケーサツ後輩「はぁ……」
ケーサツ「近づいたな」ニヤッ
……
…
ケーサツ後輩「帰しちゃって良かったんですかねぇ」
ケーサツ「元々ずっと置いとくわけにも行かねぇだろ」
ケーサツ後輩「まぁそうですけども」
ケーサツ「交番の連中にいつもより多く巡回しとけっつったし、まぁ大丈夫だろ」
ケーサツ「それより、調べる事がある」
ケーサツ後輩「何をです?」
ケーサツ「友達A、B、Cは同年代だ。恐らくは男もそうだろうよ。面的にもな」
ケーサツ後輩「そりゃまあ」
ケーサツ「だからよ、ちょうどそいつらが五歳から十歳の時期に大規模に入ってきた連中」
ケーサツ「乳幼児はありえないし、かと言って歳が行き過ぎてるわけでもない。言葉を流暢に喋るのに覚える年齢を考えてもな。だからそいつを調べるわけだ」
ケーサツ後輩「え? 入ってきた連中?」
ケーサツ「恐らく、どっかに移民として入って来てる。背のりのパイプもそこらへんで作ったんだろうよ」
ケーサツ後輩「はぁ!? 移民!? そんなの日本に……大体いかにも日本人って感じで外国人って顔じゃ」
ケーサツ「入ってきただろ」
ケーサツ後輩「いやそんなのは……」
ケーサツ「まぁ、お前もガキの頃だろうから、覚えてねぇだろうな」
ケーサツ「言い方がもしかしたら移民じゃねぇ可能性もあるが、まぁ似たようなもんだ」
ケーサツ「そういうのが入ってきてるハズだが」
ケーサツ後輩「……」
ケーサツ「新聞とかにちらっと載ったりしたの見なかったか?」
ケーサツ後輩「いやーガキの頃に見る新聞なんてテレビ欄だけですよ」
ケーサツ「あぁまぁそんなもんか」
ケーサツ後輩「えぇ? でもなんなんすか、その人たちって」
ケーサツ「恐らくだが、男の出身地は南米のどっかだ」
ケーサツ後輩「は?」
ケーサツ「多分だがな」
……
…
男の娘「おかえり///」
男「ただいま」
男の娘「あの、今日は……///」もじもじ
男「悪い、今日はまたすぐに行かなきゃならない」
男の娘「えー」
男「大丈夫だ、全部終わらせて、帰ってくる」
男の娘「うん///」
男「あぁ、良いなぁ」スンスン
男の娘「ちょっ、ちょっと匂いかぐの///」
男「良い匂いなんだ。だからずっと傍にいたい」
男の娘「わーわー///」
男「そんなに恥ずかしがる事も無いだろ。もっと恥ずかしい事してんだから」
男の娘「それはそうだけど///」
男「俺は絶対守るよ。満たされてるから」
男「あの場所に居た時から感じていた、空いた穴のような感覚が、お前と居ると埋められていくようなんだ」
男「俺にはお前が必要だ」
男の娘「ううう、なんかプロポーズされてるみたい///」
小学生?
よく見ろjkだぞ
男「どんな事をしてでも、守るよ。本当に」
男「銃撃の雨の中でも」
男の娘「大げさだなぁ」
男「お前は、俺の事を必要としてくれるか?」
男の娘「……うん。必要。大好き、愛してる」
男「そっか。良かった」ギュッ
男の娘「えぇええ~急に///」
理事長「……変態が」チラッ ボソッ
理事長「あいつはどこかが壊れてる。だからか……あぁ、気持ち悪い」
理事長「くそっ、あいつのせいで、私までもう引き返せない……」
……
友達B「ふぅううう、寒い寒い」
友達B「そろそろ春だってのに、まだ寒いとか」ブルルリンコ
男「……」
友達B「ん? あれ、男じゃん」
男「……」
友達B「なんか最近ここらへん物騒らしいから、お前も気つけろよー」
友達B「警察に呼ばれたりしたしさ、あっ、そうそうお前の事も聞かれたんだけど、何かしたの?」
男「そっか、俺の事聞かれたのか」
友達B「おう、なんかしらんけどなw」
男「あぁ、そっか」
男「まぁ聞かれてようが、聞かれていまいが、関係ないんだけどな、もう」
友達B「ん? どした?」
男「いや、なんていうかさ、ごめん。ごめんな」
友達B「いきなりなんだよ。もしかして、学生時代に俺の菓子を勝手に食った事か? ばっかだな~気づいてたっつの。別に気にしてねぇよ」ポンポン
男「いや、そうじゃなくてさ」ドツッ
友達B「……ぇあ?」ドクドク
男「ごめんな」ズッ
友達B「あ、あにを」
男「ごめんなごめんごめん」ドツドツドツ
男「本当にさ、ごめん」ザクッ
友達B「あががっ」
男「叫ばれてもあれだからさ、ごめんな、首」ズッ
友達B ヒューヒュー バタッ……
男「悪いと思ってるさ。だけどな、俺には未来があるんだ」
友達B ピクピクッ
男「……」
男「あぁ……」
男「これで、友達全員、か」ハァ
男「まぁ、仕方ない、さ」
……
ケーサツ後輩「結局よくわからなかったんすけども」
ケーサツ「何がだ」ペラペラ
ケーサツ後輩「南米って思った理由ですよ。太平洋ならアメリカとかカナダって線もあるんじゃないですか」
ケーサツ「そこから来るのは仮に何かやったとしてもここまでの事出来ないだろ絶対数が少ない」
ケーサツ後輩「数、ですか?」
ケーサツ「……ところで、南米出身の日系人が労働者として再び日本に戻って来れる、来たって話は聞いた事あるか?」
ケーサツ後輩「あーなんかそんな話聞いた事ありますねー」
ケーサツ「……いくら日系人って言ってもよ、そいつらは日本語なんて喋れんし、向こうの生活とこっちの生活のギャップもある」
ケーサツ「まだガキだと日本語覚えるのも早いが、すると今度は日本語喋れない親とのコミュニケーションの問題が出たりな」
ケーサツ「まぁ他にも色々とあるんだろうが、中には孤独感のようなものを感じて悪い方向に走る連中も居るわけだ。そうした連中とのパイプを持ってる可能性がある」
ケーサツ後輩「……なんだか、面倒な話になってきたような」
ケーサツ「人間なんてどいつもこいつも面倒なもんよ。俺やお前だって似たようなもんだ」
ケーサツ「日本産まれの日本人でだって、お前が時代を見てねぇだけでこいつと似たような連中なんて居たもんだ」
ケーサツ後輩「そんなの居ましたっけ?」
ケーサツ「戦後すぐなら愚連隊、高度成長あたりで暴走族辺りがそうか?」
ケーサツ後輩「あ~なるほど」
ケーサツ「……まぁ、やってる事は時代時代で変わってるようだが」
ケーサツ「最近のガキはどいつもこいつも、出身問わずに頭使う傾向にあんだよなぁ」
ケーサツ後輩「はぁ」
ケーサツ「ただ、この男はその中でも少し特殊な気がするな。嫌な予感がする」
ケーサツ「ただのチンピラって枠ではねぇーよな」
ケーサツ後輩「まぁ確かにそんな感じはしますが」
ケーサツ「お前の言った通りに猫だと思ったら実は虎か豹かも知れねぇな」
ケーサツ「なんせ、今の今まで個人情報を飄々と変えて来た癖に目立つような事をしてこなかったヤツだ」
ケーサツ「なんでここでこんな行動に出たのかは知らんが、明らかに他の連中と違う」
ケーサツ後輩「……やっぱ、コウアンとかケンサツの出番じゃないすかね」
ケーサツ後輩「あとは入管とか」
ケーサツ「馬鹿が、ここで引き下がれるかよ」
ケーサツ「世の中舐め腐ったようなガキに灸をすえてやらねぇとな」
ケーサツ後輩「なんか信念のようなものを感じますが」
ケーサツ「俺はよぉ、自分を大人だと思ってる」
ケーサツ後輩「は?」
ケーサツ「そういうのを教えてやるのは、大人の役目だ。だから俺がやる」
ケーサツ後輩「なんと言うか……」
ケーサツ「あー嫌ならお前はもういいぞ」
ケーサツ後輩「えぇついてこいとか言っておいてそれすか」
ケーサツ「やぶつついて蛇出てきたら嫌だろ?」
ケーサツ後輩「急に優しくなられても、言うなら最初から言って欲しかった。俺だってここまで来たら戻れないっすよ」
トゥルリンコ
トゥルリンコ
ケーサツ後輩「あっ、電話」ガチャ
ケーサツ「ん? こっちもかよ」ガチャ
ケーサツ後輩「はぁ、はいはい」
ケーサツ「うん?」
ケーサツ後輩「え?」
ケーサツ「は?」
ケーサツ後輩「え、えぇ、はい、わかりました」ガチャ
ケーサツ「わかった」ガチャ
ケーサツ後輩「あの、友達Bが殺されたと」
ケーサツ「……そうか」
ケーサツ後輩「そっちの電話は?」
ケーサツ「俺が目をつけてた、戸籍いじったと思われる役所の人間が自殺してたとよ」
ケーサツ後輩「えぇ……」
ケーサツ「こいつは猫なんかじゃねぇな。虎だな……」
ケーサツ後輩「……」
ケーサツ「行くぞ」
ケーサツ後輩「はい?」
ケーサツ「男を見つけてしょっぴくぞ」
ケーサツ後輩「令状は?」
ケーサツ「いらねぇ。名目はいくらでも立つだろ。任意同行って建前でも良い」
ケーサツ「先に捕まえておかねぇと、逃亡されるかも知れん。海外に行かれたら終わりだぞ」
ケーサツ後輩「はぁ……」ガタッ
スススッ
上の人「あーケーサツ君、ちょっと良い?」
ケーサツ「ん? なんですか?」
上の人「あの、君っさ、何か色々調べてるそうだけど……」
ケーサツ「大きなヤマです」
上の人「それ、中止、ね、ちゅ・う・し」
ケーサツ「……は?」
上の人「あと、あの連続行方不明のアレ? も、捜査止めるから」
ケーサツ「……」
ケーサツ後輩「……え?」
上の人「うん、ね、それだけ言っておくから」
ケーサツ「何を、言っているんですかね。私、耳が悪くなった覚えは無いんですがね」
上の人「だ、駄目だよそんな凄んでも」
上の人「中止は中止」
ケーサツ「それはどういった理由で」
上の人「よくよく考えて見ようか。行方不明ってさ、毎年かなり居るでしょ?」
上の人「今回のも……たまたま重なっただけだと思うし」
上の人「それについでに君の調べてる事もさ、今する事じゃないよね?」
上の人「他にも事件起きてるし、そっち調べようよ。お給料貰ってるんだからさ、ほら税金からさ」
上の人「やっぱりね、良く分からない事よりさ、納税者の方々の為になるって言うか、ね、安心安全の為に働かないとさ」
ケーサツ「……これは、それに繋がるわけですが」
上の人「私にはそう思えないな。どうしてもって言うなら、手帳は置いてってね」
ケーサツ後輩「いやっ、手帳置いてったら、調べられないんですが」
上の人「まぁ、そういう事だから、私は行く所あるから、じゃっ」スキップ
ケーサツ「……どういう事だ」
ケーサツ後輩「なんか、狙い撃ちって感じですよね。男に関して」
ケーサツ「まさか……」
ケーサツ後輩「いやいやいや、んなアホな」
ケーサツ「だがそれしか考えられねぇな。信じられねぇが影響力がここまで」
ケーサツ後輩「……虎ところか、麒麟か何かだったんじゃ……」
ケーサツ「馬鹿ヤロウ、んな事言ってる場合か!」
∧∧
(*・ω・) おやすみ・・・
_| ⊃/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はよ
| |
| |∧_∧
|_|´・ω・`) スレ残ってる…
|桃|o旦 o
| ̄|―u’
""""""""""
おうはよかくんだよ
風邪引く
はよ
ケーサツ後輩「……でも、これどうしま……ん? 何の匂いだろ」クンクン
ケーサツ「……なんだ?」
ケーサツ後輩「いや、なんか、薄っすら匂いしません? これは……なんすかね」
ケーサツ「は?」
ケーサツ後輩「上の人が居た所から。何か香水つけた人と会ったとか? ですかねぇ……」
ケーサツ「鼻良いな。どんな匂いだ?」
ケーサツ後輩「ちょっと分かりませんが」
ケーサツ「……上のヤツ、行く所があるって言ってたよな? 何かあるのかも知れねぇ」ズカズカ
ケーサツ後輩「あっ、どこ行くんですか。中止って言われたばっかですし別の方法とか」
ケーサツ「そんな時間あるか……置いてけってんなら、置いてってやるよ!」バンッ
ケーサツ後輩「う~ん」
……
…
上の人「さぁ、言われた通りに抑えて来たぞ」
男「これはこれはどうも」
上の人「礼には及ばんよ。元々捜査を含めて打ち切らねば、お楽しみを邪魔される可能性もあるんだよ」
男「それは確かに」
上の人「……」スンスン
男「? どうかされましたかね」
上の人「前から思っていたんだが、少し香水のような匂いがするな」
男「はぁ……そーですか?」
男(香水つけさせた男の娘とギシアンしまくったせい、か?)スンスン
男(良い匂いだと自分で選んだだけあって、気づかなかったな)
男(まぁ気にする必要も無い)
上の人「少し気になっただけだ。気にしないでくれ。それよりも、早く約束を履行したまえよ」スキップ
男「では、こちらからどうぞ」スッ
上の人「うむうむ」
男「約束を守って頂けたようですので、特別室へご案内です」
上の人「他の偉い連中を差し置くこの感じ、なかなかに癖になりそうな快感があるものだぁ」
男「お楽しみはこれからですよ」
上の人「そうだった」
男「……」
ガチャ
少女「……ぇっ、だ、誰」
上の人「おぉ……」
男「どうぞご自由に、道具も一通り揃えておりますので」
男「あなた専用ですので」
上の人「好きにしていいんだな!?」フガフガ
男「どうぞどうぞ」
上の人「あぁ、夢のようだ」ツツー
男「感涙まで、ご満足頂けたようで」
少女 ビクッ
上の人 ハァハァ
男「ではごゆっくり」バタン
男(……これで、あいつに追われる可能性はほぼ無くなった)
男(一安心、と言った所か? 後はゆっくり消す機会を窺えば良い。念のためにな)
こんなふうにあてがってるし処女出てきてたし自分が楽しみたいわけでもなさそうだし
それは流石に最初から読めとしか
えっ読んだけど美形集めてる理由出てたっけ?
忘れちゃった
男(さて……)
ガッガッ
男 ピクッ
男「なんだ? 何か音が」
男(配管からか? ネズミでも出たか? それにしちゃあデカイ音のような)
男「……ふむ」
男(……配管に繋がってる壁でも蹴って見るか)ガッガァアアアン
ガンガンッ
ガァアン
男「……反応が無いな。おかしい。ネズミなら逃げる音か声のひとつでも上げるハズだが」
???「チュ、チュー」ヒソッ
???「馬鹿かそんなあからさまな声を出すネズミがあるか!」ヒソッ
男「ん? 人の声――」
ザワザワ
男「そうだ。あの連中も案内しないとな」テクテク
???「しかしここどこですかねぇ」ヒソ
???「病院の地下なのは確かだ。なんでこんな所に上のヤツは……」ヒソ
???「何か持病でもあって検査でもしに来たんじゃないですかねぇ」ヒソッ
???「そんな面じゃなかっただろ」ヒソッ
???「ってか、暗くて何も見えないし、今が何階かも分かんないですが」ヒソッ
ズッズッズッ
男(……しかしネズミか。配管、いや、通気口か?)
男(気分が悪い。早急に殺鼠剤か……もしくは毒ガスでも巻くか?)
ザワリンコ
男「これはこれは皆様、お待ちしておりました」
偉い誰か「まったく、入り口からここまで君が案内するのが筋だろう」
男「申し訳ない」
偉い誰か「次から気をつけてくれたまえよ。それより早く」
男「こちらです」
男(……ここまで抱き込んだ連中も十分な人数や質だろうな)
男(ここまで来たら、俺が表に出る必要も無いかも知れない)
男(後は理事長を脅しつつ、俺は裏に回るとするか)
男(もう少し落ち着いたら、旅行にでも行こう。そうだ。あいつと……)
偉い誰か2「今日は私の暴れん坊将軍が暴れまわりますかなぁ!」
偉い誰か3「わはははっ、私のきかん坊も負けませんぞぉ!」
男「溜め込んだものをどうぞ爆発させて下さい」
……
…
男の娘「え? もう一回言って」
男「もう少ししたら、旅行に行こう」
男「ずっとこの部屋じゃな。息もつまるだろう」
男「新婚旅行だ! ……嬉しく、ないか?」
男の娘「う、ううん。嬉しい///」
男「どこに行きたい?」
男の娘「う~ん」
男「どこでも良いぞ」
男の娘「うう~ん……」
男「必ずそこで一番のホテルのスイートルームを予約して来よう」
男の娘「……出来るの? スイートルームって高いんだよね?」ボフッ
男「出来るさ。出来るよ。それぐらいの金ならすぐに用意出来る」
男の娘「う~ん」
男「行きたい国とか無いか?」
男の娘「うぅ~ん。……どこでも良いかな」
男「は?」
男の娘「どこでも良いよ。ってか、別にスイートルームとかじゃなくてもさ」
男「いやいや、何かあるだろ?」
男の娘「なんて言うのかさ、どこに行くとか、どこに泊まるって言うよりもさ」
男の娘「誰と一緒か、って言うのが一番大事と言うか」ムムムッ
今までのはこうなるであろうと予測しての演技だったのか……!!
男「……」
男の娘「……どうしたの?」
男(なんだろう。心の奥が、じんわりと暖かくなっていくような)
男(満たされるだけじゃない。嬉しいだけじゃない)
男(暖かい)
男「……」ガバッ
男の娘「ちょっと///」
男「駄目か?」
男の娘「駄目じゃ、ないけど///」
男「じゃあ良いだろ」
ギッギッ
男の娘「……んっ」
ギシッギシッ
男「なぁ、俺たちずっと一緒だよな?」
男の娘「うん……///」
……
…
ケーサツ後輩「こんな通気口を這いずり回るなんて、ドブネズミの気分ですねぇ」
ケーサツ「しょうがねぇだろ」
ズッズッズッ
ケーサツ後輩「なんか疲れてきた……」
ケーサツ「根性が足りねぇんだ」
ケーサツ後輩「根性論はいまどきは流行ませんって」
ゴソゴソ ハァハァ
ケーサツ後輩「……ん?」
ケーサツ「どうした」
上の人 ハァハァ
ケーサツ後輩「いや、ここの隙間から下が見えるんですけど、あの、なんていうか」
ケーサツ「何か見えたのか?」
ケーサツ後輩「なんかチラッチラッ上の人が見えるんですよね」
ハァハァ
ケーサツ後輩「全裸で鞭とかロウソク持ってるような気がしたんですが」
ハァハァ
ケーサツ後輩「気のせいかな」
ケーサツ「……」
ケーサツ後輩「さぁ、進みます――」
ケーサツ「ちょっと耳澄ませるか」
ケーサツ後輩「はぁ……」
アアアアッ ヤメッ、ヤメデッ
ケーサツ「なんか小さい子の声が聞こえるんだが」
ケーサツ後輩「えぇ……ですね」
ケーサツ「ちょっとお前下がれ俺が見る」
ケーサツ後輩「いいですけど……」ズリズリ
ケーサツ「……んん? 確かに、チラチラ見えるな」ズイッ
上の人「誰も君を助けないんだよぉおお」ハァハァ
少女「お、おかあさぁん、おどうさぁああん!」
上の人「さぁ、舌を出して、あっちゅいロウソクなめなめしようねぇ」
少女「イヤイヤイヤイヤァア!!」
少女「おまわりさぁああん!!」
上の人「あ~絶対来ないよ~うん絶対」
上の人「来るならもう来てるハズだよぉ? 足音だって聞こえないし、この部屋は鍵だって掛かってるんだ」
上の人「お楽しみが終わるまでは絶対誰も来ないんだぁ」ニパッ
少女 サァァァアアッ
上の人「あ~声も出なくなっちゃった~良い顔だねぇグッとくるよ」
ケーサツ「何やってんだ……」ガッ
ケーサツ後輩「あっ、ちょっと何を無理やりこじ開けようとか無理ですってば!」
灰となって消えた音であることはわかる
ケーサツ「馬鹿ヤロウ、気合で開けんだよ!」ギギッギッ
ケーサツ後輩「えぇええ……」
ケーサツ「ッ」ギギギッギギッ
ズルッ ピシャッ
ケーサツ後輩「うわっ、なんだ」ペタ
ケーサツ後輩「え? 血?」
ケーサツ後輩「……えええっ、先輩、ちょっと、指から血出てません?」
ケーサツ「だからどうした」
ケーサツ「俺はよ、守るつもりだ。ガキに灸をすえるのが大人の役目なら、ガキを守ってやんのも大人の役目だ」
ケーサツ後輩「……先輩って何か早死にしそうに思えますよ」ボソッ
上の人「血の気が引いちゃったねぇ。本当グッとは来る! でも、やっぱり女の子はほっぺ赤くしなきゃかな?」ピシーン
少女「いだっ、いだいっ、ひっぐ」
上の人「あ~ちょっと鞭強かったかな? でもほんのり赤くなったぁ」
少女「いだいっ、いだい……」
上の人「可愛いお顔に傷ついちゃったねぇ。ずっと残るかもねぇ」
上の人「私のつけた傷が、一生ね」ニチャッ
少女「あっ、あっ、あぁっ」
ケーサツ「……世の中ってよ、狂ってる事多いよな」ギチギチ
ケーサツ後輩「へ?」
ケーサツ「毎日毎日どっかで事件は起きてるし、誰かが誰かを陥れるなんて事も日常茶飯事だ」ギリッ ズルッ
ケーサツ「でもよ、そんなんじゃあガキどもはどうしようも無ぇじゃねぇか」
ケーサツ後輩「……」
ケーサツ「上手く言葉に出来ねぇが」
ケーサツ「俺は助けなきゃなんねぇって思ってんだ」ズルッ
ケーサツ後輩「……はぁ、ちょっと待って下さい」コンコン ズリズリ コンコン
ケーサツ「何してんだ」
ケーサツ後輩「そこより、こっちのが開きそうじゃないですか? 少し緩んでますし」
ケーサツ後輩「じゃあ俺こっち引っ張るんで」グイッ
ケーサツ「……そうか」グッ
ケーサツ後輩「外れると良いんですけど……」
ケーサツ「だから気合だっての」グッ
ケーサツ後輩「よいしょ」グ
メリメリメリ
ケーサツ「おっ?」
ケーサツ後輩「ん?」グラグラ
ガシャッ……バキッ
ケーサツ後輩「あっ、ここやると俺の所が抜けるのね」ヒュウウ
ドシン
ケーサツ後輩「尻いてぇ!!」
上の人「――なっ、なんだ!?」
少女「いだいよ、いだ……ふぇ?」
ケーサツ「おいおい大丈夫かよ」ヒョイ ストン
上の人「おっ、お前たち!? な、なんでここに」
ケーサツ「……それはこっちの台詞だ」
ケーサツ「真っ裸で何をしている」
上の人「おまっ、タメ口」
ケーサツ「何をしているって聞いてんだよ!」ガッ
上の人「ぐえっ――」バタリッ
ケーサツ「はい、現行犯ね」ゴソゴソ ガチャ
上の人「歯がっ歯がっ、おがっおがっ、目上ひむかふて!」バタバタ
少女 ポカン ハッ
少女「……あ、あの」
ケーサツ「どうした」
少女「その、だ、誰」ビクッ
ケーサツ「呼んだでしょ。さっき」
少女「……え?」
ケーサツ「おまわりさんって」
少女「……あっ」ジワッ
ケーサツ「それより、はい、上着貸すから、着なさい。女の子だから、その姿はね」バサッ
少女「……あ、あい///」グスグスッ
ケーサツ後輩「尻が、尻がっ……」ナデナデ
ケーサツ後輩「痔とかになってなきゃ良いんだけど……と言うか、これからどうします?」
ケーサツ「明らかにここは怪しいがよ、一旦帰る他に無いだろ。内情はこいつに聞く」グイッ
上の人「おま、おまへぇ」ギリギリ
少女 グスグス ペタリ
ケーサツ「ん? どうした」
少女「だて、立てない、あっこ、抱っこ」
ケーサツ「はぁ……ほら」
少女「……あ、ありが、と、ございます///」ヨジヨジ
……
男「……なんでさ」ナデナデ
男の娘「なぁに」
男「太陽って東から西に沈むんだろうな」
男の娘「いきなり何」スリスリ
男「でさ、分からないけど、多分、それって永遠に続くんだろうな」
男「毎日毎日、東から西に、変わる事も無く太陽は浮かんでは消えて」
男「朝が来て、昼が来て、夜が来て、それは当たり前だけど」
男「忘れてしまいそうだけど、でも朝日で目覚めて、昼の暖かさに包まれて、夜になったら星を見て」
男「みんなその時その時で幸せそうだ。満たされた永遠を忘れてしまっているけど、当たり前だと思っているけど、それが幸せなんだ」
男「だから俺も、永遠が欲しい。ずっと傍に居て欲しい。お前が俺にとっての太陽であって欲しい」
男の娘「んー、なんか良く分かんないなぁ」
男「守るから、絶対守るから、ずっと俺の傍にいろよ……」ギュッ
男の娘「同じような事をなんか何回も言われたよーな気がするけど、大丈夫だよ。ずっと傍にいるから」ギュッ
男「あぁ……」ギュウウ
トゥルリンコ
トゥルリンコ
男「……なんだ」スッ
男「ん? 知らないヤツがうろついてる?」
男「新しく来たお偉いさんとかじゃなくて?」
男「……そもそも様子がおかしい?」
男「分かった。カメラ確認しに行く」スッ
男の娘「何か、あったの?」
男「少しな。待ってろ。すぐ戻ってくる」
男の娘「……うん、気をつけてね」
男「あぁ」
ガチャバタン
男「……」
男(侵入者か?)
男(それとも裏切りものか)
男(最近出入りする連中も増えたし、中にはそういうヤツも出てくるかもな)
男(だが、だとすると消さないと行けないな)
男(……ったく、それなりに上手く行ってる時に)ハァ
ガチャ
黒服 スッ
男「で、知らないヤツってのは?」
黒服「はい、これなんですけど」
男「……ん?」ジー
ケーサツ『しっかし、病院の下に良くこんな地下作ったな』
ケーサツ後輩『嫌な感じですねぇ』
少女 モジモジ
上の人『は、離へえ』
男「……こいつ」
黒服「お知り合いか何かで?」
男「まぁ、少し顔を知ってる」
男「こいつ、どっから入ってきた?」
黒服「いえ、それが……」
黒服「~~~」
男「~~~?」
黒服「~~~」
男(いきなり上の人に用意した部屋から出て来ただと?)
男(入った様子も無く。いきなり)
男(どういう事だ。まさか誰か協力者でも居るのか。カメラをいじるような)ギロッ
黒服「い、いえ、私は何もしていません。本当にいきなりでした」
男(まぁウソをつく必要も無いよな。なら、本当にいきなりか)
男(どのルートだ?)
男「……バレずに、監視カメラにも映らずに出入り。まるでネズミか何か――」ハッ
男「あの時、近くにいたな……」ギリッ
男「声も気のせいでも無い。間違いなくこいつらか」
男(チッ、あの時、案内なんてするより先になんとかすべきだったな)
男(まぁ過ぎた事はしようがない。今は対処が先だ)
男「何人集められる?」
黒服「は?」
男「こいつらを全員ここで消す。今、何人この地下に動かせるのが居る?」
黒服「数名かと……」
黒服「しかし、ここで、ですか?」
男「外に出すわけには行かないな。ここで消す。完全に消す。禍根は残さない」
男「武器も必要だな。銃はどこだったか」
黒服「刃物ではなくて、ですか?」
男「あいつら拳銃持ってんだろ。抜かれたらどうしようもない。こっちも銃使うしか無い」
男「トカレフだろうがベレッタだろうが何だっていい」
男「ここには何か無いか」
黒服「奥の器具庫に」
男「……」ガチャ
ガサゴソ
男(何か無いか。出来れば俺は拳銃以外を持ちたい所だ)
男(なるべく有利な武器を……)
男「……ん? AKか」ヒョイ
男「自動小銃なら拳銃より良いだろう。これにするか」スチャ
黒服「私は……」
男「お前はここで監視の続きしてろ。後は他の動かせる連中にも連絡取ってこいつらの排除をするように言え」
黒服「はっ」
男(……もともとあいつらは消す予定だった。少し早くなっただけだ)テクテク
ガチャバタン
それでも少しだけでもいい結末が見たいんだよ。
男(誰にも……)
男(誰にも)
男「満たされる俺の幸せ、未来、その邪魔はさせない」ガチャ
……
…
男の娘「……なんか、男が不安だな」ソワソワ
男の娘「大丈夫かな……」
男の娘(……でも、部屋からは出れな――あれ?)ガチャリ
男の娘「鍵、開けたまま行っちゃったんだ……」ヒョコリ
男の娘「……」ゴクリ
男の娘「ちょっと、様子を見に行くだけ……」タタタッ
…
……
ケーサツ「五階くらい登ったよな?」
ケーサツ後輩「んですね」
ケーサツ「何階まであんだこの地下」
間違えたドキドキしてきた
ケーサツ後輩「通気口だか配管だか通った時よりなんか疲れますよね」
ケーサツ「広い分気張らねぇといけないしな」
少女 モジモジ
ケーサツ「どした」
少女「あ、あの」
ケーサツ「なんだ」
少女「お、おトイレ///」
ケーサツ「……何?」
ケーサツ「我慢出来ない感じか?」
少女「も、もれちゃい、そうで」モジモジ
ケーサツ「どこにトイレあるか分かるか?」
ケーサツ後輩「え? 俺が分かるわけないじゃないですか」
ケーサツ「だよなぁ、お穣ちゃん本人はどうよ」
少女「わ、わかんなぃ」グスッ
ケーサツ後輩「取りあえず気にしないでそのまま……」
ケーサツ「は?」
ケーサツ後輩「とりあえず早く出ないとですしねぇ」
少女「……え?」モジモジ
上の人「わ、私なは、ひ、知ってるぞ」
ケーサツ「こいつ信じるワケにもなぁ」
ケーサツ後輩「でしょうねぇ」
ケーサツ後輩「まぁ時間的な余裕考えると」
少女「……うぅ」モジモジ
ケーサツ「しょうがねぇ。取り合えず脱出優先だな」
ケーサツ「途中でトイレあったら寄るが、なかったら気にするな」
少女「え?」
ケーサツ「誰も見てない。気にするな」
少女「ふぇえ……」
ケーサツ後輩「じゃあ先急ぎますか。あっ、階段」
ケーサツ「そろそろ地下も終わってくれねぇかと思うんだが――待て」
ケーサツ後輩「何ですか?」
ケーサツ「……」
シィイン ッ コツ
ケーサツ「足音するな。ブーツみてぇな音」
ケーサツ後輩「……確かに。階段降りてくる音っすね。じゃっ、俺左で」スッ
ケーサツ「俺が右か」
ッツ コツ コツ ピタッ
ケーサツ後輩「止まった?」ボソッ
ケーサツ「まさかこっちに気づいたって事もねぇだろうとは思うが」ボソッ
シィイイン……
ケーサツ後輩「……気のせいって事は無いですよね」ボソッ
ケーサツ「お前も音聞いただろ」ボソッ
ケーサツ後輩「んじゃあ、なんで……」
ケーサツ「とにかく、少し待つか」
ケーサツ「……」
ケーサツ後輩「……」
少女 モジモジ
上の人「ぅぅ」
チャッ……
ケーサツ「……ん?」
ケーサツ後輩「今、何か別の所から音してませんでした?」
ケーサツ「だよな」
ケーサツ「なんだ。階段からじゃねぇ」
ケーサツ後輩「気のせい、では」
ケーサツ「どうだ――」
ガッ チュイン
ケーサツ「――ん!? おいっ」グイッ
少女「わっ」グッ
ケーサツ後輩「……あれ? 今、弾、跳んで来ましたよね? 床に当たってどっか行きましたけど」
ケーサツ「おいおい、どこの誰かは知らねぇが、ハジキ持ってんのがうろついてんのかよ」
ケーサツ後輩「やばい帰りたぃ」ササッ
ケーサツ「今更んな事言うなよ」サッ
ケーサツ後輩「はぁ……でも姿が見えないって」
ケーサツ後輩「ゲリラか何かじゃないんですから」
ケーサツ「ゲリラねぇ……」
ケーサツ後輩「ここ日本ですよ? ニュースで見る紛争地帯じゃあるまいし」
ケーサツ「……もしかしてここに居たりしてな」
ケーサツ後輩「誰が?」
ケーサツ「あの男」
ケーサツ後輩「そりゃ、上の人追ったらここにたどり着いたわけですから、疑いはあるかも知れないですけど」
ケーサツ「なんかそれ臭ぇんだよな」
ケーサツ「しかし、二人か」
ケーサツ後輩「階段に居るのと、今撃ってきたヤツですか」
ケーサツ後輩「階段で止まった人はどうか分からないですけど」
ケーサツ後輩「注意をそらす為にわざと足止めたって感じですよね」
ケーサツ「訓練されてるなぁ。普通に考えて病院にこんな警備置かないだろ」
ケーサツ後輩「そもそも銃刀法違反ですよ」
ケーサツ「私兵だとしたらそれも加えて違反だな」
ケーサツ後輩「ついでに、なんかこっちの場所分かってて撃って来たって感じもしますよね」
ケーサツ「まぁ、普通に考えるなら」チラッ
ケーサツ後輩「監視カメラですか。それっぽいのは見えないですけど」
ケーサツ「埋め込むか何かしてんじゃねぇか。武器持ってんだ。抑止の為につけるって方向じゃねぇだろう」
……
…
男の娘(男、どこだろう)キョロキョロ
男の娘(うう~ん。こっちかな)ペタペタ
殺さないで
男の娘(なんだか、男が居ないと不安だよ……)ペタペタ
男の娘(この部屋かな……?)ガチャ
男の娘「……」
???「失礼」トントン
男の娘「……ひゃっ!」
男の娘「だ、誰……?」クルッ
黒服「あなたは……ここで何を」
男の娘「えっと、男を捜してて」
男の娘「知、知りませんか?」
黒服「ボス……いえ、男さんですか。少々用事があるとの事でしたが」
男の娘「そ、そうですか」シュン
黒服「あなたは確か男さんの……勝手に出歩いてはいけないのでは?」
男の娘「その、ちょっと心配になって」
黒服「そうですか。ですが早くお部屋に戻られた方が良いかと」
男の娘「それは……」
黒服「男さんが部屋に戻った時にあなたが居なければ、落ち込むのでは?」
黒服「待って居られると思っているでしょうから、何かあったのではないかと思うかと」
男の娘「あっ……」
男の娘「そっか」
黒服「そうです」
男の娘「……じゃあ、戻ります」
黒服「それが良いです」
男の娘「あの、ところで」
黒服「はい?」
男の娘「この部屋って、いっぱいテレビありますけど、何のお部屋なんですか?」
黒服 ビクッ
黒服「い、いえ、なんでありませんよ。私、ニュース番組を一度に見ないと駄目な性質でして、こうしてモニタを沢山置いてあるのです」
男の娘「はぁ……勉強家なんですねぇ」
黒服「いえいえ」
黒服「では」
男の娘「はい」
黒服「道はお分かりですか?」
男の娘「あー……適当に歩いてきちゃったから、自信は無いです」
黒服「そうですか。しかし、私もついていくわけにも行かないので」
黒服「では、これを」サラサラサラッ スッ
黒服「書いた矢印の通りに道を曲がって進めば、辿り着きます」
男の娘「あっ、ありがとうございます」ペコリ
黒服「いえいえ、それではお気をつけて」
男の娘「……う~んなんか人が良い感じの人だったなぁ」ペタペタ
男の娘「でも、そうだよね。勝手に部屋出たら、男が戻ってきた時に僕居なかったりしたら」
男の娘「ガッカリしちゃうよね」ペタペタ
男の娘「心配かけさせちゃ駄目だよね」ペタペタ
パラパラッ……
男の娘「……ん? 埃?」
男の娘「なんだろ。上で何かあったのかな?」
男の娘「気になるけど……ううん」ブンブン
男の娘「部屋に戻ろう」
男の娘「せっかく部屋までの道順書いた紙も貰ったんだし」ペタペタ
男の娘「そもそも上に行くまでの道わかんないし」ペタペタ
ペタペタ
男の娘「ここ、だったかな……」
男の娘「あっ、ついた」ガチャ
バフッ
男の娘「……なんか、知らない所歩いたからかな。ちょっと疲れたな」
男の娘「少し寝よっと……」zzz
∧∧
(*・ω・) そして俺もおやすみ・・・
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/ └-(____/
おいばかやめろ
おいはえーよ
冗談だろ?
外道め
男並みの外道