これは俺が生涯で初めて付き合った忘れられない女性との話です。
昔話だけど良かったらお付き合いください。
※当時使われていなかった言葉・表現が一部使われていることをご了承ください。
立ったか。今更の気もするが
1992年夏 当時のスペック
俺:私立大学4年、175・63、割とイケメンらしいがそう認識されることは滅多にない、スクールカースト最下層、超陰キャラ、もちろん童貞彼女無し
イズミ:同じ大学のもっと偏差値高い学部出身、外資系2年目、坂井泉水似、糞ビッチ
第1章 出会い
1992年夏の夜、俺は繫華街近くの橋の上から川の流れをぼんやりと眺めながらバルセロナ五輪のドリームチームのプレーを思い出していた。
ストックトン怪我大丈夫かな?開幕には間に合うよな?
俺はストックトンとマローンのコンビが大好きだった。
あれこそバスケットボールだ。
そしてマジックのプレーを2度と見られないことを思って泣いた。
その時だった。
女「男のくせに何泣いてんだー」
俺「???」
何だこの酔っ払いは?
女「あら可愛い顔してるじゃない。死んじゃダメだよ勿体無い。おねえさんと遊ぼ!悩みなんて忘れさせてあげる!」
背が高い女だった。
俺「いや俺は・・・」
女「うんうん、わかってるから!」
絶対わかってない!
俺「ちょっ!どこに連れてく気?」
女「いいところ!」
振り返った顔はとても美しかった。
その瞬間、期待が不安を上回った。
着いた所はいわゆるラブホテルだった。
もちろん俺はラブホテルも初めてだった。
女は慣れているようだった。部屋に入るなり
女「坊や童貞でしょ!」
俺「な、何で?」
女「坊やの顔にでっかく童貞って書いてあるよ!鏡見てごらん!」
そう言ってケラケラ笑った。
女「大丈夫!おねえさんに任せておけばノープロブレム!」
顔が近づいて来てキスされた。キスも初めてだった。
服を脱がされた。
女「よーしシャワー行ってこーい!」
シャワーを浴びていると女が入って来た。
胸は小さかったがスタイル抜群だった。
驚いているところにもう一度キスされた。
今度は激しいキスだった。
快感が脳を突き抜けた。
「先に行ってて」と言われてベッドに腰掛けて待っていた。
やがて女がローブを纏って出て来た。
女「おりゃあ!」軽く助走をつけて飛び込んで来た。
俺「わぁ!?」
嗚呼、脱童貞
翌朝目を覚ますと女は既に起きていた。
女「おはよー、どうだった?」
俺「何が?」
女「初Hの感想に決まってるでしょ!言わせないでよ、もう!」
顔が赤くなった。恥じらいとかあったんですね。
俺「最高でした」
女「そうでしょ、そうでしょ」
何度も頷く。本当に嬉しそうだった。
噂に聞く「童貞食い」ってやつかと思った。
女「あ、私童貞食いじゃないよ」
テレパス?
女「むしろ嫌い面倒くさいから」
俺は体を丸めた。
女「童貞っぽいと思ったけど君可愛い顔してたから味見したくなっちゃった」
俺「それは喜んでいいの?」
女「何が不満なんだよw」
そう言うと俺の頭を抱えた。
女「で、何で泣いてたの?おねえさんに言ってごらん。言えば少しは楽になるよ」
さて困った。
俺にとっては世界の終わりに等しいが理解を得られるはずがない。
だが言うしかあるまい。
女の顔がどんどん曇っていく。そりゃそうだ。
勘違いで童貞と寝てしまったんだから・・・
女「わかるよ!」
!?よく見ると女の目は潤んでいた。
女「私もマジックが星条旗投げた時泣いたもん!あれで泣かなかったら人間じゃないよ!」
思ったよりもヤバい人だった。
俺「バスケ好きなんだ?」
女「中・高とバスケ部だったからね。童貞君は?」
俺「俺は見る専門」
女「そっか。NBAは?」
俺「大好き!」
女「どこのファン?」
俺「ユタ・ジャズ」
女「おお、同志!」
俺「本当に!?」
女「あれこそバスケットボールだよ!」
俺と同じこと言ってるww
だとしたら・・・俺は意を決して禁断の質問をぶつけてみた。
俺「ところで、ジェリー・スローンをどう思う?」
女は顔をしかめた。
女「・・・アイツはダメだ」
俺「おお、心の友よ!」
ガッチリ握手した。
NBAに興味がない人すんません。
女「フフ、Hした後に握手っておかしいね」
そういうもん?俺には何がおかしいのかわからなかった。
女「童貞君さえ良ければこれからも会いたいな」
俺「え、本当に?」
女「バスケの話をする相手がいなくて寂しかったんだ。ユタファンとこんな風に出会えるなんてこれはもう運命だよ!だから童貞君に惹かれたんだ今わかった!」
俺「大袈裟だよ」俺は苦笑した。
女「いいや運命だよ!じゃあ童貞君はユタファンに会ったことあるの?」
俺「ないけど」
女「そうでしょ!2人の魂が引き合ったんだよ!絶対そうだよ!」
両手をブンブン振りながらまくしたてる。興奮しすぎw
ちなミルウォーキー
ミルウォーキーかアデトクンボいいよね
初スレ立てで勝手がわからないんだけど
このペースでいいんだろうか
わかった
第2章 始まり
「私はイズミ。よろしくね!」
「俺はトオル。よろしく」
それから色々話して同じ大学だったってわかった。
イズミ「変な子がいるって聞いたことあったけどトオルのことだったんだw」
違う学部で噂になるほど変ですか、そうですか。
イズミ「どんなブサイクかと思ったけど・・・噂なんてこんなもんよね」
俺の顔を両手で挟んで笑った。
補足すると俺は部活では1年から活躍していた。
「凄いらしいけど誰とも口を利かない変人」てことで知られていたようだ。
俺「いつもこういうことしてるの?」
イズミ「自分から声をかけるのは滅多にないけど、時々ね」
イズミは頭を掻いた。
イズミ「でももうやめるよ。やっぱ良くないよね、こういうの」
正直ホッとした。
イズミ「これからはトオルだけだよ!」
こんな美女が俺だけを見てくれる!興奮した。
今後について2人で話し合った結果、イズミのアパートで週末だけ一緒に過ごすことになった。
学生と社会人だからしょうがないね。
何はともあれ初彼女ゲット!しかも超美人!
今まで生きてきた中で一番幸せだった。
そう、幸せ“だった“
イズミ「あ、ゴメン!毎月第1週はダメだった」
俺「そうなの?」
イズミ「うん、彼に会いに行くから」
何ですと?
イズミ「私、結婚を考えてる彼がいて月1で会いに行くの」
遠距離恋愛か。いや、そんなことはどうでもいい!
俺「これからはトオルだけって・・・」
イズミ「うん、浮気相手はトオルだけだよ」
なんじゃそりゃああああああああああ
運命ちゃうんかい!
イズミが語ったことを断片的に記す。
「彼はインカレサークルで出会った他大学の学生で同学年で初彼」
「結構な遊び人」
「半分ウンザリしながらズルズル付き合っている」
「彼も地元で就職すると思ったら東京の会社に決めてしまった」
「絶対に東京で女作ってる」
「お盆休みにも会いに行くつもりだったけど来なくていいと言われた」
「ヤケ酒喰らってたら泣いてる男を見つけた」
「泣いてる人に絡むのは酔っ払いの基本」
俺「そんな男と結婚する気なの?」
イズミ「初めての人だからね。こう見えて古い女なの」
そう言って儚げに笑った。
古い女は逆ナンしねーよとツッコミたかったが自重。
初めての男がその彼っていう女がイズミの他に何人いるんだろうね?
何はともあれ長身美女に逆ナンされてセフレになった。
第3章 蜜月
次の週末までどう過ごしたか全く覚えてない。
家と大学を往復するだけの半引きこもりなので夏休みは本当にやることが無い。
ゆるい部活なので大学が休みの間は活動しない。
夏休みだけのバイトに1人で行くのは怖い。
そもそも全くカネ使わないからバイトする必要もないし。
親から通学費の他に毎月1万円貰ってたけど貯まる一方だった。
そして土曜日の朝、いよいよイズミのマンションへ。
イズミ「はーい、いらっしゃい」
俺「お邪魔します」
いきなり抱きついてきた。
俺「え?何!?」
イズミ「待ち遠しかったから」
俺「俺もだよ、雨降らなきゃいいなと思ってた」
イズミ「遠足じゃないよw」
とりあえず並んでテレビを見た。が、強烈な違和感。
俺「何でテレビが2つあるの?」
誰かと一緒に住んでるとしてもテレビは1つでいいはずだ。
イズミ「ああ、ゲームしながらテレビを見るためだよ」
そう言うと本当にゲームを始めた。
イズミ「時間は有効に使わなくっちゃ!」
廃人だった。
8尺様って何?
これは怪談じゃないよw
俺「もしかして週末だけっていうのは・・・」
イズミ「うん、平日来られるとゲームする時間が無くなるからだよ」
絶句した。
イズミ「本当なら土曜日のこの時間はまだ寝てる、というか気絶してるんだけどトオルが来るから早く寝たんだ。その分取り返さないと」
受験勉強みたいに言うな!てか気絶するまでゲームすんな!
イズミ「あ、そうそう、これ渡しとくね」
俺「え?合鍵!?いいの?」
イズミ「これで安心して徹ゲーできる」
女性から合鍵をもらう。嬉しいけど、もちろん嬉しいけど・・・なんか違う!
この間、もちろんイズミの目は画面に向いたままだった。
イズミがゲームしてる間、俺はテレビを見たり漫画を読んだりしていた。
トイレに行ったら洗面所に歯ブラシが2本刺さってて感激した。
イズミの所に有るのは紡木たく・真柴ひろみといった「ザ・少女漫画」で直ぐに飽きてしまったので自分の漫画を持って行って読むようになった。
昼はコンビニ(もちろん俺が買い出しに行く)夜はファミレスというパターン。
ファミレスでは2時間ほど愚痴を聞かされる。
彼はどんな男なのか聞いてみた。
イズミ「顔と身長と社交性以外はトオルの勝ちだよ」
モテ要素全部負けてますけど。
食事代は全部イズミ。
俺「本当にいいの?」
ご存知の通り俺はカネが余っている。
イズミ「うん、いつも愚痴聞いてもらってるから。本当に助かってるんだよ」
イズミもまたゲーム以外の趣味が無いのでカネが余っていた。
俺「でも毎回は悪いよ」
イズミ「悪いと思うならその分ベッドで頑張って。何故肉を食べさせてるかわかるよね」
カマキリのような笑みを浮かべた。
こ、怖い。
ゲームをやめて俺の肩にもたれかかるのがイズミの合図だった。
無視して漫画を読んでると更に体重をかけてくる。
俺「重い」
イズミ「私は重くない!50kg未満だ!」
めんどくせー。その身長で50kg未満?ホントかよw
俺「今漫画読んでるんだけど」
イズミ「うるせぇ!食べた分働かないと放り出すぞ!」
夜はイズミのターン。
>>37
ありがとう!
第4章 イズミの決意
お互いの誕生日には一緒にケーキを食べた。
クリスマスを一緒に過ごせなかったお詫びということで服を買ってくれた。
俺「服なんていいのに」
イズミ「ダ~メ!少しはマシな格好しなさい」
俺「これはルール違反じゃないの?」
いずれ別れることが前提なので形の有る物は残さないという取り決めだった。
なので2人で撮った写真も存在しない。
イズミ「例外ってことで」
俺「悪しき前例は作るべきではない、というのが私の見解です」
イズミ「いいから人の好意は素直に受けなさい!」
押し切られた。俺がイズミに勝てるわけがない。
イズミ「3着あればローテーション出来るよね」
俺「もうすぐ卒業だから着る機会無くなるよ」
イズミ「まあいいじゃない」
餞別のつもりなんだな、と思った。
俺が就職して環境が変わったら今まで通りにはいかないだろう。
やがて足が遠のいて自然消滅というパターンは俺にも予想できた。
鍵だけはちゃんと返さないとな。
そう思ってたら留年した。
今パンツを脱ぐのはお薦め出来ない
>>44
ありがとう!
やる気なくて頼れる友達もいなかったら普通に単位落とすっちゅー話だ。
何故俺は何とかなってるはずだと思っていたのか?
「これまでだってどうにかなってきたじゃないですか」
R・田中一郎に毒されたのが敗因か。
お父さんお母さんごめんなさい。
留年を知った週の土曜日。
俺「ちょっといいかな」
ゲームをしていたイズミがビクッとした。
俺「大事な話なんだ」
イズミ「何?」
声がうわずっていた。
俺「ゲームを中断してもらっていいかな」
イズミは手を止めた。肩が震えている。
俺と別れて再び不毛な夜遊びを繰り返す自分を想像していたらしい。
俺「半年間イズミと付き合ってきたけど」
両手で耳を塞ぐイズミ。可愛いw
俺は必死に笑いをこらえた。
俺「もう1年よろしくお願いします!」
顔を上げてこっちを見た。
イズミ「今、なんて?」
俺「留年しちゃいました。てへ」
言い終わる前に飛びついてきた。
イズミ「もう!別れ話だと思ったじゃない!」
俺「ドッキリ大成功!テッテレー」
イズミ「うちの大学留年する人なんて滅多にいないよ!ダメな子!」
俺の髪をくしゃくしゃにした。
イズミ「それで?もう1年私からたかる気なの?」
俺の顔を下から覗く。
俺「いや、それは・・・」
イズミ「しょうがない子ね。もう1年付き合ってあげる!」
この時ばかりは留年して良かったと心から思った。
お父さんお母さん本当にごめんなさい。
因みに教授から言われた言葉は「卒業出来ると思ったか?」(実話)
終わると思われた関係が存続することになって俺たちは浮かれていた。
と言っても2人とも超インドアなので食事以外ほとんど外に出ないが。
1度聞いてみた。
俺「食事は外なんだね」
イズミ「そうだけど?」
俺「自炊しないの?」
イズミ「自分で作ってまで食べたい?私は自分で作るくらいなら食べなくていい」
カッコイイ!・・・のか?
俺「じゃあいつもファミレスなの?」
イズミ「1人の時は吉野家か、コンビニで何か買って帰る」
こんな美人が1人で吉野家?余りにも異様な光景だ。
1周年には2人でお出かけ。
映画を見た。
アクション映画だと思ったら異世界物だった。
俺「よくわからない映画だったね、ゴメン」
イズミ「いや、面白かったよ」
水族館でイルカショー。
子供のようにはしゃぐイズミ。
俺はイズミの顔ばかり見てた気がする。
たまには贅沢しようということで夜景が見えるレストランでお食事。
その後2人が出会った橋へ。
俺「俺が泣いてなかったら出会わなかったんだよね」
イズミ「そうだね」
俺「マジックのおかげだね」
イズミ「マジックのおかげだw」
デートらしきことはこれが最初で最後。
お互いの誕生日は2人でケーキを食べた。
俺の誕生日にわざわざ有休をとってくれた。
イブからクリスマスを一緒に過ごした。
ゲームをしながら愚痴り続けるイズミに相槌を打つのが主な作業だったがw
俺「そのおかげでイズミと一緒にいられて俺は嬉しいよ」
イズミ「彼の話ばかりで悪いと思ってるよ、でもこんな話トオルにしかできないもん」
俺「気にすんな。俺はそのためにここにいるんだから」
イズミ「何でそんなにいい子なの!?」
この時イズミは決めたらしい。
彼と決着をつけることを。
イズミは早く彼に会いたがったが時間が取れないということで2月まで待たされた。
その間に一緒にスーパーボウルを見た。何度も有休取らせてゴメン。
イズミ「初めて見たけど面白いね!」
俺「だろ?」
ユタ・ジャズの試合を見ながらジェリー・スローンの采配を批判しあったりもした。
そして決戦の日。
第5章 夢の終わり
その日俺はいつも通り家でボーっとしていた。
この頃の俺の生き甲斐はイズミだけで、平日は死んだように過ごしていた。
1週空くということは2週間会えないわけで本当にしんどかった。
彼に対する嫉妬は無かったね。最初からわかってたことだから。
俺はイズミの変化に全く気づいてなくて、いつも通り彼に会っていつも通り帰って来るものだと思っていた。
気づいていたところで当時の俺にイズミの人生を背負う覚悟なんてなかったけれど。
前後するが、その年は真面目に授業に出ていた。
流石に2回留年するわけにはいかないからね。
就職は業種よりも土日祝きちんと休めるかどうかで決めた。
とにかくイズミと今まで通り付き合うことしか頭に無かった。
要するに俺は何もわかってなかった。
その次の週。
俺はいつも通りイズミのアパートに向かった。
イズミはゲームをしてなかった。
俺「おはよう、何でゲームしないの?」
イズミ「・・・」
俺「イズミ?」
イズミ「ごめんなさい!」
え?
以下、イズミから聞いた話。
先週イズミは彼に別れを切り出すつもりだった。
だが食事を終えていざ!というタイミングで彼が機先を制す。
彼「今まで寂しい思いをさせてすまなかった」
思わず彼の顔を見る。
彼「これを受け取って欲しい」
そう言うと小さな箱を差し出した。中身はもちろんアレだ。
予想外の展開にキョトンとするイズミ。
彼「驚かせてすまない。でも俺は前から仕事が一段落したらイズミにプロポーズしようって決めてたんだ」
イズミ「え?でも、女性関係は片付いてるの?」
彼「女性関係!?」
イズミ「あ、いや、えっと」
彼「何か勘違いしてるみたいだけど俺がこっちで就職したのはやりたい仕事を見つけたからで、こっちで女を作るなんて考えたこともない。確かに学生時代は遊んでたけどこっちに来る時にイズミ以外の女は全部切った。本当だ」
イズミ「それなら・・・何で会ってくれなかったの?」
彼「大事なプロジェクトを任されてどうしても時間が取れなかった。将来に関わる仕事だったんだ。イズミと、いずれ生まれてくる子供を養っていく為にも今頑張らなきゃって」
イズミ「ちゃんと考えてくれてたんだ。でもお盆休みに来なくていいって言ったのはどうして?」
彼「それは、月2回来てもらうのは申し訳なくて。交通費もバカにならないし」
イズミ「そうだったの・・・」
彼「で、受け取ってもらえるのかな?」
断られないって知ってて言ってるだろ。だが断る!
イズミ「それでプロジェクトは上手くいったの?」
彼「うん、成功した。しばらくは忙しくならないと思う」
イズミ「そう、良かったね。私も嬉しいよ」
イズミはそれを左手薬指にはめてみた。が
イズミ「ゆるーい」
彼「ええ?」
イズミ「使い回しじゃないよね?」
彼「なんてこと言うんだ!」
イズミ「冗談よwでもこれは流石にひどいわ」
指輪をスポスポしながら言う。
彼「・・・」
イズミ「明日私が帰るまでにサイズ直して来て。そしたら受け取ってあげる」
俺「で、その時の指輪がそれってわけか」
イズミ「ううん、結局私もついて行って別のに替えてもらったの。それがこれ。こっちの方がデザインいいでしょ。値段も張ったけどw」
俺「元の指輪を見ていないので何とも言えません」
イズミ「そっかw」
浮かれやがって。
俺「ところで1つ聞いてもいい?」
イズミ「な、何かな?」
俺「何で彼と別れようと思ったの?」
イズミが派手にズッコケた。
嘘ついてそう
>>61
やっぱりそう思う?
合わなかった理由とか来ないでいい理由を説明しとけばすれ違うこともなかったのに何でそれをしなかったのかが不明
イズミ「・・・本気で言ってんのかテメエ!」
イズミが般若になった。
イズミ「彼があのタイミングでプロポーズしてくれなかったらこんなお子ちゃまと・・・彼、本当にありがとう!」
俺「何の話?」
イズミ「こっちの話だよ!」
何かまずいこと言ったかな?
イズミ「そういうわけだからトオルとはこれでおしまい」
俺「また随分と急な話だねえ」
イズミ「その点につきましては本当に申し訳ございません」
深々と頭を下げた。
いつかこういう日が来るとわかってはいましたが、いざとなると怖いものです。
手の震えが止まりません。
イズミ「彼がプロポーズしてくれるまで待てたのはトオルがいてくれたからだよ。本当にありがとう」
俺「俺、いい仕事した?」
イズミ「最高の仕事だったよ!」
イズミの役に立てたならそれでいいや。
俺「これ、返すね」鍵を返した。
イズミ「うん」
俺「俺を踏み台にしたんだから幸せになれよ!w」
イズミ「言われなくてもなるよ!w」
俺「じゃあ行くね」
イズミ「待って!お昼まだでしょ?夕飯も一緒に食べようよ!」
俺「いや、帰るよ」
夕飯まで一緒にいたらそういう雰囲気になっちゃうじゃないか。
イズミ「・・・そうだね、その方がいいね」
俺「さよなら、イズミ」
イズミ「さよなら、トオル」
笑顔で別れた。
部屋を出てドアを閉めた。
後ろで鍵とチェーンをかける音がした。
少し歩いて廊下の途中で引き返した。
どうしても確かめたいことがあった。
ドアをノックした。
イズミ「トオル?どうしたの?」涙声だった。
俺「ゴメン、何でもない。じゃ元気で!」
イズミ「うん、トオルも元気でね」
もう何も思い残すことはない。
あのイズミが俺との別れを惜しんで泣いている。それだけでもう十分だった。
美人なのにまるで女らしくないイズミ
優しくキスをしてくれたイズミ
俺の初めての女になってくれたイズミ
俺の漫画を読んで笑ってたイズミ
膝枕で頭を撫でてくれたイズミ
俺が退屈してるとゲームしながら左手でテーブルを5回叩いたイズミ
「もっと自信持ちなよ」と言ってくれたイズミ
「私はトオルのこと大好きだよ」と言ってくれたイズミ
もう会うことは無い。
さよなら俺のイズミ。俺のことなんか早く忘れて幸せになれ。
俺はイズミのことを忘れられそうもないけど。
こうして1年半に及んだ夢のような日々は終わりを告げた。
イズミさんの身長は何センチぐらいだったんですか?
>>69
168って言ってた
これで終わりじゃないぞい
もうちょっとだけ続くんじゃよ
>>76
何故ニューハーフww
大変申し訳ございません
今日はここまでにしたいと思います
はよはよはよ
読みやすいしハマったわ
死んだ
イズミには本命の彼氏がいるためトオルとは浮気関係
→トオルに惹かれていくイズミは彼氏と別れるか決断する
→しかし、イズミは彼氏にプロポーズされる。
→彼氏にプロポーズされた。トオル今までありがとう。
つまり当初の予定通りの展開。今のところ
別れてないだろよく読め
お待たせしました。
続きを書いていきますね。
第6章 登り坂
大学を卒業して就職した。
新しくできた支社の現地採用1年生で、始業時間から終業時間までひたすら電話する仕事だった。
不純な動機で選んだ会社なんてこんなもんだ。
50人近くいた同期がバタバタ辞めていった。
俺も辞めたかったが「辞めます」という気力も転職先を探す気力もなかった。
ズルズル続ける方がまだ楽だった。
イズミを失ったダメージは意外と大きかった。
やめられないまま1年経って俺は係長になっていた。
新しくできた支社で役職がスカスカだし離職率が半端ないので生き残ってるだけで出世してしまうのだ。
係長になって部下は3人できたが、相も変わらずひたすら電話。
4月になって新人が入って来た。
その中に恭子がいた。
新入社員のお披露目、明らかに見た目重視の女子社員の中に岩崎恭子をかわいくした子がいた。
俺の顔を見て一瞬驚いた後、ニコッと笑った。
嫌な予感がした。
やがて恭子の攻勢が始まった。
「休みの日は何してるんですか」「趣味は何ですか」「何月生まれですか」「血液型は何ですか」「犬派ですか猫派ですか」
昼休みに必ず俺のところに来て質問を浴びせる。
俺「YOUは何しに会社へ?」
恭子「仕事はちゃんとやってますよ~。昼休みだからいいじゃないですか」
俺「そういう問題じゃないよね。みんな何も言わないの?」
恭子「『行ってらっしゃい。頑張ってね』って言ってくれてます」
面白がってやがる。女ってやつは・・・
色黒で背が低くて太ってるという程ではないが熊の子みたいにコロッとした恭子は俺のタイプとは真逆だった。
真逆すぎて、ど真ん中ストライクだったイズミをつい思い出してしまうのも嫌だった。
諦めさせようと冷たくあしらったが恭子はめげなかった。
状況は不利になる一方だった。
部下がやさぐれた。
課長が何度も舌打ちした。
「いつまで勿体ぶってるんだ!」という無言の圧力を感じた。
そして俺は抵抗を諦めた。
全員が拍手した。
※当社はアットホームで働きやすい環境です(離職率高め)
書き忘れたけど恭子は短大卒の二十歳。
仕事の後に2人でファミレスに行った。
俺「何で俺なの?」
恭子「私、イチローの大ファンなんです!」
知らんがな。
恭子「係長を初めて見た時イチローそっくり!って思って興味を持って、思い切って話しかけてみたら素っ気ない態度もイチローみたいですっかりやられちゃいました」
なるほど、逆効果だったと。
どうやら俺には呪いがかかっているようだ。変な女に目を付けられる呪いが。
一度でいいから普通の恋愛をしてみたかった。
デートを重ねるうちに自然と恭子を好きになっていった。
素直で明るくて、愛されて育ったんだなと思った。
いつの間にかイズミと比べることもなくなっていた。
五度目のデートで結ばれた。
恭子は処女だったがイズミに処女とする時の心得を教わっていたので何とかなった。
恭子とこういうことになってこれはこれで良かったんだろうな、と思った。
恭子は潤んだ目で天井を見上げていた。
圧倒的経験不足でこういう時のケアがわからない。
とりあえず「まだ痛い?大丈夫?」と聞いてみた。
恭子「ジンジンするけど・・・何て言うのかな、心地いい?幸せな痛み」
こればかりは男にはわかりません。
恭子「誰かの物になるってよくわからなかったけどこういうことだったんだね」
そう言って涙を拭った。
初めて見るしおらしい恭子がたまらなく愛おしかった。
恭子「ねえトオル」
俺「何?」
恭子「私の物になってね」
ヒエッ
必死に正解を探して「もちろん俺は恭子の物だよ」と答えた。
恭子「じゃあ結婚して」
初めての人だから結婚したい。
以前誰かがそんなことを言ってたような・・・やっぱり俺呪われてる。
だがそれも悪くないと思った。
俺「今の俺の稼ぎじゃ恭子を養えないよ。頑張るからもう少し待って」
恭子「私と結婚する気はあるのね?」
俺「もちろんだよ!俺頑張るよ!」
あの仕事をもっと頑張るのかと思ったら正直ウンザリした。
でも転職したら恐らく平社員からやり直しだろう。
恭子「だったら頑張らなくて大丈夫だよ!」
はい?
恭子「えーっと、今の会社で頑張らなくていいってこと」
俺「それはどういう・・・」
恭子「トオルはパパの会社を継ぐんだよ!」
何と恭子はお嬢様だった。
思い起こせばあの奔放さはお嬢様のそれだ。
PCがオーバーヒートでダウンしてました
すいませんでした
今日中に終わらせる所存です
恭子が両親に俺の話をしたところ、娘がそこまで惚れてるなら、と認めてくれたらしい。
但し、恭子は一人娘だから婿養子に入って会社を継ぐことが条件だと言う。
俺の知らないところでそんな話が・・・
俺「今の仕事に未練は無いし兄がいるから婿養子の件も大丈夫と思う」
恭子「よかった」
俺「でも何でこのタイミングで言うんだ?俺が婿養子は無理って言ったらどうする気だったの?」
恭子「お兄さんがいるって前に聞いたから大丈夫だろうと思ってた。それに・・・」
起き上がって体育座りになった。
恭子「結婚できなくても最初はトオルとしたかったから」
なんて一途な・・・誰かと大違いだ。
この時、あらゆる物から恭子を守ることを誓った。守れると信じてた。
こうして交際1ヶ月ほどで結婚が決まった。
あぁもうおバカ
>>117
結婚自体は後悔してないんだが
第7章 下り坂
恭子のおかげで苦しいだけの登り坂から逃れることが出来た。
当時の俺の心境を一言で表すと「逆玉ラッキー!」だ。
義父が新居を用意してくれて恭子との新婚生活が始まった。
恭子は前の会社を寿退社して専業主婦になった。
家事はイマイチだったが甲斐甲斐しさでカバーするタイプだった。
仕事の方だが、前の会社で係長だったから係長スタートということになった。
義父「すぐに課長にするからね」
大丈夫か?この会社。
帝王学ということで本を沢山読まされた。
幸い勉強は得意なのでついでに資格をいくつか取った。
義父「流石俺の娘だ、男を見る目がある!」
仕事は順調だった。
家庭は順調ではなかった。
夫婦仲は極めて良好だったが子供ができなかった。
皮肉なもんだ。
恭子「仲が良すぎると子供ができないって言うもんね」
笑って言うものの寂しさは隠せない。
やがて義母の干渉が始まった。
「2人の問題だから」と言う恭子に「これは家の問題です」と主張する義母。
しばらくは平行線をたどったが遂に恭子がまるめ込まれてしまった。
恭子が俺を拒むようになった。
恭子「今日してもできないから」
義母の指示だった。
恭子から笑顔が消えた。
俺は恭子を守れなかった。
義母は俺に検査を受けるよう言った。
結果は異常なしだったが義母は納得しなかった。
「アンタが原因に決まってる!」そう思ってるのがハッキリ見てとれた。
義母にとって最早俺は娘の身体と戸籍を汚した悪党でしかなかった。
恭子はすっかり洗脳されてしまった。
この頃には完全にセックスレスだった。
家事はきちんとしてくれたが話しかけても生返事ばかり。
義父は俺の味方だったが焼け石に水だった。
義父もまた婿養子で、跡取り息子を作れなかった負い目が有った。
ある日社長室に呼ばれた。
俺はまだ恭子の心を取り戻せるはずだと思っていた。
だがそんな段階はとうに過ぎていたのだ。
やっぱり俺は何もわかってなかった。
義父に恭子と離婚して会社も辞めてほしいと言われた。
声が出なかった。
既に再婚相手も決まっていると言う。
遠い親戚の三男坊で体だけは立派な男だってさ。
先方は粗大ゴミが片付いて大喜びらしい。
丈夫な子供を産ませてくれるに違いないと義母も大喜び。
義父「この会社は俺の代で終わる」
寂しげに笑った。
義父「君になら安心して任せられたのに!」
激しく机を叩いた。初めて見る姿だった。
そして「本当に申し訳ない。許してくれ」と言って泣いた。
俺はこの人のことが好きだった。
後を継ぐよりも、ずっとこの人の下でいたかった。
その人が目の前で男泣きしている。
惚れた男のそんな姿をこれ以上見ていたくなかった。
こうして俺は愛する妻と天職だと思っていた仕事を失った。
義父「こんなこと言う資格はないけど元気でな」
坂を登るのは大変だが転げ落ちるのは一瞬だ。
これが2000年の秋のこと。俺は30歳になっていた。
第8章 まさか
転職先は義父が見つけてくれていた。
義父の会社で課長だったからここでも課長。
名目上はヘッドハンティングという形だった。
バツイチの課長ということで「島耕作」と呼ばれたw
島耕作はとっくに部長だったし、ここでは色っぽいお誘いなど一度も無いけどねw
見るからに訳アリだから「不倫がばれて前の会社にいられなくなった」とか言われてたみたいだし現実世界はバツイチに厳しいよ。
明日起きたら完結してるみたいだし楽しみにしとく
>>127
ありがとう!何とか終わらせたい
業種が違うので大変だったが義父の顔を潰したくない一心で勉強した。
「帝王学」で得た知識も役に立った。
あの5年間も無駄ではなかったんだなと思った。
自分にはもう仕事しかないと思って頑張った結果40歳で部長になれた。
そして2012年夏
課長「部長ご存知ですか?」
俺「うん?何だったかな」
課長「今ウチに最近この辺で噂になってる美人の保険外交員が来てるみたいですよ。かなりのやり手らしいです。バツイチ子持ちって話ですが見た目は20代ですって」
俺「それで実際は何歳なの?」
課長「・・・40代らしいです」
俺「ふーん」
課長「興味ないですか」
俺「保険入っても受け取り人がいないんだよねー」
課長「・・・失礼しました」
妻も子もいるくせに浮かれやがって。
さて、俺は独り身だから堂々と噂の美人を見に行くとするか。
スーツを着た女性の横顔が見えた。あれがそうか。
課長「なんだ、やっぱり部長も気になってたんじゃないですかーw」
うっせーよ。
女「あ、部長さんですか?初めまして○○です!」
俺「どうも、初めまして。部長の○○です」
二人顔を見合わせて凍り付いた。
女は優しく微笑んで素早く何か書き込んでから名刺を差し出した。
名刺の裏に「メールして!」と書いてあった。
仕事が終わってメールしたら「○○駅に来てください」と返信が来た。
駅に着いたら私服に着替えたイズミが改札口で手を振っていた。
駅前の居酒屋で昔話に花を咲かせた。
イズミは何故か俺がバツイチだと知っていた。
「うちの部長もバツイチなんだけどどう?」と課長さんが言ってたとクスクス笑った。
あの野郎!
空白期間の話は2人ともお茶を濁した。
お互いにそれ以上は追及しなかった。
楽しい時間は早く過ぎる。そろそろお開きかなと思ったその時。
イズミ「まだ大丈夫だよね?会ってほしい人がいるの!」
こんな時間に誰に会うの?
どこに連れていかれるのかと思ったら近くのマンションだった。
最初の会社にいた時に中学の同級生にア○○ェイに勧誘されたことを思い出した。
イズミ「ここに娘と住んでるの」
会わせたい人って娘?いくら何でも早過ぎないか?
俺「えっと、娘さんはおいくつかな?」
イズミ「『さん』はいらないわ。高3に決まってるでしょ」
軽く睨まれた。
意味が分からない。
何で高3に決まってるんだ?高3・・・あ!まさか!?
『さん』はいらないってそういうことか!噓だろ!?
てことはバツイチじゃなくて・・・
イズミ「ただいま」
娘「お帰り、その人が私に会わせたい人?」
娘はあの頃のイズミそっくりだった。思わず息をのんだ。
娘「その人と再婚するの?」
イズミ「娘、落ち着いて聞いて、この人は・・・」
流石のイズミも言いにくそうだ。大きく深呼吸した。
イズミ「あなたのお父さんよ」
娘はかわいそうなくらい動揺していた。父親は死んだと聞かされていたらしい。
イズミ「驚かせてごめんなさい。本当はあなたが高校を卒業する時に言うつもりだったんだけど、トオルに会ってしまった以上、早く会わせてあげたかったの」
娘「その人が、お父さん?私の・・・」
イズミ「トオルは驚かないのね」
俺「ヒント貰ってたからね。それより娘さん大丈夫?」
イズミ「だから『さん』はいらないってw賢い子だから大丈夫」
次の日も会う約束をして帰った。
あれほど望んでも得られなかった子供が俺の知らない所で生まれていた。
本当に皮肉なもんだ。
翌日2人きりで話がしたかったのでカラオケボックスへ。
俺「で、本当に俺の子なの?」
イズミ「うわ、サイテー!」体を傾けて両拳を口に当てた。
俺「そういうのいいから説明して」
イズミ「12月、1月は彼と会えなかったからトオルしかいないのよ。ほら、私ゴム苦手だからいつも最後の方は生でしてたでしょ。量も少ないし薄いから大丈夫って」
俺「いつわかったの?」
イズミ「2月末。3か月に入ってた」
俺「彼にプロポーズされた時、もう赤ちゃんいたんだよね?」
イズミ「そうなるね」
俺「その時彼としたよね?」
イズミ「・・・」
俺「うわー」
イズミ「しょうがないじゃん!まだ気づいてなかったんだもん」
俺「でも生理なかったんでしょ?」
イズミ「遅れることは時々あったから・・・もういいでしょ!」
俺「恨んでるよね」
イズミ「どうして?」
俺「だって俺のせいで結婚が流れて人生滅茶苦茶になったんだろ?」
イズミ「トオルのせいじゃないよ。私がちゃんと避妊しなかったからだよ」
俺「それは俺も同罪だよね」
イズミ「恨むくらいなら直接『責任とって』って言ってたよ」
俺「そうだよ!どうして知らせてくれなかったんだ?」
イズミ「そんなこと出来るわけないよ」
俺「どうして」
イズミ「だって1年半支えてくれたトオルを私は自分の都合であっさり捨てたんだよ?子供ができたからやっぱり戻って来て、なんて口が裂けても言えないよ」
俺「そんなこと気にしなくてよかったのに、言ってくれたら俺尻尾振って戻ったよ」
イズミ「そう、トオルは優しいから戻って来てくれる。だから尚更言えなかった」
俺「どういうこと?」
イズミ「妊娠を告げられた時、これは私に与えられた罰だと思ったの。彼を裏切った罪、トオルを弄んだ罪、だから1人で育てなきゃいけないと思った。それが償いだから」
トオル「罰だなんて・・・」
イズミ「生まれた赤ちゃんの顔見たらそんな気持ちどっか行っちゃったけどね!」
そう言って笑った。
ホッとした。償いで子育てなんて誰も幸せにならないよ。
>>144
本当に苦労させてしまった
>>145
イズミは本名じゃないけどね
わーっとるわいw
俺「だったらその時連絡くれてもよかったのに」
イズミ「それも考えたけど甘えん坊のトオルとの未来が想像できなかった」
確かにあの頃の俺に家庭を顧みる余裕はなかったかもしれない。
イズミ「トオルに知らせたら子供が2人になると思った・・・」
向かい合った席から俺の隣に移動した。
イズミ「フフ、お子ちゃまだったトオルが今や部長さんか、私見る目が無いね」
俺の首に手を回した。
俺「俺が出世してると知って惜しくなった?」
イズミ「こう見えてもトオルより稼いでるよ!敏腕外交員なめんな!」
俺「冗談だよw途中でインチキしてるから部長は俺の実力じゃないよ」
イズミ「インチキ?」
俺「その話はまたいずれ。今日はイズミの話を聞かせてよ」
イズミ「実は子供にはやっぱり父親が必要だと思い直してトオルの家に電話したことがあるんだけどその時にはもうトオルは結婚してて・・・」
俺「そうだったの!?俺聞いてないよ!」
イズミ「名乗らなかったし用件も言わなかったからね。それからがむしゃらに働いたわ。娘を片親にしちゃったからせめて経済面で不自由させないように」
俺「うん」
イズミ「娘が手のかからない子で良かった。反抗期もなくて本当に助かったわ」
俺「それは間違いなく俺の子だ」
イズミ「おいwだとしたら大学入ってからが不安だよ」
俺「それは言わないで」
イズミ「今まで頑張ってきて辛いと思ったことは無いけどやっぱり疲れてたみたい。トオルの顔を見たらホッとしちゃったの。トオルは私にとって最高の癒しだったから」
俺の肩にもたれた。
イズミ「18年分癒してね」
俺「重い」
イズミ「私は重くない!」
まだ言うんだそれw
俺「そうじゃなくて・・・分割払いにしてもらっていいですか?」
イズミ「分割になさいますと一生支払い続けることになりますがよろしかったでしょうか」
俺「それで構いません」
イズミ「言ったわね!」
死ぬまで解けない呪いを自らかけてしまった。
だが後悔はしていない。
イズミは俺と再会した日以来二度とウチの会社には来なかった。
何故ウチだけ通りすぎるのか?と会社中で大騒ぎになった。
課長が俺を怪しんだから「君のセクハラ発言のせいだよ」と言ってやった。
尚、「大学入ってからが不安」はある意味的中する。
第9章 利己的な遺伝子
当時出来なかったことをやろう!ということでプリクラに挑戦。
2人で写真を撮るのはこれが初めてだった。周囲の目など知らん。
今度はちゃんと唄う為に再びカラオケボックスへ。
イズミは主にドリカム。上手かった。
「ZARD歌って」と言ったら渋々歌ってくれた。
俺のことはほっといてくれたまえ。
俺の家で3人で住もうと提案したが娘の為にマンションを残しておきたいと断られた。
確かにその方がいいよね。
話し合った結果、週末だけ俺の家で過ごすことになった。
結局このパターンか。
イズミ「1人の方が勉強に集中できていいでしょ」
娘「・・・」
頑張れ受験生!
翌春、娘は地元の国立大学に無事合格した。
そしてイズミが俺の家に転がり込んで来た。
俺「娘は?」
イズミ「もう大学生なんだから1人で大丈夫!私が週末こっちに来てたのは1人暮らしの練習を兼ねてたんだよ」
それ絶対後付けだよね。
イズミ「何よ、嬉しくないの?」
俺「嬉しいに決まってるよ、やっとイズミが俺だけの物になるんだから!」イズミを抱き締めた。
イズミ「素直でよろしい」俺の頭を撫でた。
21年目にしてようやく同棲スタート。
その後4年間は特に書くようなことも無かった。
俺とイズミは仲良しで娘は誰かと違ってキャンパスライフをエンジョイしていた。
娘情報はイズミ経由でしか入って来なかったが。
だが大学卒業を控えた2017年2月。
娘の妊娠が発覚。
俺「生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」
イズミ「・・・」
俺「相手は部活の大会で知り合った他大学の医学部でイケメン、ね」
イズミ「あのおとなしい子がマンションに男を連れ込んでたなんて・・・」
俺「いつまでも子供じゃないってことだ。身に覚えがあるだろ」
イズミ「私は自分の部屋に男を連れ込むなんて!」
俺「オレ、オレ!」
イズミ「あ・・・」慌てて口を押さえた。
俺「どうせ彼も連れ込んでたんだろ?」
イズミ「・・・」
耳まで真っ赤になった。
俺「私は自分の部屋に男を連れ込むなんて!」
イズミ「うるさ~い!」
>>161
その話は後ほど
>>162
恭子の息子ってこと?
どこの昼ドラw
実はイズミと娘は姿が似てるだけでなく誕生日も同じだ。
これで3代続けてクリスマスベビー・・・
>>164
いや来月だけど
お金の問題とか親を頼るのか?
避妊の仕方もわからんのか?
>>165
お𠮟りは甘んじて受けます
あ、娘の話?
娘は確信犯です
>>169
医学部だからあと2年ある
お腹が目立たないうちにということで急遽3月に挙式。
急だったし新郎がまだ学生なので身内だけの式だった。
俺「なるほど確かにイケメンだ」
イズミ「代々続く医者の家系ですって」
俺「流石俺の娘、美貌を生かして見事玉の輿に乗ったな」
イズミ「自分からアタックしたって本当かしら。人見知りなのに」
俺「結局娘との接触はほとんどなかったな」
イズミ「そうね」
俺「この人があなたのお父さんって急に言われても困るよね」
イズミ「・・・」
俺「どうしたの?」
イズミ「今だから言うけど、あの子トオルのこと好きだったのよ」
俺「・・・はぁ!?」
イズミ「ほら、雰囲気トオルに似てるでしょ?新郎くん」
俺「似てないよ・・・」
イズミ「あー、赤くなってる~」
俺「うるさいよ、美貌を生かせなかったイズミさん」
イズミ「あら、美貌を生かしてトオルよりも稼いでるけど?」
俺「・・・」
>>172
47で孫がいるって普通でしょ
普通ではない
少ない方だと思われる
自分で養えないのに子供を作るなんてなに考えてんだ?
そこらへんはちゃんと叱った?
>>174
俺に出来婚を叱る資格があると思うか?
エピローグ そして人生は続く
7月のある日
イズミ「ねえトオル、私仕事辞めてもいい?」
俺「いいよ」
イズミ「・・・話聞いてよ」
俺「だから辞めていいって、正直いつまで続けるんだろ?って思ってたし」
イズミ「・・・私って娘に不自由させない為に頑張ってたわけじゃない」
俺「うん」
イズミ「娘が嫁いだら働く目的がなくなっちゃったの」
俺「イズミはもう一生分働いたよ。疲れたなら辞めればいい。ただ・・・」
イズミ「ただ?」
俺「『トオルよりも稼いでる』って言えなくなるけどそこは大丈夫?」
イズミ「あ、そっか」
俺「おいw」
イズミ「嘘だよwじゃあ本当に辞めるよ」
俺「うん、今までお疲れ様でした」
イズミ「じゃあ、やりたいことが見つかるまで大人しく主婦するよ」
俺「まだ何かやる気なの!?」
イズミ「まだって何よ!私は自分のやりたいこと1つもやってないよ」
俺「そっか、そうだよね」
イズミ「子育てからようやく解放されて、これからが私の人生だよ!」
俺「本当にゴメン」
イズミ「だからトオルを恨んではいないってwむしろ感謝してるんだよ。自慢の娘を与えてくれて」
泣きそうになった。
イズミ「とりあえず今は・・・」
カマキリの笑みを浮かべた。
イズミ「やっと閉経したみたいだから生でいっぱいしようね」
いくつになってもイズミはイズミだ。
俺たちの関係って何だろう?
籍を入れる予定はない。今更だし面倒くさい。
この歳で彼氏彼女でもないだろう。
今風に言えばパートナーか。人にはそう言おう。
でもやっぱり俺たちはどこまで行ってもセフレなんだろうな。
いつまでセフレでいられるかは俺の息子にかかってるけどw
長身美女に逆ナンされてセフレになった
END
話的にセフレで締めたけど俺はイズミのことを妻だと思っています。
俺たちが出逢ってからこの8月で25年になる。
もちろんプレゼントは渡すけど、それとは別にサプライズしたくてこれを書いた。
本筋に全く関係ない恭子との話を長々と書いたのもイズミにまだ詳しく話せてなかったからだ。
2人が出会った8月14日にイズミに見せる為にこれを書いた。
8月14日に見せるつもりで書いたんだ。
7月末から書き始めて書き上げたのが8月8日、スレ立てして13日までに終えるのは楽勝だと思っていた。
スレ立てがこんなに面倒だと思ってなかったからね。
諦めて14日に原稿を見せた。14日に見せなきゃ意味ないし。
で、面倒くさくなったからそれで終わるつもりだったけど折角頑張って書いたんだから見て貰おうよと言われて再びスレ立て。
色々調べて何度も諦めかけてようやくスレ立て出来たのが8月28日。
やれやれだぜ。
最後までお付き合いくださった方々、本当にありがとうございました!
明日4時起きだが眠れなくなった
内縁の妻というやつですね。
とても面白かったです。
ありがとうございます。
テジョヨンが思い浮かんだ
もうこんな時間かヤバいよ
今日俺の誕生日で「日付が変わったら来てね」って言われてたのに
じゃ行って来る
また今日!