好きな女の子と童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった act.2 「夏だねえ」

summer_a
好きな女の子と童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
act.1 「素晴らしく楽しい日々の始まり」

121:ナオト◆SQ2Wyjdi7M:2014/03/24(月) 21:57:34 ID:iZLNGPCBT
てすと

123:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 21:58:51 ID:iZLNGPCBT
やっぱり酉が間違っていたか・・・
お待たせしました。続きを乗っけていきます
保守サンクスです

124:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:00:38 ID:iZLNGPCBT
五人で暮らす様になってから、今までの生活と全く違う様相を呈し始めた。
まずは自然と役割が決まって来る。
当初、料理はマリコ以外で当番制となっていたのだが、イモトは下手では無いんだが、とにかくガサツ。
ヒロさんは味噌汁に出汁を取らずに味噌丸ごと投げ入れると言う暴挙に出た為、台所を出禁。

結局、俺と係長で料理を作るのだが、俺も学校とバイトが有るので思うように料理をする暇が無い。
そして係長の思わぬ才能が発見される。料理が上手いんだよ。
「嫁にいつも作らされてたんで…」
そう力なく笑う笑顔に哀愁を感じた

125:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:02:33 ID:iZLNGPCBT
結局、「一番暇な私がやりますよ」そう係長が言った為に料理長には係長が襲名。
次に掃除は各自の部屋は各自で。あと共用部分はヒロさんと俺がする事となった。
そして、洗濯はマリコとイモトで全員分を行う。
ただ、それが原因かどうかは分からないが俺の下着が二枚無くなったのが非常に気になるんだが…

こんな感じの同棲…いや、既に同棲じゃねーな、これ。あれだ、合宿だわ合宿。
メチャメチャ騒がしいし常に誰かが叫んでたし…夜は皆でグダグダと居間で喋るし…
朝は戦争の様に大変でトイレ争奪戦が凄いしね…

126:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:04:10 ID:iZLNGPCBT
最初は俺はテンション駄々下がりで溜め息ばかりついていたんだが、いつしか何か楽しんでいる自分がいてさ…俺も独りっ子だったから沢山の兄弟が出来た様で…
嬉しかったのかもしれないな…

とにかく、ここに居る人間は何かしらの欠陥を持っていたんだろうね。
社会の常識の枠を外れてしまった欠陥を。
だからある意味傷の嘗め合いをしていたのかもしれない…

まあ、問題も多々ある。春が終わり初夏になった頃にある問題が発生した。
それは虫問題であった

127:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:06:03 ID:iZLNGPCBT
ある日俺が家に帰るとマリコとイモト、それに係長が叫びまくっていた。
廊下と縁側に小さい羽蟻?みたいなのが大発生していたのだ。
「ナオト!助けて!」
そう言ってマリコがしがみついて来た時は興奮した。
その後にイモトも来たのでなぎ倒した。
「ふう…私も虫は大の苦手でしてね」
係長がメガネをクイッと押し上げ少しドヤ顔で言うのが意味が分からないんだが…
たが、俺も得意では無い。とにかくホウキで羽蟻を追い払った。
ちなみに、その後何度か羽蟻が出たのでヒロさんが殺虫剤を購入する事となる。

128:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:07:55 ID:iZLNGPCBT
羽蟻はまだ倒せたんだが、Gが出た時は俺も逃げまどう。
ヒロさんと係長は家の外に逃げた。マリコは俺の後ろで叫びまくる。
イモトが何かの力に目覚めたのか大声を上げながらスリッパで撃退。
奴は戦いの中で進化する人間だった事を知った戦争だった…

仲の良さも深まっては来る。俺は特にヒロさんと、よく喋る様になった。
当初は彼の性癖を知らなかったので余り喋らなかったのだが段々と喋る様になる。
ヒロさんは、と言うよりここに居る全員だったが余り酒を飲まなかった。
たまに誰かがビールを買って来て飲む位。俺は一度ヒロさんが買って来たビールを飲みながら聞いてみた

129:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:09:44 ID:iZLNGPCBT
「ヒロさんて、男役だったんすか?女役だったんすか?」
そう軽い酔いに任せて思いきる。彼は困った顔で笑いながら「秘密だよ」と言う。
うわ、聞きてえ。
「え?やっぱり俺とか見ても、ちょっと興奮します?」
俺、酔い過ぎ。
ヒロさんはフッと笑うと酔っぱらって係長の頭を撫でているイモトを指差す。
「…興奮する?」
ああ…そうか、誰でも良いって訳じゃねーのな…てか、待て。
俺はイモトと同列かよ!何か複雑な俺だった…

130:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:11:46 ID:iZLNGPCBT
あと、マリコとイモトも仲良くなったのかも。
たまに二人でお互いの部屋で喋っていたりするのを見た。一応、暗黙の了解でお互いの部屋には入らない事にはなっていた。
だが、あの二人はよく行き来していたんだよ…
俺はその度に何の話をしているのか気になり襖に耳を当てて聞こうかと思ったが、それは不味いと思い止めた。

ちなみに係長はいつも酔うと訳の分からない歌を一人で歌っていた。
そして翌日には「昨日は酔ってとんだ失態を…」と言って一人一人に謝るのだ。なんか憎めない。
まあ、こんな感じで俺達は上手く共同生活をしていたんだよ。

だけど俺とマリコの仲は中々深まらない。周りが賑やかで有るほど俺はマリコとの間に孤独感を感じていた。
俺はいつもマリコを目で追う。だが、視界の先にイモトが現れたり、係長が被ったりと邪魔をされるんだ。
だからバイトの時だけは二人の時間で嬉しかったんだよ。

131:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:13:42 ID:iZLNGPCBT
「ソフトクリームが食べたーい」
そう言ってマリコがレジから空を見ながら言う。
「ああ、良いね」
俺も頷く。もう暑くなって来たしな。
「んじゃ、今日の買い出しの時に食べようか?」
マリコのキラキラ笑顔でそう言われ俺は即了承。
買い出しは基本、俺とマリコの役割だった。皆からのお金をマリコが預かるからだ。
その時はデート気分で凄く嬉しい。だが、たまに俺とイモトが学校帰りに行く事もあった。
その時は俺はペットの散歩と思って諦めていた。

ちなみにお金の渡す率はヒロさんが断トツに多い。
「使う所が無いから」と言うのが彼の言い分だったが、学生やフリーターばかりなので気をつかってくれていたんだろう。
あ、係長は金の徴収は無かった。彼、ニートだから。
だから俺達に腰が低かったのかな?

132:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:15:21 ID:iZLNGPCBT
俺達は二人でスーパーに行き食材を買い込み(勿論、リンゴも)その後二人で店の外にある屋台でソフトクリームを買った。
そしてベンチに座りそれを食べる。
日が高くなり暑くはなったが夕方になると涼しい風が吹いていた。
山の方から微かにひぐらしが鳴いているのが聞こえる。惨劇が起きる…訳でも無く俺とマリコはマッタリとソフトクリームを食べていた。

「夏だねえ」
「夏ですな」
マリコの一言におうむ返しで返事する。
なんか、こう言う時間が堪らなく嬉しいんだが、どこからかイモトの邪魔が入りそうでビクビクする

133:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:17:44 ID:iZLNGPCBT
「海…行きたいな」
「海ね…○○って泳げるの?」
俺は近くの海岸名を言う。
「泳げると思うよ…あ、じゃあ、そこに行こう!」
「おお、良いね…」
その時、俺はふと気が付く。
海…海に入るのは…水着!!!マリコの水着姿!!!!

「行こう!!!是非行こう!!!何なら今すぐ行こう!!!」
鼻息の荒い俺。
「今すぐは無理でしょ」
そう言ってケタケタと笑うマリコ。だが俺はマリコの水着姿を想像して鼻息が荒いまま。
「来週位から入れるのかな?」
知らん、知らんがどうでも良い。とにかくマリコの水着。
「入れる!いや、俺らが入れるか確認しよう!」
その鼻息荒い一言にもマリコは笑う。
「皆の予定はどうなんだろう?」
ええ?皆?あいつらも?
「と、とりあえず…一回俺らで様子みない…?」
俺は少し控えめに冗談っぽく言ってみた。ダメ元で。
するとマリコはほっぺを軽く膨らまし「う?ん…」と呟いた後に「じゃ、一回様子見に行こうか?」と笑ってみた。

よっしゃああああああああ!!!!!!
心の中の観衆達が俺の一言にスタンディングオベーションをしていた…

134:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:19:28 ID:iZLNGPCBT
それから俺は海に行くまで毎日、楽しみではあったが同時に戦いの毎日であった。
いかに皆にバレずにマリコと二人で海に行くか…

ある日、俺とイモトで学校帰りに買い出しに行く。
「ナオトー、アイス食べない?」
「食べない、お前、これは仕事なんだからふざけるんじゃない!」
俺は一刀両断。だが、イモトは負けない。
「ふふ、こんな風に買い物してたら…新婚さんみたいだね♪」
いや、ペットの散歩がてらの買い物だけど?
俺達は買い物を終え帰路につく。

「ねえ、海でも行きたいよね!」
自転車の風に負けない様にイモトが俺に叫ぶ。
ギクッ。

135:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:21:25 ID:iZLNGPCBT
「…海は…止めておけ…」
「ええ?!なんて?!」
俺の声が自転車の風切り音に負ける。
「ナマコ入るだろ、ナマコ!」
今度はデカイ声で叫んだ。
「ナマコ?」
「この時期のナマコは産卵前でヤバイんだ!アイツらは海の動物の体内に入りそこで、産卵する!基本的には人間には産卵しないが、たまに間違えて人間にするんだ!そしたら体の至るところからナマコが…」
「え?マジ?そんな話…聞いた事、無いけど…」
俺が今考えた話だからね。
「そんな話が広まったら誰も海に来ないからな…海洋学者達の中では常識だ!」
イモトは腑に落ちない顔をしていたが更に言う。
「え?じゃあ、ナマコって他の魚とかから出て来るの?!」
中々、食い付くね。スルーを覚えようか?
「魚でも…結構デカイ奴だな…例えばサメとか」
「え?じゃあ、マグロは?!マグロとかは?!」
なんて好奇心旺盛な奴た。
「マグロは深い所にしか居ないだろ?浅瀬がヤバイんだよ」

こうして俺は怪奇的なナマコ像を明確化していくのであった…

136:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:23:13 ID:iZLNGPCBT
だが、そんな幻のナマコは全く効果が、無かった。
「ねえねえ!あの海水浴場、もう入れるのかな?!」
そう居間でイモトがデカい声で言いやがった。俺のナマコ講座の時間を返せ。
俺はテレビを見る振りをして押し黙る。
チラリとマリコを見るとマリコが困った表情で俺を見てきた。
なんか二人の秘密みたいで嬉しい…が、係長が空気を読まない。
「どうやら、来週位から海開きをする様ですよ」
そう言って団扇で扇ぐ。何なのアンタの無駄な情報力。
それを仕事に生かせてたらリストラされなかったんじゃねーの?
「じゃあ、皆で海に行こう!!」
イモトの叫びで結局、俺の目論見は見事に破られたのであった…

137:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:24:29 ID:iZLNGPCBT
まだ早い時期だったので海は空いていた。
それを分かったのは俺達が、この夏にかなりの日数を海で過ごしたからだ。

海まではヒロさんが原付で荷物と共に先に行き場所を取る。
そして俺達は自転車で追い掛ける形だった。
ちなみに当初の頃は係長の自転車が無くて彼は汗だくで歩いて来ていた。
だが、余りにも可哀想さから俺がコンビニのオーナーに言って捨てられている自転車を貰い彼に渡したんだよ。
「この御恩は一生忘れません」
少し半泣きになりながら言われた時は何かムカついた

138:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:26:59 ID:iZLNGPCBT
海に到着して俺、ヒロさんそして遅れて来た係長で水着に着替える。
ヒロさんはガッチリした良い体をしている。ノンケの俺でも惚れ惚れしそうだ。
反対に係長はだらしなすぎな体をしていた。着替え終わりパラソルまで行くと既にマリコと、もう一匹が着替えおわっていた。

うお!マリコの水着!俺は興奮しているが冷静にマリコの水着に向けてオートフォーカスをする…!
が、マリコ、ラッシュガード着てるし、下も何か短パンみたいな水着だし…おじさん寂しいよ…

「ナオトー!」
マリコの隣のもう一匹がうるさい。余り見たくなかったがチラリと見てしまう。
何だその銀色ちっくな水着は!!目がチカチカする!対ハワイ上陸作戦用に開発された水着かそれは!!
「ナオトー!!」
それでも俺に手を振るイモト。
「宇宙人みたいな水着の人が呼んでるよナオト君」
ヒロさんが冷静にそう言う。
「どこで買ったんすかね、あの水着」
「ピンクレディーが、あんな水着をしてましたね」
係長がそう言っていた

139:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:28:53 ID:iZLNGPCBT
「マリコ、ら、ラッシュガード…着てるんだ…」
俺は迫り来るイモトを押し退けながら聞く。
「だって、日焼けが気になるし」
マリコがそう言うとイモトも同意する様に頷く。
「あ、確かにシミとか嫌だよね?」
うるせえ!お前は日焼けを気にする前に眉毛を何とかしろ!!
…結局、この夏にマリコの水着姿を見る事が無かったよ…

まあ、マリコの水着は残念では有ったが海は最高に楽しかった。
ビーチバレーをして係長にボールをぶつけたり、
海でビーチボールに捕まっている係長を海に落としたり、
岩場でカニを捕まえようとしている係長を海に落としたり、
砂に係長を埋めて俺達は何処かへ消えたり…
ホント、係長ごめんなさい…

140:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:30:18 ID:iZLNGPCBT
ゴムボートを借りてマリコとイモトと三人で沖に出た事もあったな。
俺がゴムボートを漕ぐんだが中々スピードが出ない。
何故かイモトは「しゃらくせえええ!!!」と言ってそのまま海に飛び込み泳ぐ始末。
何だあの野生児は…

その後、俺とマリコがゴムボートで二人きりとなった。
「ああ?なんか楽しいね♪」
マリコはそう言ってゴムボートの後ろ側に寝転がる。
その時、短パンから見えるマリコの生足にドキドキする。
変に色々着ているもんだから露出している部分を見るだけで興奮してしまう。
マリコの細く長い足にうっすら血管が見えて肌に水滴があった。

141:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:32:32 ID:iZLNGPCBT
「…生まれて初めてかも…」

マリコの呟きに我に返る。
「え?」
「こんなに楽しい夏って…生まれて初めてだな…」

そうマリコが仰向けで空を見ながら呟いた。その空を見つめる目に何か物悲しさを感じた。
「俺も…生まれて初めてかな…こんなに楽しい夏は…」
そう。俺もこんなに楽しい夏…いや、こんなに楽しい日々は生まれて初めてだ。
「…ずーっと、続けば良いのにね…」
マリコがそう言って少し眩しそうに目を閉じる。
俺も空を見上げた。
空は真っ青で遠く沖の方には高い入道雲が見える

142:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:34:24 ID:iZLNGPCBT
「…うん。ずっと…このまま続けば良いのにな…」
俺の一言にマリコは目を開けて俺を見た。そして微笑む。その瞬間を俺は今でも思い出すよ。
あの日、あの時…ホントに夏を感じていたんだ…

帰り道はいつも近所のスーパーで皆でアイスを買って食べていた。
夕陽に横顔を照らされながら俺達はアイス片手に海岸線の道路沿いに自転車を停めて食べていた。
「なんか良いですねえ…」
そう係長が呟く。
「青春♪」
マリコも嬉しそうだ。
「…こんな生活も…有りかな…」
ヒロさんはタバコをくわえながら言う。彼はタバコが絵になるわ。
「夏、終わって欲しくないわあ」
イモトの言う事はもっともだ。

俺達は各々夕陽を浴びていた。俺も思う。ずっと夏が終わって欲しくない…

143:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:36:05 ID:iZLNGPCBT
だけど、空気を読まずに俺が一言。
「いや、夏が終わらないのは良いんだけどさ…一つ問題が有るじゃん… 」
俺の一言に全員が現実に引き戻される。
「うわ、ナオト、それ今言う?」
イモトの非難が注がれるが全員分かっている様で溜め息をついた。
そう、俺達に一つ問題があった…それは…
家のエアコンの絶対数が少なすぎると言う事であった。
家にエアコンはマリコの部屋にしか無かったのだ。
だから、俺達は全ての窓を開けっぱなしで寝るが、虫の被害が甚大だったのだ。

144:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:37:44 ID:iZLNGPCBT
マリコが「もし、良かったら私の部屋からエアコン外して居間に付ける?」と言った。
だが、男連中は居間で寝れるが女連中が困る。たからと言ってエアコンを何台も購入するには金が掛かりすぎるんだ。
「ああー、家に帰りたくねえ」
イモトはアイスの棒を舐めながら言う。
「扇風機でも買うか?」
ヒロさんが、そう言うが結局、それでも虫の被害が収まらない。
全員、再び溜め息をつく。すると係長が口を開いた。
「もし、良かったら明日、私にお付き合い頂けませんかね…」
そう言う係長のメガネが光っていた…

145:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:39:44 ID:iZLNGPCBT
翌日、仕事のヒロさん以外の俺とマリコとイモトで係長に納屋にしまってあったリヤカーを引き付き合う。
俺と係長二人でリヤカーを引くが坂道が大変であった。
ミンミンと蝉が鳴く炎天下の中、到着した先は山奥にある不法投棄の場所だった。
「何すんの?係長」
イモトが顔を赤くして汗を拭きながら言う。
「ここで、使えそうなエアコンが無いか、と思いまして」
え?拾うの?
「でも、こんな所に捨ててあるエアコンなんか、壊れて使えないでしょ?」
帽子を取りながらマリコが聞いた。
「ですので…私が修理します…」
「え?係長直せんの?」
俺の問いに係長は少し照れながら笑った。
「以前に勤めていた所が電気メーカーでしたんで…」
マジか。

146:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:41:43 ID:iZLNGPCBT
係長は言う通り凄かった。
使えそうな十台位をリヤカーに乗せて持って帰ると、それを係長を筆頭に皆で必死で修理する。
勿論、俺達全員、機械の「き」の字も分からない連中だったので係長の言う通りの分解して線を繋いだり、はんだで止めたりするだけだった。
使えそうな奴も、結局使えない、と言う事もある。
だけど着実に一台、一台修理していく。

昼間は炎天下の中の作業で大変だったが、それでも楽しかった。
皆で夢中で修理して、休憩は木陰で寝転がり昼寝したりする。
夜は居間からの明かりで作業を続けた。そして、三日が過ぎた時…

各部屋と居間の合計五台のエアコンが出来上がったのであった…
一応取り付けは係長も出来ないらしく近所の電気屋で頼むしかなかったが…

それでも、エアコンがちゃんと稼動した時は全員感動で泣きそうになった

147:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:43:53 ID:iZLNGPCBT
イモトは係長に抱きつきキスしそうな勢いで喜びを表していた。
他の皆も係長を褒め称える。意外な係長の才能であったのだ。
「これで、来年は夏の最初から涼しいな!」
流石のクールマン、ヒロさんも喜びを露にしていたのであったのだ…
だが、エアコンが付いた事により一度アクシデントが起きた。

その日は暑い夏、真っ盛りの日だった。
各々が家に帰り着き順番に風呂に入り、夕食を食べて皆で居間でまったりとテレビを見ていた。
俺は隣でマリコが見ている雑誌を横から覗く。確か、星占いか何かのページを見ていたと思う

148:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:45:36 ID:iZLNGPCBT
係長は台所で「野菜ジュースを作ってみようかと」と言って野菜をミキサーに掛けていた。
ヒロさんは夜にも関わらず電気シェーバーで髭を整える、と言う非常識行動。
そこに風呂上りのイモトが「あっち?」と言って品の無い足をおっぴろげて、ドライヤーで髪を乾かし始めた時だった…
突然、テレビの音が消え目の前が真っ暗となる。
「きゃ!」「うわ!」「え??」
全員が声をあげた。
「停電か??」
いや…
「ブレーカー落ちたんじゃない?」
俺の言葉に「あ、それだ」と言って暗闇でヒロさんが答えた

149:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:47:22 ID:iZLNGPCBT
「てか、全員ひょっとしてエアコンつけてる?」
「あ、私、点けっぱなしだ…」
耳元でマリコの声が聞こえた。暗闇で分からなかったがマリコが隣に居るようだった。
てか、俺も点けてた。聞くと全員寝るときに涼しく寝る為にエアコンで部屋を冷やしていた様だった。電気代もったいねえ。

「とりあえず、近場の電気をコンセントから外しましょう」
どこからか係長が言うが真っ暗過ぎてどこが何やら分からなかった。
その時手のひらと腕に温かい物が絡みつくのが分かった。

え?
それは誰かが俺の左手を握り、そして左腕に抱きついているんだ…

150:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:48:56 ID:iZLNGPCBT
「てか、どこよ!コンセント!」
離れた場所からイモトの叫ぶ声が聞こえる。
「あ、俺、ライターどこだ?それが有れば分かるだろ」
同じく離れた場所からヒロさんの声が聞こえた。
「あ、一個コンセント抜けましたよ」
係長が台所でそう言う…

と、言う事は…だ…
この俺の抱きついている温かくて柔らかいモノは…マリコだ…!

俺は急にドキドキしてくる。
え?なんでマリコは俺の腕に抱きついているの?怖いから?いや、まあ、それなら…分かる。
だけど…手は?手は何で俺の指に絡める様に握っているの???

151:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:50:33 ID:iZLNGPCBT
マリコの息遣いが俺の耳元に聞こえる。
何?何?
俺の頭の中までドクンドクンと血潮が流れる音が響き渡っているのが分かった。

「おい、ブレーカーどこだ?」
「確か洗面所で見ましたよ」
「とりあえず、明かり!」
皆が叫んでいる中、俺はそれ所ではなかった。
何も言わない。いや、言えない。
とにかく俺は緊張と興奮が入り混じり何も動く事が出来ないのだ。
そして…俺の顔に何かが触れた。
それが手の平と分かるのに少しの時間を要した。手の平が優しく俺の頬を触るのが分かる。
手の平からハンドクリームか何かの仄かの香りがした。

152:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:52:00 ID:iZLNGPCBT
そして、俺の前方から微かな息遣いが伝わって来る。
その息遣いから相手も緊張か興奮をしているのが分かった。
俺は動けずに心臓の鼓動だけがバクバクと暗闇に響く。
「おい、どこだ?」
「いて!何か踏んだ」
「あ、洗面所は外から月明かりで僅かに見えますよ!」

そして…暗闇に慣れ、おぼろげな輪郭が分かる様になった時…
その輪郭はゆっくり俺に向かって来て…


俺の唇に自分の唇を重ねたのであった…

153:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:53:20 ID:iZLNGPCBT
俺はその時間が何十分かの時間に思えた。
だけどほんの僅かな時間だったんだろう。その唇が離れて俺の左手をギュっと握りしめる。
俺もしっかりと握り返していた。

そして、もう一度…今度は俺からも動き…
俺達は再び唇を重ねあった…

「あ、ブレーカー戻しますよ?」
係長の声が響いた時、俺達は既に口付けを終えて手も離していた。

154:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:54:41 ID:iZLNGPCBT
そして明かりが点る。マリコは俺から1m位の距離で立っていた。
「あ、点いて良かった♪」
そう言って笑う。その笑顔はごくごく普通のマリコだった。
電気が点いてから再び俺達は雑誌を見る。
マリコは至って普通に先ほどの星占いのページ見ながら俺に話しかけていた。
滅茶苦茶普通だった。

だから俺は自分が夢を見ていたのか…そう思っていたんだよ…

155:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:56:05 ID:iZLNGPCBT
そして夏は過ぎて行く。

この夏、俺達は本当に夏を満喫したんだ。
朝から誰が言い出したかラジオ体操したり、
縁側に座ってスイカを食べて種飛ばし競争をしたり、
そして夜は皆で花火をした…

係長が両手と口でロケット花火をくわえて走り回る。
イモトはネズミ花火を俺に投げてきた。
ヒロさんは線香花火を見ながら少し笑っていたのが怖かった

156:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 22:58:08 ID:iZLNGPCBT
マリコはでっかい打ち上げ花火に火を点けてハシャイで叫んでいた。
「来年も、また海行って、スイカ食べて…花火しよーね!!」
「やろおぜえええ!!!!」
俺達もハイになって叫んでた…

そして、夏は終わりを迎える。

海も、スイカも花火も…
そして、せっかく直したエアコンもね…

結局その年の夏だけのものになったんだよ…

157:ナオト◆LthZ5KNBTs:2014/03/24(月) 23:00:30 ID:iZLNGPCBT
今日の書き溜めは以上です
すみません、長々しょうもない話を書いちゃって
なんか色々思い出してあれもこれもって思っちゃいまして
すみません。明日も早くから仕事なんで寝ます
おやすみなさい

158:名無しさん:2014/03/24(月) 23:01:17 ID:o7ajg97ya
おつ

おもろかった!

159:イモと好き:2014/03/25(火) 00:09:53 ID:V3zkoxAtG
目から水が…
乙!

160:名無しさん:2014/03/25(火) 04:05:19 ID:8PgtOiZIt
おつー!

161:名無しさん:2014/03/25(火) 12:46:12 ID:U7iNsNDDB
続きが気になる!

162:名無しさん:2014/03/25(火) 13:00:02 ID:Ma1JBRQwB
その後は?

164:名無しさん:2014/03/25(火) 14:16:47 ID:Qdch09CCb
時間掛かってもいいから続きも詳細にヨロシク

166:名無しさん:2014/03/25(火) 14:39:20 ID:uxMNf8iTl
続きが気になる

168:名無しさん:2014/03/25(火) 15:23:00 ID:KsNFFQW1z
青春だな~
小説見てるみたいだ

174:名無しさん:2014/03/25(火) 17:23:56 ID:HhXFJpBvr
とりあえずパンツ脱いだ

175:名無しさん:2014/03/25(火) 17:35:20 ID:ldfq0VonV
映画を見てるようだ

176:名無しさん:2014/03/25(火) 17:48:42 ID:tHVwLjsxU
長すぎる・・・
まとめられるのを待つか、だれか3行

177:名無しさん:2014/03/25(火) 17:53:39 ID:pnMOfxfaE
バイト先にかわいこちゃん
同棲
停電でチュッチュ




好きな女の子と童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
act.3 「秋の三連休」


桃尻Fカップキャバ嬢? or 高身長ウルトラ美ボディ?